FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第124話 動く想い

作戦までまだ日にちがあり、それぞれが準備をするなり、休むなどをして時間を潰していた。

その中でハルトはカミナとともに買い出しに来ていた。

 

「えーっと食料に服の補充、あと治療に使う薬と包帯に……あ?ストロベリーキャラメルグランデマキュアート?なんだコリャ?」

 

「ラナの注文だ」

 

「ンなモンここにあるわけないだろうが!戦争中の国に何求めてんだよ」

 

ハルトがおかしそうに笑うが、カミナは笑わず黙ったままだ。

それを見たハルトはカミナに話しかけた。

 

「なんかあったのか?」

 

「何がだ?俺が笑わないのはいつものことだろう」

 

「そうじゃねぇよ。ジェイドと何かあったのかってことだよ」

 

「……やはりあの場にいたのか。聞いての通り、俺もアイツも変わらない。人を信じきれない人間だ。…………お前のおかげで俺は八咫烏を抜け、この国に渡りギルドにも入れてもらえた。だが何も変わらない。人を信じられない、心のない人間だ」

 

普段はあまり喋らないカミナが滑舌になるが表情は変わらない。

しかしハルトにはどこか悲しそうにしているのがわかった。

 

「聞いていたらわかっただろ?ジェイドはお前の作戦に協力するが、信じてはいない。あの場にいたってことはお前もジェイドが信じていないと分かってたんだろう?それでもジェイドを信じるのか?」

 

「信じるよ」

 

即答で答えたハルトにカミナは少し面を喰らう。

 

「相手に信じてもらうにはさ、まずこっちから信じないと始まんないと思うんだよ。それに、信じたほうが気が楽だろ?」

 

そう言って笑うハルトに表情は変わらないがカミナはどこか心が晴れた気分だった。

 

「そうか……そうかもな」

 

「それによ、お前自分が心のない人間って言ったけどな。ジェイドの跡をつけたのって俺のことを心配してくれたからだよな?ありがとな!」

 

ハルトの裏表のない感謝の言葉にカミナの頬が緩む。

 

「フッ……そんなわけないだろう」

 

「なんでだよー。ん?てか、さっき笑ったか?笑ったよな?」

 

「なんのことだ?」

 

「いや、絶対に笑ったよな!もう一回見せろよ!!」

 

2人は言い合いながらもどこか楽しげに街に向かった。

 

 

買い出しから戻ったハルトはそれぞれに欲しいものを渡していた。

 

「エリオにはコーヒーで、エミリアには甘いもの、マタムネにはよくわからなかったから魚だ」

 

「ああ……」

 

「ありがとう」

 

「ごじゃるー!」

 

するとハルトはエミリアに本を差し出した。

 

「これ、エミリアが好きそうだから買ってきた」

 

「わぁ、ありがとう!」

 

「俺も読んでみたいからその本読み終わったら貸してくれないか?」

 

「お前、本なんて読まないだろう」

 

「こ、これから読むんだよ!!」

 

「フフッ……」

 

ハルトとカミナのやり取り見て笑うエミリアを見て、エリオは複雑そうな表情になる。

 

「クスコは何もいらなかったのか?」

 

「うん、僕は食料さえあれば十分だからね」

 

「ちょっと私のは?」

 

「あんなのここにあるわけないだろうが!」

 

「何よ!だらしないわね!」

 

そしてハルトは件のジェイドの前に立つ。

 

「ジェイド」

 

「どうした?俺は特に注文したものなんて無いぞ」

 

するとハルト酒が入った酒瓶を見せる。

 

「飲もうぜ!」

 

「はあ?俺たちは14歳だぞ。まだ飲める歳じゃ……」

 

「いいから行くぞ!」

 

ハルトはジェイドの腕を掴み、無理矢理外に連れ出した。

2人は月明かりで照らされた岩場に座り、酒を煽っていた。

 

「くぅーーー!!」

 

「………はっ、それで何の用だ」

 

「いやよ。あん時戦ったままで終わったから話そうと思ってさ」

 

