FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第41話 夜空に帰る星

滝が流れる音が大きく響くが3人に流れる空気はひどく重いものだった。

 

「………ハルトに聞いたのかい?僕が星霊だって」

 

「ううん。あたしはたくさんの星霊と契約してる星霊魔導士だからね。自分であなたの真実にたどり着いた。……でももっと早く気づくべきだったんだね。本来鍵の所有者が死んだ時点で星霊との契約は解除され、強制的に戻される。……カレンが死んで契約は解除されたはずなのにあなたは人間界にいる。なんらかの理由で帰れなくなったのね」

 

ルーシィの推理は合っているのかロキは何も言わず、ただ聞いている。

 

「星霊は人間界じゃ生きていけない。生命力は徐々に奪われやがて死に至る」

 

「もう3年もこっちにいるよ」

 

「3年て……!!1年でもありえないのに!!」

 

「ああ……ハルトは魔法に関しては鼻はナツ以上に効くからね。すぐに僕の正体に気づいてたよ。ハルトの手助けもありながらなんとかやってこれたけど……もう限界なんだ。全く力が出ない……」

 

「ハルトも言ってくれたんだけど……あたし、助けてあげられるかもしれない!!帰れなくなった理由を教えて!!あたしが門(ゲート)を開けてみるから!!」

 

ルーシィは叫ぶように言うがロキは悲しそうに笑顔を作りながら断る。

 

「助けはいらない。理由は単純だ。僕が所有者と星霊の間の禁則事項を破った………結果、僕は星霊界から永久追放になった」

 

「永久……追放?」

 

「まだハルトにも教えてなかったね。聞いてくれないか?僕の罪を………」

 

 

ロキが語ったのはロキの元所有者、カレンの死因だった。

カレンは青い天馬でも人気の女魔導士であり、言い寄ってくる男性も多かった。

煩わしかった時には自分が所有している黄道十二門の一体、白羊宮の

アリエスに相手をさせていた。

さらにアリエスは嫌とはなかなか言えない内気な性格でよくカレンのストレス発散として暴力を振るわれていた。

それを許すことができなかったロキはアリエスの代わりに自分の魔力で人間界に現れ、アリエスを召喚させないようにした。

そしてアリエスと自分を解放しなければこのまま人間界に居続けると言ったのだ。

カレンの魔力では二体同時に召喚するのは無理だが、2人を手放すのもできなかった。

カレンは一週間でロキは諦めると思っていたが諦めず、ついには3ヶ月もたった。

最初は辛かった体も人間界に慣れ、そろそろカレンを許そうと思ったときにはカレンは仕事先で死んでしまったのだ。

二体同時に召喚できないカレンは丸腰のまま仕事に赴き、死んでしまったのだ。

ロキはそのことで星霊界に帰ることはできなくなり、カレンを死に追い込んでしまったという自責に負ってしまった。

 

「僕のせいで死なせてしまった………僕が殺したのと変わらないよ」

 

「そんな……」

 

ルーシィがロキに声をかけようとするがいい言葉が見つからない。

すると、ロキはふらつき倒れてしまった。

 

「ロキ!!」

 

「ハハッ……もう本当に限界みたいだ……」

 

倒れたロキにルーシィとハルトは駆け寄る。

ロキは自身の手を見ると薄くなって手の向こう側が見えていた。

 

「どうすれば……」

 

「もういいんだ……僕に罪を償わさせてくれ」

 

しかしルーシィは諦めずロキに抱きつき、魔力を滾らせる。

 

「!? 何をしているんだ!!」

 

「開け!獅子宮の扉!!」

 

ルーシィがそう叫ぶと星霊魔法の光が周りを走るが、それだけで終わる。

 

「もういいんだ……やめてくれ……」

 

「よくない!!目の前で消えてく仲間を放っておける訳ないでしょ!!!」

 

ルーシィの体からバチバチと電気のようなものが走る。

 

「無理やり星霊界の扉を開こうとしているのか?駄目だ!そんなことしてはルールに反してしまう!!」

 

「開け!獅子宮の扉!!お願い!!ロキを星霊界に帰して!!」

 

また光が走るがそれだけで終わる。

 

(……っ!? くぅ……魔力が……!)

 

ルーシィの体から力が一気に抜ける。

無理やり星霊界への扉をを開こうとしているのだ。

消費する魔力はバカみたいに大きい。

すると、ルーシィの肩に手が置かれる。

 

「ハルト……」

 

「手伝うぞ」

 

「………うん! 開け!獅子宮の扉!!」

 

ハルトが加わったことでさっきよりも大きな光が走る。

 

「ハルトまで……もうやめてくれ!僕にそこまでされる資格なんてないんだ!!」

 

「そんなことない!!」

 

ロキが悲痛な声で叫ぶとそれを遮るようにルーシィも叫ぶ。

 

「ロキはあたしを助けてくれた!今度はあたしが助ける番!!それにあたしたちは仲間でしょ?なら助けるのに資格なんていらない!!」

 

