転生者は何を思う   作:獣耳が大好きな新月

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原作前の少年たち
転生しても何も変わらないそうですよ?


転生した時期は親に捨てられてすぐらしい。

らしいというのも気づいたらこの薄暗い施設にいたからなのだが、前世と全く同じ境遇か。

どうにもオレはまともになれないらしい。

そして、この世界はオレの前いた世界とはまた違うらしい。

何故分かるかはここが『管理世界』と呼ばれる魔法文化(・・・・)のある世界だからだ。

だが、その世界においてオレは親に売られたらしい。

理由は知らない。知っても無駄だ。知ったところでオレの次の任務には関係無い。

今この世界において2つの勢力が戦争をしている。

1つはこの世界を形作った『アラン』2つ目はオレの参戦しているレジスタン組織『グレイル』だ。

戦争をしている理由は簡単だ。

この世界は4年前に大規模の次元振が起こりその結果この世界は無事だったがその日に産まれた新生児にとある特殊な物を持ってしまったのだ。

『古代ベルカの技術』『アルハザードの技術』『存在しない技術(ブラックテクノロジー)』などの技術(テクノロジー)

これらを持っている者達をこの世界では『ささやかれる者(ウィスパード)』と呼ばれている。

そして、アランの王族はこのウィスパードの持つ技術(テクノロジー)を利用しようとしている。

オレも一応このウィスパードだが、奴らに捕まる前にこのレジスタン組織に匿われたため無事だ。

だが、現在も奴らに連れ去られたウィスパードの行方は不明だ。

そして、これが最も大きいだろう。

圧政だ。

この世界の税は高すぎる。

そのため満足に食べる物など無い。だが、王族は裕福な暮らしをしている。

だからオレたちはこの世界を変えるために戦っている。

というのが上の考えだ。

そしてこの戦争を起こしたがオレたちは苦戦を強いられてきた。

まず一つ目、兵装の違いだ。

オレたちは管理世界でいう質量兵器を使うのに対して奴らは『魔法』を使ってくる。

オレたちが殺す気で奴らに撃っても『プロテクション』により防がれ逆にオレたちは魔法を防ぐ術がない。

2つ目は補給だ。

奴らの魔法は『リンカーコア』と呼ばれる器官を使い魔力素を取り込み魔力を生成する。

それに引き換えオレたちの質量兵器は消耗もすれば弾薬も減る。

ウィスパードの技術を使っているとしても用意するまでに時間がかかってしまう。

3つ目は単純に戦力の差だ。

オレたちのレジスタン組織にいる人数は4桁をいっているらしいが実際に戦うのはその100分の1もいない。

だが、敵は3桁の敵。

これでもこの組織が潰れないのはリーダーのアルツのおかげだ。

アルツの作戦をオレたちが成功させる。これにより敵の牽制も撃破もできる。

だが、ここにいる者の全ては何時も腹を空かせている。

「お兄ちゃん。お腹……減った」

「オレの分も食え、他の奴らにも渡せよ」

「うん」

オレの前まで来ていた少女に配給されたコッペパンをやる。

今もギリギリまで食費や食材を切り詰めている。

そう長くは持たないかもしれないな。

「カシム。ちょっといいか?」

「了解した」

アルツに呼ばれオレはアルツの元へ行く。

 

ミーティングルームに行くとそこには大の大人が3人、青年が4人いた。

ここにいる者全てが作戦を考える者たちだ。

「カシム。子供達はどうだった?」

「マシにはなったがまだ外に出れない者が多い」

「他は?」

「もうそろそろ食材が尽きるとミッテとサーナさんに言われた。後は整備班が予備の弾薬なども後がないと言っていた」

そう報告すると目の前にいる黒い男ーカルマが考えるような素振りを見せる。

「カシム。お前はあと何回でこの戦争に決着を付けるべきだと思う?」

「次の襲撃場所を変えてもいいなら後2回だなそれ以上は不可能だ」

「襲撃場所を変える!?何処にする気だよ!?」

カルマの近くにいるスナイパーの男ーパーシュタがオレにいってくる。

「今のオレたちに足りないのは怪我人の為の治療キット、弾薬などの物資そして、食料だ」

「そうだなぁ」

工具を担いでいる男ーおやっさんがオレの言葉に賛同する。

「そこで、ここの拠点を破棄、王都の近くにある城砦『アルン』を占拠。その後1時間後に王都を襲撃。これしかもう手はない」

そう言うとこの場に居るアルツとおやっさん以外がざわつき始める。

「それで?城砦を襲撃するのは誰がやるんだ?」

「オレとアルツ、後ゴースト小隊にするつもりだ」

オレはこの言葉に反論が無いことを確認してすぐに地図を広げた。

「オレたちは明朝02:00にこの道を通って襲撃。襲撃開始から5分後に同じところを通って(・・・・・・・・・)この城砦に進行する」

この言葉にさっきまで異を唱えていたものはオレが何をしたいのかを理解して作戦の細かな調整をしていく。

 

