FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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感動シーンって難しいですね……


第45話 家族だから

エルザは黒魔導士ゼレフを信仰する宗教団体による子供さらいの被害者で、幼いころ攫われ楽園の塔の建設に強制労働をされていた。

そこで出会ったのがハルトたちを襲撃したシモン、ショウ、ウォーリー、ミリアーナ、そして今回の黒幕であるジェラールだった。

みんなが辛い環境にいたため、すぐに仲良くなり、まさに家族同然だった。

そして、常に前向きであったジェラールに当時は弱気だったエルザは惹かれていった。

ある時、ショウが耐えられなくなり脱獄を企てた。

 

「姉さん!!こっちだよ!!早く!!」

 

「ショウ!!デケェ声出すんじゃねぇヨ!!!」

 

「ウォーリーのほうが声がデカイニャアー」

 

「エルザ……急がねえと奴らに見つかっちまう」

 

「う…うん……」

 

シモンが促すがエルザの体は震えて動けない。

監視官に見つかったらどんな目に合うか想像してしまい、恐怖してしまうのだ。

 

「大丈夫……怖くないよ」

 

「………ジェラール………」

 

ジェラールが安心させる笑顔を見せただけでエルザは頬を赤らめた。

この時はエルザは心の底からジェラールを信頼していたのだ。

 

「オレたちは“自由”を手に入れるんだ。未来と理想を……行こう、エルザ」

 

「うん」

 

しかし現実は常に非常だ。

入念に立てた計画はアッサリと監視官にバレてしまった。

 

「そう簡単に逃げ出せると思ったか!!!ガキどもがあ!!!」

 

「うう……!!」

 

「ひっ、ひぃい!」

 

監視官はRシステムの完成を急いでおり、今回は脱走計画の立案者をを1人だけ懲罰房に連れて行くと言った。

脱獄案を出したショウは恐怖で泣きじゃくってしまい、話せる状態ではなかった。

 

「わ……」

 

「オレだ。オレが計画を立案し指揮した」

 

それを見たエルザは自分だと言おうとしたが、その前にジェラールが自分だと言ったのだ。

 

「ほう……いや、この女だな」

 

しかし監視官はエルザだと決めつけたのだ。

 

「連れてけ」

 

「な……オレだ!!!オレが立案者だ!!!エルザは違う!!!」

 

「わ……私は……大丈夫……ぜんぜん平気。ジェラール言ってくれたもん……ぜんぜん怖くないんだよ」

 

エルザはそう気丈に振る舞うが恐怖で体が震えていた。

しばらくしてジェラールは牢を抜け出し、エルザを助けるため懲罰房へど向かった。

 

「エルザ!!しっかりしろ!!」

 

しかしエルザの片目は抉られ酷い状態だった。

 

「なんで……なんでこんなヒドイ事を……オレたちが何をしたというんだーー!!!!」

 

「ジェラー……ル……なの?」

 

「エルザ……よかった!!もう大丈夫だよ!!助けにきたから!もうオレたちは後には退けない。自由のために戦うしかないんだ」

 

「たたか……」

 

その瞬間、ジェラールを背後から監視官が殴りかかった。

 

「こいつ!3人もやりやがって!!簡単に殺すな!!見せしめにするんだ!!!」

 

エルザはその後解放され、ジェラールが代わりに懲罰房に入ることになった。

エルザはショウたちがいる牢に戻るとみんなが心配していてくれた。

 

「エルザ!大丈夫だったカ?」

 

「馬鹿野郎!あの傷で大丈夫なわけねえだろ!!」

 

「エルザ……ジェラールは?」

 

エルザは力なく首を横に振る。

ジェラールが抜け出してエルザを助けに行ったがどうなったのかわかってしまったのだ。

 

「うぅ……もう嫌だあっ!!!」

 

それを拍子にショウは耐えきれなくなり泣き出してしまった。

それが聞こえた監視官たちが牢に入ってきて鞭を振るいながら、黙れと怒鳴ってくる。

エルザはそれを見ながらジェラールの言葉を思い出していた。

 

『自由のために戦うしかないんだ』

 

エルザは槍を持っていた監視官に飛びかかり、その槍を奪い取り監視官を倒してしまった。

みんながその光景に呆然とするなかエルザは今までの怯えた目とは打って変わって力強い目になっていた。

 

