捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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みなと

 私はこの前の誕生日パーティーの時に、撮らせてもらった写真を皆に見せた。写真は苦手らしく、笑顔は見せてくれなかったが、いい表情だと思う。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

 1年生を除く皆が、画面に表示された八幡さんをじっと凝視している。何だろう、何と言っていいのかわからない複雑な気分です……。

 

「……目に澱みを感じます」

「ぱっと見は、まあまあみたいだけど目が腐ってるわね」

「ふ、2人共、失礼だよ!」

「そうだよ!人間見た目じゃないよ!目が汚れてるくらいじゃ、性格は判断できないよ!」

 

 ストレートな海未ちゃん、にこちゃんに、ことりちゃん、穂乃果ちゃんが反論する。でも穂乃果ちゃん、あんまりフォローになってないよ……。

 

「まあ、目は濁ってるけど、優しそうではあったよ。かよちんと歩いてた時は」

「いえ、私が気になったのは、一体どれだけの修羅場をくぐり抜けたら、このような目になるのかと……」

 

 そういえば、私も初めて八幡さんと出会った時は、ずっと目を見てたなぁ。あの哀しそうで、どこか優しい目を……。

 

「花陽、彼は何か部活はやっているのですか?」

「はい、奉仕部に……」

「奉仕部?」

 

 私は八幡さんから聞いた奉仕部の内容と、入る経緯を説明した。

 

 *******

 

「中々穿った物の見方をするんやね」

「ただ単に捻くれてるだけじゃん。納得できないわけじゃないけど」

「あはは……」

「結構変わり者なんだね~」

「あなたも人の事は言えないでしょう」

 

 ああ、どうしよう。先輩が捻くれた変わり者みたいになってる…………事実な気もしますが。

 いえ、例え流れでこうなったとはいえ、八幡さんを紹介するなら、いいところを紹介しないと。

 

「比企谷先輩は多分家庭的にゃ!」

 

 私が口を開く前に、凛ちゃんが手を挙げて発言する。

でも、八幡さんは家事は小学生6年生レベルって言ってたような……。

 

「将来の夢は専業主夫って言ってたにゃ!!」

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

 私を含め、皆が沈黙する。

 凛ちゃん……。

 八幡さんの写真が哀愁漂って見える。

 

「あれ?」

「アンタ、それヒモになる予定って事!?」

「花陽……その方を連れてきなさい。私が根性を叩き直してあげます」

「ウチがスピリチュアルの力で何とかしてあげるよ」

「は、花陽ちゃん!大変かもしれないけど、ファイトだよ!」

「あはは……そんな駄目な人には見えないけど……」

 

 むう……どうしよう。

 

「皆、落ち着きなさいよ。さっきから、花陽が喋れてないでしょ?」

 

 真姫ちゃんが視線で私を促す。そうだ。私がありのままを話せばいいんだ。八幡さんのいいところを誰よりも沢山知っている私が。

 私は深呼吸をして、八幡さんと出会ってからの事を、ゆっくりと噛みしめるように、自分の気持ちを確認するように話した……キスしようとしたところ以外。

 

 *******

 

「2人共素敵……」

 

 ことりちゃんがうっとりしたように言う。脚色は全くしていない。ただ、ありのまま話しすぎて、少し恥ずかしいです……。

 

「何か聞いてる方が照れちゃうね……」

「あの穂乃果ちゃんが!?嘘にゃ!?」

「穂乃果だって興味くらいあるよ!」

「ほっこりするなぁ~」

「ま、まあ、私ほどじゃないわね!」

「何見栄はってんのよ」

 

 よかった。悪い印象はなくなったのかな?

 

「…………」

「海未ちゃん?ど、どうしたの!?何で気絶してるの!?」

「海未ちゃ~ん!」

「そういや、エリチどうしたん?さっきからずっと黙ってるけど」

 

 あれ?絵里ちゃんの顔がほんのり赤い。どうしたのかな?

「えっと……まあ、その……格好いいじゃない……」

 

「「「「「「「「え?」」」」」」」」

 

 *******

 

「っくしゅっ!!」

「あら、比企谷君。誰に悪口を言われてるのかしら?」

「何で悪口前提なんだよ」

「悪口以外アテはあるの?」

「……言い返せねぇ」

「あなたの好きなμ,sから悪口かしら」

「止めろ。泣くぞ。それよかお前、μ,sの……」

「……何?」

「いや、いい」


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