FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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だいぶ遅れました。すいません。


第32話 仲間のために

レイピアを構え、突き刺そうととするが、剣先はハルトの頭の寸前で止まった。

 

「やはり俺には分からん。何故仲間のためにそこまでやれる? そんなに大切なものなのか?」

 

それを聞いてハルトは笑みを浮かべる。

 

「……あんたおかしいな」

 

「……何?」

 

「仲間や……絆のことを……否定してるわりには……どこかそれを……欲しがってるように……聞こえるぜ」

 

「………」

 

「図星か……?」

 

「……黙れ」

 

レイピアを掴む力が強くなる。

 

「過去に……何かあったのか?」

 

「黙れ」

 

どんどん声に力が入る。

 

「仲間と何かあったか?」

 

「黙れ!!!」

 

触れられたくない何かに触れられ激怒したルシェドは叫ぶと同時にハルトを蹴り上げ、遠くに飛ばす。ルシェドはハルトに向かってレイピアで五芒星を書くように空を切ると、そこに光の線が走り、五芒星が出来上がる。

 

「五つの属性よ! 禁忌の交わりを行いて、その真価を示せ!!」

 

ルシェドが詠唱すると五芒星は大きくなり、それぞれの頂点に五色の光球が現れる。するとそれぞれの光球から五芒星の真ん中に向かって光の線が集まると、そこに白色の光球が現れる。

 

「ペンタグラム・イクスプロージョン!!!」

 

その瞬間、部屋全体を覆う白い光が爆発した。そしてハルトに白く巨大な光線が襲う。その光線は部屋の壁を突き抜け、ファントムMk-Ⅱの外装も突き抜けた。

 

 

その威力はファントム全体を大きく揺らした。

 

「きゃっ! 何!?」

 

「大丈夫か!? ネェちゃん!!?」

 

「おいおい……どんだけ揺れんだよ……」

 

 

「うおっ!? なんだ!!?」

 

「下の方からだよ!」

 

「ハルトとルシェドが戦っているところだな……」

 

「ハルト……」

 

マタムネは心配そうにハルトの名前を呼ぶ。

 

 

外で戦っている妖精の尻尾のメンバーもルシェドの魔法の余波に驚いた。突然ファントムの体から白い大きな光線が出てきたのだ。

 

「おい!! 何だよあれ!!?」

 

「ハルトたちは無事なのかよ!?」

 

仲間は突然のことに慌てる。カナもそうだった。

 

「無事でいなよ。みんな……」

 

 

ハルトたちが戦っていた場所は風景が変わってしまった。ルシェドから扇状に地面が抉れており、ファントムの建物は大きな穴ができておりマグノリアの街が見えており、ルシェドの魔法の威力を物語っている。

 

「はぁ……はぁ……」

 

ルシェドは少し息を荒げながら地面の抉れたところに倒れているハルトを複雑そうに見ていた。

 

 

少し時は戻りアリアが倒され、ファントムMk-Ⅱの動きが止まったことに操縦室で待機していたジョゼも気づいていた。

 

「エレメント4は全員倒されたのか……」

 

「ま、マスタージョゼ……」

 

怒りに震えるジョゼに恐る恐る話しかけるファントムの魔導士。

 

「ありえん!! エレメント4がたかが兵隊に負けるだと!?」

 

「し…しかし、ファントムMk-Ⅱの動きは止められましたし、じ…事実かと……」

 

「ぐぅ……ガジルとルシェドは何をしている!!?」

 

ジョゼが怒鳴っていると後ろから声が聞こえた。

 

「待たせたなぁ、マスター」

 

「ガジル……」

 

ガジルが現れたのだ。しかもその肩には気絶したルーシィが抱えられていた。

 

「よくルーシィの居場所がわかったな」

 

「滅竜魔導士の鼻を舐めないでくださいやぁ。なんか邪魔してくるデブがいたから、とりあえず片付けておいたが……ありゃ死んでるかもな」

 

ルーシィを乱暴に下ろし、物騒なことを笑いながら話すガジルに同じギルドの魔導士たちでも顔を引きつってしまう。そんな中、1人がガジルに質問する。

 

