sideカシム
八神たちと会ってから一週間が経った。
オレは八神家と夏目家の両方の居候になっている。
そして最近智春と美咲が変わった。
何でも原作とやらが近くなってきたから腕をあげたいんだそうだ。
後最近ミッドチルダに行ったカルテットからの情報だが最近とある犯罪組織が『ラムダ・ドライバ』搭載型のデバイスを使っているらしい。
だが、それはおかしい。
ラムダ・ドライバはオレたちウィスパードしか知らないはずの技術『ブラックテクノロジー』のはず。
なのにそれが他の人、それもウィスパードではない奴がその技術を知っているはずがない。
『どうかなさいましたか?軍曹殿』
「アル。お前はこの件をどう見る?」
『件のラムダ・ドライバ搭載型のデバイスのことでしょうか?』
「あぁ。これに対するお前の考えを聞きたい」
『恐らく、あの時の屑野郎がデバイスを量産、それを売っていたのでしょう。そうでなければ屑野郎たちがあれだけの実験設備を整えられるはずがありません』
「そうか。なら、オレはそいつらを倒せるか?」
『
「……そうか」
しばらく黙っているとアルが機能を停止した。
「アル?」
故障か?と思い再起動をさせると
『このデバイスが使われていてこのメッセージが再生されているということは君はラムダ・ドライバをいや、アーバレストを使いこなせていないということかな?』
「なっ!?」
いきなり、誰か、いや、この声からしてこのデバイス『アーバレスト』を作った奴の声なのだろう。
『確かに、今のアーバレストは不完全だ。だが、その不完全なデバイスも使用者によっては最強にもなる』
「ふざけるな!!この欠陥品が最強だと!!」
『見たこともない使用者。君が大切な物を見つけた時このアーバレストは最強になる。それを、忘れないように』
大切な物と聞いた時、胸がズキリと痛んだ。
『軍曹殿?何かありましたか?』
「何でも無い」
『そうですか』
再び無言になる1人と1機。
オレはあのメッセージを忘れようとしたが忘れられなくて頭の中にもやもやとしたものを感じながらオレは『今日の』居候先である夏目家へと足を運んだ。
夏目家に着いた頃にはもう日が沈み始めていた。
「どうしたのカシム?」
「何でも無い」
「そ……いや、ならいいや」
夏目家に入ってすぐ智春に会ってしまった。
智春は何の取り柄もない
智春はその容姿からは考えられないほど精神面が強い。
だけど、カルテット曰く「智春君は自己評価が低すぎて他人からの好意も勘違いで済ましてしまうんですよね」らしい。
この意味がオレには分からなかった。
リビングで2人の話を聞きながらニュースを見る。
そこには『集団行方不明』と映されている映像を見て違和感を感じた。
何故かそこに行かないといけないと思った。
「ーーって、聞いてるー?カシム君」
「すまない。全く聞いていなかった」
「だからさ〜、明日デパートに行こうよって話〜」
「了解した」
「うんうん。あっ!予定が空いてたら八神さん?だっけ連れてきてよ」
「了解した」
それだけ言うと美咲は自分の部屋に戻っていく。
「智春も来るのか?」
「僕はパス」
「そうか」
智春が席を立ち自分の部屋に向かう。
「なるほど。2人して洗い物を押し付けたか」
オレも溜まった洗い物を洗ってから自分の部屋?に向かう。
頭の中には未だにあの言葉が繰り返されている。
「そうか。八神はこないのか」
『うん。ごめんね』
「なら八神姉が来るだけか」
『そうなるね』
「それでは明日午前9時に八神姉の所に行く」
『楽しみに待ってるね』
八神姉との通話を終えてベッドに腰掛ける。
やはり、話し方といい雰囲気といいあの少女に似ていてやりにくい。
「大切なもの……か」
そう呟きながらオレの意識は薄れていった。
『本当にこれでいいの?ロニ』
『良いんだよマニ。こいつはこれで』
『そういえばさ、言い忘れてた。ありがとうねカシム。あいつを殺してくれて』
『僕からも言っておくよカシム。ありがと』
『それだけー?』
『分かったよ』
暗い部屋の中で誰かがささやいている。
これは『
いや、これはもはや違う。これは共振ではなく共有。
彼らの技術が俺の中に入ってくる。
『君に大切な……守りたい人が出来た時アーバレストは最強になる』
金髪の兄妹がオレに向かって言ってくる。
その言葉は奇しくも
『それを忘れないでね』
アーバレストの中に録音されていたメッセージと同じものだった。
さて、今のこの状況は何だろう?
