FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第123話 神剣フィオーラ

ハルトたちかハルトが拳の連打を放つがジェイドは全てを避け、鞘に入った剣の腹で受け流す。

 

「覇竜の剛拳!!」

 

強力な正拳突きをジェイドは剣で受け止めた。

ギリギリと音がなるハルトの拳とジェイドの剣。

押し切ろうとするハルトの力にジェイドは少しずつ押されていく。

 

「フッ!」

 

ジェイドは少し刀身をずらし、ハルトの力をずらすと拳を上に打ち上げた。

それと同時に鞘も上に飛んでいき、翡翠色の刀身が現れる。

ジェイドはハルトの顔に向かって突きを放つ。

 

「危ねっ!!」

 

ハルトは寸前のところで突きを躱し、少し頬を切るだけだった。

 

「覇竜の旋尾!!」

 

蹴りを放つがジェイドはそれも容易に躱し、剣を構える。

再び両者はぶつかり合い、魔力を帯びた拳と剣が何度も打ち合う。

魔力を帯びたハルトの拳は鋼鉄にも勝る強度を持つが暫く打ち合うと変化が現れた。

 

「ぐっ!?」

 

「……」

 

ハルトの右腕がジェイドの切り上げで縦に斬られてしまったのだ。

 

「イッテ……」

 

血が流れる右腕を見るハルトはそこまで深くないと判断し、再び剛拳を放とうと右拳に魔力を込めるが籠めた魔力が霧散してしまった。

 

「は?」

 

「シッ……!」

 

突然霧散した魔力に驚いたハルトにジェイドは容赦なく斬りかかる。

ハルトは一端距離を取郎とするがジェイドがそれを許さず、剣を振り続ける。

 

「クソッ……覇竜の踏破!!」

 

足に魔力を込め、地面を思いっきり踏みつけると辺り一面に魔力の波がハルトを中心に広がりジェイドを離す。

また右拳を作ろうとするが右腕に力が入らない。

 

「力が出ねぇ……その剣、神器か?」

 

「正解だ。『神剣フィオーラ』我が国に伝わる伝説の剣だ」

 

「チッ、やっぱりそうかよ。その剣見てから体がゾワゾワすんだよ」

 

「………神器ってのは色々とカテゴリーがあるらしい。殺すためのものもあり、守るためのものもある。この剣は殺すためのものだ」

 

ジェイドは剣をハルトに見せるように掲げる。

ハルトはそれだけで剣への嫌悪感が強くなる。

 

「『ドラゴンキラー』、それがこの剣のカテゴリーらしい」

 

「『ドラゴンキラー』……俺たち滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)に喧嘩売ってんのか?」

 

そう強がって見せるが冷や汗が止まらない。

 

「フィオーラの能力は『魔力切断』。魔力を断ち切り、通常のダメージより数倍のダメージを負わせるんだが……どうやら『ドラゴンキラー』の特性も出ているみたいだな」

 

ハルトが斬られた腕に目を向けると傷がさっきより大きくなっていた。

 

「ぐっ……!!」

 

痛みに堪らず膝をつき、右腕を抑える。

 

「滅竜魔導士は自身の体をドラゴンに変えて戦う。この剣はお前らにとっては毒だな」

 

ジェイドは再びハルトに斬りかかり、ハルトは避けることしかできなくなった。

右腕に斬撃を受けてから体が怠くなり、思うように動けない。

これもドラゴンキラーの効果なのだろうか。

 

「さっきまでの威勢はどうした?俺を倒してエミリアを救うじゃないのか?」

 

「う、るせェッ!!」

 

刀身を殴りつけ、一端距離を取ろうとしたが足に力が抜け倒れてしまう。

 

(力が……!?)

