FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
エリゴールを倒したナツは勝利の雄叫びをあげた。
「かーかっかっ!どうだエリゴールを倒したぞ!」
「あい!流石ナツです」
「あぁ、すげぇよ」
ハルトも素直に褒めるが、すぐに不機嫌な顔になり、ハッピーに向かって怒鳴る。
「おいハッピー!お前オレをバカにしなかったか!?」
「猫の記憶力はショボいので」
「オレがエルザに負けるとかどうとか!」
「えー猫よりしょべぇ〜」
「なんだと!?」
余りのナツの記憶力の無さに、さっきまで感心していたハルトもツッコマざる得なかった。
さっきまでの緊迫した空気がなくなり、いつも通りの空気が流れていた。
すると、そこにものすごい速度で魔導四輪がやってきた。
そこにはエルザ、グレイ、ルーシィ、カゲヤマが乗っていた。
「ナツ!無事だったか!」
「げっ!?エルザ!!」
みんなが降りてくるがカゲヤマは車内で外の様子を伺うと、そこには信じられない光景があった。
あの鉄の森最強のエリゴールが再起不能の状態だったのだ。
「そんな!? あのエリゴールさんが!?」
しかし、カゲヤマにはもう一つ目に入った物があった。
「なんだよボロボロじやねぇか、情けねぇな」
「あぁ!?余裕だったつーの!」
「実際は?」
「あい、微妙なとこです」
「だが、倒したのは事実だ。よくやったぞナツ」
「かたっ!」
エルザが感動してナツを胸に抱き寄せるが、鎧を着ているため柔らかい感触などせず、鉄の硬さしか伝わらない。
「でも、これでこの一件は終わりよね?」
「あぁ、鉄の森の野望を阻止したんだ」
ルーシィとハルトの話を聞き、全員笑顔になり、喜びを分かち合う。
しかし、そこに邪魔が入った。
怪我をして動けないはずのカゲヤマが誰も乗っていなかった魔導四輪を動かし、ハルトたちが話しをしていたところに突っ込んできたのだ。
「危ねぇな!何すんだ!!」
「ハハハッ!残念だったなぁ!!妖精どもぉ!!ララバイは頂いたぁ!!!」
カゲヤマはハルトたちに突っ込むと同時に魔法でハルトたちの足元に落ちていたララバイを取っていった。
「しまったでごじゃる!」
「何よー!助けてあげたのにー!!」
「そんなこと言ってる場合か!追うぞ!!」
ハルトたちはクローバーに向かったカゲヤマを追いかけた。
○
辺りはすっかり暗くなってしまい、クローバーにある集会所近くの森でカゲヤマは荒い息を整えていた。
「ここまで来れば…あともうちょっとだ…」
しかし、その時カゲヤマのうしろのに人影が見える。
ゆっくりとカゲヤマの肩に手を乗せると、驚いたカゲヤマは振り向くと肩に置かれた手が指差しており、カゲヤマの頬に当たり、変な顔にしてしまう。
「ぶひゃひゃひゃひゃっ!ごほぉっ!?ごほっ!ごほっ!!」
それをした犯人は妖精の尻尾のマスター、マカロフだった。
まさかカゲヤマも目的の人物がこんな近くにいるとは思わなかった。
(こいつがマスターマカロフ…)
自分でしたのにむせて、死にそうになってるマカロフを見て拍子抜けしてしまうが油断はできなかった。
「いかん、いかん…こんなことをしておる場合ではないわい…お前さんは怪我人じゃろ? 早く病院に戻りなさい。それにしても、いくらハルトがいたとしても、あの3人を抑えこめる かどうか…」
マカロフがブツブツと呟きながら何処かへ行こうとするのを、カゲヤマは慌てて止めた。
「まっ…待ってください!」
「んーなんじゃ〜? ワシは忙しんだがの〜」
「い、一曲聞いていきませんか? ずっと病室に篭りっきりで嫌になってたんですよ」
カゲヤマは努めて穏やかそうに話しかける。
「む〜一曲だけじゃぞ?」
「ありがとうございます!」
(勝った…!)
