FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第72話 兄弟

 

「エルザ!」

 

コーサーを倒したエルザは名前が呼ばれたほうを見るとそこにはハルトたちがいた。

 

「ハルト!無事だったか」

 

「ああ、なんとかな」

 

「スカーレット。コーサーはどうした?」

 

「倒した」

 

「倒した!?あのコーサーをか!!」

 

カルバートはエルザ1人では倒せないと考えていたため、そのことに驚く。

 

「カル、驚くのは後にしろ。今は……」

 

アルバスは奥に見える巨大な球体を見据える。

 

「ヤツを止めるんだ」

 

『止めるとは酷いことを言いますね』

 

部屋にCOREの声が響く。

 

「COREか…」

 

「こいつが…….」

 

「CORE……」

 

初めてCOREの声を聞く、ハルトとエルザは警戒を高める。

 

『私は世界を救おうとしているのです。なのに何故、破壊しようと?』

 

「お前の考え方は危険だ。戦争の原因となる人類を減らして管理しようとするなどあってはいけないことだ。それは救済ではなく恐怖による統治だ」

 

アルバスがCOREに向かって言い切る。

 

『わかりました。貴方との交渉は無意味だと言うことがよく分かりました。なら貴方を破壊して心臓を頂きましょう』

 

すると天井が開きそこから水銀みたいなのが落ちてくる。

 

「嫌な予感がする……」

 

ハルトの口からそう溢れる。

すると水銀は広がるのではなく、一つの塊となって足や顔を作る。

その足は足というより、爪みたいに見え、顔は三角形の生物とは思えないものだ。

顔ができるとそこに赤い目が灯る。

 

『キュアアアアアァァァァァァっ!!!!!!』

 

金切り声が響き、部屋自体を揺らす。

 

「カルバート!何だよ、あれ!!」

 

「知るか!俺の設計の中にはあんなのなかった!!」

 

怪物は巨体に似合わないスピードでハルトたちに迫る。

その鋭い足でハルトたちを突き刺そうとし、ハルトはそれを避けて殴りかかる。

 

「覇竜の剛拳!!」

 

殴ったがそれは水を殴ったように吸収される。

 

「!」

 

「ハルト!」

 

エルザが続いて、足を斬るがまた水のように繋がる。

 

「こいつ、体が水銀でできてるのか!」

 

「じゃあ物理攻撃は効かないってことか」

 

「でも足止めはできる!錬成!!」

 

カルバートは両手を手につき、地面を隆起させて怪物との間に壁を作る。

 

「今のうちにどうするか考えるぞ!!」

 

「っ!カル!!」

 

あるばすが叫んだ瞬間、カルバートの腹に銀色の触手が突き刺さる。

 

「なっ……!」

 

次の瞬間壁のあらゆるところから銀色の触手が貫いてハルトたちを追ってくる。

 

「覇竜の剛腕!!」

 

ハルトが剛腕を大きくしてだし、カルバートたちを庇う。

 

「ぐふっ……!くそっ……!」

 

「喋るな!傷口が広がる」

 

怪物は壁を壊し、ハルトたちを襲う。

 

「逃げろ!覇竜の咆哮!!」

 

咆哮を当てても僅かに体を削るだけですぐに戻ってしまう。

 

「換装!」

 

エルザは雷帝の鎧に換装し、雷の槍で雷を放つが怪物は気にも留めないでハルトとエルザを攻撃する。

 

「どうすりゃいいんだよ……」

 

 

アルバスは負傷したカルバートを連れて、瓦礫で影になっているところ隠れて治療していた。

 

「魔法も物理攻撃も効かない。どうすればいいんだ」

 

「手がないわけじゃない……」

 

「本当か!」

 

「アイツは水銀だ。凍らせれば止まるはずだ……俺が凍結用の武器を作る。その間、あの怪物の動きを止めてくれ……」

 

「わかった。任せろ」

 

アルバスはカルバートをゆっくりと瓦礫にもたらせ、怪物のほうを向いた。

 

「兄貴……」

 

「なんだ」

 

「……気をつけろよ」

 

「……ああ」

 

 

ハルトたちは怪物の猛攻に不利な状態だった。

怪物は脚だけではなく、身体中から触手を伸ばし、ハルトたちを狙ってくる。

 

「くそっ!避けるのが厳しくなってきた!!」

 

「攻撃する暇も与えてくれないか!」

 

2人が弱音を吐いた瞬間、怪物に瓦礫がぶつかる。

 

「エルザ!ハルト!時間を稼いでくれ!!」

 

