ポケットモンスタードールズ   作:水代

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日常話 シャルとチークの場合


「おーなんか良い物ありそうさネ」
「あ、あのチーク…………? もう帰らない?」

 カイナシティの西には大きな市場がある。
 獲れたての新鮮な魚介から、怪しげな発明品、はたまたアロマグッズに、技マシン屋。
 その他…………ファンシーショップなども。

 棚にずらりと並べられたポケモンドールやいろとりどりのクッション、はたまた音符の模様の書かれたマットや花などの植木などなど、多種多様な模様替えグッズが置かれていた。

「んー…………シャルは何かピンと来ないかナ?」
「え、いやボクは、別に…………」

 と、ふと視線をやればカビゴンドールと言う名の巨大なカビゴンのぬいぐるみ。
 ふかふかして、気持ちよさそうだなあ、なんて一瞬そんな考えが過って。

「店員さん、これとこれ買うヨ!」

 その一瞬の間に、自身の視線の先を目ざとく見つけたチークがカビゴンドールをもう一つ、その隣にあったぬいぐるみを指さし叫んだ。
「え、ええ、ちち、チーク! そんなお金どこにあるの!?」
 そもそも自身たちは自身たちの主の母親に頼まれて荷物の受け取りに来ただけなのだ、多少のお金はあってもそれこそ、買い食いができる程度であって、こんなところでファンシーグッズを買うほどの持ち合わせは無いはずだ。

「こんなこともあろうかと…………さネ!」

 にしし、とチークが笑い、ポケットからお札を取り出す。
「え、ええええ?! そんな大金どこから持ってきたの」
「パパさんからこっそり、ネ?」
「こっそりじゃないよぉ…………」
 それって泥棒なんじゃないだろうか。と言うか率直に言って泥棒だ。
 そんな自身の視線に気づいたのか、チークがチッチ、と指を振りながら言う。

「盗んだわけじゃないサ。ちゃんとジムのお手伝いの報酬としてもらってるヨ」
「ジムの…………お手伝い?」

 包装されたぬいぐるみが渡される。
 巨大だ…………大きすぎて自身だけでは持てないので、チークと二人で運ぶ。
 市場ですれ違う人たちがこちらを見ている気がするが、もうこうなったら知るものか、と気づかない振りをする。
 …………まあ今確実に自身の顔は真赤なのだろうが。

「そそ、ちょーっとジムトレーナーの相手をしてあげるだけのお仕事さネ」
「いつの間にそんなことを…………」
 まあアルバイトみたいなものさネ、と笑うチークに、少しだけ呆れる。
 確かに、自身たちの主が旅に出てからと言うもの、随分と退屈になったと思う。
 だからそうやって空いてる時間をそれぞれが使ってはいるものの、どうにも自身は時間の使い方と言うのが分からないらしい。
 やることが無いと、日がな一日呆けているように過ごしている自覚があるので、こうしてお使いなどには最近良く付き合うようになったのだが、チークと二人だけ、と言うのは少し珍しいかもしれないと思う。

「まあ、それもそろそろオシマイさネ」
「…………そうなの?」
「エアも戻って来たし…………アチキたちも動く必要が出てくるだろうサ」
「……………………そっか」

 互いに口数が減る。
 少しだけ重い空気が流れ、そんな空気を変えようと口を開く。

「そう言えば、ボクのと一緒にチークも何か買ってたよね」
 確かカビゴンドールの隣にあった何かのぬいぐるみだったと思う。カビゴンドールに視線が行っていたせいで詳しくは見ていなかったが。
 何を買ったのだろうと尋ねてみれば、チークがにし、と笑みを浮かべ。

「これさネ!」

 カビゴンドールの上に積まれた箱の包装を破り、中身を手に取る。

「1分の1サイズのデデンネドールさネ!」
「まさかの自分?!」

 今日一番の驚きがそこにあった。



ひっさつ! とびひざまわしげり!