カゲヤマは内心で歓喜した。
丁度その時にハルトたちも森に到着し、目の前でカゲヤマがララバイを吹こうとしていた。
「見つけた!」
「まずい!カゲヤマを止めるんだ!」
エルザの号令で全員が駆け出そうとするが、それを止める人物がいた。
「しっ、今良いところなんだから黙って見てなさい」
謎のオカマに止められた。
「マスターボブ!!」
「お久しぶりです」
「あらーお久しぶりねぇー、エルザちゃんもキレイになっちゃってー
ハルト君もさらにカッコよくなったわねぇー!」
「ははっ…近いです…」
「誰?」
「魔導士ギルド、『青い天馬』(ブルーペガサス)のマスターでごじゃる」
ジリジリとにじり寄ってくるマスターボブにハルトは後ずさりをしてしまう。
「どうした?早くせんか」
そんなことをしている間にも、カゲヤマはララバイを吹こうとしている。
今度こそ止めようとするが、また止めが入る。
「いかん!」
「黙ってなって。面白ぇとこなんだからよ」
「マスターゴールドマイン!!」
すると、今度は初老の男性が止めに入った。
彼は『四つ首の猟犬』(クアトロケルベロス)のマスターだ。
妖精の尻尾と比較的、親しいギルドのマスターがこうも何度も止めに入るととマスターたちはとっくに気づいていたのではないかと、ハルトは思った。
よく見ると集会所から各ギルドのマスターがこちらの様子を伺っている。
「さあ」
「……!」
緊張の余りララバイを吹けないカゲヤマはマカロフの射抜くような視線に怖じ気付いてしまう。
(吹けば…吹けばいいだけだ…それで全てが変わる!!)
笛に口を近づける瞬間、ナツとエリゴールが戦うところに向かうときにグレイやルーシィに言われたことが頭によぎる。
自分でもこんなことをして変わるのかどうかわからなくなっていたのだ。
「何も変わらんよ」
「っ!!」
マカロフはカゲヤマを見透かしたかのように話しかける。
その目は威厳がありながらも優しいものだった。
「弱い人間はいつまでたっても弱いまま。しかし弱さのすべてが悪ではない。もともと人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある、仲間がいる。強く生きるために寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶつかるし、遠回りをするかもしれん。しかし明日を信じて踏み出せば、おのずと力は沸いてくる。 強く生きようと笑っていける……そんな笛に頼らなくても……な」
「……!!」
それを聞いたカゲヤマは手が震え、ララバイを地面に落とし、
「参りました……!」
泣き崩れた。
マカロフの語りかけはカゲヤマの心に響いたのだ。
「マスター(じっちゃん)(じーさん)!!」
それを見たハルトたちは一斉にマカロフに駆け寄る。
それを見てマカロフは驚いた。
「ぬぉおぉっ!? なぜこやつらがここに!?」
「さすがです!今の言葉、目頭が熱くなりました!!」
「いたっ!」
エルザがマカロフに抱きつくがやっぱり痛い。
「じっちゃんスゲェなぁっ!!」
「そう思うならペシペシせんでくれ…」
「これで一件落着だな」
「だな」
今回の事件の終息に苦労を労わり合う。
「ほら…あんたは医者に行くわよ」
「よくわからないけどあんたも可愛いわ〜」
ルーシィはカゲヤマを心配したり、和気あいあいとしているとどこからか不気味な声が聞こえてきた。
『カカカ…どいつもこいつも情けねぇ魔導士どもだ…』
全員が声のするほうを向くとララバイが煙を吐き、髑髏の部分がカタカタと動いている。
『もう我慢ができん。ワシ自ら喰らってやろう…貴様らの魂をな』
すると、ララバイから出ていた煙がどんどんと大きくなり、形を成していき、ついには木の体の巨人の化け物が現れた。
「な!!」
「何コレーー!!?」
「化け物でごじゃるーー!!」
「なっ、僕はこんなの知らないぞ!」
ルーシィたちは突然現れた化け物に驚いた。
それは今回の事件を引き起こした鉄の森も知らないようだったあ
「あらら…大変」
「こいつぁゼレフ書の悪魔だ!」
ギルドマスターたちはあの化け物がなんなのかを知っているのか、慌てていた。
『腹が減ってたまらん…お前たちの魂を喰わせてもらうぞ…さあてどいつから喰ってやろうか…』
