ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

23 / 96
 お久しぶりです。寝不足の頭痛と熱中症みたいな頭痛のダブルクリティカルを受けてしまい暫くダウンしていた作者でございます。
 連載開始からほぼノンストップ、2日に一本は作品あげてたからなぁ。少しガス欠かも。ちょっと連載ペースは落ちるかもしれませんが、どうぞお付き合い下さいませ。


合宿『十千万』編
22話 合宿とげんこつと


「かーいっ!! ほら起きてよぉー!」

 夏休みに入って二三日経ったある朝のこと。おれは曜に起こされていた。

「何だよ、曜……。夏休みで学校はないはずだろ?」

「もう、何寝ぼけてんのさ櫂! 今日は合宿の日でしょ?!」

「は?」

 合宿、という言葉に一瞬で目が覚めた。合宿? 

 おれが目を丸くしていると、曜がおれをベッドから引っ張りだした。

「やっと思い出したの? 思い出したなら、準備して行くよ! 皆待ってるんだから!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。曜!」

「ん? どうしたの?」

 そう、おれは彼女に大事な質問をしなければならないんだ。極めて重要で、かつシンプルな質問だ。

「おれ、そもそも合宿やるって連絡受けてないんだが。誰がおれに連絡するって算段だったんだ?」

 おれの質問に、曜の顔面が蒼白に染まった。

 

 

「まぁったく、あなた方は!!」

 千歌の家でもある宿、「十千万」。そこの一番大きな広間の真ん中に千歌と曜が正座させられていた。二人の前には仁王立ちして二人を叱るダイヤさん。叱られている二人はしゅんとしてしまっている。

「部活動のみならず、こういったものには『報告』というものが一番大事でしょう! それに、お二人なら紫堂さんに会う機会もあったでしょう!?」

「それは……」

 えへへ、と苦笑いして曜の方を見る千歌。それにつられて曜も苦笑いする。

「櫂ちゃんと会ったらすぐ遊んじゃってそのこと言うのを忘れちゃって……。ね、曜ちゃん」

「あはは、ね、千歌ちゃん」

「ね、じゃぁありませんわ!」

「まあまあ、ダイヤ少し落ち着いて。ね?」

 あまりの剣幕に松浦先輩がダイヤさんをなだめにかかった。だがその効果も薄いみたいで。

「これが落ち着いていられますか! 事もあろうに協力をしてくれる紫堂さんに合宿の連絡をしなかったなんて、二人は紫堂さんのことを――」

「ダイヤさん」

 俺はダイヤさんの肩を叩いた。彼女は意外だったらしく、驚いた表情でおれを見つめている。

「ありがとう、おれの為にここまで怒ってくれて。でももういいですよ」

「しかしそれでは紫堂さんに――」

「それを言うなら――」

 おれは他の面々の顔を見た。そして、ほんのちょっと威圧するような視線を投げかける。

「合宿をするって知っておきながら、おれの連絡先も知っているはずなのに、誰もおれに合宿の準備を促すメール一つよこさなかった。これだけで皆同罪ですよ?」

「それはっ……」

 ダイヤさんは反論しようとするも、視線を落としてしまう。

「大方皆、合宿が楽しみで自分の準備だけで精一杯だった。そうでしょう?」

 松浦先輩や鞠莉さん、他の面々も視線を落として苦笑いしてしまっている。図星みたいだな。おれは威圧を解いて笑顔を見せる。

「それにダイヤさん、これ以上怒ったら美人が台無しですよ? アイドルならもっと笑顔の練習をしなきゃ」

「びっ、美人?!」

 ダイヤさんは顔を真っ赤にして慌てている。おれはホントの事言っただけなんだけどな。

「それじゃあ――」

 俺は曜と千歌の真ん中に歩み寄ると――、

「ふんっ」

「いでっ!」

「あだっ!」

 二人の頭に少し強めにげんこつを振り下ろした。

「これでチャラにしてもらえませんか?」

 痛そうに頭を抱える千歌達を見て、ダイヤさんもこれ以上は言えないみたいだった。

「し、紫堂さんがそれでいいって言うなら……」

 よし、ダイヤさんが納得してくれたみたいだし、これで話が進むかな。

「というか、アシスタントみたいなおれに関する説教する暇があるなら練習しましょう? 時間は限られているんだから」

「そ、そうでしたわね。皆さん、早速練習に取り掛かりましょう」

 ダイヤさんの一声に皆動き始めた。じゃあおれは給水用の麦茶でも作るとすっかな。

「櫂ちゃん」

 身支度している彼女達の邪魔にならないようにと大広間を出ようとすると千歌がおれに声をかけてきた。

 