 ムロタウンジムは、ムロタウンで数少ない民家以外の建築物だ。

 後は個人商店が数件とポケモンセンター、そして集会所が一件。

 それ以外は全て民家、それがムロタウンと言う町…………否、村である。

 フレンドリーショップすら、この島には存在しない。何せトレーナーがほとんどいないから儲からないのだ。

 ムロタウンのトレーナーは大よそ二種類に分けられる。

 

 ジムトレーナーか、釣り人か、だ。

 

 稀にジムに挑戦するトレーナーも来たりするが、稀過ぎてむしろジムに格闘技を習いに来た格闘家の数のほうが多いかもしれない、と言うレベル。

 大都市にあるキンセツシティジムやカナズミシティジムは毎年千から二千のトレーナーが公認ジムバッジを目指し挑戦すると言うが、ムロタウンジムに挑戦しにくるトレーナーの数は毎年百に満たない。

 一月十人、いれば多いほうで。公認ジムに成りたての頃は一年を通し、十人を切った年もあった。

 

 ムロタウンジムのジムリーダーは、名をトウキと言う。

 

 トウカシティジムのジムリーダーセンリと同じく、先代の引退を切欠にホウエンの外から招集されたトレーナーで、元はカントーのほうに住んでおり、かつてはカントーの四天王シバと共に修行をした仲である。

 ジムリーダーとしての実力も高いが、それ以上に、ジムトレーナーへの指導能力が非常に高く、ムロタウンジムのジムトレーナーの実力は、トウカシティジムを除けば、あのルネシティジムと二分するほど、と言わている。

 挑戦者に対する姿勢もまさしくジムリーダーのあるべき姿、とでも言うものであり、ホウエンリーグからの信頼も厚い…………のだが。

 

「…………困った」

 

 そのジムリーダーが現在両腕を組みながら唸っていた。

 まだ日も昇り始めたばかりの朝焼けの海。キラキラと光を反射しながら輝く水面。

 いつものトウキならば、趣味のサーフボードを片手に海に飛び出すところだ。

 そもそもトウキがカントーからこちらにやってきたのは、ホウエンの海で思う存分にサーフィンをするため、と言うのが大きなウェイトを占めている。

 勿論ジムリーダーとしての責務はきっちりと果たす、だがそれ以外の部分では趣味に走る。

 そのギャップこそが地元ムロの住民から好意的に受け入れられている理由なのかもしれない。

 

 そう、トウキは外から来たトレーナーではあるが、ムロタウンの住民からの信頼が厚い。

 ムロの子供のたちは地元のジムリーダーであるトウキを尊敬し、将来はトウキのようなトレーナーになろうと努力する。そんな子供たちを見て、親たちは微笑ましく思いながらも、トウキのような立派なトレーナーになって欲しいと願う。

 

 そんな信頼厚いトウキだからこそ、現在進行形で困っているのだった。

 

 ――――始まりは、ここ数日前に住民から相談を受けたことだ。

 

 ポケモンジム、と言うのは有事の際などに地元住民から頼られることが多い。特に公認ジムともなれば、ポケモン協会に認められたジムとジムリーダーと言うことであり、猶更である。

 ムロタウンは本土から孤立した島であり、日に二度の定期便こそあれ、本質的には()()()()()()()()。外界から途絶している、と言っても良い。

 いざ、と言う時に最も頼れる相手は地元ジムのジムトレーナーそしてジムリーダーである。

 だから、普段からもトウキは住民から相談を受けていた。

 畑がポケモンに荒らされたから追い払ってほしい、だとか、『いしのどうくつ』に子供が行って中々戻ってこないから心配だ、とか。大抵の場合は、何とかできる範囲の話だったのだ。

 

 ただその相談だけは、トウキの能力を完全に超えていた。

 

 ――――ムロタウンと言う町をもっと発展させたい。

 

 要約すればそう言うことだ。

 ムロタウンの町長(あくまで住民はここを町だと言い張っているため)が最近世代交代したばかりなのだが、まだ年若い町長からそんな相談を受けた。

 勿論トウキとてこのムロタウンと言う町が好きだ。気の良い住民たち、自身を慕うジムトレーナーたち、島と言う海に囲まれた環境。カントーからやってきて正解だったと思っている。

 そして公認ジムとして認められながらトレーナーたちがほとんど挑戦しに来ない現状にどうしたものか、と思っているのも事実。

 だから、手を貸すのはやぶさかではないし、ムロにもっと人が増えると言うのなら、それもまた良いことだと思う。

 

