FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第15話 妖精女王

睨み合う妖精の尻尾と鉄の森、まさに一触触発の状況だった。

 

「………うぷっ、やっぱダメだ」

 

「えー!?」

 

さっきはカッコよく決めたのにまだ酔いが抜けないのか顔を青くし、膝をついてしまうハルト。

それを好機と見たのかエリゴールはゆっくりと上昇した。

 

「あとは任せたぞ。オレは笛を吹きに行く。身のほど知らずの妖精ハエどもに…鉄の森アイゼンヴァルトの…闇の力を思い知らせてやれ」

 

そう言いガラスを破りどこかに行ってしまった。

 

「逃げるのか!エリゴール!!」

 

「くそっ!向こうのブロックか!?」

 

エルザ達が追うとするが鉄の森のメンバーがその行く手を塞ぐ。

 

「ナツ、グレイ!二人で追うんだ!」

 

「「む」」

 

二人で行くのが嫌なのか顔を見合い、睨む。

 

「おまえ達二人の力を合わせればエリゴールにだって負けるはずがない」

 

「「むむ…」」

 

「ここは私とルーシィでなんとかする」

 

「なんとかって…女子二人であの人数を…?」

 

エルザのとんでも発言にルーシィは冷や汗を流す。

 

「エリゴールは呪歌(ララバイ)をこの駅で使うつもりだ。それだけはなんとしても阻止しなければならない」

 

エルザはそう言うがナツとグレイは睨んだままだ。

 

「聞いているのか!!?」

 

「「も…もちろん!」」

 

エルザの一喝ですぐに肩を組み、返事をする。

 

「行け!」

 

「「あいさー!」」

 

ナツとグレイは横道に向かい、エリゴールを追った。

その後を鉄の森の魔導士、レイユールとカゲヤマが追った。

 

「こいつらを片付けたあと、私たちも後を追うぞ」

 

「うん」

 

エルザの言葉にルーシィも鍵を取り出して、戦闘態勢をとる。

 

「お…おれも…ぐふっ!」

 

「ハルトは無理をしないでくれ。私がハルトの分まで戦う」

 

「わ、私だって!」

 

戦えないハルトに代わってエルザが前に出るが、それに対抗してルーシィも前に出る。

 

「女子二人で何が出来るやら……それにしても二人ともいい女だな」

 

「殺すには惜しいぜ」

 

「とっつかまて売っちまおうぜ?」

 

「待て待て妖精の脱衣ショーが先だろ?」

 

明らかにルーシィとエルザを下心のある目で見ている。

 

「下劣な」

 

「かわいいってのも罪ね〜」

 

「ルーシィ帰ってきてー」

 

エルザは鉄の森に明らかな嫌悪をみせ、睨んでいるがルーシィは調子に乗ってるのでハッピーにツッコまれている。

エルザが手を前に出すと何もないところから剣が現れ、手に収まる。

 

「剣が出てきた!魔法剣か!」

 

「珍しくもねぇ!!」

 

「こっちにも魔法剣士はぞろぞろいるぜ!!」

 

「その鎧ひん剥いてやるわぁ!」

 

鉄の森が一斉にエルザに飛びかかるが、エルザは一瞬で相手を切り裂き倒しで行く。

その手に剣ではなく槍が握られていて、その槍でまた一瞬で敵を一掃すると次は斧、ハンマー、双剣と一瞬で武器が代わっている。

 

「こ、この女……なんて速さで『換装』するんだ!!?」

 

「換装?」

 

ルーシィが聞きなれない単語をつぶやくとハッピーが答えてくれた。

 

「換装はルーシィの星霊と似てて、別空間にストックされている武器を呼び出す原理で、持ち換える魔法を換装って言うんだ」

 

「へぇ〜…すごいなぁ」

 

するとハルトの看病をしていたマタムネがルーシィ達の近くにやってきて不敵に笑う。

 

