FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
オリジナル編のため色々とスランプに陥ってしまって、息抜きで別の作品もやっていました。
もう一方のほうがひと段落ついたのでまたこっちをやっていきます。
突然のエミリアの言葉にハルトは一瞬呆気にとられるがすぐに正気に戻り、その意味を理解し、慌てる。
「え!?はっ!?なんで……!?」
「いいから!……答えてよ」
エミリアも恥ずかしいのか顔を赤くしながらも真剣な目で見つめてくる。
「……す、好きだよ」
エミリアの真剣な表情にハルトもつい答えてしまう。
「どうして?」
「ど、どうしてってそりゃあ……」
ここで何か気のきいたことを一つでも言ってエミリアに好印象を与えれればいいがハルトにそんなことは思いつかず、正直に言うしかなかった。
「初めは……一目惚れだった」
「そう……なんだ」
自分のことを見て好きになってくれたのは嬉しかったが、それはあくまで外見でのことでエミリアはそんなに嬉しそうではなかった。
「だけど一緒に旅をしていくと、エミリアが抱えている闇や優しいところ……自分の命を顧みず助けに行く勇敢なところを知ってより好きになった」
ハルトの好きになったというのを聞いて、エミリアはより恥ずかしそうにするがその表情にはどこか嬉しさのようなものが見えた。
今度はエミリアが話し出した。
「私は……ハルトのことが好き、だと思う」
その言葉にハルトは驚く。
「でも、私はあまり人と過ごしたことがないからこれが恋なのかどうかすらわからないの……だからハルトと一緒にいてそれを確かめたい」
「練習みたいなものか?」
「どうかな?……それも確かめないと」
見つめ合う2人の顔はだんだんと近づいていき、やがてキスをした。
「ん……」
初めての2人はただ押し付けるだけのキスだったが、それでもとても幸せだった。
「えへへ……なんだか不思議だね」
「そ、そうだな」
微笑むエミリアを見て、可愛いと思いながらエミリアとキスしたことに恥ずかしくなり、少し顔を逸らすとエミリアがハルトの手を握ってきた。
ハルトも握り返すとまた見つめ合う2人は次第に顔の距離が近くなってきて、キスをする様子になるがその様子をマタムネはガン見していた。
「きゃっ!ま、マタムネ」
「忘れてた」
「チュー!チュー!」
幼いマタムネは2人の真似をするように唇を前に突き出す。
それを見てハルトとエミリアは子供に情事を見られた親のような心境になった。
「や、やめてよ〜……」
「やめてくれ。恥ずかしい……」
最後までその場は締まらなかったが、2人はとても幸せそうだった。
その後、2人の雰囲気を察した他の者たちはからかったり、祝福したりしたが、エリオが烈火の如く怒り、ハルトと決闘を行いそうになったほどだ。
皆が宥め、エミリアの説得により何とかそれは回避したがエリオは納得がいってなかった。
○
そして翌日、仮のとは言え恋人関係になった2人は街にデートに来ていた。
とは言っても店などほぼやっておらず、何故かハルトの頭の上にはマタムネが寛いでいた。
「何でマタムネも来てんだよ」
「いいじゃない。2人よりも大勢のほうが楽しいと思うし」
「そうかもしれないけどよ……俺はエミリアと2人っきりのほうが良かったな……」
少し拗ねた様子のハルトにエミリアは自分と一緒に居たいから拗ねてるハルトを見て、少し可愛いと思ってしまった。
もう十分バカップルのように見える。
「じゃあ、これで我慢して」
そう言ってエミリアは背伸びをして、ハルトの頬にキスをした。
突然のことに驚くハルトだが、エミリアは微笑んでその様子を見ていた。
「ほら、行こう?」
「あ、ああ……」
「でぇきぃてぇるぅ、でごじゃる」
その後2人はかろうじてやっていた店で料理を食べたり、人が誰もいない観光名所などを回ったりと普通のデートを行なった。
「結構歩いたね」
「そうだな。エミリアは疲れたか?」
「少しだけかな?」
「ちょっと待っててくれ。飲み物買ってくる」
「せっしゃもー」
ハルトとマタムネが離れていくのを見て、エミリアは自分がこんなにも変われるのか、と改めて実感しており、それと同時に幸福も感じていた。
「幸せだな……」
好きな人と共に過ごせる。
エミリアは今まで孤独だったこの世界が少し、好きになれたような気がした。
「……っ」
しかし、ほんの一瞬だが胸が疼きを感じとったが気のせいだと思い、無視した。
「ほい、飲み物」
「ありがとう」
「この後どうする?」
「うーん……あんまり遅くなったら兄さんたちが不安になっちゃうと思うし、夕ご飯を食べたら戻ろうと思ったんだけど」
「そうするか」
2人は数少ないやっている店に入り、食事をとるがそこで少しし事件が起きた。
「珍しいねぇ。こんな戦争中だというのにデートをしているカップルがいるなんて」
「それを言うならアンタもだろう。戦争中に店やってるんだから」
「ここ以外に行くところなんてないからね、仕方なくさ。はい、これサービス」
優しそうな店主が出してくれたのは食前酒なのか赤く甘い匂いがする飲み物だった。