「アルバス!」

 

「時間を稼げって言われてもな!こんな状態でできるか!!」

 

「頼む!時間を稼げばカルが何とかしてくれる!!」

 

「ハルト!」

 

「おう!」

 

天輪の鎧に換装したエルザに呼ばれ、ハルトは横に並び立ち魔力を合わせる。

 

「「合体魔法!!天覇・剣乱舞!!!」」

 

ハルトの魔力を帯びたエルザの剣が空中を飛び回り、怪物に突き刺さっていく。

ハルトが突き刺さった剣に向かって手を広げ、握ると剣が爆発を起こした。

 

『キャアアアァァァァッ!!?』

 

怪物は悲鳴をあげて、痛みにのたうち回る。

さらにそこにアルバスの磁力魔法で引き上げられた瓦礫が上から落とされ、怪物は潰される。

 

『キュアアアァァァァァッ!!!』

 

瓦礫を押し上げ出てきた怪物はハルトたちをに顔を向けると口部分のように凹み青白いエネルギーが収束する。

 

「避けろォォォォッ!!」

 

アルバスが叫んだ瞬間、エネルギーは細い線状のレーザーとなってハルトたちが立っていたところを通る。

ハルトたちは何とか避けるが、その部分はレーザーが通ったように赤くなり、爆発を起こした。

 

「アイツ、あんなの使えたのかよ!」

 

「弱音を吐いても仕方ない!気を惹きつけるぞ!」

 

怪物がまた口を開いてレーザーを打ち出そうとした瞬間、横から爆発が起こった。

 

「待たせたな……これで奴の動きを止めることができる」

 

脇腹を押さえて、地震の背後に煙を吐いている砲門を控えたカルバートが立っていた。

爆発が当たったところは氷づけされたように固まっていく。

 

「急速冷凍弾だ。奴が水銀でできているならこれで動きを止められる」

 

『キュアァ……!!』

 

体の一部が凍ろうとも動こうとする怪物にカルバートは弾丸を打ち込んでいく。

怪物はみるみる凍っていき、ついには動かなくなってしまった。

 

「エルザ!今のうちに爆弾のセットを……!!」

 

「避けろ!エルザ!!」

 

カルバートの言葉を続けようとした瞬間バキッと何かが割れる音が響き、また銀色の触手が無数に伸びた。

咄嗟にハルトがエルザを庇い、ハルトは肩と足と腹を刺され、カルバートは胸と腕、銃を刺され破壊され、アルバスは腕を破壊され心臓近くを刺された。

 

「があっ……!!」

 

「ハルト!」

 

「ぐはっ!!」

 

「カル!ぐうっ!?」

 

ハルトたちはその場に倒れ、怪物はレーザーを打とうとする。

 

「やらせるか!!」

 

エルザがカルバートの剣を向けて放たれたレーザーを押し留める。

 

「くうぅぅぅぅっ!!!」

 

カルバートの剣とレーザーは拮抗し、凄まじい火花を散らす。

 

「ハアァァァァッ!!!」

 

エルザは渾身の力を振り絞り、レーザーを弾くがその瞬間、剣が粉々に砕ける。

 

「剣が……!!」

 

『キュアアアァァァァァッ!!!!』

 

怪物は触手を振り回し、エルザたちの上にある天井を破壊する。

そのうちの一つがハルトの足に直撃し、骨が折れる音が響いた。

 

「ぐあああっ!!!」

 

「ハルト!」

 

またレーザーを溜めて打とうとする怪物が光を集め、レーザーを放った。

 

「断空」

 

その瞬間、ハルトたちと怪物の間に結界が張られ、レーザーを防ぐ。

 

「これは?」

 

「エルザ、急いでハルトを背負え」

 

そこに現れたのはカミナだった。

 

「カミナ!」

 

「何しにきやがった……?」

 

「ふん……助けに来たのに何だその言い草は。怪我人は黙ってろ。それより急ぐぞ」

 

カミナが断空に目を向けると断空にヒビが広がり、今にも破壊されそうだ。

 

「跳べ!」

 

その瞬間断空は破壊され、ハルトたちがいたところは爆発を起こす。

 

「エルザ。まだ動けるか?」

 

「ああ、なんとかな」

 

「俺たちでなんとかするぞ」

 

カミナとエルザは刀と剣を構えた。

 

「俺も戦うぞ」

 

アルバスがカミナの肩を掴み、そう言うとカミナはアルバスの状態を見る。

 

「やめておけ。今のあんたじゃアイツに捕まるだけだ」

 

