FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第30話 何のために

エレメント4が残り2人となったとき、ハルトは意識を取り戻した。

 

「う……ここは……」

 

「ハルト!目を覚ましたでごじゃるかー!!」

 

「いでっ!?」

 

目を覚ましたハルトのマタムネは飛びつく。嬉しがるマタムネに心配かけたなと思い苦笑いしつつ、ゆっくりと放す。

 

「マタムネは今どんな状況だ? ルーシィは? ジュピターが撃たれた後どうなった?」

 

「ルーシィは隠れ家に行って守られてるでごじゃる。リーダス殿がついているでごじゃるから取り敢えずは大丈夫だと思うでごじゃる。ハルトがジュピターを防いだあと、もう一度撃とうとされたでごじゃるがナツ殿とハッピーがジュピターを破壊して防いだでごじゃる。だけどそのあとファントムのギルドが変形して巨人になって魔法を放とうとしてるでごじゃる!」

 

「はぁ?」

 

ハルトはジュピターのとこまではわかったがギルドが巨人になったことが分からなかった。

 

「取り敢えず外に出るか」

 

「その傷でごじゃるか!?」

 

「少し寝たらスッキリした!」

 

「そういう問題じゃないでごじゃる〜」

 

フラフラとギルドから出ようとするハルトを慌てて追いかけるマタムネは心の中では戦って欲しくなかった。ハルトはこう言っているが明らかに重傷だ。だが、こうなってしまっては止められないの何年も相棒として側にいるのでわかっていた。自分にできることは精一杯ハルトの相棒としてサポートすることだけだ。

 

 

あれからずっと戦いが続いており、みんな疲労が色濃く現れていた。

 

「あれから10分以上経ってるのにまだ眠い完成しねぇのか……」

 

「心臓に悪いぜ」

 

煉獄砕破の魔法陣は本来なら10分程で完成するはずだったのが、動力源であるエレメント4が2人も抜け、未だに完成していなかった。

 

「あんたたち! 無駄口叩くなら戦いに集中しな!! エルザたちが必ず止めてくれる!!」

 

『おうっ!!!』

 

カナの叱咤で再び戦いに戻るメンバーたち、それを見たカナは片膝をついて崩れてしまう。

 

「カナ!?」

 

近くで戦ってたマカオがカナに駆け寄ろうとするが、それよりも早く幽兵がカナに攻撃を仕掛けてくる。反撃が間に合わず、とっさに目を瞑ったカナだがいつまで経っても攻撃がこない。目を開けると幽兵を殴り飛ばすハルトの姿が見えた。

 

『ハルト!!?』

 

「おう、お前ら。無事か?」

 

「ハルト、あんた大丈夫なのかい!?」

 

「ん? ああ、傷か? それなら大丈夫だ」

 

あっけらかんに答えるハルトだが服がボロボロになり隙間から見える包帯は痛々しかった。

 

「それより、ここは任せていいか? 俺は中に行く」

 

「中にって……中にはもうエルザたちが……」

 

「わかっているけどよ……それじゃあ足りねえだろ。ジョゼを倒すには」

 

そうこの戦いを終わらすにはジョゼを倒すしかないのだ。エルザたちがファントムに突入したがそれでも心配なのだ。なにせ相手は聖十大魔導士の1人、ジョゼなのだ。

 

「……わかった。ここは私たちに任せな」

 

「おう、頼んだぜ! マタムネ!!」

 

「ぎょい!!」

 

マタムネがハルトに捕まり、翼(エーラ)を出して、ファントムに向かった。

 

「頼んだよ……」

 

 

グレイとジュビアの戦いは最初グレイが有利のようだった。というのも、最初に出会い、お互い睨みあっていると突然ジュビアが頬を赤くし、始終戸惑っているようだったのだ。しかし、そこはファントムのエレメント4なだけあって自身の体を水に変え、物理攻撃を無効にしたのだ。さらにジュビアが何を勘違いしたのかグレイはルーシィを愛していると思い、攻撃が激しくなる。しかしグレイは自分の魔力を全力で使い相手をその水ごと凍らす。その時に偶然にもグレイはジュビアの胸をわし掴んでしまい!慌てて魔法を解く。その行動にジュビアの乙女心は輪にかけて大きくなり、最早降伏してもいいと思うくらいだった。しかし何気なくグレイが言った言葉がジュビアを怒らせた。

 

「しかし鬱陶しい雨だな…」

 

その言葉にジュビアの過去のトラウマが蘇る。幼い時は雨女といじめられ、恋人ができてもデートで雨ばかりなので嫌気がさし別れてしまった。ジュビアはそんな自分が嫌で仕方なかったが、唯一自分を求めてくれた幽鬼の支配者に身を寄せているのだ。

 

「あなたも……」

 

「あ?」

 

「あなたも同じなのねーー!!!」

 

感情が高まり、ジュビアの水はさらに熱を持つ。ジュビアが自身を水に変え、すごい勢いでグレイに突進してくる。グレイは落ち着いてぶつかってきたところを凍らせようとするが、

 

「熱っ!!? さっきよりも温度が高くなって……うおっ!?」

 

ジュビアの怒りはグレイが抗えない程の力を爆発させた。それにより水の中に巻き込まれてしまい、このままでは

 

(ジュビア、もう恋なんてしない!!)

