FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
ハルトは腕を振るい、相手を引き離す。
フライパンを持った男が距離ができるとまた話しかけてきた。
「君達は魔導士の弱点を知っているかね?」
「乗り物に弱いことか!?」
「変な二つ名を呼ばれることか!?」
「よ、よくわからんが、それは個人的なことではないかね?」
「に、兄ちゃん!相手のペースに乗せられてるぜ!」
「はっ! ん、んん!」
この二人は兄弟なのか、もう一方の男に注意され、気をとりなおし、
話を戻す。
「答えは肉体だ」
「肉体?」
「魔法とは知力と精神力鍛えねば身に付かん」
そう言いながら、ハルトとナツに接近し、フライパンを振るう。
ハルトとナツは跳んで躱すが、ナツにもう一人の男が接近し蹴りを繰り出す。
「その結果、肉体の鍛錬が疎かになる」
すると、その隙にフライパンを持った男がナツの脳天を目掛けて振り下ろす。
ドゴォ!!
ナツは避けたがナツかいた場所は陥没していた。
「つまり、日々体を鍛えている我々には力もスピードも敵わないということだ」
「そう言うわりにはさっきから攻撃が当たってねぇぞ」
ナツは相手を茶化すような動きをする。
ナツの言うとおり、さっきからバニッシュブラザーズの攻撃は当たっていない。
「…確かにスピードは大したものだ」
「兄ちゃんアレなら避けられねえ!!」
「うむ!」
「「合体技だ!!」」
弟が兄の持つフライパンに乗る。
「何故、我々がバニッシュブラザーズと呼ばれるか教えてやる!」
「“消す”、そして“消える”からだ」
「「天地消滅殺法!!」」
そう言った瞬間、兄は弟を乗せたフライパンを勢いよく上へ振り上げた。
「ん?なんだ?」
ナツが空に飛んだ弟に目を向けると、
「ナツ!!」
「天を向いたら…」
ハルトがナツを呼ぶがナツに近づいていた兄がフライパンを突きだすのが早かった。
「地にいる!」
「うごっ!」
ハルトが本棚に突っ込んだナツを助けに行こうとすると上から声が聞こえた。
「地を見たら…」
空中にいた弟がハルトに向かっていた。
「天にいる!」
「ぐっ!」
弟はハルトに蹴りを当てるが、ハルトは腕をクロスして防ぐ。
「「これぞバニッシュブラザーズの合体技、天地消滅殺法!!」」
「ちっ…」
ハルトはナツが突っ込んで行った本棚を見た。
「ふむ…、流石は噂に名高い覇王だ。一度では倒せなかったか」
「だけど、兄ちゃん。一人は倒せたぜ?」
弟は得意気に言うが、ハルトが呆れたように言う。
「はぁ? ナツがこんなんでやられる訳ないだろ」
「ふん、そんな虚言、ある訳が…」
ガラガラ…
「「!!?」」
バニッシュブラザーズの言葉を遮るように、ナツが突っ込んだ本棚の瓦礫が崩れる音が聞こえた。
そこには多少傷が見えるが無事な姿のナツが立っていた。
「イテテ…、綺麗にくらちまった」
「大丈夫か、ナツ?」
「おう! 次はこっちからだぜ!!」
あまりにも元気な姿にバニッシュブラザーズは戸惑ってしまう。
「バカな!! まともにくらって無事だと!!?」
「くらえ! 火竜の…」
ナツが魔法を放とうとするのを気づき、兄はフライパンを構える。
「咆哮!」
「来た!火の魔法だ!」
「ふっ終わったな」
ナツが放った炎は兄が持つフライパンに吸い取られていった。
「対火の魔導士専用、火の玉料理《フレイムクッキング》!!」
「!?」
「私の平鍋は全ての炎を吸収し、威力を倍にして吹き出す。自分の炎で焼かれろ!」
吸収された炎はさっきのより勢いよく、ナツに遅いかかった。
しかし、そこにハルトが割り込む。
「俺がいることを忘れてんじゃねぇぞ! 覇竜の剛腕!」
「何!?」
ハルトは自分とナツを守れる程の大きさの腕を出し、炎を防ぐ。
それを見たバニッシュブラザーズは唖然とするだけだった。
「お、お前達は一体何者なんだ!」
その質問にハルトとナツは不敵に笑い、答える。
「「妖精の尻尾の魔導士だ、覚えとけ!!」」
「うしっ! ナツ、今度はこっちの合体技を見せるぞ」
「おっしゃあ!!」
「「!!」」
ハルトとナツは両手に魔力、火を纏わせ、同時に飛び出し、即座にバニッシュブラザーズに近づく。
ナツが縦横無尽に腕を振るい、拳を相手に当てて行くのに対して、ハルトはナツにスピードとタイミングを合わせ隙を埋める様に攻撃を繰り出す。
紅と金が綺麗に空中で線を描いている様にも見えるが、二人が攻撃を繰り出す様はまさしく二頭の竜が乱れ舞っている様に見える。
故にこの技の名は…
「「紅金竜双乱舞!!!」」
「「ぐわあぁぁぁぉぉ!!!」」
バニッシュブラザーズは一瞬のうちにボロボロになってしまった。
「ふぅ〜」
「じゃあ、ルーシィを迎えに行くか」
二人は大して疲れた様子を見せずに、ルーシィが進んで行った道を進んだ。
その様子を辛うじてまだ意識があったバニッシュブラザーズの兄の方は薄れていく意識の中、ハルトたちを見ていた。
(あれほどの大技を出してあの余裕。実力は本物だったということか。無念・・・)
それを最後に気を失ってしまった。
ハルト&ナツ、バニッシュブラザーズに勝利。
○
ここはエバルー屋敷の地下水道、ルーシィはここで本を風詠みの眼鏡という本を何倍ものスピードで読める魔法具で読んでいた。