「何ー!?魂って食えるのか!?うめぇのか!?」
「知るか!今はそれどころじゃねぇだろ!!」
「一体…どうなってるの? なんで化け物が笛から…?」
震えるルーシィは化け物を見上げる。
「あれはゼレフ書の悪魔だ。あの怪物自体が魔法なんだよ、つまり生きた魔法ってことだ」
「生きた魔法…」
ルーシィの問いにハルトは答えるが、ルーシィは目の前にいる生きた魔法に驚愕した。
ララバイが何かをする前にナツ、グレイ、エルザが飛び出そうとするが、それをハルトが止める。
「な、なにするんだ!ハルト!!」
「あいつは俺に譲ってくれ」
「「「はぁ!!?」」」
「無茶よ!いくらハルトだからって…」
「大丈夫だって、それにこのままじゃ今回俺、乗り物酔いしたぐらいしかしてねぇし…」
ハルトは若干、顔を引きつらせながら言う。
エルザはハルトを真剣な眼差しで見る。
「任せていいんだな?」
「おう! 任せろ!」
それに対してハルトは快活に笑って答える。
エルザはそれを見て口元を緩めて微笑んだ。
「わかった。後はハルトに任せよう」
「なにーー!? 俺と戦えーー!!ハルトーー!!」
「なんでそうなんだよ…」
エルザはハルトに任し、後ろに下がっていく。
ナツの訳のわからない申し出にグレイが引っ張って下がっていき、ハッピーもそれについていった。
残ったのはハルト、ルーシィ、マタムネだけだが、なかなか下がろうとしない。
「? どうしたんだ。ここは危ないから下がってろ」
「私も一緒に戦うわ!」
ルーシィが言ったことに驚いたが、すぐに笑って返した。
「ありがとうな、俺のことを心配してくれてんだろ?でも大丈夫だって、俺が強いことは知ってるだろ?」
「そうじゃないわ! いや、心配なのもあるけど…そっちじゃないの!ハルトはいつも私を助けてくれるけど、私は何もしてあげれてないじゃない…。助けられてばかりは嫌なの!私もハルトを助けたい!」
ルーシィは今回の件の前にギルドでミラとマタムネに話していたことをずっと意識していた。
だから、こんなことを言い出したのだ。
ハルトは若干だが困った顔をしたが、内心は嬉しかった。
自分のためにここまで言ってくれるなら嬉しいに決まっている。
しかし、今回の敵はルーシィには荷が重い。
「そっか…ありがとうな。そこまで言ってくれて。でも、あの怪物は俺にやらせてくれ。ルーシィにはまだキツい」
「だけど…」
「ルーシィ、頼む」
ハルトが真剣な目でルーシィを見つめると、何も言えなくなってしまう。
ルーシィは悔しそうに了解した。
「……わかった」
「よし、マタムネ後は頼むぞ」
「ぎょいでごじゃる」
ルーシィはマタムネに連れられてナツたちがいるところまで下がる。
途中でハルトのほうを向くとハルトの背中が見えた。
その背中はとても遠くに感じられた。
『決めたぞ。まとめて全員だ』
ハルトたちが話し合っている間にララバイは決めたのか、口に多量の魔力が集められる。
「いかん!呪歌じゃっ!」
「ひーーー!」
他のギルドマスターが逃げるなか、ハルトはララバイに立ち向かう。
「覇竜の……咆哮!!」
口から出された金色のブレスはまっすぐララバイの口に向かう。
『ぶほぉっ!? 貴様ぁ…!!』
呪歌の邪魔をされたララバイはハルトに怒りを向けた。
「いやー久しぶりに人間相手じゃねぇから思いっきり戦えるぜ」
『何を言っている人間?』
ララバイの怒りは凄まじいにもかかわらず、ハルトはどことなく嬉しそうな口調だ。
その態度が余計にララバイの怒りを買う。
『邪魔をするなぁ!!人間ごときがぁっ!!』
ララバイは口に魔力を集めハルトに放つ。
「いかん!! 巻き込まれるぞ!!」
ハルトの後ろにいたナツ達以外の人達は逃げようとするが間に合わない。
「覇竜の剛腕!!」
ハルトは金色の腕を出し防ぐが、その大きさは今までの何倍もあった。
「あれ? なんかいつもより大きくない?」
ルーシィはそのことに気づき不思議に思い、またに聞いてみる。
「ハルトは力が強すぎるでごじゃるから人と戦うときは無意識のうちに魔力をセーブしちゃうのでごじゃる。でも今回は化け物が相手でごじゃるから魔力をセーブする必要はないでごじゃるりつまり今から戦うハルトは本来の力を出せる状態で戦うのでごじゃる」
ハルトはララバイの攻撃で砂塵が舞うが、その中からハルトは飛び出しララバイに向かっていく。