 

ジュビアはもう自身の恋を諦めたように心の中で叫ぶ。しかしグレイは絶体絶命のなかでも諦めない。

 

「ぐはっ!!」

 

グレイはなんとか水流から抜け出せたが、すかさずジュビアが追撃してくる。グレイは迫り来る水流を睨む。

 

「これで終わりよっ!!」

 

「負けられねえんだよぉーー!!!」

 

相手に手を向け魔力を全開にした。グレイの氷とジュビアの水がぶつかる。せめぎ合う両者だがグレイの魔力はジュビアによって作られた水蒸気を凍らし始めた。

 

(周りの水蒸気を凍らせるなんて、なんて魔力なのっ!!?)

 

「凍れぇぇぇぇっ!!!」

 

徐々に水が凍りつく。まずいと思ったジュビアは一度距離をとったが、グレイは即座に懐に入る。

 

「氷欠泉(アイスゲイザー)ァ!!!」

 

「きゃああぁぁぁっ!!!!」

 

地面から巨大な氷塊が現れ、ジュビアごと凍らせる。ジュビアは解放されるがダメージが大きく動けない。

 

「負けた……」

 

ジュビアの心の中では負けた悔しさより、何故か清々しさがあった。すると雨雲から光が差し込む。ジュビアの魔力で雨が降るため晴れることなんてなかったが空が晴れた。

 

「きれい……」

 

そう呟くジュビアに気づいたグレイは目を向け、微笑んだ。

 

「で……まだやんのかい?」

 

ジュビアは胸がときめいてしまい、幸せそうに気絶した。

 

 

グレイとジュビアの戦いが決着が着くまえ、エルザは窮地に立たされていた。首に突き付けられたレイピアのせいで動けないのだ。どうにかしないと、と思ったとき部屋が少し揺れた。

 

「真上からか?確かホールがあったはずだが……」

 

ルシェドが上を向いた瞬間、エルザは隙を突き、レイピアを剣で弾いて斬りかかる。しかし、ルシェドはその場から消えたように動きエルザから少し離れたところに移動した。エルザはすぐさま追撃するが、ルシェドは構えをとらず、エルザを見据えるだけだ。そしてゆっくりと口を開く。

 

「気をつけろ。そこは地雷が埋まってるぞ」

 

そう言った瞬間、エルザの足元が爆発した。立ち込める煙の中から転がるように出てきたが、剣は半ばから折れてる。

 

「咄嗟に剣を盾にしたのか。やるな」

 

「はぁっ……!はぁっ……! くそっ!! せめて換装が使えれば……!!」

 

「無駄だ。この部屋では換装の魔法だけが使えないようにしてある」

 

それでも諦めず立ち向かってこようとするエルザを見て、少しため息を吐いた。

 

「何故そこまでやろうとする?」

 

「何?」

 

「はっきり言ってしまえば、今回はお前たちはハートフィリア家の家族喧嘩に巻きこまれた側だ。それなのに何故、原因のルーシィ・ハートフィリアを守ろうとする?」

 

エルザは毅然とした態度でルシェドを見て、はっきりと答える。

 

「仲間だからだ」

 

「それだけか?」

 

「ああ、それだけだ。それで充分だ」

 

ルシェドは呆れたように息を吐く。

 

「はぁ、俺にはわからないな。その仲間やら、絆やらは」

 

それを聞いたエルザは笑みを浮かべる。

 

「ならお前は一生、私たちに勝てないな。想いの力は何よりも人を強くする」

 

ルシェドは眉間に皺を寄せた。

 

「この状況でよくそんなことが言えるな」

 

「私が負けても妖精の尻尾は負けない!」

 

ルシェドはこんな状態でもエルザの勝つ気でいる眼差しに不快感を覚えた。

 

「なら、その想いの力とやらを見せてみろ!!」

 

ルシェドの周りに赤い光球が3個現れ、レイピアをエルザに向かって振ると一斉にエルザに向かいだした。その光球は速く、エルザは必死に逃げる。逃げた先に光球の1つが先回りし、退路を塞ぐ。エルザはすぐに判断し、後ろから来る光球に剣を投げつけると光球は爆発し、進行方向にいたエルザは爆発の余波で吹き飛ばされた。前から迫り来る光球にエルザはピアスを投げつけ爆発させた。何とか光球の爆発に直接当たらなかったが余波だけでもボロボロのエルザには大きいダメージになり、倒れた状態になってしまった。それでも立ち上がろうとするエルザに近づき、冷たい眼差しで見下ろし、赤い光に包まれたレイピアを構える。