「エルザ殿のすごいところはここからでごじゃる」

 

「え?」

 

「エルザ?」

 

マタムネの言葉にルーシィは首を傾け、たまたまその言葉が耳に入ってきた鉄の森の魔導士の1人、カラッカはどこかで聞いた名前に疑問を持った。

その間にもエルザは次々と敵を倒して行くが敵の数が多すぎて減った気がしない。

 

「まだこんなにいるのか。面倒だ、一掃する」

 

すると、エルザが装着していた鎧がひかる。

 

「魔法剣士は通常、武器を換装しながら戦うのでごじゃるが、エルザ殿は自分の能力を高める魔法の鎧にも換装できるのでごじゃる。

それがエルザ殿の魔法、『騎士』(ザ・ナイト)でごじゃる」

 

マタムネが説明し終わると光が収まりエルザは天使の様な鎧、『天輪の鎧』を纏い、両手に剣を握っていた。

鉄の森の魔導士達は一気に勝負をつけようとほとんど全員でエルザに突貫した。

エルザは剣を構え、動き出す。

 

「循環の剣(サークルソード)!!」

 

「「「「ぐわあぁぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

エルザは攻撃する瞬間に多くの剣を空中に出し、回転させることで斬撃を生み出し、ほとんどの敵を倒してしまった。

その姿は美しくも見えた。

 

「こんのヤロォ!!オレ様が相手じゃぁ!!」

 

残った敵の中からビアードが片手に魔力を込めエルザに突撃してくる。その瞬間カラッカは思い出した。

 

「ま…間違いねぇ!! こいつ妖精の尻尾の最強の女魔導士!『妖精女王(ティターニア)』のエルザ!!」

 

ザンッ!!

 

エルザはビアードを一瞬で倒した。

 

「ビアードが一撃かよっ!?」

 

「すごおーーい!!」

 

カラッカはありえないものを見ているかのように動揺し、その対照的にルーシィは歓喜する。

エルザが残ったカラッカを睨むとびびってしまい、

 

「ひぃーー!!」

 

逃げ出してしまった。

 

「ルーシィ! ここでハルトと待機しておいてくれ!私が奴を追う!」

 

「えっ? ちょっとエルザ!」

 

エルザはルーシィが呼び止める前に追いかけて行ってしまい、ルーシィは今も少し気持ち悪そうにしているハルトの近くに向かった。

 

「どうするハルト?」

 

「とりあえず…もう少ししたら…俺も治るから…そしたら…駅前にいる住人を…避難させようぜ…」

 

「うん!」

 

 

○

ようやく酔いから治り、ハルト達はしたらが集まっている駅前に来ていた。

すると、中の様子が気になるのか駅員の1人がハルトに話しかけてきた。

 

「中はどうなっているんだね?」

 

ハルトは何も答えず、その駅員が持っていたメガホンを奪いとった。

 

「命が惜しい奴は今すぐここから離れろ!!駅は闇ギルドの魔導士に占拠されている!!奴らは多くの人間を一度に殺せる魔法を放とうとしている!!できるだけここから離れるんだ!!」

 

それを聞いた人々は我先にと駅から離れていった。

 

「き、君!なぜそんなパニックになるようなことを!!」

 

「人が大勢死ぬよりマシだ」

 

「それに今言ったことはウソじゃありません。あなたも早く避難してください」

 

ルーシィの言葉に駅員も慌てて駅から離れて行った。

人がいなくなったのを確認してハルトたちはこれからどうするか話し合いを始めた。

 

「そういえば少し気になるんだけどさ…」

 

「どうしたでごじゃる?」

 

ハルトは乗り物酔いのせいでその時に言えなかった疑問を話し始めた。

 

「あいつらララバイを放送するって言ってたけど、それって仲間を巻き込まないか?」

 

「「「あっ!」」」

 

