FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
今年も『FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS』をよろしくお願いします。
それではバトル オブ フェアリーテイル篇開始です!
第76話 ナツVS.ルーシィ
秋がそろそろ近づき始めた日にマグノリアはいつもより賑わっていた。
そろそろ収穫祭が近づいてきており、町の人たちはその準備で忙しそうだ。
そしてそれはマグノリアに存在する妖精の尻尾も同様だ。
収穫祭の夜に行われる『ファンタジア』はマグノリアの名物と言われ、また妖精の尻尾にとっても普段お世話になっているマグノリアの人たちに恩返しができる集大成だ。
「よいか!あと収穫祭が始まる!収穫祭の夜にはフェアリーテイル総出で行うファンタジアがある!!皆、気合いをいれるのじゃ!!」
マスターであるマカロフから激励をかけられ、メンバー全員に気合いが入る。
「わぁっ!アタシ、ファンタジアを見たことがないのよね!楽しみ!!」
「何言ってんだ?フェアリーテイル の魔導士は基本的に参加だぞ。お前も参加するんだろうが」
「ええっ!?そうなの!?」
ルーシィはグレイにファンタジアに参加することを聞いて、そのことに驚くが、それと同時に期待もした。
「あっ……そういえばグレイ。一緒に仕事に行かない?」
「なんだよ。いつも通りハルトと行けばいいじゃねぇか? 」
「そうなんだけど……ハルトの足の怪我がまだ治ってなくて仕事に行けないのよ」
「まだ治ってないのか。遅ぇな」
いつもルーシィはハルトと仕事に行くか、チームで仕事に行くが、ここ最近は収穫祭の準備で、チームでの仕事ができないでいた。
さらにハルトは機械兵との戦いでの負傷が治っていなかった。
「悪りぃけど、今日は珍しくカミナに頼まれてジュビアを仕事に連れて行かなきゃいけねぇんだ」
「そういうことです。ルーシィさんも頑張ってハルトさんを仕事に誘って距離を縮めてくださいね!!」
ジュビアがどこからともなく現れ、ルーシィの手を握り応援する。
「いや、だからハルトは足を……」
「でないとグレイ様とハルトさんの関係が……」
ジュビアは未だにハルトとグレイがそういう関係だと思ってるらしい。
「それならエルザはどうなんだ?」
「エルザは鎧の調子が悪いとか言って、ハートクロイツ社に乗り込んでいっちゃった」
「あ、相変わらずだな……」
ルーシィの言葉にグレイも呆れる。
「ならナツを連れてけばいいじゃねぇか」
「そうしよっかな」
ルーシィはグレイたちと別れ、ナツを探しに行くがギルドにはおらず、聞いてみるとルーシィが以前修行した広間にいるらしい。
行ってみるとそこにナツはいたが、ハルトたちもいた。
「ハルト何してるの?」
「おう、ルーシィか。実はな……」
「おい!ルーシィ!今は俺がハルトに修行をつけてもらってんだよ!!邪魔すんな!!」
「修行?」
「あい。ナツってばこのまの戦いで敵に勝てなかったのが悔しくてハルトに修行をつけてくれるように頼んだんだ」
ナツは松葉杖をついているハルトに向かって攻撃を繰り出すが、ハルトはそれを首を動かしたり、松葉杖を器用に使って避ける。
「ちょっとナツ!ハルト怪我してるんだから危ないことさせちゃダメでしょ!!」
「うるせぇ!!関係あるかよ!!」
ナツは気にせず、攻撃を仕掛ける。
「大丈夫でごじゃるよ。ルーシィ殿」
「マタムネ!止めなくていいの?」
「ハルトならナツ殿の攻撃は軽くあしらえるでごじゃるよ」
「もう2時間くらい攻撃が当たってないもんね」
現に攻撃を出しているナツの息があがり、ハルトは平気な様子だった。
「ほらほらどうした?もうバテてきたか?」
「ハァ……まだだ、つうの!!」
ナツは渾身の拳を打ち出すがそれは手を添えられ、捌かれてしまい、ハルトのチョップがナツの頭に振り下ろされた。
「痛ぇっ!!?」
