ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

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 あんちゃん、もうちょっとツイートして下さいよ。なーんも言ってくれないのは、ファンとして寂しいよ。

 さてさてダイヤさん回です。ダイヤさんを押し倒したいか、押し倒されたいかアンケをとった所、後者の方が多かった。


40話 負けず嫌いのダイヤモンド

●●

 破廉恥な、破廉恥な、破廉恥な!

 その言葉が脳内を駆けめぐり、部屋までの足を速くさせた。自分の部屋にたどり着くと勢いよくドアを閉め、そこにへたり込んだ。

 わたくし、どうしてこんなにイライラしているのでしょう。そもそもこれは誰に対しての怒りなのでしょう。千歌さん? いいえ、これは紫堂さんに対してのものでしょうね。どうしてでしょう。彼がメンバーと触れあっている場面を目撃すると、どうしてか心が冷静でいられない。ルビィと抱き合っていた時も、王様ゲームとは言え皆を口説いてたときも、花丸さんを追いかけてたときも。わたくしは、こんなに嫉妬深い人間だったのでしょうか。もうわたくし、自分自身がよくわからなくなってしまいましたわ! それもこれも、みーんな紫堂さんのせいですわ!

 そう思っていると、後ろのドアを叩く音が聞こえてきました。

 

 

◇◇

「あそこがダイヤさんの部屋だな」

「うん。あれ、ドアの前にいるのは、ルビィちゃん?」

 おれ達よりも先にルビィちゃんが心配そうにドアを眺めていた。

「お、お姉ちゃん! 本当に大丈夫?」

 妹のかけ声に、ドアの先にいるであろうダイヤさんは何の反応を示さなかった。

「ルビィちゃん! ここにダイヤさんがいるのか?」

「ピギッ!? あ、かい先輩と千歌ちゃん。はい。もの凄い剣幕で部屋に入っちゃって。もしかしてお姉ちゃんが楽しみにしてたアイスを食べたのがバレちゃったのかなぁ・・・」

 ルビィちゃんは瞳をうるうるさせている。おれは彼女の頭を撫でて励ました。

「多分違うと思うよ。それと、そのことは別の時に謝ろうか。んで、ダイヤさーん! 話を聞いて欲しいんですけどー!」

 おれがドアをノックしたのと同時に、千歌も声を投げかける。

「私たち、ただゲームしてただけですからー!  ちょっとヒートアップしすぎちゃったみたいな……」

 おれ達の呼びかけにも何の反応も見せてくれない。うーん、ここはちょっとずつ会話してみるか。

「ダイヤさん、はいなら二回、いいえなら一回ドアをノックして下さい。いいですね?」

 コンコン、とドアが叩かれ、了承の意を見せてくれた。

「そもそもそこにいるのはダイヤさんですか?」

 コンコン。

「何か、おれ達のことで誤解してませんか?」

 コンコン。

「あれは、千歌がハシャぎすぎただけですから。やましいことはありません。信じてくれますか?」

 コン。

「信じてくれない、か……」

「ちょっと櫂ちゃん! 千歌がハシャぎすぎただけってどーいうことなの? 櫂ちゃんがバランスを崩したんでしょー!?」

「元はと言えばお前がリアルに妨害したのが原因だろーが! そうだ、ダイヤさんも一緒にゲームしませんか? きっと楽しいですよ?」

 おれはダメもとで言ってみた。そうだ、千歌がリアルに妨害したくなるほど楽しいゲームだって理解させることが出来れば、さっきの状況だってダイヤさんにとって納得がいくだろう。

 ダイヤさんは暫くの間を置くと、コンと一回だけ叩いた。駄目か。

「あのね、かい先輩。こんな時のお姉ちゃんにはねーー」

 そう言うとルビィちゃんが耳元で囁いてくれた。なるほど、そう攻めればいいのね。

「そっかー、ダイヤさんは負けるのが怖いんですねー。ならしょうがないかー。それじゃ千歌、ルビィちゃん。おれ達でゲームしようかー」

「「はーい!」」

「ちょっと待ちなさい!」

 二人が元気よく返事をすると、ドアの方も元気よく開かれた。それがおれだけに直撃した。

「紫堂さん、あなたと言う人は、千歌さんだけじゃ飽きたらず、ルビィにまで……」

「あの、ダイヤさん? なんか壮絶に勘違いしてません?」

「おまけにわたくしを負けるのが怖いと思っている負け犬といいたいのですね?」

「いやそこまで言ってねーし!」

「わかりましたわ!」

 びしり、とおれを指さしダイヤさんは叫んだ。

「黒澤の名にかけて、そのゲームとやらで勝負しましょう!」

 かくして、ダイヤさんとのゲーム対決が始まった。

 