「あ……あのガジルさん? そいつ死んでませんよね?」

 

さっきからピクリとも動かないルーシィにガジルが殺してしまったのではないか思ってしまった。

 

「う〜ん?」

 

顎に手を添え、わざとらしく考えるふりをした。突然ルーシィの腹を思いっきり蹴り上げる。

 

「がはっ!!」

 

「ほら生きてんじゃねぇか?」

 

「が、ガジル! やめろ!! 死んでしまう!!」

 

一回蹴った後も容赦なく蹴り続けるガジルに流石のファントムも止めに入るが、そんな中ジョゼはほくそ笑む。

 

「良くやりましたよガジルさん。これであのクソガキどもに王手を打てる」

 

「ギヒッ!」

 

 

ルシェドの強力な魔法の後、ファントムのギルド内と外で戦っている者たちに聞こえるように放送がされた。

 

『妖精の尻尾の皆さーん。私たちはルーシィ・ハートフィリアを確保しました』

 

それを聞いて全員が驚く。

 

「そんな……!!」

 

「ハッタリだ!!」

 

何人かは自分たちを撹乱するための嘘だと思った。

 

『キャアァァァァァッ!!』

 

しかし、何か鈍い音の後に響く悲痛な叫びは間違いなくルーシィのものだった。

 

「そんなルーシィが……」

 

「隠れ家の場所がバレだんだ」

 

『これでテメーらの運命は決まった…… 殲滅だ』

 

すると途端に幽兵の姿が荒々しくなり、攻撃の勢いが強くなった。

 

「がっ!? 何だこいつら!!?」

 

「突然強くなったぞ!!」

 

事態は悪い方向へと向かっていった。

 

 

一方、ファントム内のナツたちもその放送を聞いて一気に焦る。

 

「どうしよう!!? ルーシィが!?」

 

「今すぐ助けに行くぞ!!」

 

「せっしゃも行くでごじゃる!!」

 

ナツが駆け出そうとするがエルザがナツを止める。

 

「待て……ナツ」

 

「どうしたエルザ?」

 

「力を解放しろ…… お前にはまだ眠っている力がある。私を超えて行け!!ナツ!!!」

 

ナツはギルドを壊された、仲間を傷つけられた怒りがエルザの激励で解放された。

 

「ウオォォォォォッッッ!!!」

 

感情で吹き出た炎はナツを包み、ドラゴンのように炎翼を広げた。

 

 

ジョゼの放送はハルトとルシェドが戦っていた場所にも届いていた。

 

「マスターめ、いつの間に…… 」

 

ルシェドは落ち着いたようで、いつも通りの冷静な声だ。ハルトに背を向け、放送に耳をすましている。

 

『キャアァァァァァッ!』

 

ルーシィの叫びが聞こえた瞬間ハルトの指がピクリと動く。

 

『それとルシェド君。煉獄砕破をもう一度再開してください。虫の数が多く、面倒くさいので一掃したいのです』

 

「エレメント4は全員倒されたのか…… まぁいい」

 

ルシェドが腕を振るうと巨大な魔法陣が展開された。

 

 

幽兵の猛攻に耐えている妖精の尻尾の魔導士たちは絶望に打ちひしがれていた。止まったはずの巨人が再び動き出し魔法陣を描き始めたのだ。

 

「おい!? 何でまた動き出してんだよ!!?」

 

「知るか!!」

 

「ねぇ、さっきよりも早くない?」

 

ファントムMk-Ⅱの魔法陣を描くスピードはエレメント4を原動力としてた時より断然早くなってる。

 

「このままじゃ全滅だぞー!!!!」

 

それを操縦室で見ていたジョゼは上着を脱ぎ、出口に向かっていく。

 

「どこに行くんだよ、マスター?」

 

「中にいる虫どもを潰してくる」

 

「マスター自らしなくてもいいでしょう?」

 

「この俺に泥を塗ったんだ。俺の手で絶望の底に落としてやらねぇと気が済まねぇ」

 

その顔は怒りに染まっていた。

 

 

