甘ちゃん   作:タイダルウェイブ

1 / 1
第1話

一時の暇つぶしほど、探すのに苦労するものはない。

 

見るべきサイトはあらかた見終わり、めぼしいニュースも更新もなく、ため息ひとつ。

夜はまだ長く、することもなくなった僕は、ごろんと横になった。

お金もない。出かける元気も気力もない。

ないないづくしでもう30にもなっていた。

 

仕事は順調かどうかと言われれば、可もなく不可もなく、呪うべきは自分の不努力にも

関わらず社会が悪い国が悪い政治が悪いと稼ぎがない責任を外に押し付け、

遊ぶことには一生懸命なのに勉強するのは乗り気にならない。

屑かごみか。燃やせるものなら燃やしてくれ。少しは熱くなるだろうから。

 

他力本願もいいとこ。自分でなすべきをなさず生み出すものもない僕は、

ただ謳歌するというよりかは惨めに過ぎる気ままな生活を送っている。

明日のことは考えないのに、20年30年後を考えて暗澹としている。

来年のことを言えば鬼が笑うというのに、その20倍、30倍ともなると

鬼もあきれるのではないかと思う。

 

今日は営業に行った。

一件も新しい案件を取れなかった。こんなにも一生懸命話をしているのに、彼らは僕の

言動をつぶさに観察し、信用するに足りぬ人間だと判断すると聞くだけ聞いて

さようなら。何様かと思う。急な質問に対応できるほど経験も積んではいないが、

一生懸命さは誰にも負けないのだ。なぜそれがわからない。

僕なら僕を信用して紹介してやれるというのに。

 

無意味な自信を持ち、偏った知識をひけらかし、

さも自分はできると思っているんだろうが、結果はどうなんだ?案件もないじゃないか。

 

言うな言うな。わかっているんだ。わかっているから言わないでくれ。

僕の心の均衡が保てなくなるから。

 

最近は特に独り言が多くなった。

友達も近くにいないし恋人、妻なんてもってのほか。人間的魅力に乏しいと自覚している

僕自身にとっては、いないのが当たり前。好きになるなんておこがましい。

女性も僕なんか道の石ころと同等、話しかけられれば汚点になると信じてる。

外見は特に自信がないのだ。不細工は草葉の陰に早く行けるよう努力すべきだ。

すっかり見なくなった番組でも、不細工が生き残るのはお笑いくらいのものではないか。

僕は僕の世界だけでもかっこよくいきたいのだ。人未満と言われようが、だ。

 

最近、仕事場のおばちゃんに「甘ちゃんと同年代の息子がいるけど、色々違うのよね」と

言われた。色々とは何だろう。何が違うのだろう。

人じゃないとこから違うのではないか。

申し訳ありません、僕には、僕には、わからないことが多すぎる。

何が違うか教えてくれませんか?一つ一つ直して見せますから、と叫びたい気持ちで

一杯になるが、そこはぐっと我慢。社会人たる者、堪えることもときには必要だ。

かといえば、コミュニケーションが足りない、言葉遣いが変。

どうすればいいの?そんなこと習ってないよ。習ってないからできないよ。

 

どうしてみんなは当たり前に人と付き合い、結婚して、子供を育て、

人生を謳歌できるのだろう。僕には無理だ。無理じゃないと言われても

無理だ、直感がそう告げてる。

無理無理無理無理。何ができるというのだろう。

戯れに死のうかと考えたこともあったが、結局できずにずるずる生きている。

俺は何にために生きてるの?誰が教えてくれるのだろう?

 

みんなは「甘ちゃん変だよ」っていう。自覚してるさ最初から。

でも、その変に振り回された僕もいるが投げかけてきた奴らもひどいもんだ。

人の人生その二文字で縛りつけたんだよ。

 

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

本当に僕はどうしようもない甘ちゃんで、変で、人未満で、働いても役に立たず、

自己が肥大して学生気分のまま、何が悪かったのだろう。

できるならできるなら、もう少し単純な世界に行きたかった。

ただただ単純作業して、歌を時折歌い、本を少したしなむ。

人と違ってもいいじゃないか、なんて偉い人頭のいい人言ってるし僕もそうだと思う。

でも、日本人はそれをわかりつつも変であることに寛容じゃない邪悪な集団とやらに

まとめたがる。

 

かっこよくいえば「枠にとらわれない」、でも芯も一貫性もないぶれた人間だから

枠に入ろうとして馴染めず「なんでなんで」とわめくことしかできない。

正確には「枠に入るのに値しない」が正解だ。我ながらこの表現には賞賛を送りたい。

 

書けば書くほど、僕の心の卑屈さが滲みあふれ出てきている。

どろどろで臭くて、真っ黒な感情があふれ出てくる。僕は人間であるはずだった。

人未満だなんて信じたくなかった。学校の成績は中の上で、ほかの人より

ちょっと優れていたはずだったのに。




思いつくまま気の向くまま書きました。
気が向けば続くかもしれません。
主人公成長するのか、ここで終わってしまうかは
気分の向き次第。
思い切ってファンタジー要素足すのも面白いかも。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。