 

「剣が当たらなくてもお前から溢れている魔力は斬ることはできた。今のお前はほぼ魔力ゼロだ」

 

ジェイドは膝をついて、疲労が濃いハルトの首に剣を添える。

 

「諦めろ。エミリアには死んでもらう、この国のためにな」

 

ジェイドは殺気と覚悟を帯びた目でハルトを見下ろしながらそう告げる。

彼には彼なりこの国のために何でもする覚悟があるのだ。

たとえそれが人に憚れることでもだ。

将来国を背負って立つ者としての覚悟がジェイドには既にできている。

しかし、覚悟ができているのはジェイドだけではない。

 

「諦めてたまるかよ……」

 

そう呟いたハルトは添えられた剣の刀身を掴む。

 

「っ!こいつ……」

 

ジェイドは手を離そうと引っ張るがビクともしない。

 

(こいつ、どこにこんな力が……)

 

神剣フィオーラにより、魔導士の命とも言える魔力はほぼ0のはずだ。

だが、ハルトから感じられる魔力はどんどん大きさを増していく。

 

「アイツには心の底から笑って欲しいんだよ」

 

「それはお前の勝手な欲望だろう……!」

 

「ああ、俺の我儘だ。だから……押し通す!!覇竜の剛拳!!」

 

ハルトの拳がジェイドの腹に突き刺さる。

 

「ごはぁっ……!」

 

吹き飛ばされたジェイドは木に叩きつけられ、腹の中のものが出そうになる。

 

「そんな思いが俺の覚悟に勝てると思うのか?国を背負う覚悟に!!」

 

ジェイドはフィオーラを構え、魔力を解放する。

周りの空気が一気に張り詰め、剣が魔力を帯びて僅かに光る。

ジェイドが一歩踏み出すだけで、ハルトの懐に入り上段から肩を斬るり、ハルトの肩から血が激しく飛び散る。

しかしハルトは肩に剣を押し付け、刀身を掴んでジェイドを逃がさない。

 

「俺には国を背負う覚悟なんてわかんねぇよ……だけどな!惚れた女を救うためだったらなんだってしてやる覚悟ならあんだよ!!国だろうが!世界を滅ぼす化け物だろうが!俺が全部ぶっ倒してやるよ!!」

 

「……っ、このバカが!」

 

ジェイドはハルトの腹を蹴り、一端距離を取ると、剣も同時に離れ血が滴り落ちる。

血で濡れたフィオーラを構え、静かに呟く。

 

「スラッシュ」

 

纏っていた魔力が更に輝く。

ジェイドはこの技で勝負に決着をつける気だと、彼の気配からハルトは察した。

ハルトも力が入らない体から魔力をひねり出す。

 

「ハァ…ハァ……竜…牙弾」

 

ハルトも竜牙弾を構える。

一瞬の時、静寂が流れ2人の間に木の葉が落ちた瞬間動いた。

 

「フッ!!」

 

ジェイドが目に止まらぬ速さで剣を振るい、それと同時に魔力の斬撃が触れていないにも関わらず木々を切り倒しながらハルトに迫る。

ハルトはその斬撃に逃げずに竜牙弾をぶつけ、立ち向かう。

 

「オオオォォォッ!!」

 

雄叫びを上げ押し返そうとするが、押し返している腕にスラッシュの余波で切り傷が広がり、血が舞ってしまう。

さらにドラゴンキラーの効果がハルトの体を蝕む。

2つの痛みで逆に押しつぶされそうになるがエミリアのことが頭によぎる。

負けるわけにはいかない、死なせてたまるものか。

その思いがハルトに力を取り戻させる。

 

「オラァッ!!」

 

「があっ…!」

 

神斬りを打ち消し、その勢いを利用してジェイドの体に竜牙弾をぶつけ、ジェイドを木々を巻き込みながら吹き飛ばした。

 

「はぁ……はぁ……俺の勝ちだ」

 

膝をついて荒い息を吐いて、そう呟くとハルトの後ろから足音が聞こえてきた。

 

「何かあったのかい!?」

 

