フンドシやろうのなみのり
カイオーガはたおれた
けいけんち500をてにいれた
フンドシやろうは100レベルになった
デテン
テンテンテンテンテンテンテンテンテ♪
おめでとう、フンドシやろうはさんばがらすしんかした。
おや、カイオーガがなかまになりたそうにこちらをみている。
なかまにしますか?
>>はい
カイオーガはソイオーガになった。これでキミもソイヤのなかま。
という夢を見た。というか、半分くらいはこの間聞いた妖怪の戯言だった。
さすがにやばい。
顔から血の気が引いた。
「…………沈んでる」
カイオーガのいたあの場所から海底洞窟の入り口たるこの場所まで、かなりの距離があるはず、にも関わらず。
沈んでいた…………自身の乗って来た探査艇が。
ひっくり返り、あちこちぶつけたらしく凹みが見える、何よりも強化ガラス製の窓部分が付きだした岩に貫かれ艇の内側まで完全に浸水していた。
「…………やばい」
やばい、やばい、やばい。
今回の作戦は元々尚早ではあったのだ。主に自身の準備が足りていないのは分かっていた。
本当ならサクラにもっと色々仕込みたいことがあったのに、十全に育成できているとは言えないままに来てしまった。
本当はあと一匹、『みず』タイプのポケモンが欲しかった、カイオーガと戦う時に備えて『なみのり』や『ダイビング』ができるポケモンが居ると居ないで全く違うだろうと予想していた。
それでもマグマ団が動き始めた報を聞いて、珠が無いのにどうするのか、と思いながら、けれど珠が無くとも強引に起こすことも現実ならば可能なのではないか、その可能性を考えればどうしても後手に回るのは避けたかった。
伝説を目覚めさせるのに先にアクア団の手助けから始めたのは決して、先に遭遇したからという理由ではない。
相手取るならばカイオーガから、最初からそう決めていた。
そもそもグラードンは致命的過ぎる。
致命的という言葉に対して過ぎる、と付けてしまうくらいにやばい。
そこにいるだけで生物が干からび死に絶えるレベルの灼熱の地獄を産み出す化け物なのだ、どうやって戦えというのだ。
対してカイオーガは豪雨だ。こと海の上では最悪の敵ではあるが、人間が即死するレベルではない、それ以上に実機知識からして、
そしてカイオーガを捕獲できれば、グラードンとも戦える。
グラードンとカイオーガは基本的に同列だ。同等だ。グラードンの天候干渉は、カイオーガがいれば打ち消すことができる。或いは、カイオーガをゲンシカイキさせれば打ち勝つことすら可能になるかもしれない。
まあそれは高望みとしても、グラードンの“おわりのだいち”を弱体化できるのはカイオーガかレックウザくらいしかいないだろう。レックウザがどこにいるのか分からない以上、カイオーガを使うしかない。
だが、だ。
「甘く見過ぎてた」
かなり慎重を期したつもりではいたが、その上を軽々と行ってくれる。
当然だ、伝説と呼ばれる強大な存在なのだ。
自分ごときがそう容易く手玉に取れるような存在ではない、ということ。
だがそれでも、これは不味い。
「クソ…………やっぱり秘伝要員くらい連れてくるべきだったか…………」
生身の自身が『ダイビング』も無しにこの海底から抜け出すのは容易ではない。というか、ダイビングスーツも持ってないし、呼吸器も無い。
そもそもカイオーガがいきなり暴れ出した辺りから予想外なのだ、こちらのことなど気にもかけずにさっさと外へ出ようとするのだと思っていた。
それがこちらに目をつけた、こちらを気にかけた、そうほんの少し気にかけた程度のことなのだろう、向こうからすれば。
それだけのことでこれだけの被害が出るのだからふざけると言いたい。
だがそんなことを言っていても始まらない、すでに賽は投げられた、カイオーガは目覚めてしまったのだ。
海底洞窟の中は地上とは違い電波が届かない、故にここから地上の様子を知ることはできない。
とは言っても、地上も恐らく大雨大風大波大嵐でとても電波など安定しないだろうが。
実機だとニュース番組だって見れただろうが、こっちの世界の技術力はまだそこまでぶっ飛んではいない。とは言っても普通の雨ならばそう問題にもならないのだろうが、さすがにカイオーガの天候干渉にまで無事かどうかは自身にも分からない。
「…………急がないと」
だがどうやって?
こんな深海の洞窟に、生身で、船も失くし、どうやって出る?