「なんだと?」

 

「その胸」

 

カミナはアルバスの胸を指す。

 

「あんたは痛みを感じないみたいだから気づかないみたいだが、他の部分は貫かれているのにその部分だけ貫かれていない。さっき蹲ったってことは力が出なくなったんだろ?」

 

「……」

 

「奴らはあんたを弱らせにきたんだ。だからここで大人しくしてろ」

 

「……わかった」

 

アルバスは渋々了承した。

 

「スカーレット……」

 

カルバートが苦しそうにしながらもエルザに話しかける。

 

「どうした?カルバート」

 

「爆弾を寄越せ」

 

「ああ、どうするんだ」

 

「あの怪物には物理攻撃も魔法も効かない……なら完全に消滅させるしかない」

 

カルバートは爆弾を調節する。

 

「これでアイツには十分なはずだ……お前とハクシロが隙を作ってくれればもう一度冷凍弾を打ち込む。その時に爆発させろ」

 

「ああ、だがここを爆破するときはどうする?」

 

「1時間もあればまた作れる」

 

「わかった」

 

カミナとエルザは同時に飛び出し、怪物を牽制する。

 

「よし……撃つぞ」

 

カルバートは痛む体を無理矢理動かし、壊れていない銃を持って撃とうとするが、怪物はそれを目敏く見つけ、カルバートに向かって触手を伸ばす。

 

「しまった!」

 

「チッ!」

 

エルザとカミナが慌てるが間に合わない。

 

「覇竜の剛腕!!」

 

「フンッ!!」

 

しかし足が動かないハルトが無理矢理立って剛腕を出して体にいくつか刺さっても防ぎ、アルバスがその体に触手が刺さって片腕が飛んでも盾になった。

 

「今だ!!」

 

「撃てぇ!!」

 

「オオォォォォッ!!!」

 

カルバートの雄叫びと共に銃口から火が吹く。

弾丸が当たった怪物はさっきと同じように凍るが、カルバートは全ての弾を使い切るまで撃ち続けた。

 

「スカーレットォッ!!!!」

 

「これで終わりだ!!」

 

エルザは爆弾を投げて怪物にセットする。

怪物がまた動き出そうとした瞬間、部屋全体に爆発が起こるが瓦礫は何一つ落ちず。怪物だけが消えてなくいなくなった。

 

「やったか……」

 

「あとはもう一度爆弾を作れば……」

 

『無駄です』

 

再びCOREの声が響く。

 

「何が無駄なんだ!お前を守るものは無くなった!」

 

『守る?何か勘違いしてますね。今まで貴方達が戦ってきたものは私を守るためのものではありません。貴方達と戦って時間を稼ぐ為のものです』

 

「なんだと!?」

 

エルザが驚く。

 

『私と言う個体は確かにそこにあるコアですが、私という存在は全ての機械兵達の中にあります。貴方たちにできますか?億を超える兵たちを一体も残さず全て倒せますか?』

 

「だがそこまで広げるには時間がいるはずだ。……まさか!」

 

『ええ、だからその為の時間稼ぎなのですよ』

 

投影機から機械兵たちが各地を侵攻しようしている映像が流れる。

 

『あと10分程度で私は全てに行き渡り、それと同時に侵略を開始します。カルバート、貴方のあの爆弾は作るのに時間がかかりますね?先程言っていたように1時間ほど、私はあと15分で私という存在は全てに行き渡ります』

 

カルバートの顔に冷や汗が流れる。

 

『私の勝ちです』

 

COREの残酷な一言が響き渡る。

全員が呆然としてしまう。

 

「何か手はないのか!!」

 

「行き渡ると言うことはどこかに根源があるはずだ。それを探して破壊すればいいのではないか?」

 

「だが、あのCOREのことだ。その根源っていうのを複数作っているはずだ」

 

「じゃあ、今すぐ全部破壊すれば……!」

 

「どこにあるのかわかるのか?ここにいるかもしれない。ラナがいる外かもしれない。もしかしたらフィオーレ王国各地に侵攻しようとしている軍勢の中にいるかもしれない。それをたったあと15分で探し出して倒せって言うのか?無理だな」

 

「じゃあどうしろってんだよ!!」

 

「それを今考えてるんだ!!」

 

「やめろ!2人とも!!」

 

ハルトとカミナが喧嘩しそうになり、エルザが止める。

その間、カルバートはCOREの話を聞いた時から俯いたままだった。

そこにアルバスが話しかける。

 

「カル……何か策があるんだな?」

 