「お前は威力はあるんだが、目先のことばっかで大振りが多いな。一旦落ち着いて周りを見てみろ」
痛みに悶えるナツにハルトはアドバイスをかけ、その場にゆっくりと腰を下ろした。
「一旦休憩な」
「俺はまだやれるぞ!」
「バカ、俺がしんどいんだよ。少し休ませてくれ」
「ちぇっ……仕方ねぇな」
ナツは不貞腐れながら、ハルトの近くに座った。
「ところでルーシィ殿は何の用なんでごじゃる?」
「あ、えーとっ、ナツを仕事に誘いにきたんだけど……これじゃあ無理そうね」
「おう!今日は一日ハルトに修行つけて貰うからな!」
「一日!?お前、俺は怪我人だぞ……」
ナツの言葉にハルトは呆れるが、ルーシィを見て何か思いついた。
「ルーシィ、ナツと戦ってみねぇか?」
「え!?あたしが!?」
「なんでルーシィと戦うんだよ?」
ルーシィはハルトの指名に驚き、ナツも不思議そうにする。
ルーシィとナツでは実力差がありすぎるのは分かりきっていることだ。
それなのにハルトがルーシィにナツと戦うように頼むのはある考えがあったからだ。
「いいから戦ってみろよ。多分今のお前でも苦戦するぜ?」
「ちょっ、ちょっとハルト!あたしじゃナツじゃ戦いにならないわよ!」
「そーだぜハルト!俺ならルーシィを軽ーく倒せるぜ!」
「むっ……」
ルーシィはナツの言葉に少しムカついた表情を見せるがそれでもナツと戦うのが怖いのか言い返さないが、ハルトはルーシィに近づき、至近距離で肩を掴む。
顔が近く、ルーシィの顔に熱がこもる。
(ち、近い……!)
「ルーシィ、これはお前にしか頼まないことなんだ」
「あたしにしか?」
「そうだ頼れるお前にしか頼めないんだ」
ハルトの顔が近いこともあって、久しぶりに乙女フィルターが暴走して、脳内補正がかかり、やる気がめきめき上がった。
「あたしやるわ!!」
「「えーーっ!?」」
「よし!」
ルーシィがやる気になったことで対峙するナツとルーシィ。
「怪我しないように手加減してやるぜ!ルーシィ!」
「そ、そっちこそ!舐めてかかったら痛い目に合うわよ!!」
ナツは好戦的な笑みを浮かべて拳を鳴らし、ルーシィは勢いで立ち向かってしまったが、緊張しながらも決心して対峙する。
「それじゃあ、始め!!」
ハルトの開始でナツが飛び出す。
「え!ちょっ……!」
「火竜の鉄拳!!」
「きゃあぁぁぁぁっ!!!?」
いきなり鉄拳を振ってくるナツにルーシィは涙目になりながら避けるがナツは気にせず攻撃をしかける。
「た、タウロス!」
「遅ぇっ!!」
ナツはルーシィがタウロスを召喚するよりも自分の攻撃が早く当たると確信し、そのまま拳を振るうがその拳はルーシィの両手で受け止められた。
「は?」
「んー……!!えい!!」
ナツは一瞬呆けてしまい、その隙にルーシィがナツの腕を掴んで投げた。
ナツは空中で体勢を立て直し、さらにもう一度攻撃しようとするがルーシィはナツの両腕を掴んで動けなくする。
「ぐ、くそ……!」
ナツがルーシィにパワー勝負しようと腕を放して、取っ組み合いの状態になるが徐々にナツが押される。
「ナツ殿が!!」
「パワー負けしてる!!?」
その光景に驚くマタムネとハッピーだが、ハルトはそれを冷静に見てる。
「なら……!!」
ナツは一旦ルーシィから離れ、口を膨らませる。
「火竜の咆哮!!」
炎のブレスが放たれ、ルーシィに迫る。
ルーシィはもう一つの鍵を取り出す。
「アクエリアス!!」
タウロスの鍵と同じく、光が出された瞬間ナツのブレスが直撃した。
「あ、やべ!!」
当てる気はなかったが思った以上にルーシィが強く、力が入ってしまったナツは慌ててブレスを止めるが、ルーシィが立っていた場所は激しい炎に包まれていた。
しかし、その火がどんどんと消えていき、そこには人1人を包めるほどの水球があった。
その水球が割れるとその中にはルーシィが立っていた。
「もう一度、タウロス!」
ルーシィが光に包まれ、ムチを振るってナツの足を絡め取り、その凄まじい力でナツを上空に投げ上げる。
「ここでぇ!開け!獅子宮の扉!レオ!!」