方やオレと美咲を交互に見ている八神姉。
方や八神姉をじっくり見て幽霊でも見たかのような顔をしている美咲。
そしてそれを眺めているオレ。
「カシム君。紹介して」
「了解した。美咲、こっちが初の居候先の夏目家のトップ夏目美咲だ」
紹介したのだが、八神姉は何かを気に入らなかったらしく自分で自己紹介した。
「初め……まして……八神葵です」
「初め……まして……夏目美咲」
すると、2人して次の言葉は重なった。
「もしかして葵!!」
「もしかして美咲!!」
その後2人は意気投合したようで歩きながら転生してからの事を話し始めた。
デパートに着くと2人して服屋の方に行き始めた。
女子の買い物は長いと聞いてはいたがここまでとは。
思えば、彼女と街に行った時はこうだっただろうか?
前世に思いをはせていると突如2人に腕を掴まれ服屋の方に引きずられていく。
葵達曰く「せっかく素材はいいのにそんな服ばっか着ているのは勿体無い」……だそうだ。
だが、このフリフリの服は男用なのか?
一応動きやすいがそれでも目立ち過ぎる。
2人がさらにヒートアップして行きオレは試着室の前で待機しているとチリン……。チリン……。
「うん?」
周りを見るが鈴のようなものは無い。
空耳か?そう思っていると、何時の間にか近くに葵が来ていた。
その手に10着以上の服を持ちながら。
side美咲
「まさか、カシム君が言っていたもう一つの居候先が美咲のところだったなんて」
「うん。それは私も思った……っていうか〜葵〜何あの恋してますオーラ」
「な、なんのこと?」
おうおう、可愛いねぇーこの子はちょっと揶揄った程度でこんなに真っ赤になるなんて。
「そっ、それより早くカシム君に服を着てもらわないと」
そう言うや早足でカシムのもとに行った。
「恋かー。かぁ〜、早く私も恋がしたい」
そう言ってみるけど私の近くには男の子はいることはいるけど恋するほどの人はいない。
智春は……男以前の問題だし。
カシムは……どうなんだろ?
よく分かんないなカシムは。
でも、流石に親友が好きな人を取るのは……良くないよね。
仕方ない。カシムは諦める……か?ってあれ?何でこうなったんだっけ?
まぁ、良いや。
今はこれで。
sideカシム
途中から2人とも趣旨を忘れてオレの服を買っていた。
もうそろそろ止めとこうという話になり今は帰路についている。
「あっ、ここじゃない?あの集団行方不明があった場所」
「あれ?何か違和感が……ってカシム君!?」
何故かは分からないがここにきてから鈴の音が酷くなってきた。
まるでオレをここに誘っているかのように。
此処に入れるのか?そう思っていると足元に猫が寄ってきた。
「猫?」
「可愛いー」
「お前」
オレがそう言うと猫は何かの方に進んでいく。
ここを通れってことか?