 

「これで終わりだ」

 

レイピアをエルザに突き刺そうとした瞬間、開かなかったはずの扉は吹き飛び、マタムネに抱えられたハルトが現れ、ルシェドを殴り飛ばした。

 

 

ファントム内をマタムネと移動していたハルトたちは道を迷っており、薄暗い十字路で立ち止まっていた。

 

「なんでこんな時に道に迷うんだよ」

 

「うう……申し訳ないでごじゃる……」

 

ハルトとマタムネは意気揚々と出発したがマタムネが張り切りすぎて先導して行ったがご覧の有り様だった。

 

「ここはどこでごじゃろうなぁ?」

 

「さっきから扉どころか人すら見てねぇよ。それよりこの奥から妙な匂いがするんだよな」

 

「じゃあ、そこを目指すでごじゃる」

 

すると奥の方から響く音が聞こえた。

 

「なんでごじゃるか?」

 

「とりあえず進むぞ」

 

進んで行くとハルトはあることに気づく。

 

「ッ!! マタムネ!! 俺を抱えて全速力で飛べ!!」

 

「え? なんで……」

 

「いいから!」

 

ハルトに強く言われたマタムネはよく分からなかったが言われた通り、ハルトを抱え全速力を出して廊下を進んだ。すると、目の前に白い扉が見えてくる。

 

「ハルトどうするでごじゃるか!?」

 

「このまま突き進め!」

 

ハルトは両手に魔力を纏わせ拳を作る。ぶつかる瞬間左拳で扉を殴り壊し、その奥にいたルシェドを右拳で殴った。

 

「大丈夫か、エルザ!?」

 

「おおっ! エルザ殿!」

 

「ハルトにマタムネ! もう動いて大丈夫なのか!?」

 

「ああ、もう大丈夫だ。お前は相当やられたみたいだな」

 

ハルトに見られたエルザは悔しそうにする。

 

「くっ、すまない……。 この部屋に入った途端魔法が使えなくなったんだ」

 

「魔法が?」

 

ハルトは部屋を隅々まで見る。

 

「敵を前によそ見と話しか、余裕だな」

 

声がするほうを向くと煙の中から無傷のルシェドがいた。

 

「そんな!? ハルトの攻撃は当たったはずでごじゃる!」

 

「確かに効いたな。盾が消えてしまった」

 

ハルトはルシェドの言葉に疑問を覚える。

 

「エルザ、ここは俺に任せてお前はマタムネを連れて他の奴の援護に行ってくれ」

 

「いや、ここは2人で……」

 

「魔法が使えないんだろ? ならやめた方がいい。 それに怪我であまり動けねえだろ」

 

「くっ、すまない……」

 

「気にすんな。仲間だろ?」

 

ハルトはフッと笑みを浮かべて見ると、エルザらも笑みを浮かべる。

 

「マタムネ頼むぞ」

 

「ハルト……」

 

「大丈夫だって! 俺を信じろ」

 

マタムネは何か言いたげだったがエルザと共に部屋から出て行った。それを見送ったハルトはルシェドと対峙する。

 

「少し聞いていいか?」

 

「なんだよ?」

 

「さっき妖精女王にも聞いたが、何故戦う? この戦いはお前たちにとって何の利益もないだろう?」

 

「仲間のためだ」

 

ハルトはハッキリと答えた。

 

「利益なんかなんも関係ねぇ。俺たちは傷付けられた仲間、仲間がいる場所を守るために戦っているんだ」

 

ルシェドはそれを聞くと眉間に皺を寄せ、不快感を露わにした。

 

「お前もそう答えるのか…… くだらない。人間というのは結局自分を優先する。お前らも奴らと同じだ」

 

「どういうことだ?」

 

ハルトはルシェドが何を言っているか分からなかった。ルシェドはレイピアを構えて静かにハルトに言う。

 

「聞きたかったら俺を倒してみろ」

 

ルシェドは飛び出し、ハルトにレイピアを突きつけた。戦いの火蓋が切られた。

 

その頃、ジュビアとの戦いの疲労を休めていたグレイにミラとエルフマンが合流した。

 

「グレイ!!」

 

「エルフマン!ミラちゃんも!なんでここに?」

 

「それは後で言うわ。この子は?」

 

ミラは気絶しているジュビアを見る。

 

「エレメント4の一人だ」

 

「なんか幸せそうに気絶してんな」

 

「やったわ!!これで残るエレメント4は1人! 煉獄砕破を止められるわ!!」

 

「マジかよ!」

 

「早く探しに行きましょう!」

 

煉獄砕破の完成は刻々と迫っていた。

 




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