FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
海を走る一隻の船には六魔将軍との激闘を終えた妖精の尻尾のメンバーと、元化猫の宿のメンバーが乗っていた。
「ああ……船って潮風が気持ちいいんだな」
「いつものナツじゃ滅多に経験できない事だね」
いつもなら真っ先に乗り物酔いでダウンしてしまうナツだが、今はウェンディの酔い止めの魔法トロイアが効いている為、ナツは気持ち良さそうだった。
「乗り物っていいモンだなーオイーーー!!!
今までに無い体験をしている為か、大ハシャぎで船を走り回るナツだか……
「あ、そろそろトロイアが切れますよ」
「おぷぅ…!」
ウェンディがそう宣告した途端に、いつもの乗り物酔いが再発し、床にこけた。
「も…もう一回かけ…て……おぶ…」
「連続すると、効果が薄れちゃうんですよ」
「大丈夫ですか? ナツさん」
「放っておけよ。そんな奴」
「あはははっ!」
ナツを心配するウェンディとレインにグレイが呆れたように言い放ち、ルーシィはそれを見て可笑しそうに笑う。
激闘が終わり、皆それぞれのギルドに帰ることになったが、その時に色々と変化があった。
まずレインたち、化猫の宿組は新たに妖精の尻尾に入ることになった。
また青い天馬のレンと蛇姫の鱗のシェリーがいつのまにかいい感じになったりと色々あった。
その中でもルーシィにはエンジェルが所持していた3体の星霊スコーピオン、アリエス、ジェミニが新たなオーナーとして契約してほしいと頼まれ、ルーシィの星霊となったのだ。
「やべぇ……誰かたすけてくれぇ………」
「すいませんナツさん……」
「アンタが謝らなくていいでしょ!」
「ナツくーんだいじょーぶー?」
「もうナツったら……ねえハルト。ハルト?」
「………」
ルーシィは隣に座ってたハルトに声を掛けるがハルトの耳には聞こえておらず、ローバウルとの会話を思い出していた。
○
ローバウルが皆の前で自身の正体と過去を明かす前、ハルトと2人で話している時だ。
「………わかった。ウェンディたちは俺たち妖精の尻尾が預かる」
「頼みますぞ……」
「それでニルヴァーナのことについてだ。教えてもらうぞ」
ローバウルは皆の前で説明した通りのことをハルトに話した。
「アンタが死んでて、亜人って……盛りだくさんだな……………もう一つ聞きたい」
「何でしょう?」
「どこでニルヴァーナのことを知ったんだ?話を聞く限り、アンタら封印されてたニルヴァーナを使ったんだろ?何で封印されてたニルヴァーナのことを知ってるんだよ?」
「それは………」
ローバウルが言い淀む。
「何だ?言いにくいことなのか?」
「いや…そう言う訳では……何故かそのことを思い出そうとすると記憶がボヤけてしまい………」
ローバウルは額に手を当てて、悩む素振りを見せる。
「確か……黒い男に……いや……女じゃったか?とにかく黒い人物にニルヴァーナの存在を教えてもらったのじゃ」
○
ハルトが教えられた『黒い人物』……ハルトはそれがとても気になっていた。
(『黒い人物』……)
「……ト……ハルトってば!!」
「うおっ!?」
「もう!聞いてる?」
「お、おう……悪い少し考えごとしてた……」
「大丈夫?船が出てからずっと何か考えてるわよ?」
ルーシィが少し心配そうに聞いてくるが、ハルトは笑ってみせた。
「大丈夫だって。俺も乗り物に乗れることが嬉しくてな」
「そう?ならいいけど……」
ルーシィはそう言って談笑の中に加わっているウェンディたちを見る。
「またギルドが楽しくなるわね!」
それを見たルーシィはハルトに笑顔を見せると、ルーシィの眩しい笑顔に釣られてハルトも笑顔になる。
「………そうだな」
「あっ!ハルトさん、そろそろトロイアが解けますよ」
「おぷぅっ!」
「キャー!!ハルトー!!」
「おうおう、こっちもか」
「ハルトさん大丈夫ですか!?」
