これでより良い方に物語を進められる。
そう思っていた。
転生者の存在が必ずしも良い方に進むとは限らない。
そして、転生者が全て良い方向に物語を進めようとは限らない。
俺たちはそこを失念していた。
原作開始とイレギュラーだそうですよ?
【女神アーテの報告書より抜粋】
ー以上22名が魔法少女リリカルなのはに転生したと思われる。
転生した先で特典を悪用しているのは11名。
現在いる転生者の中で彼らに対処できるのは1人のみ。
よって、転生者達を1度あそこに連れてくることにする。
sideアーテ
はぁと溜息を吐き準備を進める。
他の課でも転生させた人がいるらしい。
でも今回の場合は非常に不味い。
転生させた時間も時期も悪すぎるのです。
それにより大きな歪みができその結果『カシム』に重大な役割を押し付けてしまいましたし。
「それにしても、此方に敵対する意思を持っている人たちの特典。厄介ですね」
確かに私たちは転生者に特典を渡しますが多くの人正確に言えば10分の9の転生者たちはその特典の力を十全に引き出せません。
まぁ、稀に自分の特典の力を十全に引き出す人や
それにしても、多いですね。
今回の転生特典、ほとんどの人が型月作品を選んでいる。
行く世界がわかっていたからと言っても不思議ですね?
何故型月でしょうか?
チートなら他の作品でも多々あるのに。
はっ!?仕事仕事。
side智春
高町が今朝バスの中で不思議な夢を見たという話をしていた。
これは確か原作開始の合図……だった気がする。
最近はカシムも家にあまり帰らなくなってきている。
この原作?に関係があるのだろうか?
だが、今は原作だ。
隣にさりげなく座ってきた宮永君が声をかけてくる。
「夏目は原作介入派なのか?」
「何だよそういう派閥みたいなの?」
「知らないのか?今転生者の多くは派閥を作って情報の共有をしてるんだぜ」
「ヘェ〜」
最近、転生者と思われる人たちがコソコソとしてたのには気づいてたけどまさか派閥を作っていたなんて。
「夏目、一つだけ聞いておきたい」
「何だよ」
「お前の家の転生者は……最近人を殺したか?」
その言葉に僕は即答できなかった。
最近ニュースなどで取り上げられている殺人事件。
その方法が僕らの知ってるアニメにそって殺されているのだ。
「俺は今回の殺人事件は転生者のせいだと思ってる」
「だろうね」
「俺たち原作介入派には犯人はいなかった。なら他は踏み台組と夏目家、そして今だ行方がつかめていない転生者の誰かだ」
「……僕の家の居候が最近何処かに行ってる。でもこの殺人事件とは無関係だと断言できる」
そう言うと彼は一瞬目を鋭くさせた。
「根拠は?」
「彼ならあんな嬲る様な殺し方は絶対にしないから」
「……何だよ……それ」
この話は以上だねと言い彼は自分の席に向かっていった。
授業中僕はカシムのことを考えていた。
彼は自分の前世のことを一部を隠して僕らに言った。
その一部のところだけ彼の目は哀しみが深くなっていたから僕らも聞けないけど。
ってそれはともかくカシムは恐らくこの事件について調べてる。
それも僕らを巻き込まないようにしている。
宮永君の言う通りおそらくこれは転生者の仕業だ。
だけど、動機が見えない。
カシムなら、すぐに分かるのにな。
そんなこと、カシムに言ったら絶対。
「オレは
って言うんだろうな。
はぁ、早くカシム帰ってきてくれないかな。
もう、あんなゲテモノ食べたくないから。
sideカシム
「ここも、酷いな」
ツンと鼻に付く腐敗臭。
そして目の前には無数の穴が空いた管理局員の死体。
オレは死体を漁りながらアルに氷川に通信を繋げるように言った。
『……どっ、どうかしましたか!かっ、カシム君!!』
「落ち着け氷川。それに、今回のことはあまりお前に言いたくはないんだがな」
『……何が……あったのですか?』
「殺人事件だ。それも管理局員とリンカーコアを持ってる奴を狙った凶悪な」
そう言うと氷川は顔を真っ青にした。
『理由は……何でしょうか?』
「十中八九、転生者を殺すことだろうな連中の目的は」
『……何で、そんなことを』
「さぁな」
そういう風に氷川と通信していると目の前がぐにゃりと歪んだ気がした。
目を開けるとそこは転生した時と同じ場所だった……いや、正確には椅子の数が増えている。
そして真ん中にはあいも変わらず幼女もといアーテがいる。
何のために、オレをいやオレたちを呼んだんだ?
アーテの話をまとめるとこうだ。
最近の殺人事件は転生者によるもの。
この場にいる転生者は殺人事件に関わっていない。
殺人犯に注意してください。
まぁ、そうだろうな。
自分たちが転生させたのにすぐに殺されては余りにも、可哀想だ。
そして、皆が返されオレとアーテだけになった。
なるほど、アーテにとってはこっちが本命か。