「みんな立ち上がって。自由のために戦うしかないんだ!」

 

その言葉を聞いたショウたちは希望を見出し監視官に立ち向かい、反乱が起こったのだ。

途中までは数が多く、常に肉体労働を強いられたことで体が鍛えられたエルザたちが優勢だったが、相手が魔導士を差し向けたことで形勢はあっという間に逆転してしまった。

そしてエルザに迫った魔力弾から庇ったのは普段からエルくくくザたちの面倒を見ていたロブだった。

 

「ロ…ロブおじいちゃん!!」

 

「ケガはないかい?」

 

「それよりなんで……!」

 

「老い先短い命、若い命を守れたなら本望だよ……」

 

倒れるロブにエルザは抱きつく。

 

「いいかいエルザちゃん……魔法は信じる心から始まるもの……その気持ちさえ大切にしていれば誰でも使えるものなんだよ……」

 

ロブの声はどんどん小さくなっていく。

エルザは今まで辛いことがあったときロブが助けてくれたり、魔法について話してくれたことを思い出し涙が止まらなかった。

 

「こんなところで君たちみたいな子たちに出会えてよかった....自由とは心の中にある....エルザちゃんの夢はきっと叶うよ」

 

「うああああああああっ!!!!!」

 

その言葉を最後にロブは息を引き取った。

エルザは泣き出すがそれと同時にエルザを中心に空気が張り詰め、周りの武器がカタカタと揺れだす。

徐々に武器たちは浮き出し、魔導士に襲い掛かり、すべての魔導士を倒した。

 

「姉さんが魔法を....」

 

「す...すげ...あんなにいたのに一瞬で...」

 

「これが魔法....」

 

エルザはロブの言葉を胸に込め、新たにジェラールを決意した。

 

「ついて来い!!!!」

 

『うおおおおおおおおっ!!!!!』

 

 

エルザは一人ジェラールが囚われている懲罰房に辿り着いた。

そこには力なくぶら下がっている傷だらけジェラールがいた。

 

「ジェラール!!大丈夫!!?私たちジェラールの言ったとおり戦ったんだよ!!シモンは重傷を負って、ロブおじいちゃんは私をかばって....だけど、私たち勝ったんだよ!!私たちは自由になれる!!!」

 

エルザはジェラールを解放して、目に涙をためながら嬉しそうに言うと、ジェラールはエルザを抱きしめる。

突然のことにエルザは驚いて顔を赤くしながらも抱きしめ返す。

 

「エルザ...もう逃げることはないんだ.....」

 

「え?ジェラール?」

 

「本当の自由はここにある......」

 

「ジェラール、何言ってんの?一緒に逃げるのよ」

 

『エルザ、この世界に本当の自由などない』

 

ジェラールから発せられたはずの言葉なのにまるで別人が話したように聞こえる。

 

「俺は気づいてしまった。俺たちに必要なのは仮初の自由なんかじゃない。本当の自由....ゼレフの世界だ」

 

その時のジェラールの顔はまるで何かにとり憑かれたような顔をしており、エルザの背中に冷たいものが走る。

ジェラールは傷つけられた直後とは思えない軽快な足取りでエルザが倒した監視官のもとに歩み寄る。

 

「今ならこいつらの気持ちも少しわかるよ。あのゼレフを復活させようとしたんだ。だけどこいつらじゃダメだ。この塔は俺がもらう」

 

「貰うって……」

 

エルザがジェラールの言葉に驚くのを他所にジェラールは監視官の頭を軽く踏む。

 

「よくもいいようにやってくれたなぁ?」

 

「ひ、ひぃ!」

 

ジェラールはそのまま監視官の頭を踏み潰し、殺した。

 

「きゃっ!ジェラール何を……」

 

「はははっ!!」

 

ジェラールはそのまま倒れている監視官たちに手を向けると監視官たちは風船のように破裂し、死んでいく。

 

「やめてよ!!ジェラール!!!」

 

「やめて?ダメだ。それではゼレフなんて感じ取れない」

 

ジェラールは逃げていく最後の監視官に手を向けると、監視官は爆発して死んでしまった。

 