戦いの音が聞こえたのか、クスコが全員を引き連れてやってきた。

 

「よっ……」

 

「ハルト!大丈夫!?」

 

ボロボロのハルトにエミリアは慌てて駆け寄る。

 

「ハルト君、何があったんだい?」

 

血と傷だらけハルトと切り倒されている木々を見てクスコがそう尋ねる。

 

「実はよ……」

 

「作戦を変更する」

 

ハルトが話そうとすると森の奥から傷だらけのジェイドが足を引きづりながら出てきた。

 

「王子!」

 

「作戦変更ってどういうことよ?あとなんで傷だらけ?」

 

クスコがジェイドの惨状に驚き、ラナがそう聞くとジェイドは1つため息を吐くとラナの質問は無視し話を続ける。

 

「当初はアスラをエミリアごと討伐する予定だったが、アーウェングスの提案でエミリアを生かした状態でアスラを討伐する」

 

「無視しないでよ!!」

 

「ま、待て!アスラをエミリアごと討伐するだと?そんな話聞いてないぞ!!」

 

エリオが激昂するがジェイドは澄まし顔で口を開く。

 

「お前に言ったら確実に反対するだろう。計画に支障がでた」

 

「お前なぁ……!!」

 

エリオがジェイドに詰め寄ろうとするが、カミナが止める。

 

「話が進まない」

 

「チッ!!」

 

エリオは舌打ちをして悔しそうにしていた。

 

「……どういう風の吹き回しだよ?」

 

「言っただろう。力づくで言うことを聞かせるってな。俺は負けたんだ。お前の作戦に乗る」

 

ハルトが訝しげながらジェイドは平然と答える。

その姿にハルトは疑うがとりあえずは納得するしかなかった。

 

「………わかった」

 

「それで作戦はどういったものだ?」

 

「今はとりあえず拠点に戻ろうぜ。腹減った……」

 

ハルトの腹から気の抜けた音が鳴り、全員が呆れた表情になった。

 

 

拠点に戻り、治療を終え、飯を食いながらハルトの作戦の説明を始めた。

 

「ムグムグ……アスラを討伐するのにエミリアに封印したまま討伐する必要があるんだろう?ハグ……じゃあ別の器に封印して討伐すればいいだけだ」

 

「別の器に移すのはいいがそのためにはアスラの封印を一度解かないといけなくなる。そうなれば終わりだ」

 

ハルトの提案にジェイドがそう言うが、ハルトは得意気な顔になる。

 

「そこで俺の出番だ!アスラの魔力をほぼ0にすれば封印を解いても大丈夫なんじゃないか?」

 

「封印された状態で魔力を0にする?一体どうやって?」

 

「そうか、ハルトの魔法か」

 

カミナがハルトの作戦に気づき、そう呟く。

 

「俺の魔法、覇の滅竜魔法の特性は『統合』。相手の魔力を自分の物にするんだ」

 

「なるほど……それならエミリアちゃんから離すことができるね」

 

「だが、アスラの魔力は膨大なものだ。実際にエミリアはそのせいで自分の魔法もろくに使えない」

 

エリオがエミリアにの方を見る。

 

「ゆっくりなら全ての魔力を還元できるぜ」

 

「アンタはどうすんのよ?そのバケモノの魔力全部取り込んだら死んじゃうんじゃないの?」

 

「そんな……ハルトが死ぬなら私は別に……」

 

自分のために頑張ってくれるのは嬉しいがそのために命をかけてまでしてくれるのはエミリアは望んでいない。

ハルトはエミリアを不安にさせないように安心させる笑みを見せる。

 

「大丈夫だって、そこはジェイドに手伝ってもらう」

 

「俺か?」

 

「お前の剣なら俺の魔力を削れるだろ」

 

「魔力を増やしながら、削っていくか……確かにそれなら安全だ」

 

「だろ!飯食ったら早速やろうぜ!!」

 

「無理だ」

 

