FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
ハルトがルーシィの家に行くとちょうどナツ達もついて、これから中に入ろうとしているところだった。
「来たでごじゃる」
「悪い、待たせたな」
「いや、私たちも今着いたところだ」
エルザがハルトに説明している間に、ナツは扉を開ける。
「ルーシィいるかー?」
「……ナツ殿?ノックしたでごじゃるか?」
「ノック?なんじゃそりゃ?」
「この前教えただろうが……」
「それがナツです」
ナツの非常識具合に頭を抱えるハルトにハッピーは慰めにもならないことを言う。
そんなハルトを置いといて次々と中に入って行く。
「いないでごじゃる」
「ルーシィどこー」
「そこには絶対にいない。あとマタムネ、元のところに戻しておけ」
「ぎくっ……」
マタムネとハッピーはルーシィの洋服タンスを調べるが、まず人が入れるスペースがない。
そしてマタムネはどさくさに紛れて下着を盗もうとしていた。
「風呂なんじゃねぇーか?」
「いや、いねぇ」
「なんで勝手に入ってんだよ!」
「痛てっ!?」
ナツが風呂場を勝手に調べたことにハルトはすかさずナツの頭を叩く。
「うーん?ここかなー?……うわっ!」
ハッピーが机の上に取り付けてあった棚を開けると、そこから大量の封筒が出てきて、ハッピーは押しつぶされた。
「大丈夫でごじゃるか!」
「助けて〜」
「何だこの封筒?」
封筒の宛先を見ると、ママへとだけ書かれていた。
「おい、これ全部、ママ宛の手紙だぞ」
「読んでみようぜ!」
「あっ、おい。勝手に読むな」
ハルトが注意するがナツは御構い無しに読んで行く。
「えっーと……『ママへ。あたし、ついに憧れの妖精の尻尾に入ったの!』」
「『ママへ。明日はハルトとマタムネで初仕事に行くの。緊張するけど、頑張らなきゃ! それにハルトが一緒に行ってくれるからすごく楽しみなんだ。ハルトって優しいし、カッコいいの。』」
「ベタ褒めでごじゃるな」
「でぇきぃてぇるぅ」
「う………」
ルーシィの手紙の内容にハルトは照れてしまい、マタムネ達はからかってくる。
「だけど、なんでこんなに手紙があるんだ?」
「送らねーのか?」
「家出中だからだろ。なぁ、エルザ」
ハルトがエルザに話しかけるがエルザは険しい顔をして机の上を見つめていた。
「ルーシィの書き置きだ。 “家に帰る”だ、そうだ」
『何ィィッ!!!?』
突然のことにナツ達は慌て、口を揃えて叫んだ。
「どういうことだよ!?」
「わからん! 取り敢えずルーシィのところに行くぞ!」
「……あれ?ハルトとマタムネはどこ行ったの?」
○
ルーシィは長い道を歩いていると目の前に、大きな庭園があり、その奥には大きな屋敷が見えてきた。
「帰ってきちゃったなぁ……」
ルーシィは少し嫌そうだが、懐かしむように言った。
屋敷と同じで大きな門をくぐると庭から野菜をざるに乗せた背が小さい老婆と鉢合わせた。
「お嬢様〜!!」
「スペットさん!」
スペットは涙を流しながらルーシィに抱きつく。
「久しぶりだね」
「お久しぶりでございますー!!私がどれだけ心配したことか……!」
「うん……ごめんね」
するとスペットの泣き声が聞こえたのか、多くの使用人達がルーシィの前に現れ、心配したことや、体調はどうなのかとルーシィを想う言葉が多く出てきた。
ルーシィはその言葉に嬉しくなる。
しかし、1人の使用人が慌てて屋敷から走ってきた。
「お嬢様、旦那様が本宅の書斎まで来るようにと……」
ルーシィは自分の父が自分のことを心配するわけないとわかっていたがどこか悲しそうな顔をする。
○