その様子はとんでもないものを見つけてしまった顔をしていた。
「まさかこんな秘密が隠されていたなんて…
この本は燃やせないわ」
彼女はこの本の秘密を見つけ、決意を新たにする。
「早くカービィさんに届けなきゃ」
さっそくカービィに届けようと立ち上がるルーシィだが、彼女の背後にある壁が不自然に盛り上がる。
「ボヨヨヨ…風詠みの眼鏡を持ち歩いているとは、小娘、貴様を中々の読書家のようだな」
エバルーは壁から上半身のみを出し、ルーシィの両腕を掴む。
ルーシィは両腕を掴まれ、余りにも力が強いため身動きができない状態だ。
しかも、腰に付けていた星霊の鍵が入っているホルダーはエバルーに捕まった際に反動で落ちてしまった。
「さぁ、言え!何を見つけた!」
「誰がアンタなんかに教えるもんですか!アンタは文学の敵だわ!」
「ボヨヨヨヨ。我輩のように偉くて、教養のある人間が文学の敵だと?」
「あんな変なメイドを連れている人間に教養なんて・・・」
「我輩の“美人”メイド達を愚弄するでない!」
「痛っ!!」
怒ったエバルーはルーシィの腕を掴む手に、さらに力を加える。
腕からはギリリッと嫌な音がなる。
「さぁ、早く秘密を言え!でなければこの腕をへし折るぞ!」
エバルーはハッタリではなく、本気で折ろうとしているがルーシィはこんな奴に負けたくない、何よりこの本の秘密をカービィに伝えなくてはいけない、という気持ちがはっきりとあった。
だから、エバルーに対する答えもはっきりとしている。
「アンタなんかに……教える訳ないでしょ、べーだ」
舌を出し、反抗の意思を見せる。
その態度に遂に我慢の限界がきてしまったエバルーは顔を怒りで赤くし、さらに手に力を入れ、大声を出す。
「調子に乗るでないぞ小娘ぇ!その本は我輩の物!我輩がケム・ザレオンに書かせたんじゃからなぁ!つまり本の秘密も我輩のものじゃあ!」
「あぐ…」
(このままじゃ、本当に腕がぁっ…)
どんどんエバルーは手に力を入れる。
ボキィ!
とうとう嫌な音がなってしまったが、その音はルーシィの腕からではなかった。
「おおうっ!?」
「マタムネ! ハッピー!」
マタムネとハッピーがルーシィの腕を掴んでいた腕に全速力の飛び蹴りをくらわせた。
ハッピーとマタムネは反動を利用し、回転をして地面に着地しようとしたが、そのまま下水に落ちてしまった。
「……」
「何だこの猫どもは!?」
「ばばぶべべぼじゃぶ」
「ばっびぃでぶ」
「“マタムネでごじゃる”と、“ハッピーです”だってさ
というか、早く上がってくれば?」
「びぶきぼびいいでぶ」
「それ下水よ?」
「おのれぇ…」
「形勢逆転ね。見逃してくれるなら許してやってもいいけど?」
落ちたホルダーを拾い、一本の鍵をエバルーに向けて言うが、エバルーは直ぐに笑みを浮かべる。
「ほう、貴様星霊魔導士か。だが文学少女の割には言葉の使い方を間違えておる。形勢逆転とは勢力の優劣状態が逆になること。
そして、猫2匹増えたところで我輩の魔法“土潜”《ダイバー》は負けん!!」
エバルーは再び地面に潜り姿を消す。
「あれって魔法具だったんでごじゃるか」
「ってことはエバルーも魔導士!?」
ルーシィは地面、壁から現れるエバルーの攻撃を躱しながら、話す。
「この本はアンタが主人公のヒドイ冒険小説だったわ」
「我輩が主人公なのは素晴らしい。しかし、内容はクソだ。ケム・ザレオンのくせに駄作を書きおって!」
「無理矢理書かせたくせに、偉そうな事を!」
「偉そう?違う、我輩は偉いのじゃ。その我輩の物語を書けるなど光栄なことであろう!」
「脅迫して書かせたんでしょ!」
「それがどうした?結局ヤツは書いた!我輩がいかに偉大か気付いたのだ!」
その言葉にルーシィは怒り、さっきよりも大声を出した。
「違う!!彼はアンタから家族を守る為に書いたの!自分の作家としての誇りを捨ててでもね!」
「貴様が何故そこまで知っている?」
疑問に思ったエバルーは攻撃をやめ、地面から出てくる。
ルーシィは持っていた本をエバルーに見せつけるように出す。
「書いてあるからよ、この本に、全部ね」
「その本は読んだ。しかしケム・ザレオンを含めそんな事は何一つ書いてなかったぞ」
「勿論、この本は普通に読めば彼が書いたとは思えない程の駄作。だけどケム・ザレオンは元々“魔導士”」
ルーシィが魔導士の部分を強調して言う。
それにより、エバルーは気づいた。
「・・・まさか!?」
「そう、彼は最後の力を絞って・・・この本に魔法をかけた!」
「魔法を解けば我輩への恨みを綴った文章が現れる仕組みか!?」
エバルーがそう言うが、ルーシィは深いため息を吐くだけだった。
「発想が貧困ね。確かにこの本が完成するまでの経緯も書いてあった。 でも、ケム・ザレオンが本当に伝えたかった言葉はそんな事じゃない。本当の秘密は別にある」
「何ぃ!?」
「だからこの本は絶対にアンタに渡さない! “本当の持ち主”の元に届けるんだから!」
ルーシィは鍵を構え、魔力を込める。
その輝きは決意と共に強さを増していった。
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