それではご覧ください。
さぁ、高校生になって少し浮かれている皆に最初の関門、中間テストが今月に始まります。テストまで残り2週間。と言っても、俺にとっちゃそこまで苦労するものではない。普段から勉強はしているし、文系なら1位だってとったことのある実力者だ。理系に関しては触れないでほしい。赤点ではないものの40点台だから、あまりいい気はしないのだ。
今日もテストに向けて勉強、と少し意気込んでシャーペンを握ると、スマフォに一通のメールが届いた。・・・・太宰春歌からだ。何故フルネームで言ったかというと、太宰だけだと、過去からメールがきたって思われて怖がられるから。
メールの内容は
『タスケテ』
いやこわっ!何でこいつはわざわざカタカナにしたんだよ。それだけ大事なことだというのか?何があったのか聞くために、何事だ?と簡潔な返信をした。
そして30秒足らずで返信がきて、あまりの速さに少し驚きながら、メールを開いた。
『テスト』
はい、もうわかりました。この3文字だけで全て把握してしまいました。こいつも浮かれちゃった軍の一味だ。
続けて、太宰からメールが送られてきた。
『今どこ?』
う~ん、まぁ勉強見てあげる分にはいいか。ちなみに俺がいるのは図書室の自習スペースだ。当然一番隅っこ。
太宰にもそうメールで伝えた。そして、数分後、図書室に入り、俺の姿を見るや否や、小走りでこちらに来た。
「勉強教えて!」
「ここ図書室だから静かにな。それで、何で俺なんだ?友達に頼めばいいだろ?」
「だってみんな、塾やら家庭教師やらで勉強してるっていうから・・・」
なら、学校で教えてもらえばそれでいいだろう。と言おうとしたが、今にも涙目の太宰を見ると、とてもそれは口にはできなかった。
「だから教えて」
「わ、分かった。分かったから、Yシャツを引っ張るな」
そんなわけで、太宰の勉強を見ることになった。
「で、何で隣に座ってるんだ?」
「え?こっちの方が色々と教えやすいでしょ?」
何でこいつはこうも無自覚なんだ?もしかして俺が気にし過ぎなのか?いやそんなはずはない。いくら友達でも警戒くらいはするはずだ。だが、太宰からはそう言うのが全く見えない。俺、いつからそんな太宰に信用されるようになったんだ?
「それで、何が苦手なんだ?」
もういいや、と俺は諦め、太宰の勉強の手伝いを始めた。
「文系」
「その中で一番苦手なのは?」
「・・・現国」
「お前太宰なんだろ?何で現国ができないんだよ・・・」
「名字関係ないでしょ!別に太宰治の血を引いてるわけじゃないんだから」
いや、血も関係ないと思う。てっきり同じ名字だから、色々本を読んでいると思っていたが、そうではないらしい。だってほら、国木田花丸ちゃんだって、台車に積むほど本を買って読んでるんだよ。
「・・・・まぁいい。取り敢えず、分からないところがあったら、言ってくれ」
「うん。ありがとう♪」
それから2時間くらい、俺の家庭教師が始まった。最初は俺に聞いてばっかだったが、呑み込みが早いのか、一度聞いたところはほとんど出来ていた。彼女は定型的なやればできる子なのだろう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
また明日。