ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

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 ちかっちのちちっち、でかっちでえっちっち!


39話 甘えん坊と欲望と

「はい?」

 ドアをノックする音が聞こえ、おれはドアを開けた。そこに立っていたのは千歌だった。風呂に入った後だったのか、薄着で、髪をおろしていた。後ろ手に少しもじもじしてるように見えた。

「千歌、どうかしたのか?」

「櫂ちゃん、あのね……」

 いつもの彼女らしくなく、あいまいだ。まさかまた何か悩み事でもあるのかな。

「また迷ってるのか? おれでよければ話を――」

「ち、ちがうの! えっと――」

 千歌は慌てると後ろに隠してた物をを取り出した。それは菓子の袋だった。よく見ると足下にはレジ袋があり、そこから他にもたくさんの菓子袋が顔を見せていた。

「い、一緒におやつしない?!」

 おれはその言葉に頬を緩ませるのだった。

 

「ずいぶんといっぱい持ってきたんだな」

「えへへー、櫂ちゃんと食べたくて持って来ちゃった」

 菓子の袋をパーティ開けしてテーブルに並べた。

「でも、なんか珍しいな。千歌がおれとだけでお菓子を食べようって誘うなんて。普通なら曜も一緒に来ると思ってたからさ」

 おれがジュースの入ったグラスを渡すと、千歌は少し苦笑いした。

「えっと……、笑わない?」

「笑える内容で無ければ、な」

 千歌は注がれたジュースに視線を落とすと、ぽつりと呟いた。

「最近、櫂ちゃんに甘えてないなーって、ほらやっぱり笑ってるじゃん!」

 どうやら頬が緩んでいたのがバレてしまったみたいだ。

「いや……、すまん……」

「んもーっ!」

 本当にこいつはかわいいな。

「しょうがないじゃん。櫂ちゃん、女の子にはみーんな優しいし。メンバーの皆も気がついたら櫂ちゃんと一緒にいること多いし……」

「それで、寂しくなったわけか」

 おれの言葉に力なくうん、と頷いた。

「だから……、今夜だけでも櫂ちゃんに甘えたくて……。迷惑だった?」

 申し訳なさそうにこちらを見つめる千歌。全く、こいつは。

「千歌はアホだなぁ」

「アホって何なのさぁ! うわっ――」

 反論しようとする千歌の頭を撫でてやる。

「前にも言ったろ。おれの前では甘えん坊のちかっちでいいってさ。甘えたい時にはいつでも来てもいいんだぞ」

 撫でられるうちに千歌の頬が赤く染まり、嬉しそうな表情に変わっていく。

「ありがと、櫂ちゃん」

「礼を言われることはしてないさ。それに、おれもこうやって甘えられるのは嫌いじゃないし」

「そう、なんだ・・・」

 恥ずかしいのか視線を別の所に逸らす千歌。いかん、妙な空気になってきた。

「ま、まあそんなことは置いといて、楽しもうぜ、ちかっち!」

 幼なじみの間柄でしか呼ばない、特別な名前で呼んでやる。すると千歌はまぶしい笑顔を向けてくれた。

「うん、櫂ちゃん! ちかね、ゲーム持ってきたんだよ!」

「おっ、どうせなら対戦でもするか? またボコボコにしてやるよ」

「むぅー! 今度こそ負けないぞー!」

 こうしておれ達は二人だけのお菓子パーティをすることになった。

 

 

