FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第69話 機械の試練

COREの本拠地にたどり着いたハルトたちは慎重に進んでいた。

 

「で、どこにそのコアラはいんだよ」

 

「コアラじゃねえよ。COREだろうがバカ炎」

 

「んだとコラァ!!」

 

ナツはカルバートに聞くとあたりを見渡す。

 

「俺たちは既にCOREの中にいる。あいつは体がない魂みたいなもんだ。自分の配下、作ったものならどこにだって行けるし広がる」

 

「それならそのCOREってアタシ達が入ってきたの知ってるの?」

 

「ああ、勿論だ。だがさっきから何もしてこない。なんでだ?」

 

「きっと怖気ついちまったんだろうぜ!」

 

ナツがそう言った瞬間、進む方向に佇んでいた巨像が何体も動き出した。

 

「お前が余計なこと言うからだぞ」

 

「ワリ……」

 

巨像は武器を構えてハルトたちに迫る。

 

「チッ!あの数は無理だ!一旦引くぞ!」

 

カルバートがそう言って後ろを振り返るが、後ろからも巨像が迫ってきていた。

 

「挟まれたでごじゃるー!!」

 

「どうしようっ!!?」

 

「破道の十一、綴雷電」

 

マタムネとハッピーが悲鳴を上げた瞬間、カミナは前と後ろに腕を向け、手のひらから白い帯を何本も伸ばし、巨像を巻き上げて雷を流し止める。

 

「ここは俺とガジル、ジュビアに任せて、お前ら先に行け」

 

「……わかった。任せるぞ」

 

カミナがそう言うとハルトはすぐさま前に進み、他のみんなも続いた。

 

「いいのか?並の魔導士じゃないとしてもあの数は厳しいぞ」

 

「大丈夫、アイツが任せろって言ったんだ。なら絶対にアイツは負けない」

 

カルバートがハルトに聞くとハルトは自分のことではないのに自信があり気に言う。

 

「ハルトってカミナさんのこと信頼してるのね」

 

「ツンデレでごじゃるからな」

 

「聞こえてるぞ!」

 

奥に進んで行くと次の扉が見えてくるが、その前にハンマーを構えた巨像がハンマーを振り下ろそうとしていた。

 

「錬成!」

 

カルバートが手を地面につき、地面を隆起させて壁を作り、ハンマーを防ぐがすぐに破壊されてしまう。

しかし、その場にはもうハルトたちの姿はなく巨像は目を動かし探すが見当たらないが、次の瞬間、巨像のカメラに突然ハルトが現れ、拳を放った。

 

「覇竜の剛拳!!」

 

剛拳は巨像の頭を凹ませ、巨像を倒してしまう。

それと同時に倒れた巨像のおかげで扉が破壊された。

 

「行くぞ!!」

 

 

「先に進んだか」

 

「チッ……何で俺らがここで足止めをしなきゃいけないんだよ」

 

「そーですよー。私はグレイ様と一緒に行きたかったのに……」

 

「文句を言うな」

 

カミナは巨像を見据える。

綴雷電で動きは止めたが、倒すまでは行かず、カミナたちに迫ってくる。

カミナは刀を抜き、構える。

 

「行くぞ」

 

 

ハルトたちが先に進んで行くと、広場に出た。

 

「急に開けたところに出たな」

 

「あっ!あれ!あそこに扉があるわ!」

 

ルーシィが指を指す先には扉があった。

進もうとすると、周りの壁が上に上がり、向こうから多くのスパイダーとメタルフレームが武器を構えて現れた。

 

「くそ!待ち伏せか!!」

 

カルバートが悪態をつき、周りを見渡す。

敵が一斉に攻撃しようとした瞬間、氷の氷柱で敵を突き刺し、爆炎で吹き飛ばした。

 

「ここは……」

 

「俺たちに任せろ!」

 

ナツとグレイがハルトたちの前に出て、身構える。

 

「いいのか……?」

 

「いいんだよ!お前は早く兄ちゃん取り返してこいよな」

 

「それにアイツらにはあん時の借りがあるからな」

 

カルバートの言葉にナツは好戦的な笑みを浮かべ、グレイは静かに闘志を燃やす。

 

「んじゃぁ!行けぇ!! 火竜の煌炎!!!」

 

ナツは両手の火を合わせてできた大きな炎を扉を塞いでいた的に向かって放った。

 

「アイスメイク!ウォール!!」

 

ナツの炎で敵が吹き飛び、そこにグレイの氷で道を作る。

 

「「行け!」」

 

「…ありがとう」

 

カルバートは小声で礼を言い、ハルトたちは先に進んだ。

それを見送ったナツとグレイは周りに目を向ける。

 

「へっ、ぞろぞろと虫みたいに湧いて来やがる」

 

「なら全部退治しないとな」

 

ナツは手から炎をたぎらせ、グレイは冷気を漂わせる。

 

「「燃えてきたぞ!」」

 

 

さらに奥に進むハルトたちの前に敵が現れるが、一瞬で近づき倒してしまう。

 

「やった!流石ハルトたちだね!!」

 

ルーシィが近付こうとした瞬間、天井から壁が落ちて来てハルト、ルーシィ、マタムネ、ハッピーとカルバート、エルザに分担されてしまった。

 

「しまった!」

 

「ハルト!!」

 

驚く、エルザとカルバート。

 

「え!分担されちゃったの!?」

 

「チッ!覇竜の剛拳!!」

 