「話すことなんてないだろう」

 

そう言ってジェイドも酒を飲み、話そうとしない。

するとハルトが切り込んだ。

 

「なんで俺の作戦に乗ってくれたんだ?」

 

「あの勝負に勝ったのはお前だ。敗者は勝者の言うことを聞くだけだ」

 

「お前のことだから負けても裏で動けるだろ。なのに何にも動きがない。あったとしても保険ぐらいだろ?」

 

「……聞いてたのか。ボスコ出身の奴は手癖だけでなく、耳癖も悪いようだな」

 

「んだと?……まあ、それは置いといてだな。なんで俺の作戦に乗った?」

 

ハルトは少しイラッときたが我慢して、質問し続けるとジェイドは酒を少し飲み、口を開いた。

 

「………俺はフィオーレ国の王家に生まれだ。この国を守るのは義務だと思っていた。だが、この国に生きる人たちに触れて義務ではなく、自分がそうしたいと思った。この国を守るためなら何だってする。自分の命をかけてでもな………お前はエミリアを守るためなら何だってすると言った時の目はその時の俺と似通ったところがあると思った。だから魔が差したんだ」

 

「魔が差したってな、お前……でもやっぱりな!」

 

ハルトは突然嬉しそうに笑った。

 

「何がだ?」

 

「お前いい奴だ!人のためにそこまでできるのはいい奴だよ」

 

そう言ってのけるハルトにジェイドは一瞬、呆けた顔をするがすぐに吹き出した。

 

「プッ……!ハハハッ!バカかお前は。そんな簡単に人をいい奴だと思うな」

 

「何でだよ?俺はこう見えて人を見る目はあるんだぜ!」

 

「ならお前の目は節穴だな」

 

「なんだとコノヤロー!!」

 

ハルトの怒り声が響くが先ほどの重い空気とは違い、2人は少し和気藹々としながら酒を飲み続けた。

それから少し時間が経ち、飲みが終わりジェイドは森の中で1人立っており、その手には部下に連絡を取るためのラクリマがあった。

 

「………はぁ、本当に魔が差したな」

 

ジェイドは少し苦笑いをしながらラクリマを起動する。

 

「俺だ。作戦を変更する」

 

 

そして次の日、ハルトたちは作戦会議をしていた。

ジェイドは全員が囲んでいる机にラクリマを置き起動すると

 

「アスラを分離する作戦は建てられたが、そこまでの道のりをこれから説明する。二週間後に親父が援軍を率いてここにやってくる。そして今フェアニヒターを一斉に壊滅させるつもりだ。俺たちはそれに便乗して遺跡に潜り込む」

 

「急がせることはできないのか?今は少しでも時間が惜しいんだぞ」

 

エリオが少し苛立ちながらそう聞くがジェイドは首を横に振った。

 

「今回の作戦は親父……王には黙ってきた。あの人は命を犠牲にするのは駄目だと言ったからな」

 

「だからフィオーレで匿えなかったのか」

 

「フィオーレ王なら無理してでもエミリアちゃんを救い出そうとするかもしれないからね。それで失敗したら元もこうもない」

 

「二週間……だいぶ長いわね」

 

「1万を超える軍勢を率いてくるんだ準備がかかる。遺跡に潜り込んだら俺、ハルト、エミリアを守りながら中心に行く。そこでハルトの作戦を実行し、成功させれば終わりだ」

 

「言うのは簡単だけど、相当危険よ」

 

「中に入れば教団との戦闘は避けられないだろうね。数が少ないと言っても本拠地だ」

 

全員の表情が引き締まり、覚悟を決める。

 

「作戦実行は13日後だ。それまでに皆準備を整えて置いてくれ」

 

作戦会議が終わり、エミリアは割り当てられた部屋でマタムネと遊んでいるところを扉の隙間から伺う影があった。

 

「な、なあ、食事に誘ったらいけるかな?」

 

「行けるさ!エミリアちゃんとは普通に話すようになっているのは君だけなんだ!確実に行ける!」

 

