「フェザーバッジがあれば“そらをとぶ”の使用許可が出ます…………と言うか最初に来たあたり、それが目当てなんでしょう?」
バレテーラ。
「まあいいです、取りあえずこれを…………ヒワマキシティジムを突破したトレーナーに与えるジム専用わざマシン“はねやすめ”です」
「ありがとうございます」
エアに覚えさせるかどうか、悩みどころではあるが。
「さて…………これで一通りのことは言いましたね、ところで、今後の予定は?」
「思ったより早く終わったんで、このまま次の街へ行こうかと」
「あらあら…………終わったばかりでもう次のジムを目指すのですか?」
少しくらい休まないのだろうか、と言う視線に苦笑する。
「今年のリーグ、目指してるので」
そんな自身の言葉に、ナギが目を丸くする。
「あと一月ほどですよ?」
「まだ一月あるでしょ?」
告げる自身の言葉に、ナギが笑う。
「そうですか…………では、次は、ルネなどいかがでしょう?」
「…………ふむ、まあいっか。どうせ
呟く自身の言葉に、ナギが、僅かに首を傾げる。
「では、ミクリに連絡しておきましょう、恐らくトレーナー戦は飛ばせるでしょうし……………………ふふ、私も今年のリーグは楽しみにさせてもらいますね」
「あはは、頑張りますね」
チャンピオンになれるよう。
内心の言葉を読み取ったかのように、ナギが目を細め。
「…………ええ、では頑張ってください」
苦笑した。
* * *
昔旅行に出かけた時に、チルタリスに乗って大空を飛んだ感覚を今でも覚えている。
吹き抜ける風、間近に迫る青い空、そして眼下に広がる絶景。
「あはははははは!」
「テンション高いわね!」
フェザーバッジを手に入れたことで、航空高度の制限が解除され、エアが大っぴらに空を飛べるようになる。
ヒワマキシティから飛び立ち、120番道路を抜け、ミナモシティへ。
そしてミナモシティを抜け、大海原へと抜けていく。
駆け抜けるような景色、肌に感じる風、そして普段よりもぐっと近づいた空を太陽に、思わず笑みが零れる。
前世ではきっと一生かかってもできない体験に、思わずはしゃいでしまうのも無理も無いだろう。
「エア、もっと速く!」
「場所も不明瞭なのに、どっちによ!」
「きっとあっち」
「適当過ぎるでしょ!」
エアに運ばれながら、そんな会話をしつつ。
山に囲まれた島のようなものが見えてきた。
「あ、あれだよ」
「着いた…………奇跡ね」
「あははは、主人公だからね、必然だよ、必然」
「何言ってんのよ」
そんなエアの呆れたような声を聴きつつ。
…………ダイビングするよりこっちのほうが絶対簡単だよなあ。
ゲーム内だと、最初はダイビングしないといけない場所にそんなことを思った。
ルネシティは、ゲーム内だと最後のジムがある街だ。
同時に、ストーリーに置いてかなり重要な場所『目覚めのほこら』が存在する場所でもある。
「……………………」
「どうしたの? ハルト」
ポケモンセンター前に着地してみれば、目覚めのほこらは意外と近くに存在した。
ゲームだと画面が見切れて見えなかったけれど、どうやらルネの中央にどどんと佇む巨大な祠の入り口はどこからでも見えるらしい。
祠の入り口を見つめる自身にエアが声をかけてくる、その声に振り返り、なんでも無いと呟く。
「とりあえず今日はセンターで休もうか」
呟き、エアをボールへと戻すと、センターへと入った。
センターにボールを預ける…………と言っても、エア以外はバトルしておらず、回復の必要も無いので、五匹は部屋の中に開放している。
「明日は早速ジム戦ですか? マスター」
「そうだよ、シア。ルネジムは『みず』タイプのジムだからね、イナズマ、頼むよ」
「あ…………はい、頑張ります!」
両拳を握って、ぐっとポーズを決めるイナズマだが、気合いを入れているのは分かるが、逆に可愛らしさが際立って見えて、何となくこちらの気合いが抜け、思わず苦笑してしまう。
「あと、チークも出てもらうかもしれない」
「あいあい、アチキにお任せだヨ」
とりあえず明日はこの二人に任せてみようと思う。
「それじゃあ二人とも、頼んだよ」
そんな自身の言葉に、チークが笑い、イナズマが大きく頷いた。
* * *
原作ゲームだと、どのジム戦でも6体フルメンバーで勝負を挑める。
実際のところ、そう言うジムもあるし、無いジムもある。
実はその辺の裁量と言うのはジムリーダーに一任されている。
先のヒワマキの例を見ても分かるように、突発的に思いつきで変えても別に咎められることは無い。
公式で何体と規定されているわけではないからだ。
それ以外のどうぐの仕様の有無など、ジム戦のルールはジムリーダーに一任されている。
当たりまえだが、挑戦者が絶対不利になるようなルール…………例えば挑戦者よりジムリーダーのほうが出せる数が多いだとか、ジムリーダーだけどうぐを使えるだとか、そんなジムリーダーに一方的に有利なルールは当然ながらやったら即刻ポケモン協会に解雇を喰らうのでできないが、公平性を保ったルールにするも、挑戦者に有利になるようなルールにするも、好きにできるのがジムリーダーだ。