ハルトが壁に向かって拳を放つが鈍い音が鳴って少し凹むだけだった。

 

「硬ぇな」

 

「ハルトの魔法で壊れないなんて……」

 

「相当硬いでごじゃるな」

 

「どうするの、ハルト?」

 

「まぁとりあえずは後ろの奴らをどうにかしないとな」

 

ハルトが振り向くとそこには大量のスパイダーとメタルフレームが迫って来ていた。

 

「ルーシィたちは下がっていてくれ。俺がやる」

 

「アタシも戦う!」

 

ルーシィが腰のホルダーに手をかけながらハルトの隣に並び立つ。

 

「無理するなよ」

 

「無理なんかじゃないよ。アタシはハルトの隣で戦いたいの!」

 

ルーシィが覚悟を決めた表情をして、ハルトは渋々了承した。

 

「わかった。行くぞ!」

 

「うん!」

 

 

ハルトたちと分断されたエルザとカルバートはどうするか立ち止まっていた。

 

「どうするかな……」

 

「ハルトは強い。私たちは先に進もう」

 

エルザがそう提案して先に進む。

 

「随分と信じているんだな」

 

「当たり前だ。仲間なんだからな」

 

「仲間か……」

 

「もちろんカルバート、お前もなんだぞ」

 

エルザにそう言われてカルバートは一瞬驚いた表情をしたがすぐにしかめっ面に戻った。

 

「何言ってんだ。先に進むぞ」

 

カルバートはエルザより前に出て、進んでいった。

エルザはその時、カルバートの口元が僅かに上がっているのが見えた。

 

「フッ……素直じゃないな」

 

「何してる。早く行くぞ!」

 

エルザたちは大きな扉の前にたどり着いた。

 

「ここだ。ここがCOREの心臓部だ」

 

「そうか、カルバート。お前はアルバスを探しに行け」

 

「何言ってる!?2人の方がいいだろうが!!」

 

「私1人で大丈夫だ。仲間だろ?信じてくれ」

 

カルバートはその言葉に少し考える素ぶりを見せた。

 

「……わかった。これを渡しておく」

 

カルバートは背負っていたバックから5本の銀色の筒を取り出した。

 

「これは魔導核分裂爆弾だ。これさえあればここは辺り一面が更地になる。これでセットとタイマーができる。タイマーをセットしてすぐに逃げろ。俺がセットをしたのをわかったら事前に渡しておいた通信機で全員に知らせる」

 

「わかった」

 

「じゃあ、頼むぞ」

 

「カルバート」

 

「何だ?」

 

「気をつけるんだぞ」

 

「フン、お前もな」

 

カルバートがアルバスを探しに行き、エルザは覚悟を決めた。

 

「ふぅ……さて、行くか」

 

エルザは扉を剣で切り開き、中に入るとそこは今まで一番大きな空間だった。

そしてその中央には金属板ででき、多くの管が伸びている巨大な球体がそびえ立っていた。

 

「あれか」

 

「侵入者を発見」

 

エルザがCOREの存在を確認すると、前方から抑揚のない声が響いてきた。

エルザが声のする方に目を向けるとそこにはエルザを倒したコーサーが立っていた。

 

「これより侵入者を排除する」

 

エルザは爆弾を床に下ろし、カルバートからもらった剣を換装して構える。

 

「来るがいい」

 

 

カルバートは両脇に銃を展開させながら、廊下を走っていた。

 

(反応ならここら辺なんだが……周りのジャミングが酷くて詳しい場所が判断できないな。COREのやつ、俺対策にこんなの作ったんだな)

 

頭の中で考えながら、カルバートは現れる敵を倒した正確に打ち倒していく。

 

(兄貴どこだ? 俺はもうあの時みたいには……)

 

カルバートの脳裏にはアルバスが自分を庇って爆発に巻き込まれた姿がよぎった。

すると曲がり角からメタルフレームが現れた。

 

「邪魔だ!!」

 

カルバートが攻撃しようとするとメタルフレームの頭が誰かに殴り潰された。

 

「っ!?カル!!」

 

「兄貴!!」

 

2人は漸く出会えたが、カルバートのすぐ後ろにメタルフレームが銃を構えて立っていた。

それに気づいたアルバスは倒したメタルフレームを持ち上げて、そのメタルフレームに投げつけた。

残骸とぶつかったメタルフレームは一瞬身動きが取れなくなり、そのすきにアルバスは胸を貫き、倒すが横にまだ残っており、それはカルバートが倒してしまう。

 

「ふぅ……」

 

「兄貴……俺は……」

 

アルバスが一息つき、カルバートが気まずそうにしているとアルバスはカルバートの肩に手を置いた。

 

「ありがとう、カル」

 

「は……?な、何で……」

 

「以前のお前なら、ここで逃げ出していただろう?そんなお前がここまで乗り込んできたんだ。だからありがとう」

 

カルバートは一瞬何を言っているかわからなかったが、次第に飲み込めていき、涙が溢れてきた。

今まで心の底にあった大きな罪悪感やら後悔がなくなったのだ。

さらに兄のアルバスから見捨てられていたと思っていたが、アルバスの言葉に温かいものが広がった。

 

「おいおい、まだ泣くのは早いだろ?COREを止めて全部終わりにしよう」

 

「あ、ああ!」

 

カルバートは涙を拭い、アルバスとともにCOREの心臓部まで走った。

 

 


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