部活があるため、深夜投稿。
それではご覧ください。
「落ち着いたか?」
「うん・・・」
映画が終わり、自我を取り戻した太宰は己が何をしているのかを理解し、顔を赤くしながら、そっと離れてくれた。
「いや、悪かったな。ホラー選んじまって」
「ううん。言わなかった私が悪いの。変に意地張っちゃって」
いや、俺こそ、なんて言おうとしたけど、このままだと謝罪の嵐になってしまうため、俺は口を閉じた。
「そういや、昼は食って来たのか?もうすぐ12時だけど」
「ううん。実は食べてきてないんだ。言われたらお腹空いてきちゃった」ぐぅぅぅ
太宰がそう言った途端、腹の虫も反応した。恥ずかしそうにお腹を押さえている。
「ふっ、んじゃ、今ある材料で何か作るな」
「うぅ、触れないところはありがたいけど・・・。ていうか、比企谷君料理できるんだ」
「まあな。親が帰り遅いから、俺が作ってたんだ」
て言っても、小町が中学上がる時にはすでに、あまりやっていないんだけどね。変に意地を張ってしまった俺がいる。
「何かリクエストがあるなら聞くが・・・」
「・・・じゃあ、その、できればオムライスをお願いします」
「オムライスね・・・。よし、材料揃ってるから待ってろ」
「はーい」
「できたぞ」
「いただきます。・・・・美味しい!」
「そうか。それは良かった」
「私も料理できるようになりたいなぁ」
当然俺は自分から話題を振ることができないため、数分おきに太宰が口を開いている。
「なんかさ、こうして今の状況を顧みるとさ」
「ん?なんだ?」
「私達、付き合ってるみたいだね」
「ぶっ!な、何言ってんだいきなり」
なんだこいつ?何故突然そんなことを言ってきたんだ・・・。クソっ、なんか弄ばれてるように感じてしまう。
「あはは、比企谷君顔赤いよ」
「うるせー。そう言うお前こそ顔真っ赤だぞ」
「・・へ?」
どうやら気付いていなかったらしく、きょとんと首を傾げながら、自分の顔に手を当てている。
「あ、あれ?何でだろう・・。あははは」
顔の熱を引かせながら、空笑いをする太宰。
昼飯を食い終わった後、本当に何をしようか迷う。今は俺と太宰ともにボーっとしている。すると、太宰はハッとして目を見開き、こちらを向いた。
「比企谷君の部屋ってどこにあるの?」
「は?2階だが、まさか入る気か?」
「え?入れてくれないの?」
「・・・何にもないし。入れる気はねぇよ」
「ええー!お願い、入れて入れて!」
ちょっとぉ、腕引っ張らないで。顔近い近い!なんかすっげぇいい匂いするから。
「おい、離せ。あと近い」
「入れてよー。気になるじゃん」
・・・・・・・・・
「へえ、意外と片付いてるねー」
結局入れてしまった・・・。
「本当に本ばっかりだ。やっぱり色々な文豪の小説持ってるんだね。あ、ラノベもある」
そう言って太宰は俺のデカい本棚を物珍しそうに見て、漁ったりしている。そして、とうとう本を読みだしてしまった。うん、このままでいい気がする。静かだし。・・・・でも君、普通に何の前触れもなく俺のベッドに座って読み始めたね。
太宰が読んでいるのは、太宰治著の『人間失格』。どうやら、本格的に興味を持ったらしいな。一度は止めたが、やはり気になっていたんだろう。
俺も適当に本を手に取り、読み始めた。俺が読むのはリゼロだ。ラノベですよ。
静寂に包まれながら1時間が経った。少し背筋を伸ばし、太宰を横目にやると、目を疑う光景が広がっていた。
座っていたはずなのに、いつの間にか寝ていて、しかも仰向けにベッドで寝てしまっている。
額に手を当てしばしうなだれながらも、特に気に留めないふりをし、再びリゼロの世界に入りこんだ。ああ、太宰が寝る前の時間に死に戻りたい。いや死にたくはないな。
更に2時間後、時刻は17時という、そろそろ家に帰らなければいけない時間だ。・・・太宰はまだ寝ています。起こそう。
「おい、起きろ太宰」
「・・・え?あれ?寝てた?・・」
「思いっきり寝てたぞ」
「ご、ごめん。ついうっかり」
「いや、別にいい。それより、もう日没だ。送ってやるから帰った方がいい」
「うん、そうする。・・・それよりさ、私の寝顔、見た?」
「え?見たけど」
「やっぱり。・・うぅ」
女子って、寝顔見られることがそんなに嫌だったのか。だとしたら悪いことしたな。
「ああ、悪いな。見ちまって」
「ううん。私も寝ちゃったからいいよ」
「そう言ってくれるとありがたい。もう帰った方がいいぞ。送ってくから」
「う、うん!じゃあ、お願い」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そろそろストックが尽きそうです。頑張りますん。
また明日。