ディアルガが出て来てからもリングはダークフーパの元へと収まることは無く、さらに新手を輩出し続けた。
ディアルガに続き、パルキア、そしてギラティナ。
いずれも先ほど倒したばかりのポケモンたちであり、まるで先ほどまでの激闘が嘘だったかのように三体が咆哮を上げる。
一つ、先ほどまでと違ったのは今度はダークフーパも参戦しており、三体の伝説がダークフーパをアシストするように動いていたことだろうか。
やってきたフーパと共にシキも必死になって応戦するが、当たり前だが数の差があり過ぎる。
その上で個々の能力まであちらが上手なのだ。
はっきり言って蹂躙である。
すでに手持ちたちも大半が『ひんし』。
持ってきた『げんきのかけら』や『かいふくのくすり』で何体か戦線復帰させたが、手持ちの道具類もそろそろ尽きようとしている。
当たり前だが根本的なレベルが違い過ぎた。
こちらの必殺の一撃ですら相手にとっては小うるさいけん制程度の効果しか見込めないのだ。
唯一『ひんし』から復活させたギガ……レジギガスの攻撃だけは警戒されるに値していたようだが、だからこそ逆にレジギガスは真っ先に集中砲火で沈められた。
そしてフーパもまた抵抗はしているが、数の利と能力相性によって先ほどまでと立場が完全に逆転してしまっている。
少しずつ、少しずつ押し込められていくような感覚。
分かっている、本来ならばとっくに全滅していてもおかしくないはずの状況でどうしてまだ生き残れているのか。
要するに、遊ばれているのだ。
殺さないようにじわじわ嬲られている。
「ゲギャギャギャギャギャギャギャギャ」
ダークフーパが嘲笑する。
必死になって生き延びようとする自分たちの惨めな姿を見て、嘲笑っている。
どう足掻いてもここから逆転は無理だ、それが分かっているからこそダークフーパは遊んでいる。
だからと言って絶望に浸ってなどいられない。
―――希望はある。
シキたちがこうして敵を引き付けているその後方にはレックウザがいる。
そして何より……ハルトがいる。
確かにこの状況で何ができるのか、そんな思いはある。
けれど同時に、ハルトがいるならきっと……そんな思いもある。
少なくとも、シキではどれだけ頭を捻ってもゲンシカイオーガ、ゲンシグラードン、ダークレックウザを倒す術など思いつきもしなかった。
凡人であると本人は言っている。
確かにそれ自体は間違っていないとシキも思っている。
トレーナーとしてハルトに飛び抜けた才は無い。
相手の手を見通すような読みも、ただのポケモンを最強のエースに仕立て上げるような育成能力も、世界の理を傾けるような異能も無い。
ただポケモンに好かれやすく、ポケモンを心の底から好いているだけの普通の人間だ。
けれどどうしてだろう。
そんなただの凡人は、普通の人間でしかないはずのハルトは、ゲンシカイオーガを降し、ゲンシグラードンを降し、そしてついにはダークレックウザをもすら鎮めた。
どれか一体だけでも世界全土を危機に晒すという意味でなら、ハルトはすでに三度世界を救っている。
それは勝手な期待なのだろう。
それは身勝手な想いなのだろう。
それでも。
抱かずにはいられないのだ。
ハルトという少年に対して。
希望を。
「それに」
くすり、と笑みを浮かべる。
それに気づいたのか、ダークフーパが一瞬だけ怪訝そうな表情になる。
そうして。
ふわり、とシキの頬を風を撫でた。
「いつだってそんな私の勝手な期待は応えられてきた」
困ったことに勝手に期待を抱かせておいて、一度だって裏切ったことが無いのだ。
だからついまた期待してしまう。
「ごめんなさい」
謝罪の言葉を口にしながら。
「後は、お願いね」
膝から崩れ落ちる、最早限界だった。
ここに至るまでずっと生かさず殺さず嬲られ続けてきたのだ。
最早疲労は極限まで来ている。
だがそれでも。
「うん……任せて、シキ」
―――その言葉が聞けたなら、甲斐はあった。
キリュウウウウウウウウウアアアアアアアアアアォォォォォォォォォォ!!!
