ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

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 王様ゲーム二回戦です。9人分の萌え台詞考えるのもけっこうキツいな……。
 今回は三人称視点でのナレーションもあります故、ご注意下さい。


34話 王様ゲーム:コードS・反逆の男子R2

●●

 櫂がとてつもない威圧感を放っている。私、渡辺曜の身体はガタガタと震えていた。忘れていた。櫂は私たち幼馴染の中で一番怒らせてはいけない奴だってこと。恐らくさっきの口説き文句を考える命令で溜まった何かが、王になったことで一気に開放されたのだろう。

「よ、曜ちゃん……」

 千歌ちゃんも同じことを考えていたのか、震えていた。

「さて、さっきは随分と恥をかかせてもらったからな。どんな命令をしようかな……」

 櫂が私たちを見下ろしながら顎に手を当てて思案顔をする。その威圧感の危機感を覚えたのは果南ちゃんだった。

「だ、ダメだよ、かい。さっきの命令の一件は終わったんだし、次に持ち越ししちゃ」

「そ、そうだよカイ! あ、あれはほんの余興だから……」

 命令した張本人でもある鞠莉さんも慌てて立ち上がった。が、櫂はにこやかに二人に微笑みかけた。

「いやだな松浦先輩、鞠莉さん。別段おれはさっきのことで怒っちゃいませんよ。ただ――」

 微笑んでいるのに、なぜか薄ら寒さすら感じてしまう。絶対嘘だ。櫂の頭の中の何かがプッツンしてる。

「皆に命令をきいてもらえるのが嬉しいだけですよ。それと、これから出す命令も余興ってことになりますね」

 櫂は私たち全員に命令するつもりだ。ど、どんな命令が来るんだろう。

「よし、これがいいかな」

 何か思いついたのか、櫂はにやりと笑うと宴会場に響き渡る声で命令を告げた。

「1~9番の者は順におれに『妹として甘える行為』をしてもらう!」

 こうして、私たちの妹プレイが始まった。

 

◆◆

《高海千歌の場合》

「これ、本当にやらないと駄目なの?」

「当然だ。王様の命令は絶対だからな」

「うぅ~。櫂ちゃんのいじわる~」

 千歌は一呼吸して、櫂に甘い目線を送った。

「か、櫂にーちゃん! チカ、櫂にーちゃんの為にミカン獲って来たの! 一緒に食べよ♪」

「ああ。ありがとな、千歌」

「えへへ~♪」

 櫂が頭を撫でると、千歌は嬉しそうに目を細めた。その様を見た梨子が呟いた。

「ねぇ、曜ちゃん。これ普段の二人とあんまり変わらなくない?」

「梨子ちゃん、そこはツッコんじゃいけない」

 尚この後千歌の顔が真っ赤になるまで櫂は頭を撫で続けたのであった。

 

《桜内梨子の場合》

「うう、恥ずかしいよ……」

「大丈夫。千歌にだって出来たんだ、梨子にも出来るさ」

「ちょっと櫂ちゃーん、今さり気なく千歌のことバカにしなかった?」

「そ、そうだよね。わたし、やってみる!」

「梨子ちゃんまで!?」

 よし、と梨子は決心すると、ちょこんと櫂の隣に立った。

「兄さん、あの、わたし欲しい画材があるんだけど……」

 梨子が用意したシチュエーションに、櫂も乗った。

「ん? 梨子はお金持ってるだろ、足りないのか?」

「う、うん。思ってたよりも高くて……」

「仕方ないな。貸しだからな?」

「やった! ありがとう兄さん。それじゃ一緒に行きましょ♪」

 梨子は嬉しそうに櫂と腕を組むと歩き出した。

「――ってストップストップ! いつまで二人して腕組したままなのさ!」

 曜は慌てて二人に詰め寄った。

「だってわたし達、兄妹だから。ねぇ、兄さん?」

「ねー」

「ねー、じゃないでしょ櫂! もう終わりだよ~! 早く離れて~!」

 曜は顔を真っ赤にしながら二人を引き剥がしたのだった。

 