「何で煉獄砕破が復活してんだよ!?」

 

「ルシェドってやつのせいか!!」

 

グレイとエルフマンは慌てるが、ミラは別のことに戦慄していた。

 

「たった1人であんな巨大な四元素の魔力を補っているの……? どれほど巨大な魔力を持っているのよ……」

 

 

「全くマスターも後先考えずに動きすぎだ。街ごと消したら、それこそ俺たちが犯罪者だ。せめて妖精の尻尾までの範囲にしておくか……」

 

ルシェドが魔法陣に手を向け操作していると後ろから、砂利を踏む音が聞こえた。ルシェドはまさかと思い、振り向くと全身にひどい傷を負いながらもフラフラと立ち上がるハルトがいた。それを見たルシェドはひどく狼狽した。

 

「あ……あり得ない…… ペンタグラムを受けて、立つことができるなんて……」

 

「フーッ……フーッ……フーッ……」

 

ハルトは一歩ずつゆっくりとルシェドに近づいてくる。俯いているせいで表情がわからない。ただ何か圧倒するような気配をハルトから感じられた。ルシェドはそれに少し恐怖を覚えた。だがハルトの状態はあと一撃で倒せる状態だと思い、ルシェドは光球を放った。しかし、それよりも早くハルトは足に魔力を纏わせ、一気に近づいた同時に剛拳を食らわす。

 

「オラァっ!!」

 

「ぐっ!!?」

 

ルシェドはシールドをはっているのにも関わらず、大きく飛ばされた。さっきとは桁違いの威力だ。

 

(煉獄砕破に魔力を割っているとは言え、威力が違いすぎるぞ!? 一体どこからそんな魔力が……?)

 

その時ルシェドはハッとした。

 

「お前まさか……? ペンタグラムをもろに受けて魔力を全回復したのか?」

 

ハルトは何も言わなかったがルシェドはそうだと確信した。

 

「そんなの自殺行為だ…… 何故だ……何故そこまで仲間のためにやれる!!?」

 

ルシェドは再び光球で攻撃するがハルトは全て剛腕で受け止める。 その際に爆煙があがり、ハルトの姿は見えなくなる。

 

「………そんなの大切だからにきまってるだろーがっ!!!」

 

ハルトがそう言うと同時に煙から飛び出てルシェドに殴りかかる。ルシェドは避けれず、シールドで受けるが押し飛ばされてしまう。

 

「俺は仲間が危ないめにあってたら、命をかけても助けんだよ」

 

ハルトの目にはさっきよりも決意が固められている。その目を見て、ルシェドはさらに困惑し、怒りが募る。ルシェドは魔力を高め、また五芒星を描く。ハルトは前に踏み出そうとするが足に力が入らず、片膝をついてしまう。

 

(あいつのシールドを破るには竜牙弾じゃダメだ…… もっと威力を集中させないと……)

 

竜牙弾は確かにハルトの中では最も強い魔法だが、竜牙弾は中心から全方向に魔力の衝撃を放つ魔法であり一つの方向に威力が集中しているわけではないので分散して弱まってしまう。それがルシェドのシールドを破れない理由だ。ハルト自身もそこに気づいていた。

 

「試してみるか……」

 

ハルトは立ち上がり、左手に竜牙弾を作る。

 

「また竜牙弾か? 芸がないな」

 

ルシェドはそう言いつつもさっきの魔法を作っていく。しかし、ハルトはボロボロの右腕を突き出し、竜牙弾を近づけた。

 

「付加(エンチャント)………!!」

 

 

ミラたちは煉獄砕破の魔力源であるルシェドを探すために走り回っていると、ホールに出た。そこには傷ついて倒れたエルザがいた。

 

「「「エルザ!!」」」

 

ミラたちは近寄り抱き起す。

 

「う……お前たちか……」

 

気がついたエルザはゆっくりと目を開ける。

 

「あなたがこんなにもなるなんて……そんなにアリアは強かったの?」

 

ミラは倒れているアリアを見ながら聞くが、エルザは首を横にふる。

 

