ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

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 閑話休題一年生回です。公式からの供給がなんだ、自分が書きたいと思うから書くんだ。それを思い出したから。ただ書き続けていくんだ。鋼の意思をもって。


49話 ほろ酔いと二人の距離と

「お泊まり会? 善子の家で?」

「はいっ。かい先輩は明日大丈夫ですか?」

 夕方にかかってきた電話を取ると、ルビィちゃんが善子の家でのお泊まり会におれを誘ってきた。

「気持ちは嬉しいけれど、こう言うのって女子だけでやるもんじゃないのか? おれがいるとかえって気を使うんじゃ……」

「あ、そこのところは大丈夫でした。花丸ちゃんも大賛成でしたし、善子ちゃんも満更でもない顔してましたよ?」

「へぇ、じゃあみんながいいって言うなら参加させてもらおうかな」

「ほんとですか? やったぁ♪」

 喜んでいるルビィちゃんの様子が目に浮かび、思わず頬が緩んだ。

「それにしてもルビィちゃん、だいぶ変わったね」

「えっ、そ、そうかなぁ……」

「うん。前は花丸ちゃんの後ろでびくびくしてたのに、気がついたらおれを誘うまでになってるんだもん、驚いたよ」

「そ、それは先輩だったから……」

「おれ、だったから?」

 その言葉にちょっとドキッとして。つい言葉を反芻してしまった。電話越しのルビィちゃんの声は、少し照れているように聞こえた。

「せ、先輩だからなんですよ? ルビィが、ここ、こんなに積極的になれるのは……」

「ルビィちゃん……」

 嬉しい感情と照れくさい感情が入り交じってそれ以上何も言えなくなってしまっていると、ルビィちゃんから話を切りだした。

「あ、明日に備えて、もう寝ますね! 先輩、おやすみなさい!」

「う、うん、それじゃあ明日駅でね!」

 おれはちょっとドキドキしながら通話を切った。明日か、楽しみだな。

 

 

●●

 液晶画面に映る、「かい先輩」の文字を見てふぅ、とため息を吐いた。男の人だからじゃなくて、かい先輩だからドキドキしてるのかな。

「ルビィ? もう準備は大丈夫なの?」

「ぴぎっ! おねえちゃん……」

「どうしたの、そんなに驚いて」

 心配そうにルビィを見つめるおねえちゃん。気のせいか、合宿以降お姉ちゃんのルビィに対する言葉が少しだけ柔らかくなったような気がする。なにかあったのかな?

「な、なんでもないよ!」

「そう? 明日は善子さんのおうちにお泊まりなんだから、あまり迷惑かけないようにね?」

「う、うん……」

 実はかい先輩が一緒に参加すること、お姉ちゃんには言ってません。言ったら「破廉恥ですわ!」と猛反対されそうだから。ごめんね、お姉ちゃん。どうか、ルビィの我が儘をゆるして?

 このお泊まり会で、もっとかい先輩と仲良くなるんだ!

 

 