《松浦果南の場合》

「うーん、妹ねぇ……。どうしよっかな……」

「あれ、果南ちゃんあんまり恥ずかしそうにしてないね?」

 千歌の疑問に、果南は笑顔で応える。

「まぁね。小さい頃から千歌やかいの面倒を見てるからね。これくらいのワガママは可愛いもんだよ♪」

「ひゃぁ、あんまり思い出させないでよぉ……」

「そ、そうですよ……。早くやって下さいよ……」

 該当者である千歌と櫂は当時のことを思い出したのか、顔を赤くした。

「はいはい。それじゃあ――」

 果南は櫂の目の前で両手を広げた。

「かいにぃ、おいで♪」

 果南の言葉に櫂は吸い寄せられる様に彼女の胸元に近づき、ぎゅっと抱きしめた。

「大丈夫、果南がそばにいてあげるから。かいにぃは安心していいんだよ?」

 ちょっと顔を赤らめながら果南は笑顔を向けた。櫂は彼女の胸元で小さく震えていた。

「果南ねえちゃぁん……」

「いや妹ってシチュどこ行ったの!?」

 童心に帰ってしまった櫂を引き剥がすのには、少し時間がかかってしまったのだった。

 

《黒澤ダイヤの場合》

「う、本当にやらなければなりませんの…?」

「王様の命令は絶対ですから。それとも、出来ないんですか?」

「わ、わかりましたわよ!」

 ダイヤは恥ずかしそうに俯きながら上目遣いで櫂を見つめた。

「あ、あの、兄様……。雷が怖くて、その、今夜一緒に寝て頂けませんか? っ――、はいっ! もうおしまいですわ!」

 これ以上は恥ずかしかったのかダイヤは演技をやめてしまう。それが不満だったのか周囲から非難の言葉が出てきた。

「えー、ダイヤもう終わりなの?」

「もうちょっとがんばろうよー、ダイヤー」

「だまらっしゃいですわ!」

 果南と鞠莉の言葉を一蹴する。が他の面々もアンコールを所望する。

「ダイヤさん、もうちょっとだよー!」

「あとに続く一年生の為にもう一声!」

「あなた達……、もう終わっているからと簡単に……。あー、もうっ! わかりましたわよ! やってやりますわ!」

 観念したのかダイヤはすっと櫂の身体に寄り添って彼を見上げた。

「ふ、不思議ですわね。兄様と一緒だと雷も怖くありませんわ。このままぐっすり眠れそうです……」

 周囲から黄色い悲鳴が響きわたった。たまらずダイヤが櫂の元から離れようとするが、櫂がその肩を掴んだ。

「おれも、ダイヤと一緒ならよく眠れそうだよ」

「っ――」

 櫂の言葉を聞いてオーバーヒートしたのか、そそくさと離れてその場に座り込んだ。

「こ、これは王様ゲーム……これは王様ゲームよダイヤ。紫堂さんはわたくしの言葉に返答しただけよ、勘違いしては駄目よダイヤ……」

「櫂ちゃんずるーい!」

 千歌が頬を膨らませて櫂に抗議した。梨子、果南も少し不満げな顔をしている。

「どーしてダイヤさんにはあんな台詞言ったのさー!」

「い、いやおれは会話に合わせようと……」

「むーっ!」

 さらにぶう、と頬を膨らませる千歌。そんな彼女の頭を櫂は撫でた。

「わかったよ。今度からは最低限の会話しかしないから。曜達もそれでいいか?」

「紫堂くんがそれでいいなら……」

「私は久々にかいをハグ出来たからいいかな♪」

 櫂の言葉に二人も納得したのだった。

 