 ただ。

 

 問題は。

 

 トウキはジムリーダーだが、ジムリーダーと言っても、所詮はトレーナーだ。

 ジムの運営を含め、多少の事務仕事は出来る(ジムだけに)が、町の発展のさせ方などさすがに門外漢にもほどがある。

 とは言え、継いだばかりの町長のためにも、何とか力になりたいと思うのだが、如何せん何も考えは浮かんでこない。

 

 だから朝から趣味のサーフィンもせずに、海を眺めていた。

 

 

 * * *

 

 

 ムロタウンジム。

 何とも苦い思い出が出てくる場所である。

 結果だけ見れば、6対0の圧勝。

 だがその実、こちらの相性の良さをものともせず、かなり苦戦させられたジムである。

 

 ジムの受付を済ませれば、ジムトレーナーとの戦いになる。

 

 ミツルには、今回は()()()()()()()()使()()()()言ってある。

 受付時に手持ちのポケモンのレベルなどは申告しているので、相手もそれに合わせてくるだろう。

 とは言うものの、まだジムバッジ一つのトレーナーだ。

 トレーナーズスキルは使わないだろう。もしかすると、裏特性も無いかもしれない。

 自身が散々苦戦させられた、あの裏特性が無いなら、難易度的には大分緩いだろう。

 

 ムロタウンジムは『かくとう』タイプを専門とするジムだ。

 基本的に『かくとう』タイプと言うのは物理型アタッカー、かつ接触技が多い。

 

 ミツルがそのことを覚えていて、尚且つしっかりと戦術を組んでいるなら、それほど苦戦することも無いだろうと予想する。

 とは言え、ムロタウンジムのトレーナーたちは、ルネシティジムに匹敵すると言われているだけに、油断はできない相手と言える。

 

「さーて…………お手並み拝見、かな」

 

 呟き、フィールドに立つミツルを見て、笑った。

 

 

 * * *

 

 

 ホウエンで『かくとう』タイプと言えば、ハリテヤマやカイリキーなどだろうか。

 複合タイプで言えばもっと多くあるが、少なくともミツルが『かくとう』と言われて真っ先に思い浮かべるのは先の二匹だ。

「相手は『かくとう』タイプ。弱点は『ひこう』『エスパー』『フェアリー』の三つ」

 一番相性が良いのは間違いなくサナだろう。複合タイプが相手でも『エスパー』と『フェアリー』は確実にどちらか刺さる。さらにサナのタイプはどちらも『かくとう』技を『こうかはいまひとつ』で受けることができるので、『ぼうぎょ』の低さもそれほど問題にならないだろう。

 エルも相性は悪くない。『エスパー』タイプがあるし、『かくとう』を半減できる。

 そしてヴァイト。最終進化であるガブリアスとなれば、真正面から相手取れるだけの強さを秘めているが、フカマルの現状でそれは余りにも無謀だろう。そもそも他二体と比べて圧倒的にレベルが足りていない。

「…………ただ勝つだけなら、サナとエルで良い」

 ならどうして師匠は全て使え、と言ったのか。

 

 ()()()()()()()()

 

 サナ、エル、ヴァイト。

 

 そして『いしのどうくつ』の最奥に隠れていた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 相手の手持ちは三体らしい。

 ヴァイトたちのレベル差も考慮して数の利ではこちらが有利、と言う風になっているようだ。

 

「……………………うん」

 

 想定は四体三のシングル。

 

「……………………うん」

 

 レベルは相手が100を四体。

 

「……………………うん」

 

 こちらのレベル100がサナとエル、ヴァイトが少し上がって21、そしてルドがレベル13。

 

 思考を巡らす。必要な要素を抜き出し。

 

「…………よしっ」

 

 “■■■■■■■■■”

 

 戦略を完成させる。

 

「それじゃあ」

 

 ボールを手に取り。

 

「行くよっ!」

 

 投げた。

 

 

 * * *

 

 

 ミツルには二年の間、知識をとにかく詰め込んだ。

 実際、対戦において最も重要なのは知識だ。

 タイプ相性とか状態異常とかそんなものはは勿論だが特に、相手のポケモンがどういうポケモンなのか。

 種族値は? タイプは? 覚える技は? 特性はどうなっている?