黒の渦巻く闇の世界に龍神の咆哮が轟く。
「さあ……第二ラウンドだ」
自信満々に笑みを浮かべる彼の姿を見やる。
そうして崩れ落ちた体を抱きとめてもらうような感触を覚えながら。
ゆっくりと、シキの意識は暗転していった。
* * *
“ミカドきかん”*1
『つむがれたきずな が おもいをかさねる』
“ メ ガ シ ン カ”
『つながれたこころ は えにしをむすぶ』
“つながるきずな”
“デルタストリーム”
『うずまき みだれし きりゅうが しんいきの とびらを ひらく』
“かざぎりのしんいき”*2
『さかまき てんを ついた かぜが そらのはしらを かたちづくる』
* * *
ほんの十秒にも満たない時間で世界が一変した。
ダークフーパが形作ったこの領域、闇の世界の中で一瞬にして
天候支配と領域形成の
これだけですでに『メガシンカ』したデルタの力というものが規格外の物であると分かる。
同時にまだ技の一つすら振っていないのだ。
先手はこちらが取った。
ならば後は、叩きのめすだけの話だ。
「デルタ!」
―――ォォォォォォォォォ!!
デルタが咆哮し、動き出そうとした、直後。
“じかんていし”
“ときのほうこう”
それよりも早く黒いディアルガから放たれた黒く染まった光線がレックウザを襲う。
“きずなパワー『とくぼう』”
「知るか、突っ込め!」
こちらの指示に一瞬の迷いも無くデルタは自らへと迫りくる光線へと突撃する。
“かざぎりのしんいき”*3
身に纏う風の鎧によってダメージを大幅に軽減しながらその全身にさらに風を集めて行き。
“かざぎりのしんいき”*4
“ ガ リ ョ ウ テ ン セ イ ”
放たれた必殺の一撃がダークディアルガを撃ち抜き、一撃で闇へと返す。
「消えた?」
その光景を見て目を丸くする。
『ひんし』は確実のダメージだが倒れるわけでも無く、『ひんし』になって縮小するわけでも無い。
なんだそれは、と思わなくも無いがその正体を知るのは後回しで良い。
“ミカドきかん”*5
体内に蓄えた『いんせき』から発生するエネルギーによって自らの体の傷を癒しながらデルタが旋回して戻って来る。
まずは一匹、敵は残り三体。
そうして、相手の反撃。
ダークパルキアが『あくうせつだん』を放ち。
ダークギラティナが『シャドーボール』を放ち。
ダークフーパが『あくのはどう』を放つ。
三者三様の攻撃だったが。
“きずなパワー『とくぼう』”
“かざぎりのしんいき”
ほとんどダメージも無く、隕石による回復能力の範疇で収まる。
そうしてこちらも反撃とばかりに口を開き。
「ついでに持っていけ」
“きずなパワー『とくこう』”
“りゅうせいぐん”
放たれたエネルギー塊が流星となってダークパルキアを撃ち抜く。
パルキアが悲鳴を上げて闇に還る。
やはり『ひんし』にならないらしい。
そうして残るはダークフーパとダークギラティナだけだったが。
「ゲギャギャギャギャ!」
埒が明かない、とでも思ったのかギラティナへとダークフーパが拳を叩きつける。
ぼん、と一撃でその身が闇へと還っていくのを見やり。
「ゲギャギャ……ギャ……ギャ……? ギャ、ギャギャギャギャギャギャギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
最早自分独りであると気づいた瞬間、ダークフーパが絶叫する。
“あくうかんまじん”
ダークフーパの絶叫に答えるかのように空間に少しずつ、少しずつ亀裂が走っていく。
先ほどまでのような『一部』の空間に亀裂が走っているのではない。
「おい……おい?!」
何をしようとしているのか、気づいた瞬間に背筋が凍る。
「こいつ、まさか」
―――
空間が壊れ異次元へと放流されればこの場所に戻って来れるのは空間に干渉できるポケモンのみ。
つまり現状フーパが『ひんし』であることを考えれば、ダークフーパだけだ。
「冗談じゃないぞ! 止めろ、デルタ!」
ここには俺とデルタだけじゃない、シキだっているのだ。
腕の中に抱く少女の体をぎゅっと抱きしめる。
ことこの場において自分にできることがこれくらいしか無い。
デルタもまた自らの領域を広げることで空間破壊を阻止せんとしているが、どう考えてもダークフーパのほうが早い。
ダークフーパを『ひんし』にすれば、とも思ったが今のひび割れた空間の状態では、ダークフーパを倒せるだけの攻撃を繰り出せばこちらの攻撃の余波で空間が砕けかねない。
何か、何か手は無いのか。
まさかこんな自爆技を打って来る、予想が甘かった。
否、予想の大半はあっていたのだが唯一。
ダークフーパが勝利を諦めるほどにデルタが強すぎた。
それだけが俺の予想を超えていた。
こちらにフーパがいる状況で空間破壊からの追放は結局『一時凌ぎ』でしかない。
それでもその一時で何かやるつもりなのだとすれば、やはりこいつを今ここで止めなければならない。
ぴきり、と空間が軋んだ。
「不味い、不味い、不味い! もう時間が、空間が!」
間に合わないか!?