「ここで引きつけて……、今だ、バナナの皮投下!」

「わぁーん! 櫂ちゃんのいじわるー!! もう少しで抜けそうだったのにぃー!!」

「お前はもうちょっと警戒すべきだな。おれだってただでお前に抜かせるほど甘くはないぞ」

 そう会話しているうちにゲーム内のおれのカートはゴールテープを切った。

「またおれの勝ちだな。今日だけで5勝、通算で99勝だな」

「櫂ちゃん今までの勝ち数覚えてるのぉ? 意地汚いなぁ」

「うっせ。そういう台詞は勝ってから言うんだな」

「言ったなー! じゃあもう一回だ!」

「いいだろう、返り討ちにしてやるよ」

 おれが勝負に乗ってやると、千歌は意味深に笑った。

「よーし、こうなったら奥の手を使っちゃうもんねー」

「なんだよ、奥の手って?」

「教えないよーん♪」

 そして千歌がコースの選択をした。まあいいだろう。そのちんけな策もろとも吹き飛ばし、通算100勝目をもぎ取ってくれるわ。

 スタートの合図と共におれ達のマシンは同時に発進した。ちらと千歌の方を見るが、自信満々な表情でゲーム機の画面を見ている。奥の手って一体なんだ?

 そして、その奥の手はカーブにさしかかった時にやってきた。

「よっと――」

「っ!?」

 カーブを曲がると同時に千歌の身体が傾き、隣にいるおれの身体に寄りかかってきたのだ。

「おい千歌! くっつきすぎだ!」

「へへーん! ちかはジャイロ機能で操縦してるんだもーん!」

 その手があったか。千歌が選んだコースはカーブが多い難所。こいつは物理的に妨害してくるつもりだ。千歌じゃなかったらリアルファイトに直結しかねない行為だ。

「きたねーぞ! それでもプレイヤーか!」

「リアリストだよー! えへへ、一位はもらったー!」

 千歌はそういって更におれに体重をおしつけてくる。重さと共に彼女の身体の柔らかさが伝わってきた。それが心地よくて、それ以上怒る気にはなれなかった。

 おれの腕がいいのか、千歌が下手なのかわからないが、コースを一周してもおれ達は同率一位のまま併走して走っていた。

「櫂ちゃんねばるねー。これならどうだぁー!」

 千歌が更に身体を傾けてくる。いけない。その傾け方だと彼女の女の子である場所がおれに当たってしまう。

「お、おい千歌! これ以上は!」

「もう遠慮なんかしないもーん! これでちかの勝ちだー!」

「この分からず屋ぁぁ!!」

 おれもついムキになって千歌に体重をかけはじめた。

「あっ! やったなーっ!」

 それからは互いの身体をぶつけ合いながらレースをした。それが楽しくて、どんどんとヒートアップしていく。

 そしてより強い力でぶつかろうといつもより大きく身体を引いた時にそれは起こった。

「あっ!!」

 千歌がその隙におれの方へとなだれ込んできたのだ。力をためようと引いた身体は彼女の体重に耐えられる力を持っているはずもなく、おれ達はベッドに倒れ込んでしまった。

「っつ・・・、千歌、平気か?」

 おれが視線を彼女に向けると、千歌の頭がおれの胸元にあった。

「うん、へーき・・・」

 そしておれの声に応えるように彼女の視線がおれの方へと向いて、視線が合った。

「えへへ……」

 はにかむ千歌が可愛らしくて、そしてさっきのお返しと言わんばかりにそのおでこをぴん、とはじく。

「あでっ!」

「さっきのはやりすぎだ。お陰で倒れちまったじゃねーか」

「だって櫂ちゃんが大きく引くからー……」

「むぅ……」

「まあいっか。こうやって櫂ちゃんをぎゅーって出来るし」

 そう言って彼女は笑ってぎゅっとおれの胴を抱きしめた。温かさと同時に訪れる、腹部にあたる千歌の胸の柔らかさ。

「お、おい千歌!」

 おれが反論すると千歌は頬を膨らませて睨みつけた。

「なーに? 果南ちゃんのハグはいいのにちかのは駄目だっていうのぉ?」

「そういうわけじゃっ!」

「うりうりー♪ もっとぎゅーっとして櫂ちゃんを困らせてやるー♪」

