FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第82話 優しい言葉

カミナと対峙するフリードだが、対峙しているだけだと言うのに一瞬殺された自分を想像してしまっていた。

鼓動が早くなり、息が荒くなる。

その隙に今にも倒れそうなエルフマンをカミナは一瞬で回収し、ミラの側に寝かせる。

 

「来い、繭姫」

 

繭姫を召喚しエルフマンの治療を行う。

 

「行ってくる」

 

「カミナ……」

 

カミナはミラと目を合わせずフリードを睨む。

すると一瞬カミナはミラの前から消えて、フリードの襟を掴んでミラの場所から離れる。

 

「くっ……!」

 

カミナは湖畔近くまで走り、投げる形でフリードを解放した。

 

「カミナが参戦か……だが準備は怠っていない」

 

「おい……誰が名前で呼んでいいって言った?」

 

カミナがさっきより迫力が増した睨みを効かすとフリードにその迫力に圧倒され少し後ずさる。

カミナがフリードのほうに歩いていこうとすると足元から術式の壁が現れ、カミナを閉じ込める。

 

「いくらカミナと言えど術式からは逃れられんぞ!!」

 

フリードがそう言うがカミナは術式に手を向け横に振るうと術式はあっさりと砕け散った。

 

「何だこれは?遊びか?」

 

カミナは冷たい目でフリードを見下し、フリードは慌てて背中に術式の翼を出し逃げていく。

 

(くそっ……!カミナの解除魔法の技術があそこまで高度なのは見誤った!!一旦体制を整えて……)

 

フリードがそう考えてるなか目の前に透明なな壁が急に現れ、ギリギリで気付けたフリードはなんとかぶつからずに止まることができた。

 

「これは……!?」

 

「合体魔法『断璧の回園』」

 

距離を取ったはずのフリードの背後にカミナが現れた。

 

「おまえの得意な術式の罠はもう終わりか?」

 

カミナは刀を向け、フリードを睨む。

 

「全ての策を出してこい。一つずつ壊していってやる」

 

フリードの表情は焦りに染まる。

 

「くっ!闇の文字!“痛み”!!」

 

フリードがカミナの体に文字を書き、カミナの体に激しい痛みが走る。

 

「闇の文字!“痛み”、“苦しみ”、“痛み”、“痛み”、“苦しみ”!!!」

 

フリードが多くの文字を書き込むがカミナは表情を全く変えない。

 

「何故だ……!痛みも苦しみもしない!!」

 

激しい痛みと苦しみが襲ってるはずだが表情一つ変えないカミナにフリードの焦りは大きくなる。

 

「ハァ……こんなものか」

 

カミナに書き込まれた文字はさっきと同じように砕け散った。

 

「なんだそれは……?本当に解除魔法なのか!?」

 

「天嵐」

 

フリードはカミナの天嵐に襲われ、さらに舞い上がり、翼を出してなんとか体勢を整えてカミナのほうを見るがそこにはカミナの姿はなく、周りを見るがどこにもいない。

 

「どこだ!?どこに行った!?」

 

「……蒼火墜」

 

背後から声がし、フリードが振り向くとそこには至近距離から蒼い炎を打ち出すカミナの姿があった。

その目には一切の情などないことがフリードにはわかってしまった。

激しい爆発の中から傷ついたフリードが落ちてくるように出てくる。

 

「くっ!闇の文字“暗黒”!!」

 

フリードは自身の切り札、自分に闇の文字を書き込み、その姿を悪魔のようにして強化した。

カミナは天鷲に乗りながら現れフリードに向かって白雷を何発か撃つ。

フリードは白雷を防いで、カミナはその隙にフリードに飛びかかり刀で攻撃する。

フリードとカミナは素早い打ち合いをして、フリードが翼をはためかせ自分から離れた。

 

「くそっ……!!」

 

フリードは数回の打ち合いでカミナの斬撃が自分より早いことがわかり、体からは少し血が流れている。

カミナから離れ、遠距離からの大火力で倒そうと考えた瞬間、自身にかけた術式が勝手に解けてボロボロのフリードの姿が現れる。

 

「なっ……!!(いったい何が……!!)」

 

フリード自身、自分の身に起きたことを理解出来ず慌てるがそのフリードに影がかかる。

フリードがその影に視線を向けると刀を構えたカミナが目に入った。

 

「白絶斬・雷」

 

激しい雷と共に強力な斬撃がフリードに振り下ろされ、湖に斬撃の余波で激しい水しぶきが上がる。

 

「はっ……はっ……ぐうぅ……!!」

 

フリードは湖からボロボロの体を這いつくばりながら出てきて、苦しそうに呻く。

そこにカミナが天鷲から降りて現れてフリードの頭を踏みつける。

 

「や、やめてくれ……!カミナ……!」

 

フリードがか細い声でカミナに許しを請うがカミナは表情一つ変えず、刀を首に添える。

 

「お前はミラを泣かせた、悲しませた。俺はそれが許せない」

 

カミナの目からは一切の情が見えない。

フリードはそれが堪らなく恐ろしかった。

カミナは刀をフリードの頭に突き刺そうと少し持ち上げる。

 