 実機もそうだったが、これらの知識にプラスして、型と言うのも必要になってくる。

 

 型、とはつまりコンセプトだ。

 

 そのポケモンがパーティの中でどんな役割を持っているか、と言うコンセプト。

 

 それはトレーナーによって求められる役割は多種多様であり、全てを読み切る、と言うのは到底無理な話だが、けれどある程度のテンプレートと言うものは確かに存在する。

 

 そのポケモンはその役割を果たすために必須となるもの、と言うのは確かにある。

 

 分かりやすく言えば、ポリゴン2がメガネかけてフルアタ構成なんてあり得ないだろ、と言う話。

 だが逆説的に言って、そのあり得ないことがあったなら。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 実機時代にもあった型、と言うのはそのポケモンの能力を最大限に生かすために必要な物を詰め込んだ方式、とでも言うべきものだ。

 『ぼうぎょ』が高いなら物理受け、『こうげき』が高いなら物理アタッカー。

 『すばやさ』が高く『こうげき』や『とくこう』が低いならハチマキやメガネを持たせて速攻アタッカーにしたり、タスキを持たせて補助技を覚えさせたり。

 逆に『こうげき』や『とくこう』が高く『すばやさ』が低いならスカーフを持たせてやったり。

 

 そのポケモンの種族値を見れば、大よそどういう型になるのか、と言うのが見えてくる。

 そこに特性や覚える技を鑑みれば、ポケモンごとに役割と言うのはある程度固定化されてくる。

 

 ポケモンの育成とは究極的に言えば()()だ。

 

 全対応の無敵のエースなんて存在しない。

 どんなポケモンだろうと、必ず苦手とする、否。

 

 ()()()()()()()()()()()と言うのが存在する。

 

 パーティ構成とは、汎用性を持たせながら、けれど器用貧乏に終わらせず、さらに極力弱点を消していくこと。

 そのためには、自身のパーティのメタを探し、そのメタの対策を立てること。

 

 ――――ここまでやって前準備だ。

 

 では本番は?

 

 そこから先はもう必要なものなど一つしか無い。

 

 経験だ。

 

 相手の型を見極め、それに対して有効な手を打ちながら、相手がその手に対して対策していることを予想し、さらにそれに対策を立てる。

 

 読みあいで負けて勝てるなど、圧倒的な相性の差でしかあり得ない。

 

 故に、目の前のバトルの結果もまた、必然と、そう呼べるのかもしれない。

 

 

 * * *

 

 

「サナ」

「オコリザル!」

 

 こちらが出したのはサーナイト。

 対して相手はオコリザル。

 ホウエンでは余り見ないポケモンだが『かくとう』タイプ、そして『すばやさ』がサナよりも上だ。

 

 だから。

 

「サナ“サイコキネシス”」

「オコリザル“あばれる”」

 

 互いの同時に指示が飛び。

 

 “サイコキネシス”

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ…………くそっ」

 相手のトレーナーが舌打ち一つ、だがこれで恐らく気づかれたか。

 と、なれば。

「来い、ズルズキン」

「戻ってサナ、来て、エル」

 相手の交代に合わせてサナを戻し、エルを出す。

 

 “いかく”

 

 唸るようなズルズキンの威嚇に、エルが一瞬怯む。

 特性が発動したのだとすぐに気づく。エルは物理アタッカーなので『こうげき』が下がるのはやや厄介だが。

「戻れエル」

 エルをボールに戻す、これで下げられた能力はリセットされ。

「来て、ヴァイト」

 代わりにヴァイトを出す。

 

 “もろはのずつき”

 

 出てきた瞬間のヴァイトに、強烈な一撃が突き刺さる。

 

 “さめはだ”

 

 だが直接攻撃をしたズルズキンがヴァイトの特性で傷をつけられ。

 

 『ゴツゴツメット』

 

 さらに持ち物の効果で、ダメージを広げる。

 そして。

 

「来て…………ルド!」

 

 次に出したのは。

 

 目玉のついた剣のようなポケモン…………ヒトツキ。

 

 タイプは『ゴースト』『はがね』

 

