捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
アンケートお答えいただいた方々、ありがとうございます!まだしばらく受け付けていますので、気が向いた方はよろしくお願いします!
それでは今回もよろしくお願いします!
「お前ら……」
驚いている俺に、由比ヶ浜は慌てたように口を開く。
「あ、あのね……ゆきのんが、手伝おうって言ってくれたの!」
その言葉にさらに驚き、雪ノ下を見る。
「たまには……自分から動いてみたかっただけよ」
俯いている相模の方を見る。
「彼女は今、奉仕部の部員よ」
「は!?」
またまた驚き、先生を見ると、うんうんと頷いていた。
「君が辞めてから、人員補充しようかと思っていたところに、彼女から声をかけてきたのだよ」
「そうですか」
相模の方は見ずに頷く。どういう意図があるのかは、俺の知るところではないが、3人を見てみると、まだどこかぎこちない。新生奉仕部はまだ新生生徒会同様、まだしっかりした人間関係を構築できてはいないようだ。仕事では問題ないんだが……。
「じゃあ、人員募集はぎりぎりまで受け付けているから、各自できる範囲でいいから声をかけておいてくれ」
それだけ言い残して、平塚先生は出て行った。その背中はどこか嬉しそうに見えたのは、気のせいではないと思う。
その後、雪ノ下達に一連の作業の内容を通達し、その場は解散となった。
*******
靴に履き替え、外へ出ると、同じように下校中の奉仕部の3人がいた。
由比ヶ浜がこちらに気づき、小さく手を振ってくる。
「あ、ヒッキー!」
「おう」
「意外と生徒会のメンバーとして様になってたわね」
「そ、そうか」
予想外の褒め言葉に気後れしながら、鞄を担ぎ直す。
「あ、あの……」
二人に隠れるようにしていた相模が、おずおずと声をかけてくる。
「…………う」
「?」
「今さらなんだけど……文化祭と、体育祭の時……ありがとう」
「……別に俺は何もしてねーよ」
俺の言葉に相模が顔を上げ、二人が微笑むのを見て、そのまま校門へと向かった。
日が落ちるのを見ながら、今夜は花陽とのんびりと電話で話そうと思った。
*******
クリスマスイブ。イベント前日。
幸い雪はまだ降っていないが、天気予報では今夜から雪になっていたので、明日の重労働の覚悟はしておこう。
会場には、他の高校の生徒が結構な数集まっている。
しんどそうにしている者もいれば、スクールアイドルに会えるのを心待ちにしている者もいた。
スタッフ用の服に着替え、これからの作業に思いを馳せていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「あれー、比企谷じゃん!」
「折本…………」
この前の一件以来だ。
とはいえ、あの後強烈な出来事が色々あって覚えてないけど。彼女は好奇心たっぷりに視線をぶつけてくる。
「へえー、比企谷もボランティア?」
「……生徒会は強制なんだよ」
「え、比企谷って生徒会?」
「ああ、一応な」
「一応って何それ!マジウケる!」
「いや、ウケねえから……」
とりあえずツッコミを入れておくと、折本はさっきとは違う、どこか優しげな笑みを浮かべた。
「そっか、本当に変わったんだね」
「どうだかな」
「じゃ、今日は同じスタッフとしてよろしく!」
今のやり取りに、心の奥に詰まっていた何かが取れて、消えていった気がした。そして、またいつもの陽気な笑みに戻った折本は、俺の肩をぽんっと叩き、自分の学校のメンバーの元へと戻っていった。
それとほぼ同時に、平塚先生から声がかかり、俺は早歩きで集合した。
読んでくれた方々、ありがとうございます!