◇◇

「お、一番乗りは花丸ちゃんか。おはよう」

「あ、紫堂せんぱい、おはようございます♪」

 麦わら帽子を被った花丸ちゃんがにこりと笑顔を向けてきた。そのひまわりみたいな笑顔が可愛らしくて、おれもそれに笑顔で返した。

「話はルビィちゃんから聞いてるずら。来てくれてありがとうずら」

「いや、こっちこそ誘ってくれてありがとね。あとその帽子、似合ってるよ」

「ずらぁ♪」

 麦わら帽子越しに頭を撫でてやる。すると目を細めて嬉しそうにする花丸ちゃん。うん、可愛いなぁ。

「せんぱいが来るって聞いて、まる、一生懸命おしゃれしてきたんだぁ。ちょっと田舎っぽい気がしたけど、似合ってるって言ってくれて、嬉しいずら♪」

 その場でくるり、と回ってみせる花丸ちゃん。白いワンピースがふわりと揺れて、純真無垢な彼女らしさを引き立てている。

「ま、まるちゃーん、先輩ー!」

 そんな花丸ちゃんに見とれていると、慌てた声が聞こえて来た。その声の方向を向くと、少し大きなトランクを押すルビィちゃんが走り寄ってきた。

「お、遅れてごめっ、ぴぎゃぁ!」

「おっと」

 おれ達の前でバランスを崩すルビィちゃん。思わず彼女を支えようと身体が動き、ルビィちゃんをぎゅっと受け止める。

「ご、ごめんなさい先輩」

「そんなに急がなくてもいいんだよ?」

 走ってきてバランス崩すなんて、やっぱりダイヤさんの妹なんだなって思えるな。

「ルビィ、楽しみで楽しみで……」

 俯くルビィちゃん。安心させたくてその頭にぽすっと手を置いた。

「大丈夫、おれも楽しみであの夜眠れなかったから。ほら目の下にくまがあるだろ?」

 目の下をなぞって見せると、ルビィちゃんはくすっと笑ってくれた。

「先輩、くまなんてありませんよ?」

「と、とにかくおれも楽しみだったの!」

「そーゆうことにしておきます♪」

 花丸ちゃんがおれ達に近づき、トランクに視線を向けた。

「ルビィちゃん、荷物おっきいねー」

「うん、何かあるといけないからってお姉ちゃんが……」

 花丸ちゃんや俺のショルダーバッグ二つ分が入りそうに大きいルビィちゃんのトランク。ダイヤさんの過保護っぷりが伺える。うん、優しいお姉さんじゃないか。

「じゃあルビィちゃんの荷物はおれが押そうか。重いし、またバランス崩しちゃうといけないし」

 おれがトランクの取っ手に手をかけると、ルビィちゃんは慌てた。

「そ、そんな! 悪いですよ! これじゃルビィ何も持ってないし……」

「そう? じゃあ……」

 おれは自分のショルダーバッグを降ろすと、彼女に差し出した。

「おれの荷物を持ってくれるかな? これならいいだろ?」

「は、はいっ」

「ルビィちゃんだけずるいずら! まるも!」

「じゃあまるちゃん、一緒に持とうか♪」

「うん!」

 後ろでは一人で持てるバッグをルビィちゃんと花丸ちゃん二人で持っている。運びづらいだろうに。

「二人とも、早く行くぞー」

「「はーい」」

 そしておれ達は、沼津行きの電車に乗った。

 

 

「よく来たわね、我が可愛いリトルデーモン達ーーってあなた達何してるの?」

 善子の視線がおれの荷物を二人で持つ花丸ちゃんとルビィちゃんに向いた。

「せんぱいの荷物を二人で持ってるずら!」

「そんなの見れば解るわよ。何でシドーの荷物を二人して持ってるのって聞きたいの」

「何でって……」

 ルビィちゃんは花丸ちゃんと顔を見合わせて、互いに笑い合った。その様を苦笑いしながら見つめる善子。

「まあいいわ。じゃあ我が居城へと案内するわ。ついてきなさいっ!」

 善子はくるりとおれ達に背を向けると歩き出した。そしてぽつりと一言。

「羨ましくなんてーー、ないんだから」

「ん、どうした善子?」

「な、なんでもないわよっ! そうだ、途中でコンビニに寄ってもいいかしら?」

「構わないけど、どうしたんだ?」

「これだけのリトルデーモンが集まっての儀式なんですもの。儀式には供物が必要でしょ?」

「あー、お菓子とか買おうってことか」

「流石シドー! 解ってるじゃないの!」

「当然だ、おれを誰だと思ってる。貴様の共犯者ぞ」

 嬉しそうに笑う善子。最近はこいつに合わせるためにスイッチを入れるのも苦じゃなくなってきたな。どうしてだろ。それだけこいつに慣れたってことかな。

「うわぁ……」

「改めて見ると、凄いずら……」

 うん、後は周囲の視線に慣れることかな。

 おれは肩を落として歩き出した。

 

 