ハルトが始めようとするがジェイドが止めた。

 

「何だよ、まだ文句あんのか?」

 

ハルトがジト目でジェイドを睨む。

 

「そうじゃない。アスラを取り出すためには遺跡に向かわないといけないんだ」

 

「遺跡?」

 

「私にアスラを封印したところよ」

 

「なんでだ?アスラはここにいるんだろ?」

 

「エミリアに封印されたのアスラの核だ。アスラ本体は遺跡にある。2つが揃った時にアスラは完全に復活する」

 

「じゃあアスラを移すためには核だけじゃなくて本体も必要ってことか?」

 

「ああ、本来はエミリアを遺跡に連れて行き、アスラの本体をエミリアに一時的に移し、エミリアごと処分する手筈だった。ここでやっても意味がない」

 

「じゃあ、遺跡に行けばいいだけだろう!さっさと行くぞ!!」

 

エリオが立ち上がり、そう叫ぶがクスコが止める。

 

「待つんだ。今行っても危険だよ」

 

「なに!?」

 

「今式神を飛ばして遺跡を見てるが、フェアニヒターの本拠地らしいな」

 

「そんな……それでもここのメンバーで行けば!」

 

「ざっと見積もって5000強、流石に無策で突っ込むのは無謀だ」

 

淡々と話すカミナにエリオは苦虫を潰したような表情で悔しがる。

 

「2週間後にフィオーレ軍がフェアニヒターに総攻撃を仕掛ける。作戦を仕掛けるならその時だ」

 

「クソッ!」

 

「兄さん!」

 

エミリアが呼び止めたがエリオは悪態を吐き、椅子を蹴って立ち上がりどこかに行ってしまった。

 

「どーしたんだ?」

 

「さあね。アンタ達2人と分かれてからどこか焦ってるのよ」

 

ラナは興味なさげに言うが、エミリアは心配そうにエリオが出て行った方を見ていた。

エミリアを救うための作戦は2週間後にフィオーレ軍が総攻撃を仕掛けるときにいち早く遺跡のアスラが封印されてある深部にたどり着き、エミリアを救うことになった。

 

 

松葉杖を突く、ジェイドが1人雑木林の中で通信用の魔水晶に向かって話していた。

 

「ああ、予定は変更になったがいつでも処分できるように隠れて準備をしておけ、内通者の件はどうなった?………もう終えたか。わかった。他にも情報を聞き出せ」

 

それだけを言うと魔水晶の動力を切った。

 

「嘘だったんだな」

 

背後にある木から声が聞こえ、振り返ると木の後ろからカミナが現れた。

 

「ハクシロか、流石だな。気配がなかった」

 

「はぐらかすな。ハルトとの約束はどうなった」

 

「破りはしない。だが、万が一に失敗した時の保険だ」

 

それ以上何も喋らない2人に静寂が流れる。

 

「………俺たちギルドの魔導士にとって、約束、契約は絶対なものだ。それを違えるならば許すことはできない」

 

「意外だな。暗殺者のお前がそんなことを言うなんて、ギルドに入って牙が抜かれたか?」

 

それを聞いたカミナから殺気が溢れる。

 

「……………どこで知った」

 

「倭の国で恐れられた暗殺者集団『八咫烏』で幼いながら『白鬼』として名を馳せた人物……ここでもその噂は届いている。まさかこんなところで会えるとは思わなかった」

 

ジェイドが少しおどけたように言うが、カミナは一切殺気を解かない。

 

「お前も俺と同じだ。どこか人を信じきれない。だから俺は予防を建て、お前は俺をつけてきた。……安心しろ。俺だってできれば人を殺したくないんだ。ハルトの作戦には最後まで乗らしてもらう」

 

ジェイドはそれだけを言って拠点に戻り、カミナだけ残された。

その時のカミナはどこか悲しみに打ちのめされたように、木の上から見ていたハルトには感じた。

 

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