 

●●

「櫂ちゃん」

 皆が荷物を置いて、身支度をする中、私は大広間を出る櫂ちゃんに声をかけていた。連絡をしていなかった事を謝りたくて。

「……、どした?」

 いつもの櫂ちゃんとどことなく雰囲気が違かった。さっきのげんこつの痛みがじん、と傷んだ。

「怒ってる?」

 恐る恐る聞いてみた。櫂ちゃんは視線を合わしてくれない。

「怒ってないって言えば、嘘になるな」

 やっぱり。

「あ、あの、本当にごめんなさい!」

 改めて櫂ちゃんに頭を下げた。

「櫂ちゃんへの連絡は私が任されていたのに、伝えなくて本当に――」

 ごちっ。

 さっきより優しい、けど鈍い痛み。また私、げんこつされちゃった?

 櫂ちゃんを見ると、少し口元が緩んでいる。

「ま、お前が突拍子もない提案をするヤツだということを忘れてたおれも悪かったってことだ。そんなに気にすんな」

「櫂ちゃん~…… ありがとぉ~」

 嬉しくって思わず櫂ちゃんに抱きついちゃった。すると余裕を含んでいた櫂ちゃんの表情に焦りが見えた。

「こ、こらっ! 皆がいるとこでそう簡単に抱きつくな!」

 あれ、櫂ちゃんってば照れちゃってる? 昔はこんなことなかったのに。ちょっとさっきのげんこつのお返しをしちゃえ♪

「あれぇ、それじゃあ誰もいないとこなら抱きついてもいいのぉ?」

「そういう問題じゃねえ!」

 顔を真っ赤にする櫂ちゃん。それを見て、私の心臓もドキッとしちゃった。あれ、やっぱり櫂ちゃん、私のこと女の子として意識しちゃってる? そう思っただけでどうしてこんなにドキドキしちゃうんだろう?

「千歌さん……」

「千歌ちゃん?」

 ぐっと両肩を掴まれる。振り返ると笑顔のダイヤさんと曜ちゃん。

「ダメですわよ千歌さん。そう安々と殿方に抱きついては?」

「そうだよ、千歌ちゃん。櫂の背中は――」

「あの、曜ちゃん? 最後の方聞き取れないんだけど……?」

「千歌ちゃん、ズルい……」

 あれ、梨子ちゃんも!?

「駄目ずら千歌さん! 紫堂先輩はまるの観察対象ずら!」

「ル、ルビィも……」

 花丸ちゃんやルビィちゃんまでもが私に詰め寄ってくる。

「チカ! 抜け駆けはNoよ!」

 鞠莉さんまでも!? 

 助けを求めようと果南ちゃんの方を見つめた。

「うーん、ごめん、チカ。今回は助けてあげられないかなー」

 そんなぁ~!! ていうか櫂ちゃんってどれだけ女の子と仲良くなってるのさ! 問い詰めてやる!

「逃しませんわよ、千歌さん!」

 が、ダイヤさんに大広間の方へと引きずり込まれちゃた。もぉ~、櫂ちゃんのバカー!!

 その後私はAqoursの皆にもみくちゃにされちゃいましたとさ。

 




 ついに始まりました合宿回『十千万編』。ダイヤさんの動かし方がわからない以上に、主人公がわからなくなってきてしまった。攻略対象全員に好かれる主人公を書くのって本当に難しい。

 さて次回のエピソードの順番を、ツイにてアンケートをとってみたいと思います。出来れば投票して下さいね。


 ご意見ご感想お待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。