そう思った、直後に。
* * *
―――言ったデシよ。
誰かの声が聞こえた。
―――
直後、ダークフーパの真後ろに『孔』が空いて。
―――
“まんがんじょうじゅ”*6
“とこよのいのり”
“はめつのねがい”
“ねがいごと”
* * *
真後ろ、完全なる死角から放たれた一撃が完璧な奇襲となってダークフーパを襲う。
飛び出してきた隕石がダークフーパを吹き飛ばす。
直後に空間の軋みが止まる。
いくら『捨て身』だったとは言え、全く予想外の方向からの攻撃にダークフーパの思考が数秒の間とは言え完全に止まっていた。
そうして自分がどうやって攻撃されたのか気づきダークフーパが再び空間を破壊しようして。
「ゲギャ?!」
「シシ……シシシ」
『ひんし』寸前だったフーパが咄嗟に投げたリングがダークフーパを覆う。
上半身と下半身がリングを通して全く別々の位置にあるという状況にさしものダークフーパも抜け出すのに僅かな時を費やし……。
「デルタ!」
―――合わせて十秒にも満たないその僅かな時間が明暗を分ける。
オオオオオオォォォォォォォ!
一瞬すら迷うこと無くデルタへと指示すると、分っているとばかりにデルタが咆哮を上げる。
その咆哮に答えるかのように風が吹き荒び、吹き荒んだ風は徐々に徐々にレックウザを中心として収束していく。
収束した風が巨大な竜巻となり空へと延びる暴風の柱を作り出す。
『そらのはしら』と混ざり合ったそれが徐々に徐々に『そらのはしら』を膨れ上がらせていき。
極限まで風を圧縮されて作られた『そらのはしら』が直後に弾けた。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!
暴風が吹き荒れ、闇の領域を
まるでそれが黒い霧か何かだったとでも言うかのように、風が吹き荒ぶと闇が消え去って行き、暴風の輪が徐々に徐々に広がっていく。
この闇の世界を押し広げるように、徐々に、徐々に、膨張の限界がやってきて。
“ む げ ん の そ う き ゅ う ”
―――世界が弾けた。
あと一話か二話で長かった……余りにも長かった劇場版ドールズも終了です。
因みに今日から四連休なので明日明後日、最悪でも明々後日には終わらせるよ!
そして当初の予定とは全く逆にデルタちゃんは仲間一直線……。
やったねハルちゃん! 家族が増えるよ!
【名前】デルタ
【種族】レックウザ(メガレックウザ)/原種
【タイプ】ドラゴン/ひこう
【性格】????
【特性】エアロック/デルタストリーム
【持ち物】いんせき
【技】しんそく/りゅうせいぐん/りゅうのまい/かみなり/げきりん/ハイパーボイス/Vジェネレート/ガリョウテンセイ
【裏特性】『ミカドきかん』
持ち物に『いんせき』を追加する。
持ち物が『いんせき』の時、メガシンカすることができる。
メガシンカ時、毎ターンHPが1/6ずつ回復する。
【技能】『とうりゅうもん』
そのターンの相手の技を全て自分が受ける。相手から受けるダメージを半減し、HPを最大HPの1/3回復する。この効果を使用したターン行動ができなくなる。
【能力】『かざきりのしんいき』
天候が『らんきりゅう』の時、味方の場の状態を『そらのはしら』にする。
天候が『らんきりゅう』の時、受けるダメージを半減し、能力が下がらない。割合ダメージを無効化する。
『ひこう』タイプの技の威力が1.5倍になり、相手に必ず命中する。
【禁忌】『むげんのそうきゅう』
天候が『らんきりゅう』の時――――――――――――。
【備考】
場の状態:そらのはしら
場の状態が変化しなくなり、場に出ているポケモンは状態異常、状態変化、相手の能力の変化の影響を受けなくなる。この効果は変更されない。
【名前】ダークフーパ
【種族】フーパ/原種
【タイプ】ダーク
【性格】????