ハルトはエミリアを食事に誘おうとしているようで、相談したクスコは応援するがカミナはどうでもいいらしい。

 

「戻るぞ」

 

「ちょ、ちょっと待てって!断られた時のフォローの仕方とか一緒に考えてくれよ!」

 

「心底どうでもいい」

 

「ハルト君!男は度胸さ!当たって砕けろだよ!」

 

「いや、砕けたら困るんだけど……」

 

しかしクスコの言葉は確かで動かなきゃ始まらない。

覚悟を決めて、扉を開けようとする。

 

「よし、行くぞ!エミがふっ!?」

 

「邪魔よ」

 

部屋に入ろうとしたがその瞬間、ラナによって扉に叩きつけられたハルトは扉にめり込んでしまった。

 

「エミリアー、街まで下りてお茶しに行かない?」

 

「大丈夫なの?今危ないんじゃないの?」

 

「大丈夫よ。いざとなったら私の魔法で逃げればいいし、さっさと行きましょう」

 

「あ、待って」

 

結局エミリアは扉にめり込んでしまったハルトに気づかず、外出してしまった。

 

「ラナちゃん……いつのまにあんなに仲良くなったんだ?」

 

「無様だな」

 

「……うるせー」

 

そのまた翌日、今度はジェイドを連れてきていた。

 

「はぁ、戦争中だと言うのに何考えてるんだお前は」

 

「別にいいだろうが!恋に戦争も関係ねぇんだよ!!」

 

そう力説するハルトにジェイドはジト目だった。

 

「ジェイドがエミリアに作戦について話しがあるって言って外にそれ出してもらえればミッションコンプリートだ!それならラナの妨害はないはず!」

 

「ミッションって言われてもなぁ。そもそもお前が呼びに行けばいいだろう?」

 

「女の子の部屋に入るのはその……なんだ……恥ずかしい」

 

「バカなのか?」

 

モジモジするハルトに心底呆れた表情のジェイドだが、ハルトの指示通り部屋に入った。

 

『エミリア、作戦について少し話したいことがある。外に来てくれないか?』

 

『うん、わかった』

 

(よっしゃぁーーー!!!)

 

扉に耳を当て聞いていたハルトは心の中でガッツポーズを取る。

そして扉の前でエミリアが出てくるのを今か今かと待っていると、扉が開きその瞬間話しかけようとしたが、出てきたのエリオだった。

 

「何の用だ?」

 

「え?アレ……ジェイドとエミリアは?」

 

「部屋の中で話せばいいだろうと言って部屋の中で話している。それより用件はなんだ?俺が聞こう」

 

ハルトは当初の作戦とは違うが、取り敢えずは話を切り出す。

 

「エミリアに食事はどうかなーって………」

 

「無理だな」

 

バッサリ断られた。

 

 

2日続けて断られた(本人ではないが)ハルトは自信を無くし、夕日を死んだ目で眺めていた。

するとそこにマタムネがフラフラと飛んでやってきた。

 

「マタムネか……お前はいいよな。エミリアの側にいれてよ」

 

「?」

 

「俺も側にいてぇ」

 

「ぶざまだなでごじゃるー」

 

「それはカミナの真似だよな?そうだよな?」

 

マタムネのまさかの言葉に額に筋が浮かび上がるが、怒る気もなくため息が出る。

 

「どーすりゃいいんだか……」

 

「どうしたの?」

 

1人呟いていると背後からエミリアが声をかけてきた。

 

「え、エミリア!?」

 

その瞬間、ハルトはこれはチャンスだと思い、誘おうとするが食事はラナと行ったであろうから無し、観光できそうなところと言っても自分より土地勘があるエミリアのほうが知っている。

選択肢が無くなってしまい、何で誘おうか悩んでいるとエミリアが隣に座ってきた。

 

「ちょうど良かった。私その……ハルトと話したいと思っていたの」

 

「お、俺と!?」

 

「うん……いつも兄さんがいて、ハルトに近づこうとすると怒るから」

 