ルーシィたちは合点がいったようだ。

ララバイを放送して人々を殺したいだけなら、わざわざこんな騒ぎを起こさず隠れて放送したほうが効率的だ。

それに仲間が多くいてはララバイに巻き込んでしまい、明らかにデメリットのほうが大きい。

 

「まるで俺たちをおびき寄せたような感じが…」

 

もう少しで何かわかりそうな時にハルトの頬を強い風が撫でる。

 

「!!」

 

ハルトが駅を見ると駅全体が風に包まれていた。

まさにそれは巨大な竜巻に見えた。

 

「何これ!!?」

 

「すごい風でごじゃる!」

 

ハルトたちが驚愕していると後ろから声を掛けられる。

 

「ん? なんで妖精(ハエ)が2匹外に出ているんだ?そうか…野次馬を逃したのはお前らか、覇王と女」

 

「「エリゴール!!」」

 

「おいらたちも数に入れてよ!」

 

「ひどいでごじゃる!」

 

振り返るとエリゴールが空を飛んでいた。

 

「噂を聞く限り、お前とは一度戦ってみたかったんだけどなぁ…さっき見たが大したことなさそうだったなぁ…まぁ…念には念をだ」

 

そう言ってハルトに向かって突風を当てるが、ハルトはそれを魔力のこもった手で打ち払う。

 

「!」

 

「がっかりせずに済みそうか?」

 

まさかこれが打ち払われるとは思ってなかったのか、エリゴールは驚く。

ハルトはそれに挑発的な笑みを浮かべる。

エリゴールはそれに嬉しそうにするが、残念そうに話す。

 

「なるほど、噂どおりって訳かだが、悪いがここまでだ…」

 

「何言ってやがる。ここでお前を倒してしまえばそれで全部終わりだろーが」

 

その言葉にエリゴールは不敵な笑みを浮かべまた突風を出そうとする。

ハルトはいつでも対処できるように構えるが、エリゴールが魔法を放つ瞬間、わずかに腕を上にずらした。

 

「きゃあ!」

 

「うわぁ!」

 

「ごじゃるー!!」

 

エリゴールが風を当てたのはハルトの少し後ろで待機していたルーシィたちだった。

ルーシィたちは突風の勢いに負け、駅を包む風の中に入ってしまう。

 

「ルーシィ!!」

 

「いいのか?その風の中に入った奴はズタズタに引き裂かれるぞ?」

 

いつものハルトならもう少し冷静に考えることができただろうが、何故か何も考えず風の中に飛び込んでいった。

 

「ルーシィ!無事か!?」

 

「ハルト?」

 

「大丈夫か!?どこか怪我はないか!?」

 

「だ、大丈夫だから落ち着いて」

 

中に飛び込むと無傷のルーシィたちがいた。

しかし、それでも執拗にルーシィの安否を気にしてくるハルトに戸惑ってしまうルーシィ。

そこでハルトは騙されたことに気付いた。

すると、風の壁越しにエリゴールの笑い声が聞こえる。

 

「ははははっ!そんなにその女が大切だったのか!!それならもっと強く風をあてればよかったな!!」

 

「エリゴール…! テメェ!!」

 

ハルトは怒りを込めて、覇竜の剛拳を風の壁を殴るが拳が傷つき、跳ね返されてしまう。

 

「ぐっ!」

 

「やめておけ、この魔風壁は外からの一方通行だ。中から出ようとすれば風が体を切り刻む」

 

「そんな!? 一体これは何の真似よ!?」

 

「鳥籠ならぬハエ籠ってわけか、にしても少しデケェけどな…はははっ!」

 

ルーシィの問い詰めにも真面目に答えるわけも無く、ふざけたことを言うエリゴール。

 

「テメェらのせいでだいぶ時間をくっちまった。俺はこれです失礼するよ」

 

そう言いエリゴールはどこかに言ってしまった。

 

「この駅が標的じゃなかったらあいつらの目的って何よ…?」

 

