FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第126話 フェアニヒター

ハルトはエミリアを抱え、大急ぎで拠点に向かっていた。

 

「エミリア!しっかりしろ!!」

 

「えみりあ〜!」

 

「ハァ…ハァ…」

 

ハルトとマタムネが呼びかけても苦しそうに呼吸をするだけのエミリアを見て、より一層足を急ぐ。

拠点に着いたハルトたちの様子を見て、カミナたちは驚く。

 

「エミリア!」

 

「どうした?」

 

「わかんねー!とにかくエミリアを寝かせないと!」

 

「どけ。俺が容態を見る」

 

ジェイドがエミリアの側に座り、診察を始める。

するとエリオがハルトの胸ぐらを掴み、殴り飛ばした。

 

「お前が付いていたのになんでこんな事になった!」

 

殴り飛ばしたハルトのむなぐらを掴み上げ、叫ぶエリオをカミナは羽交い締めしてハルトから離す。

 

「すまん……」

 

「すまんだと!?そんな言葉で済むと……!!」

 

「エリオくん落ち着いて!」

 

怒りが収まらないエリオはハルトに殴り掛かろうとするがカミナとクスコが止まる。

 

「どうなのよ?容態は?」

 

「……不味いな。予定より早すぎる。アスラの封印が解けかけている」

 

ジェイドの表情から焦りが見られる。

普段は焦りを見せないジェイドが焦りを見せるということはよっぽど切羽詰まった事態なのだろう。

 

「全員聞け!予定を変更だ。作戦は今日実行する」

 

「今日?エミリアの状態が不味いのか!?」

 

「ああ、予定では1ヶ月先だと封印の解除が何故かもう始まりそうになっている。このままじゃエミリアは死に、アスラは復活してしまう」

 

ジェイドの口から告げられた事態に全員が驚く。

 

「お前のせいだ……」

 

エリオはハルトを睨む。

 

「お前がエミリアに近づいたから、こうなったんだ!どうしてくれるんだ!」

 

「ハルトが一緒にいただけでこうなるなんて、そんなわけないだろう」

 

「………」

 

カミナが擁護してくれるがハルトは黙ってエリオの言葉を受け止める。

 

「俺がいたのにエミリアをこんな風にさせちまったの事実だ。だから命をかけてエミリアを救う」

 

覚悟を持った目でエリオにそう宣言する。

エリオもそのハルトの目に何も言えなくなったが、怒りは収まらなかった。

 

「軍の方はどうするのよ?私たちだけでアイツらと戦うわけ?」

 

「………最悪はな」

 

千を優に超える敵をたった6人で相手をしないといけない。

そんな絶望的な状況の中でもハルトは諦めない。

 

「何人いようが関係ない。必ずエミリアを助ける」

 

その言葉に全員がうなづく。

こうして作戦は決行されることになった。

 

 

全員がフェアニヒターの本拠地近くにある丘からその全貌を眺める。

 

「遺跡というより国だな」

 

「でけー建物がいっぱいある」

 

眼前に広がる遺跡は大きな建物が多く、1つの国のように見えた。

 

「アスラが封印されているのは中心にある一番大きな建物だ。さっさと行くぞ」

 

当初の作戦通りにジェイド、ハルト、エミリアの3人がアスラを封印してある祭壇まで行き、アスラを倒す。

その間カミナたちが囮となって敵と戦う。

それにまたエリオが難色を示したが、なんとか囮の方になってもらった。

いよいよ決行しようという時にエリオがハルトを呼び寄せた。

 

「ハルト、俺はまだお前を許していない。お前がエミリアを連れ出さなければエミリアの封印が解かれるのはもう少し先だったんではないかと思う。はっきり言ってお前にエミリアを任せるのが不安だ」

 

睨むエリオにハルトはまっすぐ目を見る。

 

「信じてくれ。必ずエミリアは助ける」

 

「……任せたぞ」

 

エリオはハルトの肩を叩き、エミリアを託した。

全員の準備が整い、遺跡を見据える。

 

「行くぞ」

 

ジェイドの合図と共に全員が戦いに身を投じた。

 

 

カミナたちは迫り来るフェアニヒターの信者を倒し続けていた。

信者たちは魔法や銃、爆弾、剣などありとあらゆる攻撃をしてくる。

カミナたちも負けじと反撃し、大規模な魔法で殲滅するが信者は傷ついても立ち上がってカミナたちに迫ってくる。

 

「チッ、数が多すぎる」

 

「まるでゴキブリみたいね」

 

「とにかく今は敵の目をこっちに引きつけるんだ。『ブラックアウト』」

 

クスコが敵に手を向け、魔法を発動すると向けられた相手は突然視界が暗闇に囚われ、混乱する。

 

「サンダーウェーブ!」

 

そこにエリオが雷の波状攻撃で一網打尽にした。

 

「エミリア……」

 

エリオは中心部に向かっているエミリアを心配する。

その時背後から信者がエリオに斬りかかる。

 

「死ねェッ!」

 

しかし、カミナが信者の肩を刀で突き刺し、阻止した。

 

「ぐぎゃぁっ!」

 

「気を抜くな」

 

「すまん……」

 

カミナが信者を気絶させようとした瞬間、その信者が歪んだ笑みを浮かべた。

 

「フフ…フ……全ては……アスラ様のためにィィッ!!」

 

「っ!逃げ……!!」

 

カミナが叫んだ瞬間、信者は自爆しカミナたちは巻き込まれた。

ギリギリで防御魔法を展開したが近くいたカミナとエリオは浅くない傷を負ってしまう。

 