その言葉にロキは目を見開いて驚く。

 

「開け!獅子宮の扉!!」

 

今度はルーシィの体から金色の粒子が流れる。

 

「っ!? 体が星霊化してるじゃないか!ハルト!!すぐにやめさせるんだ!!ルーシィが消えてしまうぞ!?大切じゃないのか!!」

 

「………確かに大切だ。だけどな、お前も大切なんだよ……自分のせいで死なせてしまったなら簡単に死のうなんて思うなよ!死なせてしまったならその人の分まで必死に生きろ!!」

 

ハルトはまるで自分に言い聞かせるように叫ぶ。

その言葉にロキは黙ってしまう。

 

「……これ以上、僕に罪を与えないでくれーーーっ!!!」

 

ロキの叫びにルーシィは苦しそうな顔をしながらも、真っ向から言い返す。

 

「何が罪よ!!!そんなものが星霊界のルールならあたしが変えてやる!!!」

 

その瞬間ルーシィたちを辺りに風が吹き荒れ、空は一気に星空が浮かぶ夜になり、周りの水、滝の水が一気に空中に舞い上がり、ルーシィたちの上で水が集まり、形を成していく。

 

「え?何!?」

 

「マジかよ……!」

 

「ま…まさか……そんな……星霊王!!!!」

 

空中に浮かぶ巨人。

その威風堂々とした姿はまさに王だ。

 

「な…何でこんな所に!!?」

 

「王って……一番偉い星霊って事!!?」

 

星霊王は威厳のある声で話しかける。

 

「古き友、人間との盟約において我ら……鍵を持つ者ヲ殺める事を禁ズル……直接ではないにせよ間接にこれを行なったレオ。貴様は星霊界に帰る事を禁ズル」

 

星霊王の無慈悲な宣告にルーシィは反論する。

 

「ちょっと!!そりゃあんまりでしょ!!3年も苦しんだのよ!!仲間の為に!!!アリエスの為に仕方がなかった事じゃないの!!!」

 

「余も古き友の願いには胸を痛めるが……」

 

「古い友達なんかじゃない!!今!!目の前にいる友達の事言ってんのよ!!ちゃんと聞きなさい!!!ヒゲオヤジ!!!!これは不幸な事故でしょ!!ロキに何の罪があるって言うのよ!!!無罪以外は認めないんだからねっ!!!」

 

「もういいルーシィ!!! 僕は誰かに許してもらいたいんじゃない!!!罪を償いたいんだ!!! このまま消えていきたいんだ!!!」

 

「そんなのダメーーー!!!!」

 

「よせ!ルーシィ!!」

 

「む」

 

ロキの叫びにルーシィは自身の魔力を爆発させ、辺りを光で包む。

光が晴れるとルーシィの周りにはルーシィと契約している星霊が全員姿を現わし、ルーシィと一緒に星霊王に立ち向かう。

 

「罪なんかじゃない!!! 仲間を想う気持ちは罪なんかじゃない!!!」

 

(星霊が……これほど同時に……)

 

すぐに星霊たちは消えて、ルーシィは魔力を使い果たし倒れてしまうが、その前にハルトが受け止めた。

二体同時に召喚するだけでも驚くことだと言うのに、ルーシィは六体も同時に召喚したのだ。

 

「あたしの友だちもみんな同じ気持ち……あんたも星霊ならロキやアリエスの気持ちがわかるでしょ!!!」

 

ルーシィは苦しそうな表情をしながらも星霊王に訴える。

星霊王はその言葉に考え込む。

 

「古き友にそこまで言われては間違っているのは『法』かとしれぬな……」

 

星霊王からこぼれた言葉にルーシィとハルトは嬉しそうな顔になり、ロキは驚く。

 

「同胞アリエスの為に罪を犯したレオ。そのレオを救おうとする古き友。その美しき絆に免じ、この件を『例外』とし、レオ……貴様に星霊界への帰還を許可スル」

 

「いいトコあるじゃないヒゲオヤジ♪」

 

星霊王の判断にウィンクで感謝し、星霊王も笑う。

 

「免罪だ。星の導きに感謝せよ」

 

「待ってください……僕は……」

 

「それでもまだ罪を償いたいと願うならば、その友の力になって生きる事を命ずる。それだけの価値がある友であろう。命をかけて守るが良い」

 

その言葉にロキは涙を流しながら、笑顔を浮かべる。

ハルトとルーシィも同様に笑顔になって喜ぶ。

星霊王も笑みを浮かべてマントをひるがえし帰ろうとするが、その動きが一瞬止まり視線はハルトに向けられたが、すぐに消えていった。

星霊王が消え、元の空に戻り水も戻る。

そしてロキの背後に黄金の扉が現れロキは吸い込まれていく。

そしてルーシィの手には黄金の鍵が現れる。

 

「ありがとう。そしてよろしく。今度は僕が君の力になるよ」

 

「こちらこそ」

 

ようやく星は夜空に帰れたのだ。

 

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