「それじゃあ、合宿お疲れさまっ。かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

 おれの音頭の後に三人が続き、グラスのカチン、と心地よい音が響いた。

「フッ、潤いを求める乾いた喉に、悪魔の生き血が潤してくれるわ……」

「あぁ、善子はコーラだったな」

「善子ゆーなっ! そう言うシドーは何飲んでるのよ?」 

「フッ、おれか?」

 おれは不敵に笑って見せた。

「黒白の共演……、混沌が生み出す甘さ、とでも言っておこうか」

「カフェオレね。なかなかいいセンスをしてるじゃないシドー」

「わわ、せんぱいと善子ちゃんが良くない共鳴を始めちゃったずら……」

「だからヨハネよ! ずら丸は麦茶だったわね」

「うん、いつも家で飲んでるから、大好きなんだ♪ それでルビィちゃんは苺ミルクだね」

「うんっ、ルビィ甘いもの大好きだから……」

 小さくうなずきながらくぴくぴと飲むルビィちゃん。うん、飲み方も小動物みたいで可愛いなぁ。

 なんて和んでいると、善子が立ち上がり、DVDの入ったケースを取り出した。

「せっかくだから楽しみましょ! このヨハネ、リトルデーモン達に楽しんでもらえるように借りてきたの! 一緒に見ましょ♪」

「善子ちゃんが借りてきたDVD? 大丈夫ずら?」

「大丈夫ってどーゆう意味よ! 安心なさい、みんな楽しめるようなものにしたから。さっそく再生よ!」

 そう言うと善子はDVDプレイヤーに円盤を入れたのだった。

 

 

「はわぁ……、思ったよりも凄い内容だったずら……。喉乾いたから麦茶飲もっと」

「でしょ? 一生懸命選んだんだからっ」

 善子は鼻高々に胸を張っている。

「戦闘シーンが迫力あったね。しかも主人公の女の子の名前、ルビィと同じだったし」

「ああ。そこには驚いたな。もしかしてそれも狙ってたのか善子?」

「ヨハネよっ。そうね、タイトルを見てびびっと来たのもあるし、一番の決め手はあの子の武器かしら?」

「ああ、銃にも変形出来るサイスな。あのギミックはいいよな」

 おれが賛同してやると、善子は目を輝かせて近づいてきた。

「シドーも解るの!? 流石ヨハネの契約者ね♪」

「ロマンがある物は今でも好きさ。途中であの武器を振り回すルビィちゃんを想像してたよ」

「る、ルビィが?」

 おれと善子の視線がルビィちゃんに向いた。視線を受けた本人はぴん、と跳ねた。

「そうねぇ、でもルビィには悪いけど、あの武器に振り回されそうね」

「うう、ルビィ、あんな激しい動き出来ないけど……」

「あの格好のルビィちゃんも見てみたいね。格好だけなら意外と似合うかもしれないな」

「せ、先輩まで……、ピギィ……」

 少し恥ずかしがって縮こまるルビィちゃん。うん、やっぱり小動物だな。

「あれ、そう言えばずら丸は? さっきからずいぶんと大人しいけど」

 確かに、観賞中は「ほぇー」とか「ずらぁー!」などと感嘆の声をあげていた花丸ちゃんがさっきから会話に絡んでこない。あの感動っぷりからは積極的に感想を言いそうなのに。

 なんて考えていると――

「じゅらぁー!!」

「ぴぎぃー!?」

 花丸ちゃんがいきなりルビィちゃんに抱きついてきた。そのままぬいぐるみに対する扱いのように頬ずりしている。

「んー、るびぃちゃんは苺のあまーい香りがするずらー」

 そう言ってルビィちゃんを見つめる彼女の目は少しとろんとしていて。いつもの彼女でないことを証明している。

「あ、ずら丸ったら間違えてヨハネのコーラを飲んじゃったみたい」

 善子が空になった自分のグラスを持ち上げて驚きの表情を見せる。それに続いて抱きしめられたままルビィちゃんが口を開いた。

「そういえば花丸ちゃんって炭酸で酔っちゃうんだった。この間ルビィのおうちで飲んだら大変なことにーー、ぴぎっ!」

「んー!! ルビィちゃん何か言ったずらかー?」

 花丸ちゃんがルビィちゃんを睨みつける。このままじゃルビィちゃんが大変なことに! おれは二人に近寄って花丸ちゃんをはがそうと試みた。

「ほ、ほら、花丸ちゃん落ち着こ、ね?」

「あっ、せんぱいずらー!」

 彼女は獲物をおれに変えると、おれめがけて飛び込んできた。

「どわぁ!?」

 そのまま彼女に押し倒される形になる。花丸ちゃんの腰は丁度おれの腰の上にある。この構図はマズいじゃないか?