「ひっ!」

 

「エルザ。一緒にRシステムを作ろう。そしてゼレフを蘇らせるんだ」

 

今のジェラールは正気じゃなくエルザは後ずさりしてしまう。

 

「ば…バカなこと言ってないで!!私たちはこの島を出るのよ!!!」

 

それを聞いたジェラールはエルザに手を向け、魔法弾を放ち、エルザを吹き飛ばした。

 

「きゃっ!」

 

「なら1人で出ていけばいい。人手ならシモンたちを使えばいいしな」

 

「何……言ってるの?シモンたちはもう船の上なのよ!!?今更ここに戻ってくるはずがない!!」

 

「いいや戻ってくるさ。この俺がゼレフの素晴らしさを教えればな」

 

ジェラールの影から手が伸び、エルザの首を絞める。

そこにはもう優しかったジェラールの面影はどこにもなかった。

 

「ジェ、ジェラール……」

 

「これからはオレたちを捨てた罪を背負いながら生きていけエルザァッ!!!ははははははははははっ!!!!!!」

 

そしてエルザは気づけばどこかの海岸に漂着していた。

徐々に意識がはっきりしてきたエルザはジェラールの言葉を思い出し、目から

涙が溢れる。

 

「うああああああああああああああっ!!!!!!!」

 

ようやく自由になれたのに、その心には幸せの感情ではなく、裏切られた悲しい気持ちしかなかった。

 

 

「私はジェラールと戦わないといけないんだ………」

 

「エルザ……」

 

「…………」

 

みんな、エルザの壮絶な過去に言葉が出ない。

するとエルザの前に今まで熱で座り込んでいたハルトが立ち上がった。

 

「なんだハルト。いくらお前が止めても私は………」

 

「とうっ」

 

「いたっ!」

 

エルザの言葉の途中でハルトはエルザの頭にチョップを入れる。

 

「な……何をする!?」

 

突然のことでもろにくらってしまったエルザは若干涙目だ。

 

「お前、俺が言ったこと忘れたのか?」

 

「何?」

 

 

実は元妖精の尻尾の魔導士であったロブの言葉を頼りにエルザは妖精の尻尾にはいったが、その当初は周りから浮いていた。

誰とも接さず、いつも1人でいた。

それをどうにかしようと思ったマカロフはすでに妖精の尻尾で活動していた幼いハルトに相談した。

 

「とういうわけでじゃ、エルザの教育係をお主に任せたいんじゃ」

 

「えー……同世代のカナとかの方がいいじゃねえのか?」

 

「カナはまだ実力が伴っておらん。それにお主はどんな時も仲間をよく見ておる。期待しておるぞ」

 

マカロフがハルトに褒め言葉を並べるとハルトは得意気な顔になる。

 

「そ、そうか?ならやっちゃおうかな!」

 

「(チョロいの〜)」

 

「ん?なんか言った?」

 

「何も言っとらん。では任せたぞ」

 

「おう!」

 

ハルトは意気揚々と1人でいるエルザの元に行き、手を出した。

 

「今日からお前の教育係になったハルト・アーウェングスだ。よろしくな!」

 

「私は1人でいたいんだ。邪魔だ。どこかに行ってくれ」

 

にべもなくエルザはハルトを突き放した。

それを見ていた周りからは野次が飛んでくる。

 

「はははっ!!ハルトのやつ振られてんぞ!」

 

「大丈夫かー?」

 

そしてそれを見ていたのは幼いグレイとカナもだった。

 

「たくっ……ハルトのやつなんであんな鎧女なんかをよぉ……」

 

「あれ?グレイ、もしかしてハルトに構ってもらえないから嫉妬してる?」

 

「ば、バカ!誰がエルザなんかに……」

 

「あれ〜?別にエルザって言ってないんだけどな〜」

 

「……っ!」

 

グレイはカナにからかわれて顔を赤くする。

 

「あははは!お兄ちゃん取られちゃったから寂しいんだ♪」

 

「そ、そんなんじゃねえよ!」

 

エルザはあそこまで冷たく突き放せば、もう関わってこないだろうと思い、わざとあんな言い方をしたのだ。

もうジェラールのようなことになりたくない、その一心でエルザは今まで誰とも話さず、1人でいたのだ。

もういないなと思ってハルトがいたであろう場所を見ると、そこにはまだ握手をしようと手を出したまま固まっているハルトがいた。

 