 

「んあーっ! 負けましたわー!」

 ダイヤさんはベッドに身を投げ出し、悶えている。まぁね、ゲーム初心者に負けるおれじゃないし。

「どうしてそこでバナナなんですのー! 納得いきませんわー!」

 悔しがるダイヤさん。そして彼女に同情するかのように千歌とルビィちゃんがおれを睨む。

「櫂ちゃん、容赦しなさすぎ……」

「もう少し手加減してあげましょうよ……」

 いや、ね。おれがハンデはいりますかって聞いたらダイヤさんが「この黒澤ダイヤに手加減は不要! 全力でかかって来なさいな!」って言うんだもん。流石に全力で相手はしてないけどね。

「千歌さん、ルビィ、口出しは無用ですわ。黒澤に負けの二文字はありませんわ」

「いや、たった今負けの文字ついちゃってますけど」

「だまらっしゃい! 黒澤に二度の敗北はありませんわ! いざ二回戦ですわ!」

 鼻息荒く、画面に食い入るように見るダイヤさん。ここまでムキになるもんかね? でも大和撫子な彼女の、負けず嫌いでちょっと子供っぽい一面が新鮮に見えた。

「わかりましたよ。ハンデはどうします?」

「なしで!」

 彼女の即答に、おれは頬を緩ませた。

 

 

「あぁー!! また負けですわー!!」

 ま、頬が緩んでも負けてやるつもりはないけどね。取り巻き二人も少し引いた目で俺を見ている。

「櫂ちゃん鬼過ぎ……」

「まさかアイテムボックス全部ダミー爆弾にするなんて……」

 だってダイヤさんが全力でって言うんだもん。おれは悪くねーし。

「あそこで、あそこでトゲ甲羅さえとれていれば、わたくしの勝利は確実でしたのに……」

 ダイヤさんは悔しそうに身体を震わせた。

「まだまだですわ! 勝つまでやるのが黒澤家! もう一度ですわ!」

「あれ!? さっきと言ってること違いませんか黒澤家!?」

「知ったことではありませんわ! いざ尋常に、勝負ですわ!」

「あーもう滅茶苦茶だよこの人!」

 

 

 その後、何度もダイヤさんと対戦した。もう見飽きたのか、千歌とルビィちゃんはベッドですやすやと寝息をたてていた。

 漢字練習帳一ページ分の敗北を重ねたダイヤさんは静かに笑った。

「ふっ、やっと見つけましたわ。紫堂さんの攻略法が……。さあ今度こそ勝利を勝ち取ってみせますわ!」

「まだやるんですか……?」

「当然ですわ! さあやりますわよ!」

 意気揚々とコースを選ぶダイヤさん。どうやら自信満々みたいだ。

「いいですよ。どんな策を練ろうと正面から受けるまでです」

「その意気ですわ!」

 きっかけはおかしかったけど、こんなに活き活きとしたダイヤさんを見るのは楽しいし、これも彼女の隠された魅力なのかもしれないな。あまり皆が知らない彼女を見ることが出来て、役得だな。

 そしてダイヤさんの秘策は、カーブに差し掛かった時におれを襲った。

「あーっと、身体が滑りましたわ!」

 ダイヤさんの柔らかな感触がおれを襲った。

「ごめんなさい紫堂さん、わたくしったら白熱してしまってついうっかり……」

 おほほ、と笑いながらダイヤさんはおれを追い越した。おれは体勢を直し、すぐに彼女を追いかけた。そして心の中で叫んだ。

――いや、千歌と同じじゃねーか!――

 何十もの敗北の末考えついたのが千歌と同じことかよ! つーか千歌は五回位でこれ思いついたわ! 一応無駄だろうがおれは彼女に抗議した。

「ちょ、ダイヤさん! リアル妨害は駄目ですって!」

「妨害? いえジャイロモードの方がわたくしの操縦に合っているみたいでして。結果的に妨害という形になってしまっているだけですわ」

「こんな勝ち方で黒澤家が喜ぶと言うんですか!」

「黒澤の家にはこんな言い伝えがありますの!【勝てば官軍】と!」

「またさっきと言ってること違うし!」

 おれは呆れながらもレースを続行した。幸い、千歌の妨害である程度慣れたし、こっちも対抗して身体を倒してダイヤさんによりかかってやる。

「ま、なんて破廉恥な! そうやって妨害するなんて!」

「今すぐあなたに鏡を見せてやりたいですよ!」

「望むところですわ! この程度の妨害で黒澤ダイヤの勝利への道、妨げられるか試してみるといいですわ!」

 おれ達は身体をぶつけ合い、レースを楽しんだ。ぶつけ合う中、必死表情をしているダイヤさんに目がいった。真剣で、でもどこか楽しそうで。いつもは見えない彼女の一面を知れて、嬉しかった。