ルーシィは自分の父、ジュードの書斎に来ていた。
その格好はドレスを着て、正にお嬢様といったところだった。
「お父様……」
「やっと帰ってきたか。ルーシィ」
ジュードは娘が帰ってきたというのに喜びの表情は全く見えない。
「何も告げず家を出て申し訳ありませんでした。それについては深く反省しております」
「賢明な判断だ。あのままお前があのギルドにいたのなら、私は金と権威を使ってあのギルドを潰さねばならなかった」
ルーシィはジュードのその言葉に少し悲しい表情をする。
「お前と彼らでは住む世界が違うのだ。お前も今回のことでよくわかっただろう。………今回お前を呼び戻したのは縁談が決まったからだ。ジュレネール家御曹司サワルー公爵だ。前からお前に興味があると言っていただろう」
「言ってましたね」
ルーシィは表情を戻し、そう返す。
「ジュレネール家との婚姻によりハートフィリア鉄道は南方進出の地盤を築ける。これは我々の未来にとって意味のある結婚となるのだ。そしてお前には男子を産んでもらわねばならん。ハートフィリアの後継をな」
あまりにも無情。
ジュードはルーシィのことを物としか見ていないようなそんな言葉だった。
「話は以上だ。部屋に戻りなさい」
「お父様……勘違いしないでください」
「!!!」
ジュードは今まで反抗してこなかったルーシィから信じられない言葉が出て、驚く。
「私が戻ってきたのは自分の決意をお伝えする為です。確かに何も告げず家を出たのは間違ってました。それは逃げ出したのと変わらないのですから………だから今回はきちんと自分の気持ちを伝えて、家を出ます!」
「ルーシィ………?」
「あたしはあたしの道を進む!!! 結婚なんて勝手に決めないで!!! そして妖精の尻尾には二度と手を出さないで!!!!」
そう宣言すると、着ていたドレスを引き裂いた。
「今度!妖精の尻尾に手を出したら、あたしが……ギルド全員があなたを敵とみなすから!!!!」
まるで今までの自分と決別するかのように。
「あんな事しなければもう少しきちんと話し合えたかもしれない……でも、もう遅い。あなたはあたしの仲間を傷つけすぎた。あたしに必要なものは、お金でも綺麗な洋服でもない……あたしという人格を認めてくれる場所!」
ルーシィは力強い目でジュードを見る。
「妖精の尻尾はもう一つの家族……ここよりずっとあたたかい家族なの……わずかの間だけどママと過ごしたこの家を離れる事はとても辛いし、スペットさんやみんなと別れるのもとてもつらいけど……」
ルーシィへ優しい目で次の言葉を口にした。
「でも……もしもママがまだ生きていたら……あなたの好きな事をやりなさいって言ってくれると思うの……」
ジュードはその姿に亡き妻、ルーシィの母親、レイラの面影を見た。
「ル、ルーシィ……」
ジュードがルーシィの名前を呼んだ瞬間、何処からか声が聞こえてきた。
「っぁぁぁぁぉああああ……ぐはっ!!!?」
次の瞬間、書斎の天井が壊れ、誰かが落ちてきた。
「きゃっ!?」
「な、なんだ!?」
「ぐおおぉぉぉ……マタムネのヤロー疲れたからって手を離しやがって……」
「ハ、ハルト!? なんで天井から……」
すると天井の穴からマタムネがフラフラと降りてきて、ルーシィの胸に収まった。
「仕方ないごじゃる〜マッハスピードでここまで来るのは流石に無理があったでごじゃる……」
マタムネは酷く疲れた様子で今にも倒れそうだ。
「だからってミサイルみたいに投下する必要ねぇだろ……」
「あれが一番早い到着方法でごじゃる……」
マタムネはフラフラと飛びながらルーシィの胸に着地した。
「ルーシィどの〜疲れを癒して欲しいでごじゃる〜………あ〜生地が薄いからおっぱいの柔らかさがダイレクトに伝わるでごじゃる〜」