「っ!? まだいたのか!」

 

「まだって……俺じいさんに任せられたし……それに……自己紹介ぐらいしろよ……泣くぞ」

 

ハルトは途中から涙目になり、震えた声でそう言った。

エルザは面倒くさいことになりそうだと思い、素直に自己紹介をする。

 

「エルザ・スカーレットだ。これでいいだろう。私を放っておいてくれ」

 

またエルザは突き放すように言うが、それでもハルトはどこかに行こうとはしない。

 

「だから!なんでどこにも行かないんだ!」

 

「だから……俺じいさんに任せられたし……泣くぞ」

 

さっきよりも涙目になってハルトはエルザに言う。

流石にうざくなってきたエルザはどうにかしようと躍起になる。

 

「またか!私を放っておけばいいだろう!」

 

「泣くぞ」

 

「それしか言えないのか!」

 

「おいおい!何ハルトを泣かせてんだよ!鎧女!!」

 

「泣かせたっていうより、ハルトが勝手に泣いているだけじゃないの?」

 

「うるさいぞ!露出狂!」

 

「なんだと!?」

 

そんなこんなで、こんなやりとりからエルザはハルトたちと一緒に行動することになった。

グレイがエルザに噛みつき、エルザは軽くあしらう。

それをカナとハルトがなだめるが、ハルトも加わったり、ハルトが泣かされるという感じだった。

そしてある日の仕事が終わったとき。

 

「おーし!仕事終わったなー!」

 

「パーっと羽目をはずそうぜ!」

 

「普段から外しぱなしじゃない」

 

「すまない。私はここで帰る」

 

ハルトたちが盛り上がるなか、エルザは1人で帰って行った。

 

「なんだよ。やっぱり付き合い悪いじゃねーか。あの鎧女」

 

「まだ馴染めないのかな?」

 

エルザと共に行動してもう3ヶ月近くなるが今だにこういったことには参加しない。

ハルトはエルザが帰って行った道を見つ続ける。

 

「………悪りーけど先にギルドに戻っておいてくれ。後で行く」

 

「あっ、おい!」

 

ハルトはエルザを追いに行ってしまった。

時刻は夕方になり、マグノリアの外れにある河川敷にハルトは着き、そこにエルザも座り込んでいた。

 

「よっ」

 

「っ!?ハルトか……何の用だ」

 

エルザはハルトのほうを向かずに言う。

 

「別に。俺もただここに来たかっただけだ」

 

ハルトはそう言って、エルザの隣に座り何も言わなかった。

するとエルザは顔を向けず、ハルトに話しかけてきた。

 

「なぜ……お前はそう私に構う……」

 

「ん?」

 

「私たちは他人だ……ただ同じギルドに所属しているだけの……なのに何故お前たちは私に構う?なぜそこまで優しくしてくる?………私はそれが怖い……!」

 

エルザは膝に顔を埋め、震える。

エルザがこうも怖がるのはジェラールのことがあったからだ。

信じ、親しくなっても裏切られるのではないか、また失ってしまうのか? その考えがエルザのなかにあって、なかなか踏み出すことができないのだ。

 

「確かにオレたちは元は他人だ……だけどな、俺はこうも思うんだ。この紋章を刻んだらオレたちはもう家族だ。家族は悲しいことも辛いことも幸せなことも分かち合うもんだ。……だからもしお前が何か辛いことがあるなら一緒に耐える。もし怖いことがあるなら一緒にいて立ち向かう。家族ってのはそんなもんだろ?だからオレたちはエルザがどんなに突き放してもお前を放っておかない」

 

その言葉にエルザの目から涙が止まらず溢れ出し、ハルトはそっとエルザの背中をさすってあげた。

マグノリアを照らす夕日はどこまでも綺麗な緋色だった。

 

 

「あの時の言葉を忘れたのかよ?オレたちはエルザがどんなに突き放してもお前を放っておかない。家族だからな」

 

「ハルト……」

 

エルザはあの頃と同じように目から涙が溢れ止まらなくなり、ハルトはそっと胸を貸した。

 

 




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