作戦決行の時間になった。

オレたちはあらかじめ決めていたルートを通って城砦に近づく。

今まで通り城砦の門番は遅くまで酒を飲んでいたらしく眠っている。

「ゴースト4より各位へ準備は良いか?」

『ゴースト1から3準備良し』

『ゴースト5からゴースト7、準備OKだ!!』

『ヘッドリーダー、準備OK』

全員の準備を確認してタイミングを計る。

「行くぞ!!散開(ブレイク)!!」

その合図で固まっていた全員が各々の持ち場に行く。

 

結果から言えば、オレたちはここを占拠する事に成功した。

だが、遊んでいる時間はない。

ここにある弾薬などを持てるだけ持つ。

アルツはアルツで王都の地図を探している。

「なぁ、カシム。お前はこれが終わったら如何する?」

アルツが突然言ってきた問いにオレは咄嗟に答えられなかった。

前世と同じだ。オレは戦い以外の物を知らない。

「俺はさ、この作戦が終わったらミッテに告白するんだ」

「告白かだが、ミッテとはな彼女は手強い。盗み食いを告白した瞬間鍋が飛んでくるぞ」

「そっちの告白じゃなくて!!そのさ、愛の、告白さ」

「そうか、愛の告白か」

「お前には……居ないのか?一緒にいたいと思える人は?」

「ここにいる家族全員だ」

そうオレが言うと「まだまだ若いなー」とアルツは馬鹿にしたようにいってくる。

「アルツ、死ぬなよ」

「お前こそな……カシム」

 

 

 

そして、出来るだけの武器を持ったオレたちは王都へと走った。

北へ北へ、一歩も足を止めることなく。

だが、この時のオレたちは知らなかった。

王都に待ち受ける地獄と、そしてウィスパードたちの未来を。

 

 

 

「王都についた。全員、これが最後だ!ロックンロール!!」

アルツの言葉で全員が各々の武器を持ち王都へと入っていく。

オレは他の人が敵の目を引きつけている間に王宮へと急ぐ。

この作戦の要はオレとアルツだ。

オレかアルツ。どちらかが王宮を占拠するそれが勝利条件だ。

「いたぞ!!レジスタンスだ!!」

目の前に王宮の兵士が現れるがその動きは素人のそれだ!!

「遅い!!」

通り過ぎる時に手榴弾(アップル)を落としていく。

走り去ると同時に爆音と悲鳴が聞こえてくる。

オレはそれに目もくれず真っ直ぐに前へ進む。

王宮に近づくとそこには見たこともない服を着た人達がいた。

「止まれ!!我々は次元管理局だ!!」

「……こちらゴースト4。次元管理局は敵だ」

『こちらヘッドリーダー。了解した。ゴースト4は任務を継続、王宮内部にいるとされるウィスパードの救出と制圧を遂行せよ……。』

「了解した。交信終了」

アルツから許可が出ると同時に肩に掛けていた散弾銃を次元管理局と名乗った男達に向けて発砲するが何時ものごとく無効化される。

だが、それでいい。

おかげで、隙ができた。

硬直した近くの男のデバイスを遠くへ蹴り飛ばし無防備になった男の胸を銃で撃ち抜く。

それと同時に来た魔力弾を殺した男を盾にすることで防御する。

「くっ!なんて卑劣な!!」

オレは腐った王のところに行きたい気持ちを抑え傍受した無線で聞いた場所に向かう。

 

着いた場所は、まさに地獄だった。

ありとあらゆるところに置いてある人間の脳(・・・・)目から光を無くした子供達。

そして、ウィスパードだと思われる解剖された死体。

はっきり言って

「吐き気がする」

この世界にも、これをやった奴にも、そして、これをやった奴に協力している次元管理局にも。

近くの死体が持っていたペンダントを見た時何故かこれを持っていかないとと思った。

そして、その周りにある資料も一通り目を通す。

恐らく、大人たちはこれを理解していないだろう。

この理論は巧妙に隠されているが所々に致命的な部分が欠けている。

そして、それが分かるのは恐らくウィスパードだけ。

更に奥に進むとそこにはポッドの中に入れられたウィスパードの少女がいた。

オレは苦しまないように殺そうとしたときーー彼女の目がオレを捉えた。

オレの目にはその子が前世でオレに名を与えてくれたあの子と重なる。

優しすぎる少女で、花が大好きで、よく笑う子だった。

笑顔を絶やさなくて、そんな少女をオレは助けられなかった(殺した)

オレは少女の頭に合わせていた銃口をポッドに向け発砲する。

 