考え、考え、考え。
「……………………賭け、だな」
どう足掻いてもこの状況、一つしか思いつかない。
しかも凄まじく博打要素が高い、というか最早当てずっぽうとすら言える。
鞄をひっくり返せば、転がり出てくるモンスターボール。
「…………やる、しかないか」
ホルスターには九つのボール。
最早時間が無い。
カイオーガの影響がどこまで広がっているか分からない以上、猶予は無いに等しい。
地上がどこまで持つかも分からない、もし…………もしも上の守りが突破され、カイオーガが『めざめのほこら』に入れば。
「…………グラードン出てくる前にホウエンが滅ぶな」
より激しさを増した雨と、上がり続ける海の水位。ホウエンは全て海に飲まれ、やがて影響は世界へと広がっていくだろう。
まあその前にもしやすると、レックウザが倒してくれるかもしれないが。
「それは願望が過ぎる、か」
とにかく急ぐ、暗い洞窟内だけに走りづらいが、それでも灯りがある分先ほどよりはマシだろう。
時折水で滑りそうになりながらも、記憶に残る道をたどって行き。
「…………居た」
最初に見た、氷の中で眠る少女を見た。
* * *
水色のチューブトップに黒の袴のようなスカート、腰に巻く黄色のリボン。
チューブトップの上から水色の羽織を気崩しており、白い両肩がむき出しになっている。
髪の色は青というよりはやや濃い水色だろうか、目は閉じられており、ぴくりとも動く様子は無い。
髪をおさげにし、両サイドを黄色のリボンで結んでいるのが特徴、と言えるだろうか。
「…………ヒトガタ、なんだよな」
シアがそう言っていたので、恐らくそうなのだろう。
正直、ヒトガタと人間を見比べて違いなんてそうありはしない。
少しカラーリングが特殊、という程度のものだ。原種の色が濃く出ているため、やや複雑な色合いをしていること以外、人間とヒトガタに違いなど見当たらない。
周囲を見やる。フリージオは居なくなっていた。
ずっとここにいる、と言う物でも無いのだろうか。
まあ、それはそれで都合が良い。
「…………まずは、リップル」
「はーい、久々に出番だね~」
すっと、リップルが大きく息を吸い込んで。
“だいもんじ”
放たれた炎が氷にぶつかり、僅かに表面を溶かした。
「……………………は?」
「…………わあ」
それは確かに、リップルは『ほのお』タイプではない、だから『ほのお』技が得意とは言えないかもしれない。だが“だいもんじ”は『ほのお』技の中でも最大級の威力を持つ技の一つであり、リップル、というかヌメルゴンの『とくこう』は決して低いものではない。
生半可な『こおり』タイプポケモンなら一撃でノックアウトできるレベルの火力が出ているのだ、自然にできた氷などあっという間に溶かせる、そう思っていたのに。
「…………ただの氷じゃないのか? これ」
触れてみる、冷たい。そして僅かに表面が溶けている。
溶けるのは、一応溶ける。ただし極めて溶けにくい。
拭ってみてもただの水で、ただの氷、そのはずなのに。
「…………どうやったのかは分からないけど」
リップルが興味深そうに氷の壁へと目を近づけ、ふと呟く。
「凄い圧縮されてる? 密度が高い、って言えばいいのかな」
「…………普通の氷じゃない、ってことは分かった」
とにもかくにも、リップルの炎では厳しいのは分かった。
ならば。
「交代、エア」
「任せなさいっと」
手の中の
ゲ ン シ カ イ キ
エアの全身が突如、炎に包まれていく。
「ルウウウウウアアアアアアアアアアア!!!」
エアが咆哮すると同時、炎がその両手に収束し。
“ブレイズクロス”
放たれた二撃が、氷の壁を大きく削り取る。
「かなり削れたけど、まだ、ね」
しゅうしゅうと一瞬で蒸発した氷が蒸気となって周囲に漂い出す。
「なら、もう一発、行くわよ!」
これで終わらせん、とエアがその両手の中に巨大な炎の玉を産み出し。
“メテオフレア”
振りかぶり、氷の壁に叩きつける。
ぴき、ぴき、ぴきぴき
ぐんぐんと炎が氷を削って行き、やがって薄くなった部分からひび割れを起こし始める。
そうして。
ぱりん
短く、乾いた音と共に。
「っと」
とすん、と氷の壁から解き放たれた少女を抱き留める。
ずっと氷の中にいたからか、冷え切ってしまった少女の体に触れ、本当に生きているのかやや心配になるが。
「おい、生きてるか」
揺する、少女の体を揺すり、その頬に手を当ててみる。
「冷たっ」
思わず手を引っ込めてしまうほどに冷え切った体に、どうするかと一瞬悩み。
「エア」
「いや、この姿けっこうきついのよ?」
ぐぬぬぬ、と渋面しながらもそれでもエアが両手に炎を産み出し、少女の体を温めようとする。