「むー鉄の森の誰かが知らないでごじゃろうか?」

 

ハルトはマタムネの一言を聞いて、先程エルザが戦っていたホームに戻り、倒れていたビアードに問い詰めた。

 

「答えろ、お前らの目的は何だ」

 

「へ…へへ…誰が言うかよ…」

 

「……」

 

しばらく何かを殴る音や、苦しむ声が聞こえた。

 

「俺たちの目的はララバイの放送なんかじゃありません。本当の目的はクローバーっていう町なんです。すいませんでした…」

 

そこには簀巻きにされ、顔中が腫れたビアードが腕を組み仁王立ちしているハルトの前で泣きながら淡々と自分たちの目的を話していた。

 

「ハルト怖いんだけど…」

 

「今不機嫌でごじゃるからな」

 

「あい…キレたハルトは怖いです」

 

キレたハルトの拷問に恐怖を感じてしまうルーシィたちだった。

ハルトはビアードの話を聞き、驚愕した。

 

「クローバーの町…まさか…!?」

 

「ギルドマスターたちが定例会をしている町でごじゃる!エリゴールの目的はギルドマスターたちの呪殺でごじゃるか!?」

 

驚愕するハルトたちを見て、ビアードは気を強く持ったのか、口調を戻した。

 

「へ、へへへ……もう手遅れだ……エリゴールさんが呪歌ララバイでギルドマスターどもを殺せば……!!」

 

「……」

 

また、苦しむ声が響く。

 

「あの風の壁を解除する方法を教えろ!!」

 

今度はビアードの体に亀甲縛りをし、天井から吊り下げている。

 

「いだだだっ!だ、誰が…」

 

ぐいっ

 

「ぎゃあー!!言います!言います!!

カゲヤマならあの魔法を解けます!!」

 

ようやく答えたビアードは吊り下げから解放された。

 

「カゲヤマを探すぞ

多分ナツが追っているはずだ」

 

「うん!」

 

「ぎょい!」

 

「あいさー!」

 

ハルトたちはナツたちが進んでいった通路に向かった。

 

 

○

ハルトたちがいなくなったのを確認するとビアードは壁を越えに向かって話掛けた。

 

「そこにいるんだろカラッカ?」

 

すると壁から逃げ出したカラッカが現れた。

 

「す、すまねぇ…俺怖くて…」

 

「まぁそれはもういい…それよりお前にやってもらいたいことがある…」

 

「な、なんだよ」

 

ビアードは邪悪な笑みを浮かべ、言った。

 

「カゲヤマを殺せ…」

 

「えっ!!?」

 

「あいつが魔風壁を解除したら全てが水の泡だ…だから…殺せ…」

 

「で、でも…」

 

「いいからやれって言ったんだろうがぁっ!!」

 

「…わ、わかった」

 

その一言にビビってしまったカラッカは渋々受けることにした。

 

「そ、その格好じゃキツイだろ?解放してやるからな」

 

カラッカが亀甲縛りのまま放置されているビアードを不憫に思え解放しようとするが、

 

「やめろ!! 今…ちょっと良いところなんだ…」

 

「…えー」

 

 

○

ハルトたちはナツたちを探して走り回っているがなかなか見つからない。

 

「ハルト!ナツみたいに匂いでわからないの!?」

 

「そうしたいんだが風のせいで匂いが流されて、どこにいるかわからないんだ」

 

ドガアァァァン!!

 

そんなことを話しているとどこからか爆発音が聞こえた。

 

「この爆発音は…」

 

「あい! ナツに違いないね!」

 

ハルトたちはその音を頼りに通路を進んで行くと、そこには血を流して倒れているカゲヤマに声をかけているエルザとグレイ、そして気絶しているカラッカの胸ぐらを掴んで怒りの表情を見せているナツが怒鳴っていた。

 

「ど、どういう状況なの…?」

 

「あい」

 

「ごじゃる」

 




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