FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第65話 兄弟の過去

苦しそうなカルバートは何かを話そうとしたマカロフを厳しく睨んでいた。

 

「カルバート!!」

 

「もう動いて大丈夫なのか!?」

 

ハルト達が心配してそう言うがそんなもの聞こえていないようだ。

 

「マカロフ……はぁ……それ以上……はぁ、はぁ……言うな」

 

「カルバート……お主が何を抱えとるか知らぬが話してはくれぬか?」

 

「それ以上何も言うなと言っているだろうが!!!」

 

カルバートは手をマカロフに向け、魔法を発動しようした。

 

「マスター!!」

 

「じいさん!!」

 

エルザとハルトが間に入ろうとするが次の瞬間、

 

「がっ……!?」

 

「面倒くさいわね。ちゃっちゃっと吐かせて仕舞えばいいのよ」

 

ラナがカルバートの頭上に空間を固定したものルームをぶつけ、カルバートを倒し、そのまま首の空間を固定して持ち上げた。

 

「ほら、吐きなさい」

 

「うぅっ………」

 

「やめろラナ!カルバートが死んじまう!!」

 

あまりの非道さにハルトは慌てて止めに入った。

カルバートは咳き込みながら立ち上がる。

 

「ゲホッ……!何をする……」

 

「あんたがサッサッと吐かないからでしょ」

 

「だからって首を絞めるなよ」

 

そこにエルザが近づく。

 

「カルバート、話してくれ。何か力になれるかもしれない」

 

「……お前は俺のことが嫌いなんだろ?なんで力になりたいんだ?」

 

「……アルバスはお前に止めて欲しかったが、手を汚しては欲しくなさそうだった。それに彼の目には……優しさがあった」

 

エルザがアルバスの目を見たとき、自分を庇って死んでいったロブの姿を思い起こさせた。

 

「ハハ……何をバカなことを……アイツが俺の手を汚させたくない?アイツは俺に恨みしかない」

 

カルバートがそう言うとハルトたちは疑問の表情を浮かべた。

そしてカルバートは自傷気味な笑みを浮かべた。

 

「いいぜ。話してやるよ……俺たち兄弟に何があったかをな」

 

 

フィオーレ王国の南西に存在していた小国『サリックス』。

フィオーレ王国は現在広すぎる国土面積を管轄するために小国を多方に置き、各自を管轄させ、さらにその上にフィオーレ王国を置き、管轄すると言うシステムを用いておりサリックスもその1つだった。

小国と言えどその面積は大きく、ほぼ南西部を占めていたが、サリックスが存在していた土地ひ環境が厳しく、大型の魔物が数多く存在していた。

さらに王国からの命令を守り、王国に忠誠を誓う王国派とサリックスを王国の支配から解放し独占しようとする貴族で構成された貴族派との衝突が常にあった。

そして25年前、その火蓋は切られた。

互いに殺し合いサリックスはさらに荒れていった。

カルバートとアルバスはそこの貧乏な家庭で生まれた。

貧乏だったのと戦争で疲弊して行く国民。

カルバートたちの両親はその影響で病のせいで死んでしまった。

2人は生きていくためにサリックス王国派の兵士となった。

2人は幸いにも魔法の才能があり、アルバスは磁気を操る魔法で、カルバートは錬金魔法を覚え、戦場を駆けた。

 

「また砦が1つ貴族派の手に落ちたな」

 

そう呟くのは汚れた鎧を着て、当時15歳のアルバスは剣を手入れしていた。

 

「大丈夫だって。俺たち兄弟なら簡単に取り戻せるよ」

 

アルバスの言葉にそう返すのは同じ鎧を着た当時14歳のカルバートだ。

実際彼らはまだ十代だが数々の戦績を残してきた。

カルバートは機転の良さと知識で相手を翻弄し、武力に長けたアルバスが敵を倒す。

しかし、それから数年が経ち、戦線の状況は著しく変化していった。

今までは数も多く、マキナ兄弟が活躍していた王国派が優勢だったが、いつからか貴族派が土塊でできた魔物を戦場に投入し始めた。

土塊の魔物は手足を切ろうが、頭を切り落とそうが何度も蘇り、多くの王国派の兵士が犠牲になり王国派が不利になってきた。

 

「土塊の魔物は無限に出てくる。このままじゃこっちがジリ貧だ」

 

「ならこっちも魔物を作ればいい」

 