何か燃やせるものがあればいいのだが、量子化された荷物の中に残念ながら燃やせるようなものは無い。
第一、ポケモンの技ならともかく、普通にこんな洞窟の中で物を燃やせば煙が酷いし、酸素がやばい。一酸化中毒でチャンピオン海底洞窟内にて死亡、なんて洒落にもならない。
こんな事態はさすがに予想していないため、荷物を漁れど役立ちそうなものはそう無い。せめて何かの足しになればとタオルケットで少女を覆ってやると。
「…………っ…………ん…………」
僅かにだが少女の瞼が揺れ動いた。
「おい、起きろ、おい」
体を揺らし、少女の意識の覚醒を呼び覚ます。
「ぐ……………………あ………………」
先ほどよりも強い反応、少しずつだが着実に意識が戻ってきているそれを確信し。
「……………………こ、こ…………は…………」
少女の瞼がゆっくりとだが開いていく。
傍に置いた懐中電灯の明かりだけが空間を照らす唯一の光源だが、どうやらその光が眩しいらしく、再び目を閉じられていく。
一秒、二秒、と沈黙が洞窟内を包み込み。
「…………なんじゃ主は」
目を閉じたまま、少女がそう呟いた。
* * *
ゴウゴウ
ごぼっ…………ごぼごぼ…………
ゴウゴウゴウ
「けほっけほっけほっ…………」
轟々と激しい音を立てながら、部屋中に溜まっていた水が抜けていき、部屋の上部に僅かにだが空気の層が出来る。
同時に限界まで来ていた息を吐きだし、必死に水の中から顔を出すと、せき込みながらも新しい空気を吸おうと口を開く。
そのまま水が部屋から完全に抜けきるまで待ち、水が抜けきり、部屋のロックが解除される。
荒い息を吐きながら、ミズイロをボールへと戻し、ずぶ濡れの体を引きずりながら部屋を抜け出す。
そうして歩く潜水艦内は上から下までの大騒ぎだった。
まあ当然だろう、誰もがあんな怪物予想だにしていなかったのだ。唯一それを予期していたのはハルトくらいなのだろう。
正直、自身ですらここまで凄まじいとは思わなかった。
相性、その一点だけでここまでどうしようも無くなるとは思わなかった。
相性、そう相性だ。相性が悪い、決して実力が追いつかないわけではない。そのことは分かった。
「これは…………最後の策になるかしら」
ハルトがカイオーガと戦う前に立てた三つの方針。
一つ、海底洞窟内で復活する前に攻撃、または捕獲できるようならばする。
一番安全であり、一番不確実な方法。正直これはハルトも期待していなかったようだ。
実際これは無理だったのだろう、シキは洞窟について行っていないが、実際こうしてカイオーガは出てきてしまっているのだから。
二つ、地上に現れたカイオーガを天候を封じ、海上で仕留める。
被害が最小限で済む方法だ。ただし、海の上で自由を取り戻したフルスペックの伝説を相手取るという点を除けば。
そして実際あれは手に負えないことが分かってしまった。
「四天王は…………すでに投入されたのでしょうね」
ホウエンが誇るトップトレーナーたちはすでにカイオーガの
すでに事態は動き出している、ハルト自身余り乗り気では無かっただろう最後の案に向けて。
「…………『めざめのほこら』にカイオーガを誘導する」
ハイリスクハイリターン、ハルト自身そう称した。
ゲンシカイキ、メガシンカとは違うポケモンの
あの圧倒的だった伝説がさらに力を増す、余計に手が付けられなくなるだろうことは容易に予想できる。
そう考えれば確かに危険度は高い、でもそんなもの今更だ、今更過ぎるのだ。
そもそもの話。
「伝説を相手取る…………そう決めた時点でそんなリスクは最初からなのよ」
誰に言うでもなく。
かつて伝説を相手に勝利を奪い去った少女がそう呟いた。
書いてないから言ってもしょうがない感あるけど。
ラスボスが変更されました。
というかもう変わったから言うけど、カイオーガとグラードンがラスボス戦で、その後のレックウザがイベント戦で少し戦ったら認めてくれて隕石壊してデオキシス倒して捕獲してそれでめでたしめでたしのほぼ原作ルートだったんですけど。
うん、なんかそれでいいのかな、二次創作で折角ほぼオリジナルルート書いてるのにそんな終わり方でいいのかなって思ってたんだけど、ふと、ね。思いついてしまったんだ。
というわけで、ラスボスの難易度が5倍くらい上がりました。
ぶっちゃけ、グラカイがただのラスボス前の中ボスに成り下がったレベルがこれはやばい、と思った。
というわけで、活動報告にも書いたが、更新遅れます。ユグドラもかきたいからね。
ところでユグドラで思い出したけど、ゆぐゆぐプレイアブル化するらしい。
ゆぐゆぐ可愛い! 絶対ガチャる!
もうゆぐゆぐライフオンラインに名前変えようかなあ。
ゆぐゆぐと一緒のスローライフ。いいねっ!