とは言っても、実際ジムに赴けばジム戦ルールは教えてもらえるし、ある程度事前にルールを公表しているジムもある。
ルネシティジムは事前に公表しているほうで。
3対3、道具の使用は無し、持ち物はあり。
割と基本的な3:3のルールで行われている。
こちらの手番はすでに決まっている。
だから翌日、ジムに行き、受付へと向かい登録をしようとして。
「ああ、キミはこちらへ」
「ナギから聞いたよ、キミが今日ここに来ると」
どうやら本当に連絡していたらしい。
「ナギが楽しそうに話していたからね、センリさんから話を聞いていた分もあるし、私もキミに興味が沸いてね」
だから、と呟きながらフィールドの端へ立ち、
「前置きは必要無いだろう…………トレーナーなら」
「バトルで語れ…………ですか?」
それに応えるように、ボールを手にとり。
「基本ルールは三対三。道具の使用は無し、ただし持ち物は除く…………異存は?」
「無しっ!」
互いに振りかぶり。
「行け! チーク」
「さあ行くんだ、スイリュウ!」
『みず』タイプジムだけあり、水張りされたプールの上に足場が用意されたようなフィールドにチークが放たれ、同時に向こう側からギャラドスが登場する。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「わおっ」
ギャラドスの“いかく”でチークが僅かに怯む。だが問題無い、チークは元々火力の必要無い役割だから。
「チーク“
「はいよっ!」
「スイリュウ“じしん”だ!」
「ガアアアアアア!」
やはり積んでいたか、“じしん”!
だがデデンネとギャラドスでは圧倒的にデデンネ…………チークのほうが速い!
水の上の足場を器用に飛び越えながら、ギャラドスへと接近し。
「にししし」
笑いながらその体に抱き着く。そんなチークの行動にギャラドスが一瞬、戸惑い。
「そのまま痺れさせてやれ」
「あいよっ」
“ほっぺすりすり”
ぱちり、と電気を纏い、体に擦りついていく。
「ぎゃううっ」
確定麻痺がギャラドスを襲う。しかも『でんき』タイプは四倍弱点。チークの低い『こうげき』ステータスでも多少の痛手にはなる。
「ぐがあああああああああああああ!」
“ じ し ん ”
水面を大きく揺らしながら、ギャラドスが“じしん”を放つ。
「届かないネ」
だがよく考えてみてほしい。
チークは今、ギャラドスに抱き着いているのだ。
足元で起こる“じしん”が当たるはずも無い。
「振り落とせ!」
「“ボルトチェンジ”」
にしっ、と…………チークが笑い。
“ボルトチェンジ”
その全身に電流を纏いながらギャラドスの体を蹴り、その反動で宙を舞いながらこちらへと戻って来る。
ボルトチェンジは、相手を攻撃したらそのままボールの中へと戻って来る交代技の一つだ。
そして次に出すのは。
「来い…………イナズマ!」
「はい…………マスター!」
ボールから出すのは、イナズマ。
「またヒトガタ…………」
ミクリの目が僅かに細められ。
「スイリュウ“じしん”だ」
「イナズマ“わたはじき”」
「グアアアアアアアアアアアアアアアア!」
“ じ し ん ”!
今度は先ほどの逆、ギャラドスのほうが速く“じしん”を放つ。
ギャラドスの高い『こうげき』から放たれた弱点技である“じしん”をイナズマがまともに受け。
「んー! えいっ」
“わたはじき”
僅かに痛そうな表情をしただけのイナズマが全身に綿毛のようなものを纏う。
巨大な綿毛の塊となったイナズマがぶるり、と身を震わせるとフィールド全体に綿毛が拡散していく。
「イナズマ“じゅうでん”」
「スイリュウ! もう一度“じしん”だ」
「グガアアアアアアアアアア!」
“じしん”
二度目の“じしん”、だがコットンガードで『ぼうぎょ』を大幅に上げたイナズマにさしたるダメージは無い。それを見て取ったミクリの目がさらに細められ。
「ん~~~~~!!!」
ぐっと、拳を握りながら体を丸めるイナズマに、ばち、ばちと電気が収束していく。
ばちんっ、とイナズマの傍で電気が弾ける。
「イナズマ“10まんボルト”!」
「戻れスイリュウ! 行け、ナズ!」
自身が攻撃を指示すると同時、ミクリがギャラドスをボールに戻し代わりに出してきたのは。
「ズゥ~~~」
ナマズンだった。
「やああああああああああ!」
イナズマの指先から電流が迸り、水中を伝ってナマズンへと襲いかかるが…………。
「ズゥ~」
『じめん』タイプを持つナマズンには効果が無いようだった。
ばちんっ、とイナズマの傍でまた一つ、電流が弾けた。
「危ない危ない…………中々に怖いね、キミのポケモンたち」
「透かされたか…………まあいいや」
睨みあい、互いが次の機を測る。
そうして、互いの視線を一瞬交錯し。
「行くぞイナズマ! “きあいだま”!」
「ナズ! “じしん”だ!」
「うう…………やああああああああああああ!」
“ き あ い だ ま ”!