「ちょっとアナタ達! ヨハネの居城で何やってるのよー!」

「は、花丸ちゃん! る、ルビィには刺激が強すぎるよぉ・・・」

 二人の抗議も聞かず、花丸ちゃんの瞳はおれから逸れない。

「せんぱいはぁ、こーひーとぉ、みるくの混ざった匂いがするずら……。おらはぎゅうにゅー飲めないのにせんぱいはずるいずら……」

「ず、ずるいってそんなこと言われても……」

 花丸ちゃんは顔を赤くしておれを艶めかしく見つめている。これは、酔っているからなんだよな? いつもの幼さ残る彼女からは想像出来ない表情と、柔らかい身体の感触に、ドキドキと心臓が高鳴っていた。

「そんな、なまいきなせんぱいはぁ、食べちゃうずら♪」

「え、ええー!!」

「食べちゃうって駄目だよまるちゃん!」

「ちょ、マズいって花丸ちゃん!」

 そんな二人の抗議を余所に、花丸ちゃんの顔はどんどんおれに近づいていく。密着していく身体、白いワンピースという薄着だから肌色が多く、それが更におれを刺激する。おれの緊張を読みとったのか、花丸ちゃんは艶めかしく笑った。

「でもせんぱいの身体は正直ずら♪ いっただきまーす……」

 更に花丸ちゃんが近づいてきて、唇と唇が振れるまであと数センチ。が、そこで事切れたようにこてん、と花丸ちゃんはおれの胸元に頭を置いた。

「は、花丸ちゃん? もしもーし?」

「すぅ……。くぅ……」

 彼女は寝息を立てていた。そのことに安堵しておれ達三人はほっと胸をなで下ろした。

「あー、一時はどうなることかと思ったぞ……」

「先輩ごめんなさい、もっと前に言っておけば……」

「ルビィちゃんのせいじゃないさ。こうなるなんて誰も思いやしないって」

「とか言っておきながら、ちょっと残念だったりするんじゃないのシドー?」

「ぐ……」

 善子の冷やかしを否定出来ない自分悔しかった。善子はため息をつくと、立ち上がった。

「もうそろそろ夕方ね。夕飯の支度をしてくるわ。シドーはずら丸をベッドに寝かせといてくれる?」

「ああ、わかった」

 おれの了承を聞くと、善子は部屋を後にした。

 

 

●●

「シドーの、ばか……」

 キッチンで一人、ヨハネは呟いていた。何よシドーのやつ、自分ではわかんないだろうけど、鼻の下、伸びまくってたじゃない。

「ヨハネだって……」

 夕飯の支度をしながら視線を自分の胸元に向けた。大きさではずら丸に負けるかもしれないけど小さい訳じゃーー

「って何考えてるのよ!」

 自分にツッコミを入れて、深くため息をついた。ふと思い起こせば最近はシドーのことばかり考えている気がする。

 自分に合わせてくれるのが嬉しくて。合わせることも嫌いじゃないって言ってくれて。わたしの、「善子」って名前を「いい名前だ」って言ってくれて。シドーは、ヨハネのリトルデーモンなのに。堕天使であるこのヨハネが配下であるリトルデーモンに、恋するなんて。誰かを魅了するヨハネが、魅了されるなんて。

「善子ちゃん?」

「ひゃあ!?」

 突然声をかけられ、悲鳴をあげてしまう。ルビィがちょっと驚いた表情でこっちを見てる。

「ルビィ? どうしたのよ。支度ならこのヨハネ一人で十分よ」

「えっとね、善子ちゃん。ルビィにも手伝うことないかな? 今は、かい先輩とまるちゃんだけにしておきたいなーって思って」

 そうやって笑うルビィの表情は、どことなく苦しそうで。それで何となくわかっちゃった。この子もシドーのこと、好きなのかもって。何よ、シドーったらモテモテじゃない。これじゃ、ヨハネが入る余地ないじゃない。

「ヨハネよっ。じゃあそこの野菜を洗ってくれる?」

「うんっ!」

 そうよ。ヨハネとシドーは悪魔の契約を交わしただけの関係。それだけなんだから。それ以上でもそれ以下でもないの。

 そう吹っ切って準備に集中することにした。どうしてか、今日のタマネギは妙に目を刺激するわね。視界が妙に歪んでしょうがないわ。

 

 

○○

「ん……?」

 ふと目覚めれば天井が広がっていた。ここは、善子ちゃんのおうちだったな。いけない、まるってば寝ちゃってたのかな。

「お、起きた?」

 横を向けば男の人の背中。その背中の主はまるが起きたのを知るとこっちを向いてきた。

「紫堂せんぱい……? おら、どうして……」

「あー、それは……」

 せんぱいが視線を逸らす。もしかしてーー

「もしかしてまる、酔っぱらっちゃったとか?」

「……」

 せんぱいの沈黙は肯定の意味だと何となくわかった。とたんに自分の顔の体温が上がっていく。

「あぁー、おらやっちまったずらー!」

 恥ずかしくて、両手で顔を覆ってしまう。よりにもよってせんぱいに見られちまったずら。どど、どうしよ。せんぱい、おらの変なとこ見て、嫌いになっちゃったかな?