「大丈夫でごじゃるよレイン殿。いつものことでごじゃる」
「そっかー」
「アンタは順応が速すぎるのよ」
新しい仲間を乗せた船は悠々と家路を進んで行く。
○
マグノリアに着き、ギルドに戻ったハルトたち。
そしてそこでウェンディたちの自己紹介が行われた。
「……と言う訳で、ウェンディ、レイン、シャルル、ミントを妖精の尻尾に招待した」
「「よろしくお願いします!」」
「よろしくー」
ハルトが先導し、シャルル以外のウェンディ、レインは頭をぺこりと下げ、ミントは手を上げて挨拶した
「かわいーっ!!!」
「こっちの子もかわいいわー!」
「ハッピーのメスが二匹もいるぞ!!」
「みんな、おかえりなさい」
「おジョーちゃんたちいくつ?」
新しい仲間の加入に、騒ぎ立つギルドのメンバーたち。
そこにハルトは注意をいれた。
「あっ、あとレインは男だからな」
『何ーーーー!!!!!?』
ギルド中の男が驚きの声を上げた。
「そ、そんな……」
「男だったなんて………」
「いや!俺は男の娘でもイケる!!」
「おい…コイツヤベェぞ」
男たちは少しの間だけ、阿鼻叫喚した。
ウェンディたちの自己紹介が終わり、皆は新ためて騒ぎ立つ。
「マスター」
「うむ、よくやった。これでこの辺りもしばらくは平和になるわい。もちろん、ウェンディたちも歓迎しよう」
そう言ってエルザに優しい笑顔を浮かべるマカロフ。
「ルーちゃんおかえり~!」
「レビィちゃん!!」
「よく無事だったな」
「だんだんルーシィが遠い人に……」
「ルーちゃーーーん!!!」
「きゃっ!もう、おおげさなんだから」
ルーシィの帰還を抱きついて喜ぶレビィ。
「ジュビア……心配で心配で、目から大雨が…」
「うえっぷ!!溺れる!!?」
「おいグレイ!!早く止めてくれ!!」
「何でオレが…!!」
ジュビアの洪水のような嬉し涙に巻き込まれ、溺れそうになっているグレイ。
「んでよォ、ヘビが空飛んで…」
「ヘビが空なんか飛ぶかよ!!漢じゃあるめーし」
「漢関係ないと思う……」
興奮気味に討伐作戦の事を話すナツ。
「よお!カミナ!」
「何だ無事だったのか。野垂れ死んでると思ってたがな」
「相変わらずだなお前は……!」
「ふっ……」
カミナを見つけたハルトは挨拶するが、カミナの毒舌に頬をヒクつかせ、カミナはそれを見て少し笑う。
なんやかんやでカミナも心配だったのだ。
ウェンディたちが楽しそうにギルドを眺めているとミラが話しかけてきた。
「初めましてミラジェーンよ」
「レイン!!シャルル!!ミント!!本物のミラジェーンさんだよ!!!」
「うわぁ、綺麗だなぁ……」
雑誌で有名人であるミラに会えたウェンディは興奮し、レインはミラの美しさに惚けてしまう。
「あら、ありがとう♪嬉しいわ」
「えへへ……」
「むぅ〜……」
「あらあら♪」
レインがミラに照れる様子を見せるとウェンディは少しむくれる様子を見たミラは楽しそうだ。
「シャルルはたぶんハッピーと同じだろうけど、ウェンディたちはどんな魔法を使うの?」
「ちょっと!!!オスネコと同じ扱い!?」
「実際そうじゃーん」
「アンタは黙ってて!!!」
ハッピーと同じ扱いにされたのが気に喰わないのかそう怒鳴るシャルルにミントが宥めるがシャルルまた気に食わなさそうに怒鳴るが、周囲は特に気にした様子はなく会話を続けた。
「ウェンディとレインはどんな魔法を使うの?」
「私……天空魔法を使います。天空の滅竜魔導士です」
「僕はこの槍と水魔法を使います。ウェンディと同じで水の滅竜魔導士です」
ウェンディとエリオの言葉に、ギルドの面々は驚愕し、固まる。
「あ…」(信じて…もらえないかな……)
そんなメンバーたちの反応を見たウェンディとレインは顔を俯かせるが……
「おおっ!!!!」
「スゲェ!!!!」
返って来た言葉は、2人の予想したものではなかった。
「ドラゴンスレイヤーだ!!!!