オレは猫の先導のもと中に入っていく。
「あっ!?待ってよカシム」
「2人とも待って〜」
すると、何かを通り越してオレは、いやオレたちは何かの中に入ったが
「何だ……これ」
そこはまるで地獄のようなところだった。
オレたちが入ってきた場所には一面の紅があった。
それだけじゃない。
これは骨だ。
所々にあるのは砕かれた……人骨。
美咲達が顔を青くしていると
「おやおやぁ?何でこんな所に子供が?」
ふざけた声が聞こえた。
「今日は誰もさらっていないんだがな」
すると、男は何かを考えるようなそぶりを見せた後オレたちの目の前に
「まぁ、運が悪かったね!!」
魔法陣を出した。
「っ!?」
咄嗟に2人を抱え横に飛ぶ。
するとさっきまでいた場所が爆発した。
「おいおい。逃げるナヨォォォォォォ」
「走れ!!死ぬぞ!!」
美咲達の腕を引っ張り走る。
この状況、不味い!!
「……あっ!カルテットセットアップ!!」
美咲が戦闘態勢に入る。
だが、何だ?この嫌な予感は!!
「魔導師?まぁ、私の」
男がデバイスをナイフの形に変化させる。
「敵じゃ……ないけどナァァァァァァァ」
男が突き出したナイフは美咲が張ったプロテクションに当た……らずにそのまま
「美咲ちゃん!!」
「っ!?……え!?」
オレの右腕に刺さった。
「おいおい。なんだよ。何身体張っちゃってんの?正義の味方のつもりですかぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「…………で」
「アァァァン?」
「何で!」
男を蹴り無理やりナイフから自分の腕を外すとオレはセットアップしながらその男に言う!!
「何でお前がラムダ・ドライバをつかえる!!」
そう言うと男は笑いながらオレに言ってくる。
「クハハハハぁぁぁぉ。お前!!あの次元世界出身か!!」
「答えろ!!」
「なやこった!!」
魔力弾をオレたちに撃ちながら男は追ってくる。
対するオレたちはそれから逃げているだけ。
「そらそら!!そのデバイスにも有るんだロォォォォラムダ・ドライバガサァァァァァァァ」
「くそっ!」
さっきからラムダ・ドライバを使おうとしているが全く作動しない。
「ほらほらぁ、どうしたよぉぉ、さっさとつかえよぉぉぉぉ」
男がラムダ・ドライバで覆った魔力弾をオレに直撃するルートで撃ってくる。
くそっ!!!!
その時、バリアジャケットの銀色の部分から何かが伸びた音が聞こえた。
咄嗟に出した右手から不可視の障壁が張られ、男が撃った魔力弾を防いでいる。
「なんだなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」
「アル!!」
『ラムダ・ドライバ作動中』
これならやれる。
そう思った時、伸びてきたものが再び縮みバリアジャケットから蒸気が出てくる。
くそっ!!やっぱりか!!
「なんだなんだ?……もしかしてお前、そのラムダ・ドライバ、不安定なんじゃないのかぁ?」
くっ!!やはり気づくか!!