「………」

 

カルバートは何も言わない。

 

「本当か!?」

 

「じゃあ、さっそくそれに取り掛かろう!」

 

「………」

 

しかしカルバートは首を縦に振らない。

 

「兄弟だからわかる。策はあるがそれはだれかを犠牲にしないといけないんだろ?」

 

「……ああ」

 

「俺か……?」

 

「……そうだ」

 

「そうか……カル。その作戦を教えてくれ」

 

「兄貴……!?」

 

カルバートは驚いてアルバスを見る。

その顔は覚悟を決めたものだった。

 

「俺はほぼ死人みたいなものだ。片腕をもがれても痛みすら感じない。それにこれを見てくれ……」

 

カルバートは胸の心臓部分を見せる。

そこに空けられた穴から火花が散っている。

 

「制御装置を破壊された。もうオーバーヒート寸前だ」

 

「だけど別の手が……」

 

「カル!!」

 

アルバスの一際大きな声が響く。

アルバスはカルに近づき、残った腕でカルバートの肩に手を置く。

 

「もういいんだ。俺は充分に生きた」

 

「兄貴……」

 

カルバートの目から涙が溢れる。

 

「それにお前が成長したところを見れた。兄貴としてそれだけで充分だ」

 

アルバスはハルトたちに顔を向ける。

 

「妖精の尻尾のみんな。カルに手を貸してくれて感謝する。君たちがカルの仲間になってくれて本当に良かった」

 

その言葉にハルトたちは複雑な表情をする。

 

「兄貴」

 

「なんだ?」

 

「俺は兄貴の弟であったことを誇りに思う」

 

「ああ。俺もお前が弟であることを誇りに思う」

 

2人は最後に軍人らしく敬礼をした。

 

 

基地から脱出しようとしていた。

 

「準備が出来次第爆破する!急ぐぞ!!」

 

カルバートがハルトたちにそう言い、先頭を走る。

 

「なあ……」

 

ハルトが肩を貸してもらっているカミナに話しかける。

 

「なんだ?」

 

「これでよかったんだよな?」

 

「どうだろうな」

 

「もっと別の手があったはずじゃ……」

 

「ハルト」

 

カミナはハルトを少し怒りが混じった目で見る。

 

「世の中、理不尽なことばかりだ。確かに2人とも救えれるのが理想だ。だが、それはあくまで理想だ。現実の前じゃ理想は脆い。お前なら分かるだろう?」

 

「………そうだな。悪い」

 

「気にするな」

 

4人は走り続け、基地の入り口に着くとそこにはハルトたち以外のメンバーが集まっていた。

 

「ハルト!?どうしたのその足!!?カルバートさんも片腕が……」

 

ルーシィがハルトの状態を見て駆け寄る。

 

「話は後だ。今すぐここから脱出するぞ。マタムネ、ハルトを抱えろ」

 

「了解でごじゃる!」

 

「なあ、アルバスはどうしたんだよ?」

 

ナツがここにいないアルバスがどこにいるか聞く。

それにハルトたちは悲しそうな表情をする。

 

「兄貴はここに残る。最後の仕事がある」

 

「最後の仕事ってなんだよ?」

 

「ここを爆破する。自分諸共な」

 

その言葉に驚くナツたち。

ナツはカルバートに食ってかかる。

 

「なんでだよ!!兄貴じゃねえのか!!?」

 

「ナツ!」

 

エルザがナツを抑える。

 

「一番つらいのはカルバートなんだ。頼む。今は何も言わないでくれ……」

 

辛そうな表情をするエルザを見てナツは何も言えなくなった。

 

「この外にはまだ機械兵たちがいるはずだ。戦える奴で戦えない奴を守るぞ」

 

カミナの言葉に全員が頷く。

 

「行くぞ」

 

カミナが扉を切り裂き、外に出ると空は若干白みがかかった色をしており、地面には無数の機械兵の残骸がそこら中に転がっていた。

 

「こ、これは……?」

 

「ラナだな。アイツなら当然だと思ったがここまでとはな」

 

「え?あのラナさんが!?」

 

カミナの言葉に驚くルーシィの背後で残骸が少し動き、その下から傷ついたメタルフレームが銃を構えて、ルーシィを狙う。

 

「っ!ルーシィ!!」

 

マタムネに抱えられていたハルトがルーシィのほうに飛び出し、庇う。

メタルフレームが撃とうとした瞬間、何かが落ちてきてメタルフレームを潰す。

 

「遅かったわね」

 

「ラナか。そっちも終わったんだな」

 

