ポケットモンスタードールズ   作:水代

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PSO2やってて遅くなった。

ついに、ついに完成したぞ。

7sオフス武器に、6sオフスユニット3種のフルオフス装備!

BrHuなのにドリンク込みでPP211とか言う中々のぶっ飛び具合。
これで俺も廃人装備に一歩足を踏み入れたんじゃないだろうか。

3億メセタ吹っ飛びました(白目)


ドドドドドドドドドな二日目

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

 朝が来る。

 昨晩あんなことがあって、まともに寝れるはずも無かったが、それでも寝なければこんな危険地帯で無駄に体力を消耗するだけだ。目だけでも瞑って体を休ませようとすれば、やがて疲れを取ろうと体も眠りの態勢に入る。

 それでも湧き上がる恐怖心に、完全に意識が落ちることも無く、夢うつつのまま時間だけが過ぎ。

 

「っ!?」

 

 そして。

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 轟音染みた何かの足音で目を覚ます。

 昨晩も聞いた()()()()()が今も壁を挟んで目の前を通り過ぎていく。

 息を殺す、音を殺して、気配を殺し、そしてただひたすらに耐えて待ち続ける。

 

 群れが通り過ぎていくのを。

 

 やがて音が去って行き、洞窟内に静寂が訪れる。

「…………全員、いる、よな?」

 思わず呟いたその一言に、ボールが六つ、かたり、と揺れる。

「…………よし」

 ナビを見る、午前四時と言ったところか。

 何だかんだうつらうつらでも六、七時間は寝れている…………体は軽い。若いって良いな、と前世を思い出しながらしみじみと考える。

 少しだけ引きずった眠気を、ぱんぱん、と頬を叩いて覚まし。

「よし、ご飯食べたら進もう」

 その言葉に、何人かのボールが激しく揺れ、思わず苦笑した。

 

 

 * * *

 

 

 昨日よりも騒がしい。

 

 それが進んでいて思うことだった。

「チーク」

「…………大丈夫、今のとこは」

 先行するチークが一旦戻って来る。尋ねてみれば一つ頷き、そう告げる。

 

 洞窟内はそれほど複雑な道をしていない。

 ただ狭かったり細かったり、天然で出来た穴を拡張しただけのような道は、非常に通りづらい。

 まだ小柄な十歳児の自身がこれだけ苦労するのだから、もっと年上のトレーナーたちがここを通るのは本当に大変であろうことは予想できる。

 と言うか、余りにも細いと、リップルが通れないので一旦戻そうとしたのだが。

 

「ぬるーん」

 

 とか言って、体がすごく変な曲がり方をして隙間を通っているその姿は、正直グロテスクだった。

 と言うか明らかに人体の構造としては間違った通り方をしたと思うのだが、人間ではない、ヒトガタはあくまでポケモンなので多分大丈夫なのだろう…………大丈夫だと信じたい。こいつが例外過ぎるだけのような気もするが。

 

 時々だが、狭い通路を無理矢理押し通ったような拡張された跡や、壁に大きな穴が開いていたりするのは、恐らく巨体のポケモンが通った跡なのだろうと考える。そういう時は近くにその巨体の主がいるのではないかと神経質になりながらも、時折遭遇する野生のポケモンを相変わらずの奇襲でやり過ごしながら進んでいく。

 

 しかしながら、本当に代り映えしない。

 見えるのは岩壁と闇ばかりで、進んでいるのか、戻っているのかどうかすら定かではない。

 いや、進んでいるのはマップナビによって確認はしているのだが。

 

「しかし、長いね」

「そーだねー。地図だとそんなに長くは見えないのにね~」

 思わず呟いた独り言に、後ろを歩くリップルが反応する。

「実際のところ、直線距離自体はそれほどでもないんだろうけど…………それこそ、ミシロからトウカシティへ行くよりかは短いと思う」

 普通に進めば歩いても半日で着く程度の距離である。

「ただ通れる道、通れない道、通りづらい道。道自体が舗装されてなくて歩きづらい上に、いつどこから野生のポケモンが飛び出してくるか分からないって言う怖さがあるからね」

 必然的に足は鈍り、歩みは遅くなる。

「最短三日、って言ってたけど、確かにね。地図上だとそれほどでも無いのに、と思ってたけど…………地図があてにならないこともあるってことか」

 足を止める。地図の上では直進するはずの道。

 

 けれども。

 

「どうしよっかトレーナー」

「塞がってるねえ…………道」

「そうだね…………」

 

 目の前に広がるのは道を塞ぐ崩れた岩の山を前に途方に暮れる三人。

 当たりまえだが、地図上では通れる道だからと言って、こんな巨大なポケモン同士が争い合う危険地帯で道がいつまでも無事なわけも無かったらしい。

 

