本日は東京に行くため、早めに投稿です。
それではご覧ください。
「春歌、最近どう?」
「ん?どうって?」
「彼氏だよ。上手くやってるの?」
「うん。ていうか比企谷君と言い合いとか一度もないし」
相性がいいのか知らないけど、喧嘩とかそういういざこざってないなぁ。それにしたくもないし。うん、平和だ。
「あれ?まだ名字呼びなの?」
「ん?名字呼び?それが?」
首を傾げると、皆に深いため息をつかれた。肺活量を疑うくらいに。ちょっと失礼。
「春歌。普通恋人同士は下の名前で呼び合うんだよ」
「へぇ・・。そうなんだ。初耳」
「全く。これだから恋愛初心者は・・・」
「彼氏いない人に言われてもねぇ・・・」
「ぐっ・・・。とにかく!今日名前で呼んでみな」
「分かったよ。じゃ、行ってくるね」
下の名前だけで、そこまで変わるのかな?
「八幡!」
・・・なんだなんだ?いつものように来て隣に座るのかと思ったら、目の前で俺を見上げるようにしゃがんで急に名前で呼んできたぞ。ハイアングルだと綺麗さが増すんだな。
「八幡!」
「いや分かったから。どうして下の名前で?」
「恋人同士は下の名前で呼び合うって聞いたから」
「まぁ、世間一般ではそう言われてるらしいな」
「じゃ、呼んでみて」
「・・・春歌」
名前で呼んだ途端、互いに目を合わせながらパチリパチリと瞬かせ、静寂が生まれた。
「・・・なんだろうなぁ。よくわからないけど、嬉しい。比企谷君以外の男に呼ばれるのは嫌と感じた」
変なところで鈍感な太宰であった。
「これから名前呼びでいこう。八幡」
「・・・そうだな。春歌」
付き合って4ヶ月ちょい。やっとお互い名前呼びになった。やっとというか、完全に意識してなかったんだけどね。
「もうすぐクリスマスだね。早いなぁ。ついこの間入学したと思ったら」
「そうだな。俺は毎年長いと感じていたが、今年は色々刺激があって、早く感じた」
他の奴と違って、切磋琢磨もすることなく、時間に追われることもなく、悠々自適に時間の流れに乗っていたから、時の流れを遅くする能力でもあるんじゃないか、とバカなことも考えたことあったな。あの頃は若かった。
「クリスマスは毎年どう過ごしてるんだ?」
「24日は友達と遊んで、25日は家族。両親ともイベント好きだから、結構力入れてるんだよね」
という事は、父親の方も結構面白い人なのかな?会ってみたいわ
「ねぇ比企谷君。24日のイブ、一緒に過ごそう」
「友達はいいのか?」
「うん。多分だけど、彼氏と過ごしなさいって言われる」
「そうか。いいぞ。俺も太宰といたかったし」
「嬉しい事言ってくれるね」
「掘り返さないでくれ・・・。ていうか、普通に名字に戻っちゃってんじゃん」
「あ・・・」
全然気づかなかった。違和感がなさ過ぎたもん。
「名字に戻すか?」
「やだ。名前で呼び合う。八幡」
「はいはい。分かったよ春歌」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
夏休みの後も続いてほしいと言われて凄い嬉しかったですが、夏休みの企画なので、8月31日には完結させます。
また明日。