「すげーーーーっ!!!!」
「ハルトと同じかっ!!!!」
「ナツとガジルもいるし、このギルドに5人も滅竜魔導士か!!!!」
「珍しい魔法なのにな」
さらに盛り上がるギルドメンバーたちの歓喜の言葉に、3人は思わず笑顔になる。
「今日は宴じゃー!!!」
『おおおおおっ!!!!!』
「ウェンディたちの歓迎会じゃー!!!騒げや騒げっ!!!!!」
「ミラちゃーん、ビール!!」
「はいはーい」
「うおおおおおっ!!!!燃えてきたぁぁ!!!」
「きゃああああ! あたしの服ー!!!」
「何やってんだナツ!!!!!」
「げっ!ハルト!?ぐほっ!!!」
「ゲヘヘヘ……やっぱりルーシィ殿の胸はいいでごじゃるなぁ〜」
「寄るなエロネコ!!!」
「ぐはぁっ!!!」
マカロフの宣言と同時に歓迎会と言う名の宴が始まり、一気にお祭り騒ぎになる妖精の尻尾。
騒ぐ者、食す者、酒を飲む者、歌う者など、皆それぞれが思い思いに大騒ぎを始めた。
「これが妖精の尻尾……!!」
「楽しいトコだねシャルル、レイン、ミント」
「うん!!!」
「だねー!」
「私は別に…」
楽しそうに大騒ぎをする面々を見て、シャルル以外の新人メンバーも楽しそうにそれを眺めている。
「……………」
そしてギルドの2階にはそんなウェンディとレインを静かに見下ろしているミストガンの姿があった。
3人の姿を見たあと、ミストガンは黙ってその場を去った。
○
ウェンディたちが妖精の尻尾に歓迎されているころ……
ニルヴァーナの跡地には多くの評議院の人間がニルヴァーナの調査を行なっていた。
「おい!こっちに観測機を持ってきてくれ!!」
「魔水晶の破片は発見できたかー!!」
「まだでーす!!」
「今日中にはニルヴァーナの魔水晶の破片を発見するぞ!!!」
全員が忙しなく動くなか、1人だけ異様な人間がいた。
全身を黒の服装で揃えた人物がゆっくりと評議院の人間の間を通り抜けていく。
まるで1人だけ別の世界にいるかのように………
そしてその人物はニルヴァーナが塵となった場所にたどり着き、その場にしゃがみ込む。
「古くて劣化しているとはいえ1人で超魔獣を倒すなんてハルトは流石だな〜………アイツの息子なだけはあるよ」
その声は男か女かわからない声だったが、楽しそうなのはわかる。
そうして瓦礫のはへんや砂利を手でどけていると何かを見つけ、瓦礫の中に手を入れた。
「み〜つけった!!」
瓦礫から手を抜いた男の手には緑色のほうせきのようなものが握られていた。
「うんうん♪こいつは無事だったかーよかった〜!!」
その人物は嬉しそうに声を上げる。
するとそこに評議院の隊員の1人がやってきた。
「おい!貴様!!ここで何をやっている!!ここは立ち入り禁止だぞ!!!」
隊員は杖を構えて背後から近づいていく。
「怪しい奴め……来い!あっちで話を聞く!!」
しかしその人物は立ち上がった状態から動かない。
「……おい!!聞いているのか!!!」
隊員は肩を引っ張り振り向かせた瞬間、その人物は片手で隊員の顔を鷲掴みに持ち上げる。
「ゔ〜…!!!ゔ〜…!!!」
「あのさ〜塵のくせにさぁ。邪魔しないでくれる?」
隊員はその人物の腕にしがみつき、もがいたり、叫ぼうとするが腕は全く動かず、声も出ない。
「消えろよ」
○
そしてそのすぐ後……
「おーい!どこにいるんだぁ!!班長が呼んでるぞー!!」
怪しい人物を追いかけて行った仲間を探しにきた隊員が先ほどの場所に来たが………そこにはもう誰の姿も無かった。