 “もろはのずつき”は『いわ』タイプで半減。さらにメイン技の『かくとう』も無効。

 

 故に。

 

「ズルズキン!」

「戻れルド、来て、エル」

 

 “かみくだく”

 

 『あく』タイプの攻撃が出てきたばかりのエルに突き刺さり。

 

 “せいぎのこころ”

 

 エルの特性が発動し、その攻撃力を高める。

 ズルズキンは『ぼうぎょ』と『とくぼう』が高いポケモンだが、エルの『こうげき』の高さに合わせて、能力上昇のかかった今ならば。

 

「エル“インファイト”」

 

 “インファイト”

 

 鈍足のズルズキンが動くよりも早く、エルがその懐に潜りこみ、猛攻を繰り出す。

 強烈な一撃でズルズキンを一瞬で落とし。

 

「お前が最後だ…………サワムラー!」

 

 出てきたのは長い手足のポケモン、サワムラー。

 カントーのほうでメジャーな『かくとう』ポケモンだ。

 ホウエンでは余り見ないが、さすが『かくとう』タイプのジムと言うことか。

 対面は悪くない。

 『かくとう』技がメインのサワムラーに『かくとう』半減のエル。

 

 押し切る!

 

「エル“サイコカッター”」

「サワムラー“メガトンキック”」

 

 “サイコカッター”

 

 “メガトンキック”

 

 互いの一撃がぶつかり合う。さすがの威力か、打ち合いで大幅に威力を削られた。ほとんどダメージは入ってないと見える。

 さらに一撃、また一撃と互いの技がぶつかり合う。威力自体は大きく削られているが、それでも少しずつ、相手へダメージは蓄積している。

 ならば問題無い。徐々にダメージは入ってきている…………すでに相手の残りの体力は半分以下、と言ったところか。このまま押し切れる。

 

 そう、思った直後。

 

「サワムラー“とびひざげり”!」

 

 相手の指示の直後、サワムラーがエルに接近し。

 

 “かくとうぎ”

 

「掴め!!!」

 

 “グラブロック”

 

「叩きこめ!!!」

 

 “とびひざげり”

 

 その長い手でエルの頭を掴み。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ!」

 エルが悲鳴を上げ、数歩後退する。

 幸い『ひんし』にまではなっていないようだが、かなりのダメージを受けたのは事実だ。

「もう一発!」

 相手のさらなる追撃の指示にサワムラーが動きだし。

 

「交代、エル」

 

 驚きながらも、自然と手が動く。

 

「来て、ルド」

 

 エルを戻し、代わりに出したのはルド。

 

 つまり。

 

「なっ…………止まれ、サワムラー!」

 

 咄嗟の指示、だがすでに勢いをつけて飛びあがったサワムラーは止まれない。

 

 “とびひざげり”

 

 掴もうとした手は『ゴースト』タイプのヒトツキの体をすり抜け、その勢いのままサワムラーがフィールドに激突する。

 

「…………………………」

 

 激突し、反動ダメージで気絶したサワムラーを呆然と見つめ。

 

「…………はあ、負けた」

 

 相手が一つ、ため息を吐いた。

 

 

 

 

 




ひっさつ! とびひざまわしげり!

ただし当たるとは言ってない。全体的に指示が迂遠だったり迂闊だったりするのは、単純にトレーナーの未熟のため。まだまだ最適な指示、と言うのが良く分っていない初心者トレーナー感。

裏特性:かくとうぎ
グラブロック⇒自身の『かくとう』技の威力を1.5倍にし、相手の急所に必ず当たる。

格闘技は進化した。
殴る、蹴る、さらに掴み技にも対応。
トウキさんの研鑽は止まらない。



トレーナーズスキル(A):■■■■■■■■■
ミツルの“戦略”を元にしたトレーナーズスキル。今はまだ経験の浅さと未熟のためはっきりとした形にはなっていない。





あと一話前のスキル一つ付け忘れあったので訂正。

専用トレーナーズスキル(P):ノンレムすいみん
『ねむり』のターンカウントが3以上の時、野生のポケモンなら必ず捕まえることができる。ターンカウントが5以上の時、相手のターンをスキップする(はかいこうせん等の反動と同処理、行動交換不可)。

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