「私たちまだお酒が飲める歳じゃないんですけど……」
「今、こんな時に来てくれるお客さんが少ないんだ。サービスだよ。飲んでくれ。それにそれはお酒じゃなくて、ジュースさ」
そう言われた2人は感謝してその飲み物を飲み、ハルトはなんともなかったがエミリアは少し喉の奥が熱く感じた。
食事を終え、3人は拠点に戻ろうとしていた。
「すぴー……すぴー……」
「こいつよくこんな状態で寝れるな」
自分の頭の上で器用に寝ているマタムネを見て、そう呟くハルトはエミリアに目を向けると様子がおかしかった。
顔は赤く、息遣いが荒い。
さらには目が潤んでいて、明らかに普通の状態じゃないのは確かだ。
「どうした!?」
「ハルトぉ……体が熱くて……」
ハルトはエミリアのその言葉にすぐ合点がいった。
ボスコにいた時自分を育ててくれた娼婦たちがよくこんな状態になっていたことと、エミリアの口から仄かに香る先ほどの飲み物の匂いに気がついた。
「媚薬かよ!あの野郎……!」
店主が無駄にいい笑顔でサムズアップする姿が思い浮かんだ。
「エミリア大丈夫か?とりあえず落ち着いて……」
「もう無理……」
その瞬間エミリアはハルトの首に腕を回し、自分の方に引き寄せて熱いキスをした。
「んっ!?」
「ん……はぁ…ん、ちゅぅ……」
いつもの軽い触れるだけのキスではなく、長く、ハルトの存在を確かめるようなキスだった。
「え、エミリア……」
「ハルト……」
2人は見つめ合い、エミリアはハルトを抱きしめた。
「2人っきりになりたい……」
「2人っきりって言われてもなぁ、マタムネがいるし……」
「マタムネは一回寝たら中々起きないよ。だから……ね?」
蠱惑的な目で見つめられたハルトは自然と首を縦に振ってしまい、2人は腕を組んで拠点には戻らなかった。
○
その頃、拠点ではエリオが今だに帰ってこないエミリアたちに苛立ちを隠せず、貧乏ゆすりをし続けていた。
「遅い!一体何やってるんだ!?」
「うるさいわねー、これだけ遅くなって帰ってこないってことはそういうことでしょ?」
「そ、そういことだと!?エミリアはまだ14歳だぞ!?」
「別にいいじゃない。アンタ、シスコンも大概にしときなさいよ。エミリア迷惑してるし」
「なんだと!?」
エリオは堪らず立ち上がり、怒りを露わにする。
「エリオ君、心配するのはわかるけど君もあの子も兄妹なんだから信じてあげないと」
「〜〜〜っ!……はぁ、兄妹か。俺とエミリアは兄妹だが今回の一件で始めて会うようなものなんだよ。それまでは隔離されていたし、唯一の家族なんだ。心配してしまう」
エリオは心配そうに顔を俯かせる。
エリオとエミリアの両親はエミリアにアスラを封印する際に死んでおり、彼らの育ての親はフェアニヒターに殺されてしまった。
彼に残されたのはエミリアだけなのだ。
「それにもうすぐ作戦が始まるんだろうが。それなのに遊んでいてもいいのか?」
「今のうちに英気を養うのも必要だよ」
怒るエリオをクスコが嗜める。
「そう焦っても仕方がない。どうせまだ1週間以上あるんだからな」
ジェイドがそう言ってこの話をやめたが、エリオの胸には不安が消えなかった。
○
昨夜は共に過ごしたハルトとエミリアは同じベットで寝ていた。
(お、思った以上に凄かった……!)
大人の階段を登ったハルトはそう言った知識は故郷のボスコで嫌と言うほど知っていたが、実際に体験してみると色々と刺激的すぎた。
そのせいでハルトは朝まで目が覚めて寝れなかった。
(エミリアとどうやって目を合わせればいいんだろう……)
色々としてしまって恥ずかしいのか、どうやってエミリアと話せばいいのかと考えていると側で寝るエミリアのほうを顔だけを向ける。
整った顔と綺麗な星のような輝きを持つ金髪、出会った当初は冷たい印象だったが今では暖かな笑顔を見せてくれる。
ハルトは愛おしく思いエミリアを起こさないように髪をゆっくりと撫でる。
エミリアは気持ちがいいのか笑みを浮かべてハルトにくっつく。
(絶対に作戦を成功させる)
愛しい人を守るために自分の命をかけて成功させる。
ハルトは改めて自分とエミリアに誓った。
○
身支度を整えた2人は拠点に戻っていた。
「みんなに怒られちゃうかもね」
「特にエリオが怒りそうだな。おっかねぇー」
「ふふっ、兄さんも心配してくれているんだよ」
エミリアは寝ているマタムネを抱えながらハルトと手を繋いで歩く。
側から見ても仲睦まじいのがわかる。
「なぁ、エミリア。この戦争が終わったらさ、俺たちのギルドに来ないか?」
「ギルド?」
「おう!妖精の尻尾っていうギルドなんだがな。乱暴者が多いけどいい奴らばっかりだ。あっ、でも戦争が終わったらここが故郷だから残るのか?」
ハルトが少し悲しそうに質問するとエミリアは強くハルトの手を握る。
「そんなわけないよ。ずっとハルトと一緒にいるよ」
「エミリア……」
見つめ合う2人。
2人に待っているのは幸福な日々だろうが、運命はそうはさせなかった。
「あっ、うぅ……!!」
「エミリア?エミリア!!」
突然エミリアは胸を押さえ苦しみだした。
ハルトは慌てて受け止めるが、エミリアは冷や汗をかき苦しんでいる。