「マップ変更は…………行けるな、少し戻って隣の道か、チーク頼んだ」

「はいヨっと」

 

 またとてとてとチークが前を歩きだしていき、その後ろをついて歩く。

 手前の道に戻り、分岐路のあたりをきょろきょろと視線をさ迷わせる。

 こちらを向いてこくり、と一つ頷き。

 

 じゃあ行くか、となったところで。

 

 ……………………ドドドドドドドドドドドドドド

 

 足音が響く。

 

「「「っ?!」」」

 全員がはっとなり、周囲を見渡す。

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 道は三つ、一つは来た道、そして一つは今行ったばかりの行き止まり、そしてもう一つが今から行く道。

 どこから足音が響くのか耳を澄ませるが、足音は洞窟内を反響して出所を探らせない。

 

 逡巡は一瞬。

 

 数メートルほど、行き止まりだった道へと戻る。

「…………リップル、溶けろ」

「…………ん、分かったよ」

 

 “どくどくゆうかい”

 

 一瞬、こちらを向いたリップルだったが、やがて一つ頷き、その全身が溶けていく。

 液状、と言うよりは軟体状に変化していくその姿が少しずつ紫色を帯びていく。

 

「イナズマ」

 

 ボールからイナズマを出し。

 

「“じゅうでん”、合図したら明かりを出して」

「了解です、マスター」

 

 “じゅうでん”

 

 ばち、ばちばち、とイナズマの全身を電気が覆っていく。

 それから仕上げに。

 

「シャル」

「ふぁあ? ふぁい!」

 

 洞窟内の暗さにびくつくシャルの背を軽く叩き。

 

「頼んだぞ」

「…………ふぁ…………はい!」

 

 その瞳にしっかりと火が宿ったのを見て、顔を上げる。

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 足音はもう近くまで迫っている。

「…………頼むよ、みんな」

「任せて、どーんと、ぜーんぶリップルが受け止めてあげるから」

「…………できることは少ないですが、頑張りますから」

「あうあう…………だ、大丈夫、やれるよ、ご主人様」

 全員の、そんな頼もしい言葉を聞いて。

 

()()()

 

 “つながるきずな”

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 絆を紡ぐ(全体能力ランクの二段階向上)

 

 心を繋げる(全体能力ランクの共有化)

 

 直後。

 

 

「「「「「オオオオオオオオオオォォォォォォウン」」」」」

 

 

 洞窟の奥、これから向かおうとしていた方向から、闇を切り裂き。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

「イナズマアアアアアアアアアア!」

 

 悲鳴にも似た自身の叫びと共に、イナズマがその全身に溜めこんだ電気を解き放つ。

 バチバチバチバチバチバチ、と光が溢れだし。

 

 ()()()()()()()()()

 

「リップル!」

「はいよ!!!」

 

 飛び跳ね、一斉にこちらへと襲い掛かるガブリアスの群れの前へ、リップルが立ちはだかり。

 

 “ファントムキラー”

 

 その鋭い…………()()()()()がリップルの全身を切り刻む。

「ぐっ…………がああああああああああ!」

 一瞬目を見開き、その想像を絶する威力に耐えたリップルが咆哮を上げる。

 

 そして。

 

「シャル!」

「かげ、ふんだ!」

 

 着地、リップルに受け止められ、重なり合ったガブリアスの影を踏み抜く。

 

 “かげぬい”

 

 一瞬でその動きを止めたガブリアスたちがもがくが…………。

 

 “シャドーフレア”

 

 シャルが両手に生み出した黒い炎がガブリアスのうちの二匹を燃やし尽くし。

 

「こ…………のお!」

 

 “きあいだま”

 

 イナズマの放った拳の一撃に一匹が倒れ。

 

「これでオシマイ」

 

 “りゅうせいぐん”

 

 リップルの“りゅうせいぐん”に撃ち抜かれ、残り二匹も倒れた。

 

 

 * * *

 

 

 チャンピオンロードはポケモンリーグが試練のために用意している一種のダンジョンだ。

 一階の舗装された道を正規ルートとすれば、そこから横道を抜けてショートカットする近道、遠回りをする安全道。

 この中でリーグ側が手を加えているのは正規ルートだけだったりする。

 その他二つは、正規ルートを作った結果、自然とそうなってしまっただけのものであり、昨年までの安全道が今年は近道になる、なんてケースもあったりする。

 マップは毎年予選中に作成されるため、ほぼ最新版のマップとなっているが、昨日まであった道が今日は無いなんてことも偶にあるらしく、マップを妄信してはならないのは、先も学んだばかりである。

 

 では、道以外の部分ではどうだろうか。

 

 道の舗装や篝火の用意以外にリーグが手を加えた部分があるのか…………と言われると。

 