【特性】ワープフープ(いましめられし時)/デッドワープ(ときはなたれし時)
【持ち物】いましめのツボ
【技】サイコキネシス/シャドーボール/あくのはどう/いじげんホール/いじげんラッシュ(ときはなたれし時)/トリックルーム/ワンダールーム/マジックルーム/デッドルーム/ディメンションゲート(ときはなたれし時)
【裏特性】『じげんしょうあく』
自分の全ての技に『必ず命中する』効果を追加し、相手のタイプ相性の不利に関係なく攻撃できる。
攻撃技を繰り出した時、10%の確率で相手の場を『じげんほうかい』にする。
自分が展開した『全体の場の効果』の数に応じて全能力が上昇する(技の数×0.1倍)
【技能】(いましめられし時)『くうかんさっぽう』
そのターンに使用した技の命中判定を後のターンに持ち越す。この効果は何度でも使用でき、持ち越した技の命中判定はこの効果を使用しなかったターンに判定される。この効果を使用したターンに『ワープフープ』で受けなかった『直接攻撃』以外の技を判定時に繰り出す。この効果で繰り出す技は全て相手の能力値でダメージ計算する。
【技能】(ときはなたれし時)『あんこくくうかん』
自分が場にいる間、全体の場を『あんこくくうかん』にする。
全体の場の効果:あんこくくうかん
『ダーク』タイプのポケモンが攻撃技を繰り出した時、技のタイプを『ダーク』にし、技の優先度を+1する。
【能力】『いじげんかいろう』
場に出た時、自分が覚えている全ての『ルーム』技を繰り出す。
『ルーム』技の効果ターンが永続する。
『ルーム』技の効果を受けない。
【禁忌】『あくうかんまじん』(ときはなたれし時)
自分が攻撃技を繰り出すたびに『じげんほうかい』の確率を10%ずつ上昇させる。『じげんほうかい』の効果が発動した時、確率は元に戻る。場に居る限り、『ひんし』になったポケモンが『ひんし』状態から回復しなくなる。
【備考】
特性:ワープフープ:『必ず命中する』技以外を受けなくなり、相手の『必ず命中する』技の命中を50にする。『かげふみ』等の効果を受けず、必ず味方と交代できる。『おいうち』等の交代する前の相手を攻撃する効果を受けない。
特性:デッドワープ:自分の技が全て『必ず相手に命中する』効果を持ち、必ず急所に当たる。相手の『まもる』や『みきり』等を解除して技を繰り出せ、場の『リフレクター』や『ひかりのかべ』、『みがわり』などの効果に関係なく攻撃できる。
技:デッドルーム 『ゴースト』タイプ
効果:5ターンの間、互いの場のポケモンのHPが回復しなくなり、互いの攻撃で受けるダメージが1.2倍になる。
技:ディメンションゲート 『エスパー』タイプ
3ターンの間、ターン終了時に味方の場に『ディアルガ』『パルキア』『ギラティナ』『ジラーチ』『セレビィ』『シェイミ』『ダークライ』『クレセリア』『イベルタル』『レックウザ』『????』『????』『????』をランダムで一体呼び出す。
場の状態:じげんほうかい
ターン終了時に、場のポケモンが『ひんし』になる。お互いの場の効果が全て無くなる。
【名前】マツリ
【種族】ジラーチ/擬人種
【タイプ】エスパー/はがね
【性格】????
【特性】????
【持ち物】????
【技】????
【裏特性】『とこよのいのり』
このターンに効果が発動せず後のターンに発動する技の効果を、技が発動するまでにかかるターン数に応じて上昇させる(ターン数倍)。
????
????
【技能】『????』
【能力】『まんがんじょうじゅ』
自分が技を繰り出す時、技の発動ターンを2-6ターンの間で任意に延ばすことができる。
『ねがいごと』の効果を味方全体に変更し、『ひんし』のポケモンも回復できるようになる。
『いのり』や『ねがい』等の技を1ターンに2回発動できる。
【禁忌】『????』