《渡辺曜の場合》

「いよいよ私の出番かぁ……」

 うーん、と腕を伸ばし軽く準備運動をする曜。櫂は少し楽しみに彼女を見ていた。

「おっ、これなら……」

 曜はなにか思いついたのか、にししと笑った。そして張り切ったように声をあげた。

「はいっ渡辺曜、いっきまーす!」

 細目にして櫂に近づく曜。不思議がる櫂を余所に曜は彼を睨みつけた。

「もうこのバカ兄貴! 皆にデレデレしちゃって!」

「い、いやこれ王様ゲームだし……」

「言い訳しない! こんなに鼻の下伸ばしちゃって、だらしがないぞ!」

 櫂がいつもと違う彼女にあたふたとしていると、曜はそのキツい雰囲気を解いて悲しそうな目をした。

「せっかく私がいるのに……、もっとわたしのこと見てよ…バカぁ…」

 その言葉に一瞬周囲の空気が固まり、即座に感嘆の声があがった。曜はふん、と鼻をすすると顔を真っ赤にしている櫂に背中を向けるのであった。

 

《津島善子の場合》

「兄上! まさかアナタは兄上じゃないの!?」

 突然善子が櫂に急接近してきた。いきなりの行動に櫂も目を丸くしている。

「その瞳の色……、間違いないわ! 十年前に生き別れたヨハネの兄上よ!」

 周囲が困惑している中、櫂は彼女の肩を掴んだ。

「そのお団子髪と、すっとした鼻……。まさかお前はあの時の……」

「紫堂くんそこ乗っちゃうんだ!?」

 梨子のツッコミも虚しく、二人は抱き合う。

「会いたかった、兄上! 兄上がいればここが地獄だろうと煉獄だろうと生きていける!」

「さぁ行くぞヨハネ! 我らが兄妹の力、この世界に見せてやろうではないか!」

「ええ! 兄上!」

「いやよっちゃん、いつまで続けるの!? っていうかちょっと抱きしめてる時間長くない?!」

 梨子の言葉に、善子は悪戯っ子っぽく舌を出したのだった。

 

《国木田花丸の場合》

「次はまるの番かぁ。よぉし、にぃに♪」

 花丸はぴょんと跳ねる様に櫂に近づいた。櫂も妹を見る曜な優しい目をする。

「どうした?」

「まると一緒に図書館いこ♪ 実は取って欲しい本があって……」

「いや、図書館ならそういう為の昇降台とかあるだろ」 

 櫂の言葉に花丸は頬を膨らませた。

「もう、にぃににとって欲しいんだよぉ……。にぃにの鈍感っ!」

 言葉の意味を理解したのか、櫂は優しく微笑んだ。

「そっか、ごめんな。じゃあ一緒に行こうか」

「えへへ♪ それでその本を一緒に読むずら♪」

 櫂は微笑むと花丸の頭を撫でるのだった。

「ねえ梨子ちゃん。にぃにってどこの言葉だっけ?」

「うーんと、確か沖縄の言葉だったような……」

「細かいことは気にしちゃいけないずら」

 

《小原鞠莉の場合》

「ハァーイ! カイ!」

 鞠莉はいつもと変わらない態度でカイに接近してきた。

「あの、鞠莉さん。妹キャラって解ってます?」

「ああ、ゴメンね。アメリカとかあっちの方じゃあんまり兄妹って意識がないから」

「あー、海外はそうだって聞きますよね。ちょっと鞠莉さんには難しかったかなー」

「そんなことないわよ?」

 そう言うと鞠莉は身体を櫂に寄せた。

「兄妹だから、家族だから出来るスキンシップがあるんだよ?」

 櫂の腕に胸の柔らかさが伝わってくる。櫂が視線を逸らすのをいいことに鞠莉は更に櫂に接近した。

「あっちだとね、家族にキスするのは当然の行為なんだよ? だからぁ、キスしましょ? My brother?」

「わわー! 鞠莉さんを止めなきゃー!!」

 曜が慌てて櫂と鞠莉を引き剥がした。

「Shitt! もう少しだったのに!」

「さ、流石にそこまではダメだよー!」

 ちぇー、と唇を尖らせる鞠莉。櫂は顔を赤らめて胸を抑えたままであった。

 