「がぁぁ……っ!」

 

「ぐぅ……!」

 

「ちょっと!何やってるの…チッ!」

 

ラナの背後から大砲の弾が命中し、シールドを大きく響かせる。

 

「ラナちゃん!外から攻撃を防いでくれ!僕が2人を助ける!」

 

クスコが2人に駆け寄るがそれを邪魔するように信者たちが立ちはだかる。

 

「貴様らはアスラ様の供物となるのだ!」

 

「その命を捧げろ!!」

 

何度倒しても立ち上がってくる信者たちの目は狂信的な目つきで、自分の命を厭わない。

 

「不味いな……!」

 

徐々にカミナたちは追い込まれ始めた。

 

 

エミリアを背負ったハルト、ジェイドとマタムネは姿を隠しながら遺跡の中心部に向かっていた。

 

「大きな音がしたな」

 

「それで敵が引き寄せられるなら好都合だ。俺たちも先を急ぐぞ」

 

「ごじゃる」

 

ハルトたちは静かに足を進める。

途中信者がいれば気づかれないように倒していった。

そして漸く中心部にたどり着いた。

中心部に入った瞬間、その空間に充満する臭いに顔をしかめた。

 

「うえぇ〜!」

 

「これは……」

 

「死臭だ」

 

ハルトが目を向ける先には死体が置いてある。

中心部には巨大な祭壇があり、その上に10mを超える巨大な石像が鎮座していた。

 

「あれがアスラ……」

 

「早速やるぞ」

 

「おう、マタムネ。周りに誰かいたら俺に知らせてくれ」

 

「ぎょい!」

 

マタムネは周りを警戒し、ハルトはエミリアを地面に寝かせ、手を握る。

 

「ハァ…ハァ……ハルト……」

 

「大丈夫だ」

 

ハルトはエミリアを安心させるように手をしっかりと握る。

ハルトの暖かさを感じたのか、エミリアの顔が少し和らぐ。

 

「ハルト」

 

「おう、やるぞ!」

 

エミリアから溢れ出ようとしているアスラの魔力とハルトの魔力が繋がる。

その瞬間、ハルトにある感情が津波のように押し寄せた。

それは『怒り』。

凄まじい『怒り』がハルトの内側に充満する。

 

「ぐっ、くっ……!」

 

(エミリア……こんなものを体の内側に入れていたのか!?)

 

小さい体にこれほどまでのものを封印していたことを改めてわかり、必ず助けると決心する。

 

「ハルト、準備はいいか?」

 

「ああ……!やってくれ!」

 

ジェイドがハルトを傷つけないようにフィオーラの刀身をハルトに当てると、ハルトに乗り移ろうとしていたアスラの魔力が刀身を当てたところから魔力が霧散していくが、その勢いが強く気を抜けば弾かれそうだ。

 

(ここまで強いのか……!)

 

ただ流れているだけの魔力だと言うのに荒れ狂う川に剣を突き立てて立っているような感覚にジェイドも冷や汗を流す。

しかし、2人はエミリアを助けるために一切の気を抜かない。

始めてから十数分が経ち、エミリアの表情も和らいできた。

ハルトが感じるアスラの魔力も最初よりは弱くなってきていた。

 

「あともうちょっとだ…!」

 

ハルトがそう言った瞬間、魔法の斬撃がハルトの横腹を抉った。

 

「ぐあぁっ!?」

 

「ハルト!」

 

傷口から血が溢れ出る。

次にジェイドに向かって魔法が放たれ、それを防ぎ、ハルトとエミリアを守るように立つ。

 

「まさかここまで来てたとは……」

 

現れたのは信者たちのリーダーなのか豪華な装飾があしらわれたローブを着た男性だ。

 

「フェアニヒターのリーダー、レペゼだな」

 

「その通りだ。フィオーレの王子」

 

自分の正体を見破れたことにジェイドは眉を顰める。

 

「何故バレたと思ったか?彼女のお陰だ」

 

レペゼが合図すると彼の背後から信者が女性を引きずって現れた。

 

「お、王子……」

 

引きずられて来たのはジェイドがフェアニヒターに潜入させていた部下だった。

 

「申し訳ありません……」

 

「彼女は有能な部下だな。中々話してくれないから、つい拷問に力が入ってしまったよ」

 

部下の体は乱暴された跡があり、更には右腕が切断されていた。

ジェイドはそれを見ても表情は変わらないが、剣を握る力が強くなる。

 

「さあ、巫女を渡して貰おうか」

 

巫女とはエミリアのことで、フェアニヒターはアスラを封印を解くために彼女を欲していた。

 

「渡すと思うか?」

 

「タダとは言わない。彼女と交換だ」

 

レペゼは部下に目を向ける。

 

「お、王子。私のことは気にせず……ここから早く逃げて……」

 

レペゼは手を向け、彼女の足を切断した。

 

「アアアアアァァァッ!!!?」

 

「っ!」

 

「ここまでされてまだそんなことを言うのか。見上げた忠誠心だ。しかし、私たちの信仰心も負けていない。アスラ様のためなら全ての命を捧げる!」

 

腕を広げ、演説のように言うがその目は本気だった。

 

「事実この国の民たちをアスラ様の供物として捧げた」

 

レペゼが指さす方には肉塊と大小様々な骨が並べてあった。

 

「狂ってる」

 

「ただ信仰深いだけさ。さぁ、どうする?王子」

 

狂信者たちがハルトたちを追い詰める。

 

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