「ええ、まあね。ここら一帯は全て倒したわ。それにしても……」

 

ラナはハルトに庇われているルーシィを見る。

 

「やっぱりね」

 

「っ!!………」

 

目で、やっぱり守られてハルトが傷ついているとお前が弱いからだ、と言われている気がして、ルーシィは俯いて目尻に涙を溜めて悔しそうにする。

 

「お、おい。ルーシィ大丈夫か……?」

 

「うん……大丈夫」

 

ハルトが心配して言葉をかけるがルーシィは元気なく答える。

 

「ラナ、ここから移動だ。今すぐ妖精の尻尾にもどって

 

「わかったわ。………アルバスって奴はどうしたの?」

 

それを聞いたラナはカルバートの表情を見て察した。

 

「そう……。行きましょう」

 

ラナはルームを作り、ハルトたちはギルドに戻った。

 

 

時間は少し戻り、1人残ったアルバスはカルバートから渡されたケースの中身を見ていた。

それには青色のゲル状の物が入っていた。

 

『これは奴らに合わせて魔障粒子を固形にしたものだ。これを兄貴の心臓に突き刺して………爆発すればフィオーレ中の機械兵だけが死滅する。もちろんCOREもそして……』

 

「俺も……か」

 

アルバスは少し笑って、ケースに付いた注射針を出して突き刺そうとした瞬間、腹に触手が突き刺さる。

 

「なっ!?」

 

『貴方たちは最後まで足掻くのですね!ですが無駄です!!まだここの防御システムは生きている!!』

 

再びCOREの声が響くがその声は焦りが混じっているように聞こえた。

背後からアルバスを刺したのは水銀の人型だった。

 

「あれの生き残りか!!」

 

アルバスはケースに手を伸ばすが、人型がアルバスを引っ張って手が届かない。

 

「マグナボール!!」

 

アルバスが後ろの壁に向かって黄色の光球を放つ。

するとアルバスと人型はその光球に引っ付く。

 

「ぐっ!」

 

『キュアァァッ!!』

 

「どうだ……磁力の玉を打ち出して金属類を一箇所に集める魔法だ。

実戦ではあまり意味がないと思っていたが役に立つとはな!!」

 

アルバスは磁力に引っ張られながらもケースを拾いに行こうとする。

磁力によってアルバスの骨格が引っ張られる。

それでもアルバスは前に進んで行く。

皮膚が体のパーツと一緒に剥がれながらも進んで行くその姿は最早執念だ。

そして背中の皮膚がほぼ剥がれ、ケースに手が届きそうになった瞬間……

 

ガッ!!

 

アルバスの頭を背後から水銀の触手が貫いた。

 

『惜しかったですねアルバス。これで終わりです』

 

COREがそう言い、アルバスは動かなくなった。

フィオーレは機械に支配されてしまう。

少しの間、絶望にも感じる時が流れる。

しかし、わずかにアルバスの手が動き、ケースを手にする。

 

『何故動ける!?』

 

「甘かったな……これじゃ俺は止まらないぞ」

 

アルバスが顔を上げると確かに触手はアルバスの顔を貫いているが、触手はアルバスの右目横を貫いていた。

アルバスは顔を左に振ることで触手を抜くと顔部分の皮膚が剥がれ、機械の目が現れる。

その目はメタルフレームと同じ赤い目でアルバスの執念を表すかの如く強く光っている。

 

「人間を舐めるなよ」

 

アルバスはむき出しになった自身のコアに注射針を押し当て、魔障粒子を注入する。

 

「人類(俺たち)の勝ちだ」

 

『貴様ぁぁぁぁっ!!!』

 

アルバスの体から眩しい光が発せられる。

 

(カル……俺はお前が心配だった。小さい頃から2人で生活して、お前は周りの人との関わりを断っていた。そのお前が初めて信頼できる仲間を得て、協力して立ち向かった。お前はもう俺がいなくても大丈夫だ。幸せにな………)

 

光は強くなりアルバスを包んだ。

 

 

ラナの魔法で上空に上がったハルトたちの後ろで強い光が発せられた。

そして基地は大爆発を起こし、青い衝撃波が発せられた。

その衝撃波はフィオーレ全体を包み、進軍していた機械たちは全て停止した。

その光景を眺めていたハルトたちの顔は勝ったというのに、アルバスのことを思い、誰一人喜んでいなかった。

 

「あばよ……兄貴」

 

カルバートの言葉が静かにその場に響いた。

 




次でオリジナル編は終わりです。
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