2人は並んで座るが、会話をするわけでもなく黙った状態だ。

話をしたかったが、緊張して何を話せばいいか2人とも分からない。

するとハルトに抱えられたマタムネが腕を空に伸ばした。

 

「ごじゃるー」

 

「どうした?ああ、星か」

 

腕を伸ばしたほうを見るとそこには夕焼けから夜に変わる境目に1番星が輝いていた。

 

「きれい……」

 

そう呟くエミリアを見て、ハルトは思いついた。

 

「な、なぁエミリア。これから星を見に行かないか?」

 

「え?大丈夫なの?」

 

「黙ってたら、気づかれないって!なるべく広くて開けた場所がいいな。どこかないか…….」

 

「ここから少し先にいい場所を知ってるよ」

 

「じゃあそこに行こうぜ!」

 

「でーとでごじゃる」

 

「「!!」」

 

マタムネの拙い言葉に2人は顔を赤くし、慌てるが側から見ればそう見えても仕方がない。

そして夜になり、エミリア、ハルト、マタムネは拠点から外出した。

 

「気づかれなかったわね」

 

「助かったぜ」

 

「たすかったぜでごじゃる!」

 

3人は虫のさえずりしか聞こえない森を歩いていく、目の前に開けた場所が見えてきた。

 

「ここか……」

 

「うん。この前ラナと見つけたの」

 

3人の頭上には満天の星空が広がっており、星一つ一つが輝いていた。

 

「すげーなぁ」

 

「フラスタの星空はステラ王国には劣るけど、それに次ぐ美しさなの。これだけは嫌いなこの国の中で好き。いつかはステラ王国にも行きたいけどね」

 

少しうっとりとした顔で星空を見ながら話すエミリアをハルトは綺麗だと思いながら見つめていた。

 

「どうしたの?」

 

「いや、綺麗だなーって思って」

 

「そうだね」

 

(星のことじゃないんだけどな)

 

しばらく星空を眺め、エミリアが星座を教えてくれたり他愛ない話をして、2人の距離は近づいていた。

 

「そういやラナといつのまに仲良くなってたんだ?」

 

「えっ、えと……ラナに相談とかしたりしてたの」

 

「相談?どんなことだ?」

 

「そ、それは言えない!」

 

実はエミリアはラナにハルトのことについて相談していたのだ。

 

 

女2人に割り振られた部屋ではエミリアが少し恥ずかしそうにしながらラナに相談していた。

 

「そのね。私ハルトのことを思うと少し変なの」

 

「………」

 

エミリアが真剣に相談しているがラナはジト目で見ていた。

 

「ハルトのことを考えると何故か胸が苦しくなるんだけど、それが心地いいって言うか……」

 

(コイツら……気づいていないのね。呆れた……)

 

「それは恋じゃないの?」

 

「恋?私が……?」

 

「アンタたち側から見れば告白できない両想いの人じゃない」

 

「そ、そんな私は……!それにハルトも私のことを想ってくれているなんて……」

 

ラナの言葉にエミリアは顔を赤くし、動揺しているが2人の雰囲気はまさしくそれであり、当の2人以外は全員気づいていた。

 

(ま、この娘の場合はそれが初めてだからわからなかったんでしょうね)

 

「大人の私から言わせて見ればさっさと告白しちゃいなさいよ」

 

「ラナが大人……?」

 

「何よ。その反応?ぶっ飛ばすわよ」

 

どう見ても子供にしか見えないラナがそう言うとどこか背伸びしているように見えたが、エミリアはラナの言葉を信じ、どうにか2人の時間を作るためにラナに協力してもらい、ずっと引っ付いているエリオを離してもらったのだ。

その他にもカミナ、クスコ、ジェイドがエリオを監視し、2人に近づけないようしていた。

 

 

 

「…………」

 

ラナに助言をもらったエミリアは意を決して、ハルトの方を向く。

 

「ハルト」

 

「ん?」

 

「ハルトは私のこと好き?」

 

エミリアは核心を突いた質問をした。

 

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