「いいや、違う。この傷は全てルシェドにつけられたものだ。今はハルトが戦っているはずだ」

 

「ハルトが!? あいつ倒れてたはずだろ!?」

 

「こうしちゃいられねぇ!今すぐ助けに行くぞ!!」

 

グレイとエルフマンは助けに行こうとするがエルザが待ったをかける。

 

「待て……ハルトを信じよう」

 

「信じようって……ハルトはジュピターを受け止めてボロボロなんだぞ!? それにルシェドってやつは相当ヤベー奴なんだろ!? だったら助けに行かねぇと……」

 

「だからこそだ」

 

エルザの目は自信に満ちていた。

 

「ハルトは必ず勝つ……あいつは仲間のためなら命を張る男だ。だからその仲間である私達があいつを信じて待っていよう」

 

 

その頃、ルーシィが捕らえられている操縦室ではガジルがルーシィを張り付けにし、ナイフを投げて痛ぶっていた。ガジルが投げたナイフはルーシィの顔のすぐ横に刺さる。

 

「…………」

 

「お〜今のは危なかったな!」

 

それをケラケラと笑いながら、次のナイフを投げようとしたガジルをファントムの仲間が止めた。

 

「な、なぁガジル……もうそろそろやめとこうぜ? 傷でもつけたらマスターに怒られちまうよ」

 

それを聞いたガジルは手を止め、止めに入った男の近くに寄り、腹に蹴りを入れた。

 

「がぁっ……!?」

 

「ゴチャゴチャうるせえんだよ…… テメェら雑魚の言うことなんかマスターが信じるわけねぇだろ」

 

仲間を仲間と思わない所業を見たルーシィは口を開いた。

 

「かわいそうね」

 

「あ?」

 

ガジルがルーシィをみるとその目には何故か自信が満ちていた。

 

「仲間を大切にしないあんた達になんかに妖精の尻尾は絶対に負けない。あんた達はこの世で1番敵にしちゃいけないギルドを敵に回したのよ!」

 

ルーシィが強気でそう言うのが気に入らなかったのか、舌打ちしたガジルは手にナイフを作る。

 

「じゃあその強さを見せてみろよ!!」

 

ガジルは今度はルーシィの顔スレスレのところではなく、顔を狙って投げた。他のメンバーも止めに入ろうとするが間に合わない。しかしルーシィは怖がりもせず、目を開き迫るナイフを見据えている。その瞬間、操縦室の床が盛り上がり、弾け飛んだ。そこにはガジルが投げたナイフを咥え止めた。ナツがいた。

 

「ナツ!!」

 

「やっぱりか、匂いでわかったぜ」

 

着地したナツはすぐガジルを見据えた。

 

「ガジルゥゥゥゥッ!!!!」

 

そして、すぐさま飛びかかり、炎を纏った拳で殴った。咄嗟のことで受け身も取れなかったガジルは吹っ飛び、機材に突っ込んで行ってしまった。

 

「痛っぇな……」

 

ガジルが前を向いたときにはナツは既にガジルの目の前にきており、こぶしを振りかぶっていた。

 

「オオオォォォォッ!!!!」

 

ナツはこれまで貯めてきた怒りを爆発させたかのように殴りかかる。しかし、ガジルもやられてばかりではなく、腕を鉄柱にしナツを引き離す。

 

「鬱陶しいぞ!!」

 

飛び退いたナツは後ろで拘束具を外していたハッピーとマタムネに指示を出した。

 

「マタムネはルーシィを助け出したらここから離れろ!」

 

「ぎょい!」

 

「えっ!?いいの!?」

 

ルーシィはナツの姿を見て、マタムネに聞き返す。ナツもアリアとの戦いで少なくないきずを負っている。

 

「せっしゃたちがいたらナツ殿は本気で戦えなくなってしまうでごじゃる」

 

ナツとガジルはどちらとも滅竜魔導士、強力な魔法を使うがその余波も凄まじいものだ。

 

「仲間を信じるでごじゃるよ」

 

マタムネの目には不安など一切見えていない。ルーシィもその目を見て力強く頷いた。

 

「うん!」

 

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