《黒澤ルビィの場合》

「うぅ、皆すごい……。ルビィにも出来るかな……」

 ルビィが小さく縮こまってしまうのを花丸が励ました。

「大丈夫だよルビィちゃん! ルビィちゃんなら可愛く出来るずら!」

「ほ、ほんとぉ?」

「ああ。おれも楽しみにしてるから」

 櫂の笑顔にルビィの表情も明るくなる。

「そ、それじゃあルビィ、頑張るね!」

 ルビィはおずおずと櫂に近づくと上目遣いで彼を見つめた。

「お、おにいちゃん……」

 その言葉を聞いた瞬間、櫂の両の瞳からは大量の涙が流れていた。

「ピギぃ?!」

 突然の号泣に驚くルビィ。それに気づいた櫂は慌ててそれを拭った。

「あぁ、ごめん。余りにも良すぎて……続けていいよ?」

「は、はいっ。あのね、おにいちゃん。ルビィ、おにいちゃんのとっておいたプリン、食べちゃったの……。その、ごめんなさいっ!」

「なんだそんなことか。プリン、美味しかったんだろ?」

「う、うん……」

「なら許すっ! むしろお腹壊さなくてよかったよ。次からは気をつけるんだぞ?」

「あっ、ありがとう! おにいちゃん!」

 ルビィの言葉を櫂は目を瞑り、全身でそれを味わう。そして一言呟いた。

「これで、満足したぜ……」

「こんな感じで良かったですか?」

「ああ。最高だったよ。ありがとう」

「えへへ♪」

 櫂が彼女の頭を撫でると、ルビィは嬉しそうに目を瞑ったのだった。

 そしてそんな嬉しそうな彼女の肩を掴む手が一つ。

「ルビィさっきのプリンの話ですが、もしかして実話ではなくて? わたくしもよくとっておいたプリンが無くなることがあるから」

 ルビィが振り向いた先にいたのは姉であるダイヤだった。彼女はにっこりと笑顔を貼り付けていて、ルビィの顔面は真っ青になった。

「あとでじっくりお話しましょ♪」

「ぴ、ピギぃぃぃぃ!!」

 宴会場に、ルビィの悲鳴が響き渡った。

 

 

◇◇

「そろそろ時間も時間だし、これで最後にしよっか」

 果南姉ちゃんの言葉に全員頷いた。時計の針は9時を指そうとしていた。早いかもしれないけど、皆練習で疲れているだろうし、そろそろ寝るには良い時間かもな。

 なんて考えていると既に紙が配られていた。中身を確認するが、「王」の文字は見えなかった。うーん、残念。

「櫂、また王様になれなくて残念とか考えてるでしょ」

 隣にいた曜が肘でおれの身体をつついてきた。

「べ、別に、そんなんじゃねえよ」

「どーだか」

 どことなく曜は不機嫌だった。

「何怒ってんだよ」

「別に怒ってないよーっだ」

 やっぱり怒ってるだろ。

「あの言葉、冗談じゃないんだからね……」

「え?」

 おれが聞き返すよりも先に王様ゲームが始まってしまった。

『王様だーれっだ!!』

「はーい!!」

 元気よく手を上げたのは千歌だった。

「わーい! やっと私の番だよ~。それじゃあ……」

 千歌は立ち上がると満面の笑みをおれ達に向けた。

 

「皆で花火しようよ!」




 ぶっちゃけた話、櫂の性癖みたいなもん晒してるから、逆に櫂への皆のラブ度下がるんじゃね?
 そう思ったのは中盤から。でももう引き下がれない。これは王様ゲーム。いいね?

 ご意見ご感想、企画へのお便り、よろしくお願いします。
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