俺の高校生活は、彼女によって変化が訪れる   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

そろそろ他のシリーズも投稿しなきゃな。今日には投稿できそうかもしれない。

それでは、ご覧ください。


3日目

今日は雨が降っているため、仕方なく嫌々昼食を教室で食べている。耳につんざく大きな声や叫び声、甘ったるい若者現代用語が、とても鬱陶しい。なので俺は、素早くパンを胃に流し込み、喧騒の中を逃げるように、教室を出た。

 

特に行くところもないので、マッカンでも買おうと思い、手に小銭をもって、自販機に向かう。

 

ボタンを押し、ガシャンと出口に落ちてきたマッカンを拾い、その場で一口だけ煽る。

 

「あ、比企谷君」

 

「ん?太宰か」

 

壁に背中を預けながら、喉を潤していたら、最近何かと接している太宰が目の前に現れた。彼女は俺の名前を呼んだ後、ちょっと待っててと言い、紅茶を購入した。

 

「あそこのベンチに座ろう」

 

「え、いや・・・」

 

即座に拒否をしようとしたが、太宰の苦笑交じりな表情に、目は真剣な意味が込められていて、ここで退却することが、とても失礼だと思った。

 

「実は、比企谷君に言いたいことがあってね」

 

一見愛の告白の前触れのように聞こえるが、太宰の微笑している顔を見ると、もっと違う何かがあるんだと見て取れる。

 

「ありがとう」

 

「・・・・え?」

 

彼女の言う事を予想していたわけではないが、あまりにも唐突な感謝の言葉に、俺は戸惑いを隠せなかった。

 

「ほら、入学式の日、ナンパから助けてくれたでしょ?」

 

「・・・・あー、あの時の女子って、太宰だったのか」

 

「そう。ずっと言いそびれちゃったけど、ちゃんとお礼を言いたくて。遅いかもしれないけど、ありがとう」

 

彼女は俺に向かって、頭を下げた。

 

「いや、頭を下げられても困る。そういう目的で助けたわけじゃない。ただ、体が勝手に動いただけだ」

 

「随分と謙虚だね。こういうのって、案外できそうでできないことなんだよ?もっと自分を誇らなきゃ」

 

「生憎、俺に誇れるようなものは何もない。強いて言えば、暗いボッチなこととこの濁った眼くらいだ」

 

俺は胸を張りながらそう言うと、彼女は不満げな顔をして、俺の目の前に立ち、両手で頬を引っ張ってきた。

 

「ふぉ、ふぉい。ふぁふぃふぉふふ!(お、おい。なにをする!)」

 

「私、そうやって自分で自分を陥れる人は、嫌いだよ」

 

更に太宰は顔を近づけ、真剣な目でそう言ってきた。ちょっ、近い近い!美人な分より緊張が走り、触れなくても顔が熱くなっていくことが確認できてしまう。

 

「ふぉ、ふぉふぃふぁえふふぁふぁふぃふぇふふぇ!(と、取り敢えず離してくれ!)」

 

「もうしませんは?」

 

何でこいつ聞き取れてるんだよ!あと、もうしませんは?ってお前は母ちゃんか・・・。

 

「ふぉふふぃふぁふぇん(もうしません)」

 

「うん、よろしい」

 

解放された頬を撫でると、少しだけ温かくなっていた。これは緊張のせいではなく、あくまで引っ張られたからだ。うん、そうだ。

 

「じゃ、改めて、ありがとう」

 

三度目の感謝の言葉と共に、手を伸ばし、握手を求めた太宰。俺はここで無視することは出来ず、彼女の手を握った。

 

「じゃあ、これで比企谷君の誇れるものが一つ消えたね」

 

「・・は?」

 

「ボッチが誇りだったんでしょ?私という友達ができたんだから、もうボッチじゃないよね」

 

「え?友達?」

 

「うん。あ、そうだ。連絡先教えてよ」

 

突然の友達宣言に戸惑いながらも、俺は自分の携帯を彼女に渡した。

 

「普通に人に携帯渡したね」

 

「俺、交換の仕方とか分からないし。別にみられて困るようなものもないからな」

 

「そっか。・・・よし、終わったよ」

 

電話帳には、『太宰春歌』という文字が、シンプルに映っていた。

 

「じゃ、またね~」

 

太宰はこちらを見ながら手を振り、その場を去った。俺も振り返しておこう。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

現状では、3年生になる少し前で終わりにしたいと思っています。完結する日が決まっているから、どう進めようか結構悩みどころです。

また明日。

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