『ヘッドリーダーよりゴースト4!!生きてるか』

「生きている。どうした?」

『彼奴ら俺たちを皆殺しにする気だ!!次元振動を意図的に引き起こす装置を開発しやがった!!』

「そうか、奴らはオレたちと共に死ぬ気か」

『何?どういう事だ!!カシム!!』

「あれは表向き自分たちは無事になるように作られているが実は発動した瞬間、この世界が丸ごと消えるようになっている」

そうオレが言うとアルツは息を飲んだ。

「アルツ、早く撤退……」

『……するわけ無いだろ!!だいーーーーー』

突如ノイズで通信機がおしゃかになった。

オレは苛立ちを隠せないまま上へと上がる。

 

 

 

オレたちは家族だ。

そう教えてくれた人がいた。

オレたちは仲間だ。

そう言ってくれた人がいた。

俺はあいつのことが好きなんだ。

そう笑いながら言っていた親友(アルツ)がいた。

私ねアルツと平和な場所で暮らすんだ。

そう夢を見ていた少女(ミッテ)がいた。

なのに、もう彼らの声を聞くことはない。

もう、あの暖かさを味わうこともない。

それでもオレは進まねばならなかった。

彼らが何を見たのかーー知るために。

 

 

 

「何だ?これは」

目の前には本当の地獄が広がっていた。

地は焼かれ、いろんな人の叫び声が聞こえてくる。

右を見ても、左を見ても紅が広がっている。

思わず背中に背負っていた少女を落とすところだったがしっかり掴む。

「……ぅ」

少女は小さく唸った後再び気持ちよく寝始めた。

「やぁやぁ、君はあの時攫い損ねたウィスパードか」

「腐った王」

「違う!!私の名はブーパール」

名乗りをあげると同時に奴はオレに向かって魔力弾を放った。

「っ!?」

間一髪で躱すことに成功するがその拍子に少女を落としてしまう。

「あぁ、このウィスパードは確か夜伽用に保存していた」

「……何?」

「だからーこいつは私のね。妾にしてやろうと思っていたのだよ」

「お前……ロリコン?とやらなのか?」

「違う!!」

腐った王がはぁはぁ、言いながらこちらに近づいてくる。

不味い。

直感に従い前に転がるとさっきまでいたところに槍が刺さっていた。

「おや、外したのかな?」

それから数分、奴とオレは殺し合いをしていると、あの少女が目を覚ました。

だが、その子の目は何も映していない。

いや、目は見えているがその子の目からは生気が無いのだ。

まるで、生きる屍。

「私の妾が目を覚ましたようだ。さらばだ、名も知れぬガキよ!!」

やられるのか。オレは。こんな奴に。

「ふざけるな!!」

殺されて……たまるか!!

TAROS(Transfer And Response ”Omni-Sphere")起動』

持って来たペンダントがその言葉と共に光を放つ。

『認証開始。声紋登録開始』

「ゴースト4、カシムだ」

『認証……終了』

するとペンダントの光が治り始める。

『適性魔法診断……完了。古代ベルカ式のみ適性あり』

オレの足元に三角形のアリスブルーの魔法陣が現れる。

『バリアジャケット展開』

オレの服も変わり始める。

黒を基調としたフードの付いたジャケット。

頭にはヘッドセットらしきものがつく。

それよりも気になるのはジャケットの所々にある銀色のパーツだろ。

『どうですか軍曹殿』

「問題ない」

「で、デバイスだと!!だがそれでも無駄だ!!」

特大の砲撃が来る。

防げない。いや、防がないと……死ぬ!!

見えない何かが砲撃を防いでいた。

『ラムダ・ドライバの起動を確認』

「ラムダ・ドライバ?」

『軍曹殿。今はそれより』

「分かっている!!」

デバイスを銃に変える。

足元にアリスブルーの魔法陣が現れる。

『ラムダ・ドライバを攻撃に転用』

銃口に見えない力場が集まる。

『ショット』

放たれた魔力弾は障壁をすり抜けて(・・・・・・・・)ブーパールを弾け飛ばした。

それを確認すると銀色のパーツからシリンダーが伸び、ジャケットのあらゆるところから煙が出てくる。

煙が出なくなってから、少女の元に向かう。

「大丈夫か?」

「……大……丈夫……です」

酷く怯えた様子でこちらに大丈夫と伝えてくる。

その時、この世界が揺れた。

「何が起こっている!!」

『次元振動装置の起動を確認。この世界が次元断層で無くなります』

「なんだと!!」

『ラムダ・ドライバを使えば助かる可能性はありますが』

「くっ。大丈夫だ!!何とかなる」

「……はい」

一か八かだが、賭ける価値はある。

そして、オレたちは世界が壊れると同時に、意識が途切れた。

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