「……ルーシィ?ルーシィ!なんでお前、家に帰るって……妖精の尻尾を抜けるのか!?」
「そ、そんなわけないわよ。ちゃんとパパに歌を出て行くってことを伝えようとおもって帰ってきたの」
ルーシィはそう言ってジュードに視線を向けて、ハルトもそれに連れられて振り返る。
「パパ、この人は妖精の尻尾のハルト。あたしの……大切な人」
「初めまして、ハルトです。今回のことはあなたの仕業だってことはわかってます。別に仕返しに来たってわけじゃなくて、ただ一言だけ言いたかったんです….…」
ハルトは一呼吸置いて、ジュードに告げた。
「親ならしっかりと向き合って自分の子供と向き合って話せ。それが親の義務ってもんだろうが」
ハルトは力強い目でジュードを見た。
ジュードはその迫力に圧倒されそうになる。
「それだけです……。行こう、ルーシィ」
「うん。………さようなら、パパ」
○
ルーシィ達はハートフィリア家の敷地内にある墓所に来ていた。その中で一際大きい墓に墓参りに来ていた。
「ルーシィ殿のお母さんのお墓でごじゃるか?」
「うん……小さい頃に病気で死んじゃったの」
「そうか……」
ルーシィが墓に花を添える。
「ハルト……さっきはありがとう。パパに言ってくれて」
「いや、ただ思ったこと言っただけだ」
ハルトはどこか悲しそうな顔で遠くを見る。
「そういえばハルトの親ってどんな人なの? やっぱりナツと同じでドラゴン?」
「……いいや、俺は捨てられたてたらしくてな。拾ってくれた人が育ててくれたよ」
ここで、自称空気の読めるイケメン猫、マタムネはこの重い空気を変えるべく、話題を即変えた。
「いやーそれにしてもルーシィ殿は大胆でごじゃるなー」
「え?」
「どうした。マタムネ?」
突然のフリに戸惑う2人。
「だってルーシィのパパ殿にハルトのことを大切な人って紹介してたでごじゃる。まるで親に恋人を紹介するようでごじゃったな」
マタムネは口に手を当て、プププと笑いながら言うと、ハルトとルーシィは顔を真っ赤にしてアタフタし出した。
「なっ……! あ、あれは!そういうことじゃなくて!いやそうでもないんだけど……そうじゃなくて!!」
「お、お前何言ってんだよ!?」
「照れなくていいでごじゃる。プププ……」
その後、追いかけて来たナツ達と合流して、ナツ達から事情を問いただされ説明して、みんなで妖精の尻尾に帰ることにした。
「しかし、ハルト。先に行くなんてズリーぞ」
「心配なのはわかるが、突然消えては困るぞ」
「悪かったって……」
ハルトはナツとエルザに言われ、バツが悪そうな表情になるが、グレイがパンツ一丁で肩を組んできた。
「まっ!そんだけ心配したってことだよな」
「ま、まぁな。てか服」
「素直じゃないなぁ」
「うるさい!」
ハルトは照れて誤魔化そうとするのを、ルーシィは胸に嬉しい気持ちでいっぱいだった。
(そんなに心配してくれたんだ……)
ルーシィの頬が少し赤らむ。
「それにしてもデケー街だな」
ナツが辺りを見渡しながらそんなこと呟く。
「あ……ううん。ここは庭だよ。あの山の向こうまでがあたしン家」
その一言にルーシィ以外の目が点になり呆然としてしまう。
「あれ? どーしたのみんな?」
「お嬢様キター!!」
「さりげない自慢キター!!」
「ナツとグレイがやられました!!!エルザ隊長一言お願いします!!!」
「空が……青いな……」
「エルザ隊長が故障したぞー!!!」
「ハルト提督お願いします!!!」
「マジやばくね?」
「ハルトー!!」
ルーシィはそんないつものバカみたいなやりとりを見てのまぶしい笑顔をみせた。
感想待ってまーす。