あれから階級があがり、互いに高い位に着いたカルバートとアルバスは一個中隊を率いて戦いに出たが土塊の魔物に疲弊しており、戦略図を見ていたアルバスは苦虫を噛んだ顔をしながらそう言うとカルバートは何となくそう言った。

 

「魔物を作るってな……そのための材料が今どこにあるんだ?」

 

「材料ならここにあるだろう?」

 

カルバートは足で地面を蹴りながらそう言う。

 

「どういうことだ?」

 

「俺の錬金魔法で作るんだよ。俺が制作して兄貴の戦い方をプログラム化すればあの土塊なんかより強力なやつを作れる」

 

「可能なのか?自立した魔法兵器なんてどこも作ったなんて聞いたことないぞ」

 

「だからやるんだよ!俺たち兄弟なら作れるって!」

 

アルバスはその時少し不安があったがカルバートを信じて制作に強力した。

そしてできたのがハルトたちを襲った蜘蛛の化け物より簡素な作りの『スパイダー』を作った。

そしてその一体一体に自立して戦うようにカルバートは自身の知識と錬金魔法を駆使して自立思考魔法陣『CORE』を作り出し、ネットワークのように各個体を繋げ、各個体が自立して動くようにした。

そのおかげで戦況はひっくり返り、功績を認められアルバスの部隊は最前線に送られた。

 

「前線はスパイダーに任せて、俺たちは取りこぼした敵を倒すぞ!!俺に続け!!!」

 

アルバスが部隊に号令を出し、スパイダーを連れた兵士達は走り出した。取りこぼした魔物がスパイダーか爆撃した煙から飛び出てくるがアルバスは腕に魔法陣を展開し、一瞬のうちに倒す。

 

「時間が経てばすぐに復活する!このまま進むぞ!!」

 

アルバスに魔物が背後から飛びかかるが魔物にミサイルが直撃し粉々になった。

 

「貸し1つだぜ。兄貴」

 

カルバートが後ろにミサイルポッドを展開し、ニヒルに笑いながらアルバスに言うと、アルバスはカルバートに向かって走ってきた。

 

「おいおい、助けたのに礼もなしかよって……!?」

 

アルバスはカルバートに向かって飛び出し、腕を振りかぶった。

突然のことでカルバートは目を閉じ、茹で顔を覆うが背後から破壊音がし目を開けるとアルバスの拳顔の横を通り抜けカルバートの背後に忍び寄っていた魔物を倒していた。

 

「これでチャラだな」

 

アルバスはニヒルに笑い返した。

 

「ハッ!今度ピンチになっても助けてやんねーぞ!!」

 

「安心しろ!その心配は、ない!!」

 

2人は迫り来る魔物を次々と倒して行く。

 

「隊長と副隊長……すごいな」

 

「あぁ、流石『サリックスの悪魔兄弟』と呼ばれるだけあるな」

 

「このまま前線に行くぞ!!」

 

スパイダーとアルバス、カルバートの2人のおかげでアルバスの部隊は最も前に出て、目前に貴族派の基地が見えており敵の攻撃が激しくなっており、魔法弾の嵐になっていた。

 

「伏せろ!!下手に飛び出たら狙い撃ちされるぞ!!」

 

「兄貴!このままじゃジリ貧だ!!俺が砲撃して活路を作る!!」

 

「ダメだ!危険すぎる!!」

 

「大丈夫だ!!」

 

「カル!!」

 

カルバートひ飛び出して砲撃の嵐をくぐり抜け、大型の砲門を大量に錬成し放った。

 

「大型レールガン錬成っ!!!オオオォォォッ!!!」

 

そして一斉に放たれた魔法弾は基地に直撃し、大爆発を起こした。

 

「ハハッ!どうだ!!」

 

「フッ……」

 

カルバートは得意気に笑いながらアルバスを見て、アルバスも安心の笑みを浮かべるが、カルバートの上空から魔法弾が迫っているのに気づいた。

 

「カル!!」

 

「あ?」

 

アルバスはカルバートに向かって走ったが、2人は爆発に巻き込まれた。

爆煙の中からカルバートが転がるように現れた。

 

「ぐぅぁっ……!!腕がァッ………!!」

 

カルバートは出てきた瞬間、その場にうずくまり悲痛な声を上げる。

全身が火傷を負っているが特にひどい両腕は黒焦げになり、有らぬ方向に曲がって骨が見えている。

 

「副隊長!ご無事で……!?腕が……!衛生兵!!衛生兵!!こっちにもきてくれ!!」

 