「ナツ悪いね!ルーシィのためだ」
「うおおぉぉぉぉ!!?」
ルーシィに召喚されたロキは投げ上げられ、天辺まで行くとルーシィに振り下ろされたナツに狙いを定めて拳を握る。
「レグルスインパクト!!」
「ぐほぉっ!!」
溝に入ったナツは吹き飛ばされ、動かなくなった。
「嘘……あたし……ナツに勝っちゃった……やったー!!」
嬉しそうに飛び上がるルーシィだがすぐに力が抜けたようにへたり込んだ。
「あ、あれ?力が…入らない?」
「いてて……やりやがったな!ルーシィ!!お返しだぁ!!!」
体に力が入らないルーシィを他所に持ち前のタフさで起き上がったナツは激昂し、炎を溜める。
「火竜の煌炎!!!」
ナツから打ち出された巨大な炎の塊をルーシィは呆然とした表情で見るしかなかった。
「ダメだよ!ナツ!!」
「危ないでごじゃる!!」
しかし、ルーシィの前にハルトが現れ煌炎を弾き飛ばした。
「勝負はここまでだ」
「なんでだよ!!俺はまだやれるぞ!!」
「お前じゃなくてルーシィが限界だ。見ろ」
ハルトが後ろを向くとルーシィは眠るように気を失っていた。
「ルーシィ!おい!大丈夫か!!?」
ナツも心配して駆け寄る。
「ロキを召喚した時に魔力を使い切ったんだな。まぁ、ナツ相手に勝つにはそれぐらいしなきゃ勝てなかったんだろうな」
「うぐ……俺は負けたわけじゃ……」
「認めろよ。あれはルーシィの作戦勝ちだ」
「ぐぐぐぐぐ……わかったよ!チクショー!!」
ハルトに論されるように言われ、悔しそうにナツはルーシィに負けたことを認めた。
「ハルト!修行にはまだまだ付き合って貰うからな!!」
「わかってるって。の、前にルーシィを運ばなきゃな。ナツ、ルーシィを運んで……」
その時、ハルトの頭の中ではナツが運んだらイタズラをしそう、ハッピーが運んでもイタズラしそう、マタムネが運ぶのは論外と即座に判断した。
「やっぱ俺が運ぶわ」
「待てよ!俺との修行はどうなんだ!!?」
「ナツはどうして負けたかよく考えろ。ハッピーはそれを手伝ってくれ。マタムネは俺と一緒に来てくれ」
「ぎょい!」
ハルトは器用にルーシィを背負って、歩き出した。
「………取り敢えず考えるか」
「お魚が足りなかったのかな?」
○
ハルトがルーシィを背負って歩いてるとマタムネがニヤニヤしながら顔を見てきた。
「なんだよ?」
「いやぁ〜ハルトも積極的でごじゃるな〜と思って」
「はぁ?どういうことだよ?」
「なんでルーシィ殿を運ぶでごじゃるか?怪我もしてるのに。運ぶだけならせっしゃがするでごじゃる」
「お前が運んだらなんかしそうだろうが」
「へ〜」
マタムネのニヤニヤは止まらない。
「ハルトはルーシィ殿のことどう思ってるでごじゃる?」
「どうって……大切な仲間だって…」
「そうじゃなくて女性として、でごじゃる」
突然核心を突いてくるマタムネの質問にハルトは口が止まる。
「ハルトだって気づいているでござろう?ルーシィ殿はハルトのことが……」
「やめろ、マタムネ。それ以上言うなら怒るぞ」
口を開いたハルトの言葉には怒りがこもっていた。
「俺は人を好きになる資格なんて無いんだよ」
「そんなことないでごじゃる!!あれは…!あの時は……!」
「いいんだよ、マタムネ。この話はもう終わりだ」
それ以降ハルトは話しかけるなと空気を醸し出して、マタムネは話しかけることができなかった。
○
どこかの寂れた酒場の中でありえない光景が広がっていた。
「ギャホーーー!!!!?」
突然凄まじい雷鳴と共に酒場の壁を破って大男が黒焦げの状態で現れた。
その体には電気が走っている。
そしてその大男が出てきた穴から1人の男が現れるその体には凄まじい雷電が帯びており、手に持っている雑誌は跡形もなく消え去る。
その表情は怒りに全て染まっていた。
「もう我慢ならねぇぞ……!ジジイィッ!!!!!」
その男、妖精の尻尾最強の1人ラクサス。
彼の叫びと共に雷がいくつも落ちる。
それはまるで戦いの狼煙を上げるようだった。