 ある、のだ。

 

 チャンピオンロードに生息する野生のポケモンたち。

 元々住んでいた在来種とは別に、リーグ側が外から持ち込んだ外来種がいるらしい。

 

 恐らく自身が遭遇したガブリアスも、つまりそう言うものの一種、と言うことなのだろう。

 

「くそ…………絶対に殺す気だ、あり得ないだろ、ガブリアスってなんだよ!!!」

 

 さすがの事態に思わず声を荒げる。

 だが考えても見てほしい。

 

 ガブリアスである。

 

 対戦を少しでも齧っているならば、誰だって知ってるレベルで対戦ではメガガルーラと並んでトップクラスにメジャーなポケモンと言っても過言ではないだろうと思う。

 

「…………けどこれ」

 

 倒れ伏すガブリアスを見て、けれど顔をしかめる。

 

「腕…………凄いなこれ」

 

 元々ガブリアスにはヒレのような翼が生えていたが、これはそんな生やさしいものでは無い。

 

 これは、刃だ。

 

 鋭く研ぎ澄まされた、刃。

 通常よりも太く、そしてより長くなった足で洞窟を走り、そうしてすれ違い様に刃と化した翼ですっぱりと一撃。

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

 恐らくチャンピオンロードのガブリアスとはそう言う種族なのだろう。

 洞窟と言う本来ガブリアスが住処としないはずの環境にけれど適応してしまった結果。

 

「…………それに、目、もかな」

 

 真っ白で、何も映さない目。

 死んでいるからとかではない。最初からこうだったのだ。

 

 真っ暗で、闇ばかりで、明かりなど無いから。

 何も見えないから、目を捨てたのだ。

 

 代わりとなる何らかの感覚で獲物を探知し、それを追いかけて狭い洞窟内で飛ぶことはできないから翼をより細く、鋭利に変え、そして足りない速さは太くなった足から繰り出される、力強い脚力で補う。

 最早ガブリアスと言う名の別の何かと化している。

 

 チャンピオンロードの一階にはリーグ側の手が入っている。

 そのため、一階部分にはそれほどおかしなポケモンは出てこない、凶悪なポケモンが正道を塞げばリーグ側が追いやるからだ。

 そうして追いやられ、追いやられ、追いやられ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………一つだけ良かったと言えるのは、こんな場所でトレーナーもバトルしてこないだろう、ってことか」

 

 バトルしている間に、音に反応してやってきた野生のポケモンたちに後ろから襲われかねない。

 いや、そもそも自身の他にこんな危険地帯まだ通っている人間がいるのかどうかは謎だが。

 

「今から変えるか…………? いや、でも…………」

 

 最短ルートを狙うのならば、間違いなくこの地下だろうことは分かっている。

 恐らく一階はバトルをするトレーナーで溢れかえっているだろうから。

 情報の露出、そして連戦。どちらも遠慮したいところだ。

 

 数秒悩み、けれど頭を振って。

 

「…………行くよ、みんな」

 

 決心したような声でそう全員に告げ。

 

 瞬間。

 

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

 再び聞こえてきた音に、顔を引きつらせる。

 それは他の全員が同じ気持ちだったようで。

 

 

「「「「「オオオオオオオオオオォォォォォォウン」」」」」

 

 

 闇を切り裂いて現れたガブリアスの群れ。

 

 

「ふざけんなああああああああああ」

「うわあ……………………うわあ…………」

「ま…………また…………?」

「あう…………あうう…………」

 

 げんなりしながら、けれども手は抜けない。

 抜いた瞬間に死が待ち構える。

 

「リップル、イナズマ、シャル!」

 

 “ファントムキラー”

 

「あーもー!」

 

 “じゅうでん”

 

「は、はい!」

 

 “かげぬい”

 “シャドーフレア”

 

「うにゃあ…………!」

 

 少しだけイラついた様子のリップルがガブリアスの群れを受け止め、イナズマが閃光玉のような光を発し、シャルが影を踏みつけその姿を縫いとめながら全員を燃やしていく。

 

 後何度これが続くのだろうか…………今回はまだ良い、後ろを気にせずいられるから。

 

 もしも…………これに挟み撃ちにされてしまえば。

 

「…………帰りたくなってきた」

 

 そんな泣き言が思わず漏れ出て。

 

 割と切実に早く抜け出したい…………そう願った。

 

 

 

 

 




特技:ファントムキラー
分類:????
効果:????

第一の試練、地表主たちの乱闘、に続く。

第二の試練 ガ ブ リ ア ス の 群 れ !!!



だがまだ絶望には速い。



俺はまだあと三つの試練を残している



アヒャアアアアアアアア(アヘ顔)
最高に楽しい。さいっこうに楽しい。すっげええええ楽しい!

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