1人の兵士がカルバートに駆け寄り、怪我の程度を見て慌てて衛生兵を呼ぶ。

カルバートは痛みに悶えるなか、ふとアルバスのほうを見るとそこには全身がひどい火傷を負ったアルバスの姿が目に入った。

 

「ああっ……!兄貴っ!!!」

 

「副隊長!」

 

カルバートは怪我にもかかわらず、立ち上がりアルバスの側に駈寄る。

そしてアルバスの姿を見てカルバートは愕然としてしまった。

アルバスの姿は全身が酷く焼けただれていた。

 

「そんな……兄貴……」

 

その後、王国派は貴族派との戦争にカルバートの発明のおかげで優勢になっていったが開発した本人はそれどころではなかった。

兄のアルバスは全身を包帯に巻かれ、体の至る所に管が繋がれて集中治療室に隔離されていた。

そしてカルバートは怪我で腕の半ばから切断され、両腕がない状態でカルバートと同じ病院で入院していた。

 

『今お兄さんは魔導延命装置でなんとか命を取り止めていますがいつまでも続くわけではありません。覚悟はしておいてください』

 

「兄貴……」

 

カルバートは主治医から告げられた言葉を思い出し、病院のベンチに座り項垂れどうすればいいかわからなくなっていた。

 

「カルバート」

 

「………」

 

カルバートの名前を呼んだのは2人が兵士になった頃から世話になった将校のマシモ・ダイソン。

今は軍の幹部をしている。

 

「アルバスのことは残念だった」

 

「まだ死んでねえ……」

 

「…………キツイことを言うがアルバスはもう助からないのは明らかだ。お前には錬成魔法がある。それならお前の新しい腕を作ることだって可能だろう」

 

「兄貴はまだ死んでねえって言ってるだろうが!!!」

 

カルバートは立ち上がりマシモに詰め寄る。

 

「俺たち兄弟はいつだって一緒だった!!辛いときも、苦しいときもな!!!……たった1人の家族なんだ。俺一人だけ新しい腕を手に入れても…………」

 

「カルバート?」

 

マシモは突然黙ったカルバートに声をかけるとカルバートはブツブツと何か独り言を言っていた。

 

「感情や記憶は全て脳に関係しているとしたら………なら新しい体さえ手に入れれば……いや、拒絶するかもしれない……なら作るしか……」

 

独り言を言っていると思えば突然立ち上がりマシモのほうを見た。

 

「ありがとう、マシモさん。おかげで兄貴を助ける算段を思いついた」

 

カルバートはマシモにそう礼を言い自分の病室に戻っていった。

 

「カルバート……?」

 

マシモはそのときカルバートの目に狂気を見たような気がした。

カルバートはその後病院を抜け出し、一人自分の研究室にいた。

 

「まずは腕を戻さなきゃな……錬成」

 

カルバートが魔法を発動させ、簡素な作りの義腕を作り、そして両腕が無くなってしまった先端の包帯を解く、そこには爛れた傷口が広がっており、カルバートは息を飲んだ。

 

「やるしかねえよな……錬成!」

 

その瞬間カルバートの傷口に魔法陣が展開し、傷口を変えていく。

 

「ぐぅあああああっ!!!!!」

 

カルバートは悶えながらも我慢し、顔を上げるとカルバートの傷口部分は機械になっていた。

 

「ハァ…ハァ……せ、成功だな。あとは……」

 

カルバートが義腕に目を向け、義腕と腕を繋げた。

 

「これで作業ができる。待ってろよ兄貴……」

 

それから数日研究室から音が鳴り続けた。

そしてある日、抜け出したカルバートを探していたマシモが研究室に入った。

 

「カルバート!ここにいるのか!」

 

マシモの声に返事は来ず、マシモは奥に進んでいくとそこにあるものが目に入った。

 

「なんだこれは……?」

 

それは天井から吊り下げられた骨格のようなものだが、それは全て金属出てきており、異様なものだった。

さらにその近くには培養器に入れられた皮膚なようなものがあった。

 

「なにをする気なんだ……?」

 

マシモがそう呟くと奥からスパークする音が響き、音を頼りにして進むとそこには手のひらに乗るほどの鉄球に向かって多くの魔法陣から魔力なようなものを送っているカルバートの姿があった。

 

「カルバート?何をしている?」

 

「あ?マシモさんか……今心臓を作ってんだよ」

 

「心臓だと?」

 

「人一人を完全に動かすためには莫大なエネルギーが必要なことがわかった。それに加えて魔力を使えるようにするならもっと必要だ。だからこのコアを作ってるんだ。これなら約9億イデアの魔力を作れる」