「死ね」

 

刀がフリードの頭を突き刺そうとした瞬間、ミラがカミナの背中に抱きついて止めた。

 

「カミナやめて!!!」

 

「ミラ……離せ。殺さないだろう」

 

「フリードは殺さなくていいの!!仲間なのよ!!」

 

「お前を傷つけた」

 

ミラは表情が変わらないカミナを見て、悲しくなり涙が流れる。

 

「お願い……いつものカミナに戻って……!」

 

ミラはカミナの胸に抱きつき、泣き縋る。

それを見たカミナは申し訳なさそうにし、ミラを抱きしめる。

 

「すまない……ミラ。少し自分を見失っていた」

 

ミラは元の表情に戻ったカミナを見て安心して、呆然とした表情のフリードの側に座る。

 

「何故トドメを刺そうとしない……?」

 

「私たちは仲間よ……同じギルドの仲間……一緒に笑って、一緒に騒いで………一緒に歩いて………」

 

「う……うるさい!!!俺の仲間はラクサス一人だ!!!」

 

ミラは優しい表情でフリードに語りかけるが、フリードはそれを否定する。

 

「一人じゃないでしょ?あなたはとっくに気づいてるわ」

 

まるでミラはフリードの考えていることがわかっているように語りかける。

 

「一人の人物に依存することは全て悪とは思わないけど、あなたの周りにはたくさんの人がいる」

 

フリードの頭にはギルドのメンバーと過ごした記憶が蘇り、心を動かす。

フリードはそれに耐えるように我慢するがミラはフリードの手をとる。

 

「ほら、手を伸ばせばこんなに近くに……一人が寂しいと気づいた時、人は優しくなれるの……あなたはそれに気づいてる」

 

次第にフリードの目から涙がこぼれ、ボロボロと流れる。

 

「うぐ…!うう……!こんな事……したくなかっ…た…んだ……」

 

「うん……わかってるよ。来年こそは一緒に収穫祭を楽しもっ」

 

「うん……えぐっ…」

 

それを見ていたジュビアを抱えたエルフマンと回復したミラ、そしてカミナが見ていた。

 

「すげぇな、姉ちゃん」

 

「かなわないねぇ」

 

「………」

 

カミナは見ての優しさを見て、刀を握っていた手を見る。

手には刀を力を込めて握っていたのか少し跡が残っていた。

 

(俺は……何も変わっていないのか……)

 

カミナは容赦なくフリードを傷つけ、殺そうとしていた自分を思い出し苦しそうだった。

 

カミナVSフリード

勝者カミナ

 

ラクサスとエルザが戦っているカルディア大聖堂。

そこは今、不気味なほど静かになっていた。

ラクサスはそこでビックスローとフリードが戦いに敗れた知らせを見ていた。

 

「ビックスローとフリードもやられたのか。情けねぇ……だがカミナが参戦したのはいい事だ。なぁ、エルザ?」

 

ラクサスの背後ではボロボロになったエルザが倒れていた。

立ち上がろうとするが体に電気が走り、痺れて立ち上がれない

 

「ハァ……!ハァ……!くそっ…痺れて立ち上がれない!!」

 

「対雷の雷帝の鎧を着て戦ったのが間違いだったな。俺の雷はそんもんじゃ防げねぇ!!」

 

「ぐっ!!」

 

ラクサスはエルザのところまで歩み、背中を踏みつける。

 

「やはりお前は最強の座には相応しくねぇ……ここで退場だ」

 

「フッ……そんなことに固執するとはな……私にとってはどうでもいいことだ……」

 

「ハッ!皮肉か?今のお前に言われても何も感じねぇよ」

 

エルザは苦しそうにしながらも強気で言い返すがラクサスは鼻で笑う。

 

「ここで消えろ。エルザ」

 

ラクサスの手に雷が集まり、エルザに落とされようとした瞬間、閉じていたカルディア大聖堂の扉が開かれた。

それを見たラクサスは笑みを浮かべる。

 

「待ちわびたぜ……ハルト!!」

 

「ラクサス!!」

 

そこにはハルトが怒りの表情で立っていた。

 

 

ハルトたちはレビィのおかげでギルドから出ることができ、複数人で固まって移動するとフリードの術式にはまってしまうため、バラバラに移動していた。

そしてガジルはラクサスのところに向かわず、ある建物の屋根に乗って街を眺めていた。

 

「へ、サラマンダーにもいずれ雪辱を果たさなきゃならねえが、まずはあの増徴した雷兄さんを潰す。ずいぶんとやってくれたからなぁ。問題ねえよな、マスターイワン」

 

ガジルの肩に人型の紙がヒラリと現れる。

 

『今は仲間だと信頼を得る事が重要だ。気づかれるな、妖精の尻尾の一員として行動しろ。妖精の尻尾に〝罰〟を与えるのはまだ先だ』

 

紙から男の声が聞こえ、ガジルに指示を出す。

 

「了解」

 

ガジルは悪辣な笑みを浮かべた。

 

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