 困惑するおれを余所に千歌は更にその身体を押しつけてくる。彼女が力を入れる度に胸の柔らかさが押しつけられ、おれの雄としての部分が反応してしまう。

「あっ……」

 千歌もそれを感じたのか、一瞬で顔が真っ赤になった。

「櫂ちゃんの、えっち……」

「し、しかたないだろ。お前がそうやって身体を押しつけてくるからっ」

 体温が熱い。心なしか千歌の体温も上昇しているらしく、その胸からは心臓の鼓動が感じるような気がした。

「櫂ちゃんのこれは、ちかを女の子と感じてこうなってるの?」

 千歌は顔を赤くしながらおれの下腹部を指す。おれが頷くとふにゃりと笑った。

「そっかぁ。櫂ちゃんはちかを女の子として見てくれてるんだぁ……」

 いつもとは違う彼女の表情におれは唾を飲み込んだ。こいつ、いつの間にこんな顔するようになったんだ?

「ねえ櫂ちゃん」

 すす、と千歌は顔をこっちに近づけてきた。薄着の肩紐がするりとズレていく。ぺろりと舌をなめてこっちを物欲しそうに見ている。舐められた唇は光を帯びて、わたしを食べてと誘っているようだ。

「もうちょっとだけ、甘えても、いい?」

 千歌の顔が、その唇が近づいてくる。千歌は目を閉じておれを受け入れようとしている。

「ちょ、ちょっと千歌……」

 手をばたつかせた時、左手がテレビのリモコンに当たった。テレビの画面が光を点し、映像をおれ達に見せた。

 それはよく安いホテルにある、大人が見る映像だった。裸の男女がくんずほぐれずしている。

 その映像を見て、千歌は我に返ったのか起きあがるとおれの胸を叩いた。

「もーっ! 櫂ちゃんのスケベ! 変態! ちかにこんなことさせてー!」

「元はと言えばお前からやってきたんじゃねーか!」

「うっさい! わーん!」

 とおれ達が暴れていると、いきなり部屋のドアが開かれた。

「五月蠅いですわよ紫堂さん! 今何時だと思って――」

 姿を現したのはダイヤさんだった。そしておれ達の状態を見て動きが固まった。さてここで現在のおれの部屋の状況を整理してみよう。

 

・テレビからは男女のいかがわしい映像が流れている。

・おれの下腹部辺りに服を乱した千歌が腰を下ろしている。

 

 ダイヤさんは顔を真っ赤にしながら身体を震わせている。

「こ、ここ、こんなの・・・」

「あのダイヤさん? 話を聞いて――」

「こんなの破廉恥ですわぁぁああ!」

 そう叫ぶとダイヤさんは走り去ってしまった。残されたおれ達は互いに身体を離すとテレビの電源を落とした。

「さて、行くか千歌」

「うん櫂ちゃん」

 千歌は乱れた衣服を直すと視線を開いたままのドアに向けた。

『ダイヤさんを追いかけに』

 こうしておれ達はダイヤさんを説得するための冒険に出たのだった。

 

 

●●

 廊下を歩きながら、私はさっきの櫂ちゃんの身体の感触を思い出していた。男の子のアレってあんなに固くなるんだ・・・。小さい頃一緒にお風呂入ってた時はあんなに大きくなかったのに。

 どうして私、あんなに積極的になってたんだろ。櫂ちゃんが私で反応してくれたのが嬉しかったから? 女の子として見てもらえてるのが嬉しかったからかな?

「どうした千歌?」

 振り向いた櫂ちゃんの顔を見て、私の胸はきゅんとしちゃった。

「なんでもないよ櫂ちゃん!」

 私はムリに笑って彼の後をついていく。

 そっか、どうして最近櫂ちゃんのこと意識しちゃうのか、やっとわかった。

 

 私は、櫂ちゃんのことが好きなんだ。




 櫂は、マ●カーが上手いらしい。
 久々の千歌回です。多分一番千歌がイベントが少ないと考えて、今回書きました。今まであんまり書いてあげられなかった分、少しえっちく書いてみました。

 ご意見ご感想、企画へのお便りお待ちしてます。
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