 

「9億イデアだと!?エーテリオンの約3倍だぞ!!なにを考えているんだ!!それを巡ってまた戦争が起こるぞ!!」

 

「国がどうなろうが関係ない!兄貴さえ助かるならな……」

 

「悪いがそれを容認するわけにはいかない」

 

マシモは懐からカルバートが過去に開発した銃を取り出し、カルバートの頭に突きつける。

 

「何のつもりだ」

 

「カルバート。お前たち兄弟は確かに素晴らしい。兄は頭はあまり良くなかったが皆に思いやりを持ち、いい指揮官になれると思った。逆にお前は頭はいいが人のことなどどうでもいいと考える男だと思ったが、アルバスとお前は互いを助け合い、欠点を補っていたから良かったものの、アルバスを失ったお前は暴走している。挙げ句の果てには新たな戦争の火種を作ったんだぞ?国を守る者として見過ごすわけにはいかない」

 

「俺を殺すのか?」

 

「やむおえない場合はな」

 

「そうか……やれCORE」

 

「ぐはぁっ!?」

 

突然マシモの胸から血に濡れた金属の腕が生えた。

いや、生えたのではなくマシモが先ほど見た金属の骨格がマシモの後ろに回り、腕を突き刺したのだ。

 

「か、カルバー…ト…」

 

「確かにあんたが言った通り、俺は他人なんてどうでもいい。王国派が勝とうが貴族派が勝とうがどうでもいい。だけどな……たった一人の家族を救うためなら国1つ犠牲にしてやるよ」

 

金属の骨格は腕を引き抜き、マシモは倒れ死んでしまった。

 

「CORE、死体を燃やして証拠を消せ」

 

『わかりました』

 

突然何もないところから声が響いた。

この声はカルバートが作った自立思考魔法陣『CORE』の声で、現在サリックスの王国派の土地にはCOREが至る所に広がり、軍の監視なども任せられるようになっていた。

そしてその支配権は軍の上層部に任せられているが、もう1つの支配権はカルバートが持っていた。

 

『しかし、突然ダイソン氏がいなくなっては軍の者がカルバート様を疑うのでは?』

 

「そうだな……」

 

カルバートはマシモの死体を運ぶ金属の骨格、メタルフレームを見る。

 

「メタルフレームの実験がまだ残っていたな」

 

『はい。人工の皮膚を着せ、人間社会に溶け込めるかの実験が残っております』

 

「ならマシモの皮膚を着せて軍の上層部に紛れ込ませろ」

 

『………』

 

「どうした?」

 

『私のデータでは人間は親しい人間が死んだとき悲しむものだと記録していますが』

 

「………そうだな。確かにマシモは俺たち兄弟によくしてくれたよ。だけどな何か1つのものを守るには1つのものを犠牲にしなきゃいけないんだよ。覚えとけ」

 

『了解です』

 

カルバートは引き続き、コアの作成に戻った。

 

『1つのものを犠牲にする……』

 

そのときCOREの声が静かに響き、マシモを運んでいたメタルフレームはカルバートのほうを向き、赤い目を不気味に光らせていた。

 

 

それから月日が経ち、カルバートの研究室の実験台にはアルバスと瓜二つに体が置いてあるが、それの胸部分が開き機械の部分が見えていた。

 

「脳と神経回路は繋げた。あとはコアを取り付ければ……」

 

カルバートは青く輝くコアを持ち上げ、胸の台座部分に乗せるとコアを固定し胸の中に入っていき、胸が閉まるとアルバスの体が静かに光った。

 

「……どうだ?」

 

『魔導心拍数安定、魔力供給安定しています』

 

するとアルバスの指先がピクリと動き、目がゆっくり開いた。

 

「ここは……?」

 

「兄貴っ!!」

 

「カル…?俺はいったい……?」

 

「良かった……!本当に良かった……!!」

 

「俺は確か爆発に巻き込まれたはずじゃ……」

 

「俺が兄貴を蘇らせたんだよ!」

 

「どういうことだ?」

 

『私が説明しましょう』

 

「COREか」

 

COREがカルバートの代わりに説明していき、目覚めたばかりのアルバスは漸く状況が飲み込めた。

 

「そうか……俺は死んだ状態だったんだな……」

 

「いや、それはアイツラが勝手に決めたことだ。兄貴は生きてたんだよ!」

 

「……そうだな。ありがとう、カル」

 

「ああ……」

 

これが破滅への始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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