「だ、大丈夫。そんなに変じゃなかったから」

「下手な嘘はよすずら! みんなに迷惑かけて、おら、おら……」

「花丸ちゃん」

 せんぱいの手がまるの頭に置かれた。どうしてだろう、この人の手が置かれると、嬉しくてどこか安心するずら。

「善子やルビィちゃんはどう思ってるかはわからなくても、少なくてもおれは、迷惑だとは思ってないよ。ちょっと嬉しいってのもあるかな?」

「嬉しい?」

「ああ。花丸ちゃんの今まで知らなかった新しい一面が見れたんだ。これでもっと花丸ちゃんと仲良くなれたらいいなってね」

「せんぱい……」

 気のせいか、まるの胸はぽかぽかしていた。まるで頭に置かれたせんぱいの手から温かさが伝わってくるみたいずら。

「それに、ちょっとは役得だったし……」

 せんぱいが顔を少し赤くしてこっちを見てくる。その視線の先は、まるの胸元で。その意味がちょっとわかっちゃった。

「せんぱい、ちょっとえっちずら……」

「う……」

 せんぱいが視線を逸らした。ふふ、今日はせんぱいにあのことを知られちゃったけど、その代わりにせんぱいがちょっとえっちなことを知れたずら。これでおあいこずら♪

「シドー! 夕飯が出来たわよー! ずら丸を起こしてきてくれるー!?」

 なんて考えてると、善子ちゃんの声が廊下から聞こえてきて。おらとせんぱいは互いに笑い合った。

「じゃ、行こうか」

「はいずら♪」

 まるが手をとると、せんぱいは手を引いて起こしてくれた。そのままおら達は善子ちゃんの部屋を後にするのでした。

 

 

◇◇

 夕飯を食べ終え、四人で遊んでいると、気がつけばもう夜もいい時間になっていた。流石におれはソファで寝ると言ったのだが、他の三人に「一緒の部屋で寝て欲しい」と言われれば仕方なくそれに従わざるを得ない訳で。照明から光は落ち、周囲は暗黒とした視界が広がっている。そしてその両隣にーー

「すぅ……」

「ずらぁ……」

 何故かルビィちゃんと花丸ちゃんがいる。しかも二人とも照明が消えるや否や、おれの方へと寝ころんできたのだ。うん、おれは寝てるだけだ。仕方ないんだ。そう言い聞かせ、眠りにつこうとした時だった。

「シドー、起きてる?」

 なんて考えていると、善子の声が聞こえてきた。どうやら善子からはおれの状況は解らないらしい。

「ん? どうした?」

「今日は、来てくれてありがとね」

 いつもの彼女らしくない、台詞に、少し驚いた。

「どうした? 善子らしくないな」

「ヨハネよっ。なんか無理に来てもらった気がして、ね……」

 暗闇だから表情は見えないが、その声からどこか少し元気がないようにも聞こえた。

「おれは善子と、善子だけじゃなくルビィちゃんや花丸ちゃんたちと一緒に居たいって思ったから来たんだ。無理矢理なんかじゃないさ」

「わたしと、居たいの? シドー……」

「ああ。それにルビィちゃんから聞いてるぞ? 満更でもない顔してたってな」

「ルビィの奴ー!」

 声の調子がいつもの善子に戻ったみたいだ。やっぱり善子はこうでないとな。

「感謝するわ、シドー。これからもヨハネのリトルデーモンとしてそばにいなさいよ?」

「ああ。おれはおまえの共犯者。おまえの覇道の手伝いをしてやろうじゃないか」

「ふふっ」

 互いに小さく笑ったあと、身じろぐ音が聞こえた。

「おやすみなさい、シドー」

「ああ。おやすみ」

 そして今度こそ、おれの意識は静寂へと導かれるのだった。




 DVDの件、最近僕が見たアニメが元ネタです。それが解る方は僕とお友達。
 あと、暫く執筆はお休みします。イベントが梨子ちゃんなので。今回は石使ってでもとりますよ。人間の力、見せて、やるぜぇ!

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