 でも勝負は勝負。負けてやるつもりはない! そう思って彼女にぶつかろうとした時だった。

「きゃっ」

 ダイヤさんの軽い悲鳴と共にバランスを崩してしまった。どうやら千歌とは逆の状態になってしまったようだ。おれがダイヤさんを押し倒す形になってしまった。

「……」

「……」

 二人、黙りあって見つめ合う。幸いおれがベッドに両手を着いたので身体は密着していない。

「破廉恥ですわ」

 顔を真っ赤にしながらダイヤさんがそう呟いた。

「す、すいません……」

「こうやって千歌さんも誑かしたのですね?」

「い、いえ! あれは千歌が――」

「わかってますわ」

 おれが慌てて弁解しようとすると彼女は優しく微笑んだ。

「わたくしもつい熱くなってしまいました。熱くなってついあのような妨害を……。わたくしらしくありませんでしたわ」

「いえいえ。むしろおれは嬉しかったですよ」

「嬉しかった? どうしてですの?」

「あー、それはですね……」

 しまった、言うんじゃなかった。照れくさくなって視線を逸らしているとダイヤさんの視線が厳しくなった。

「そこまで言っておいて言わないのは卑怯じゃありませんか?! 男らしくはっきり言いなさいな」

「あー、わかりましたよぉ……」

 おれは頬を掻きながらしゃべり出した。

「なんつーか、負けず嫌いだったり、すっごい悔しがったりしてるダイヤさんが新鮮で、ダイヤさんの普段見えない所が見れて嬉しかったっていうか……」

「わたくしを子供っぽいと言いたいのですか?」

「そうじゃないですよ。勝負事になるとちょっと周りが見えなくなるとこ、子供っぽいかもしれないとこ。そういった所が可愛いなって思ったっていうか……」

 いかん、自分で言ってて恥ずかしくなってきた。視線を彼女へ向けると口元を押さえ、顔を真っ赤にして小さく呟いた。

「破廉恥、です・・・」

 「元がいいですから」と言うと思ってたから少し意外だった。もしかしてダイヤさん、照れてる?

「あのダイヤさ――、うむぅ!」

 突然横腹を蹴られ、ベッドから転がり落ちた。なにが起きたと視線をベッドに向けると、眠っている千歌の足が伸びていた。しまった、こいつの寝相の悪さを忘れていた。当の本人はんー、と寝言を言っている。その様を見てダイヤさんはくすくすと笑いをこぼしながら起きあがった。

「どうやら、千歌さんが守ってくれたみたいですわ」

「どうやらそのようで」

 ダイヤさんは微笑むとゲーム機をかざした。

「さて、さっきの勝負が有耶無耶になってしまいましたから、口直しにもう一回戦しません?」

「ですね。でも、さっきみたいな妨害はなしですよ?」

「さあ、どうでしょう?」

 ダイヤさんは意味深に笑ったのだった。

 

 

●●

 破廉恥な、破廉恥な、破廉恥な……。

 どうしてこの人はわたくしに対して可愛いなんて言うのだろう。どうしてわたくしは言われて胸がドキドキしているのだろう。

 勝負事に熱くなって、いつものように冷静でないわたくしを受け入れてくれたのが嬉しかったからかしら。そんな子供っぽい一面を受け入れてくれて、そんな所も可愛いと言ってくれて。破廉恥です紫堂さんは。

 そっか。わたくしはあの人のことを意識しているんだ。もっとあの人に綺麗だって、可愛いって言ってもらいたいんですね。

 

 わたくしは紫堂さんのことを、愛してしまったのかもしれません。




 遂に輝きの縁、本編が40話を突破しました! そして総合評価の合計が500を超えました! 皆さんの感想のメッセージが無ければ、ここまでこれなかったかも知れません! 本当にありがとうございます!
 さて、その記念も兼ねて、ツイッターで今までの振り返り、各話毎のライナーノーツを呟いていこうと思ってます。
 「#輝きの縁」というハッシュタグをつけて呟いていきます。反応をくれるなりしてくれると嬉しいです。 

 さて、ちょっと一週間程執筆が遅れるかも知れません。そろそろ僕ラブに向けて執筆したり、コラボ作品や企画用の原稿を書かねばならないので。ネタ切れじゃないからね! ホントだからね! 必ずパワーアップして戻ってきます!
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