振り抜かれたイナズマの拳、その先から巨大な球体が撃ちだされる。
「ずぅ~?!」
ナマズンの身の丈よりも巨大なその球体がナマズンを襲い、ナマズンが悲鳴を上げながら吹き飛ぶ。
「ナズ?!」
「ず…………ずぅ~…………」
フィールドから弾きだされ、ごろんごろん、と転がったナマズンは、目を回し動かなかった。
「…………こちらが不利か」
ミクリが呟き、ナマズンをボールへと戻す。
「ならば…………キミに頼るしかなさそうか」
そうしてギャラドスとは別のボールを取り。
「頼んだ…………ルリ!」
「はい、マスター!」
出てきたのは…………。
以前のジムリーダー対抗戦でも見たことのある。
* * *
「ルリ“はらだいこ”!」
「イナズマ“わたはじき”!」
マリルリが“はらだいこ”をし、イナズマが先ほどと同様綿毛に包まれながら身を震わせて綿毛の一部をフィールドへと弾き飛ばす。
そうして、次に来るのはきっと。
「ルリ“アクアジェット”!!!」
「イナズマァ“10まんボルト”!!!」
『こうげき』を極限まで高めた上で恐らく特性“ちからもち”によって放たれたアクアジェット…………水の噴流とイナズマが指先から撃ちだす“10万ボルト”が中空で激突し、爆発する。
「イナズマ! 走れ!」
「っ! はい!」
直後の一瞬の間、自身の指示と同時に。
“ で ん じ か そ く ”
イナズマの足元で弾ける電流が、イナズマ自身と反発するようにしてその身を超高速で前面へと押し出していく。
物凄い勢いで水面を進むイナズマに、最後の指示を出す。
「“10まんボルト”ォォォォォォォ!!!」
「ああああああああああああああああああああああ!!!」
先ほどのわざとわざのぶつかりあいによって起きた蒸気を突き破り、イナズマがマリルリへと迫る。
「しまっっ、ルリィィィ!」
ミクリが指示を出そうとするが、けれどもう遅い!
“ 1 0 ま ん ボ ル ト ”!!!
拳に纏った電撃をイナズマがその勢いのままにマリルリへと叩きつけ。
ズダァァァァァァァァ、と派手な音を立てながら、マリルリが吹き飛ぶ。
そうしてフィールドからマリルリが弾きだされそうになり。
「う、ああああああああああああああ!」
その手に持っていたのは
そして。
「“じならし”」
ミクリの言葉に反応し、マリルリが足を上げ…………大地を踏みつける。
瞬間。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、とプールの中に溜まっていた水が勢いをつけて湧き上がる。
ズドオオオオオオオオオオオオオオ、と轟く地響きを立てて、ジムの床が大きく揺れる。
それでも。
「イナズマ」
「ぐ…………ああああああああああああああ!!!」
“10まんボルト”
震える膝で、崩れ落ちそうな体で、それでも。
イナズマが指先から放った電撃が、マリルリの体を撃ち貫き。
「…………きゅう…………」
マリルリが倒れて動かなくなる。
同時に。
「…………参った…………降参だよ」
ミクリが、両手を挙げた。
裏特性:でんじかそく
『でんき』タイプのわざを使用したり、受けるたびに『とくこう』と『すばやさ』のランクが1段階上昇する
取得条件:『こうそくいどう』『じゅうでん』の熟練度を最大まで上昇させ、戦闘中『じゅうでん』⇒『こうそくいどう』の組み合わせを二十回使用する。
電磁加速、イメージは分かりやすいと思う。ただ直線しか進めないイメージしかないけど()
『でんき』わざを使うたびにその一部をちょっとずつ『じゅうでん』していくイメージ。『プラス』と『プラス』で反発するエネルギーをそのまま『速度』にしたり、単純に貯めこんだ『電力』を上乗せしたりとか。
今日は9時には仕事終わるんだ…………帰ってから書けばいいじゃないか、そんな風に思っていたはずなのに。
今日中に書き終わるように寝る前に少しだけでも執筆しとくか。
そんな風に思っていた時期が私にもありました(
がっつり書いてしまった…………やべえ。
かりゅうのまい、について説明すると言ったな…………あれは嘘だ(
いや、書いてたらなんか話の流れ的に出なかった。
でも次こそは、ほとんど会話の無かったミクリさんとはちゃんとお話しするから(
その時には必ず出すし(