ララバイはすかさず右腕をハルトに向かって振るうがハルトはそれを腕に跳び移り、躱す。
腕を伝ってララバイの顔に向かっていくハルトに、ララバイは左手で襲う。
「ハルト危ない!!」
ルーシィがハルトに向かってそう叫ぶが、ハルトは攻撃が来ていることにとっくに気づいていた。
ハルトはすかさず右手を手刀にし、居合斬りの構えをとりララバイの左手に向かって振るう。
「覇竜の断刀!!」
手刀から伸びた金色の魔力はまるで刀のような形をつくり、ララバイの腕を上下真っ二つに切り裂く。
『ギャアァァァァ!!!』
ララバイは叫びながら切り裂かれた腕を抑える。
ハルトはその間にララバイの顔まで移動し、拳を振るう。
「覇竜の剛拳!!」
『ぐおぉっ!!?」
ララバイは地に倒れた。
「おぉっ!!すごいぞ!」
「あいつ本当に魔導士か…?」
あまりにも一方的な戦いに、後ろで待機していたギルドマスターたちは騒ぎ立つ。
「やはり流石だな」
「だーー!!俺と戦えー!!ハルトー!!」
「お前はそれしか言えねぇのか!?」
エルザたちもハルトの戦いに感心する。
しかし、ここに1人誰とも違う感情を持つ人がいた。
「………」
「どうしたでごじゃるか?」
ルーシィは黙って戦うハルトを見つめていた。
その顔はどことなく悲しそうだった。
「ううん……ただ遠いなぁって思って…」
「ルーシィ殿…」
ハルトは地に倒れたララバイを見る。
「長引かせるのもなんだし、そろそろ終わりするか…」
ハルトは右手に魔力を集中させると、そこにハルトの金色の魔力が螺旋状に集まり始める。
すると、右手には渦を巻いて高速回転する魔力の玉ができた。
「滅竜奥義……」
ハルトは立ち上がろうとするララバイに向かって駆け出す。
そして跳び上がり、ララバイの胸に魔力の玉をぶつける。
「竜牙弾!!」
『ぐおぉぉぉぉぉぉっ!!?』
滅竜奥義・竜牙弾が当たると同時に竜牙弾は膨張し、ララバイの体をドリルのように削っていく。
そして最後には爆発を起こしララバイの体にあなたを開けた。
そのままララバイは倒れて動かなくなった。
「ゼレフの悪魔がこうもあっさりと……」
「こりゃたまげたい」
「かーかっかっかっ!」
「す…すごい」
ハルトの圧倒的な力に驚くギルドマスターたち、マカロフは誇らしいのか高笑いをし、カゲヤマは感動さえもした。
「いやぁ、いきさつはよくわからんが、妖精の尻尾フェアリーテイルには借りが出来ちまったぁ」
「なんのなんのー!!ふひゃひゃひゃひゃ!!!ひゃ…ゃ……は……!!!」
ゴールドマインの言葉に余計気をよくしたのか、さらに高笑いをあげるがあることに気づき、笑いが引きつり、目を見開く。
「久しぶりに思いっきり戦えたからスッキリしたぜ」
「ご苦労だったな」
「やっぱスゲェな。竜牙弾の威力。」
「今度は俺と戦えー!ハルト!」
「今の状態じゃすぐに負けちゃうかもよ?」
ハルトがエルザたちと話していると後ろから、少し複雑そうな顔をしたルーシィがきた。
それに気づいたハルトは優しく笑った。
「ただいまルーシィ」
それを見たルーシィも優しく笑って返した。
「うん、おかえりなさい。ハルト」
「おかえりでごじゃる!」
まだ心の奥にモヤモヤとしたものがあるが、とりあえずは無事に終わりに安心した。
「さて、そろそろ帰るか……げっ!」
ハルトが振り返ってみるとクローバーの集会所どころかクローバーの町全体がララバイが倒れたせいで半壊している。
「ははっ!!! 見事にぶっこわれちまったぁ!!」
「笑いごとじゃないよ、ナツ」
ナツは快活に笑っているがその他の妖精の尻尾のメンバーは顔が青ざめている。
ルーシィは恐る恐るハルトに尋ねる。
「ど、どうするの…ハルト」
「………逃げるぞ!」
「「「えーーー!?」」」
ハルトが先導して逃げるのをみんな追いかけて行く。
「捕まえろーーー!!!」
「おしっ! 任せとけ!」
「お前は捕まる側だー!」
「結局こうなるのでごじゃるな…」
「じーさん、すまん…こんなことになって…」
「いーの、いーの、どうせもう呼ばれないでしょ?」
マカロフはそう言うが額からは冷や汗が流れていた。
せっかく活躍したのにこんな終わりかたは妖精の尻尾らしいと言えばらしい終わりかただった。
感想待ってます!