「そうかそうかぁぁ、なら今度こそ、さようならぁ!!」
死ぬのを覚悟した時男の背後から現れた魔力弾が男を吹き飛ばす。
「……こっち」
何時の間にか来ていた少女がオレの腕を掴み走る。
美咲達は?と思い周りを見ると白色のバリアジャケットを着た少女に連れられて移動していた。
そして、そのバリアジャケットを見てオレは眉を顰めた。
少女に連れられて移動したのはデパートだった。
そして、今そこではオレたちが少女に事情聴取と状況説明を受けている。
「ー以上ですけど……何か問題がありますか?」
「う、ううん。分かりやすい説明ありがと」
オレはその光景を見張りをしながら見ている。
やはり、ラムダ・ドライバ搭載型のデバイスを持った犯罪組織の一員だったか。
「……それで、貴方はどうなの?」
「何がだ?」
「……今の所、あいつと戦えるのは貴方だけだし、どうするの?」
「……オレは、出来ればあいつを倒したいと思っている。だが、あの時はラムダ・ドライバが偶々作動したから助かっただけだ。次は無いだろう」
「?なんで使えないの?」
「分からん。だがー」
オレは一呼吸入れてから隣にいる少女に言う。
「ートリガーを引いた時に確実に作動しないものは兵器ではない」
そう言うと少女は何かを考えた後オレに言い聞かせるように言った。
「多分だけど、君がラムダ・ドライバを使えないのは迷ってるからじゃないかな」
「?迷っている?何にだ?」
「君はそのデバイス……アーバレストだっけ?それを嫌悪してるその嫌悪が君の動きに迷いを見せてるんじゃないかな?」
「……」
オレはそれに、何も言えなかった。
確かにそうだ。
さっきのことや最近の訓練の時もそうだ、ラムダ・ドライバは作動しなかった。
オレはだからこそ嫌悪している。
「あの子に聞いたんだけど、デバイスは魔導師のパートナーなんだって」
「そうか」
それっきりこの少女との会話は終わった。
しばらくすると少女が再びオレに話しかけてきた。
「そういえば」
「何だ?」
「あなたの名前、何?」
いきなり、何を言いだすんだこいつは?
「カシム。性は無い」
そう言うと少女は驚いた顔をするがすぐに元に戻した。
「私は春日部耀。よろしく同類君」
「同類?」
「……君も、転生者だよね?」
「肯定だ」
「認めるんだね」
「問題はない」
そう言うと、少女ー春日部耀は再び外を見て急いで向こうへ行った。
オレもそちらに目を向けると、そこには同じようなバリアジャケットを着た5人の男がここを囲っていた。
しばらく様子を見ていると5人の男にあの管理局員がたった1人で向かっていった。
戦闘が開始してしばらく経つと今度は八神姉と美咲が後に続いていった。
「君は、行かないの?」
「あぁ」
「君の友達が死ぬかもしれないのに?」
「……あぁ」
「そっか」
そう言うと少女はオレの隣に座った。
「ねぇ、最後かもしれないから教えてよ」
「……何をだ?」
「君のこと」
春日部に前世のことを全て言っていく。
とある国で殺し屋として……暗殺者として育てられたこと。
大切な少女を殺してしまったこと。
そして、対テロ組織に入ったことなど。
短い時間だが、オレの時間はかなり時間が経ったような気がした。
「……そんな、前世だったんだ」
「肯定だ」
話していると、爆発音が遠くから聞こえた。
「もう、終わったのかな?」
「……そうだな」
ふとポケットに入れたままのアーバレストを手に取る。
「無様だな」
「そうだね」
アーバレストから送られてくる映像を見てそう言う。
隣に座っている春日部がオレの肩に頭を乗っけてくる。
「何か言いたそうだな」
「分かる?」
「あぁ」
じゃあ言うねと春日部は小声で言いそして、オレの腹を殴った。
「ガッカリした。神様が特典として選んだ人がこんなヤツだったなんて」
今度はさっきよりも力を入れ再び同じ場所を殴られた。
「無様だと思った」
「そうだな」
今度もさらに力を入れて同じ場所を春日部が殴ってくる。
「何より、」
1度言葉を区切り春日部はオレを蹴飛ばした。
そして、その後オレを抱きしめた。
「あなたが、普通の人間らしくて安心した」
「ぁっ」
春日部に抱きしめられどれだけたっただろう?
数秒程度だと思うがオレには永遠のように感じた。
「大丈夫だよ。君は人間なんだからそうなるのも仕方ない。でもねカシム」
それでも、貴方がやる事は有るでしょ?
そう言われてオレはアーバレストを握る力を強くする。
そうだ。昔のオレとは違う。
昔のオレのようにただ人を殺す機械ではない。
今のオレは彼女に教えられた人間らしさを身につけた。
外に出る前にもう一度春日部を見る。
春日部は何が何だか分からず頭をかたむけている。
「行ってくる」
「……うん。気をつけてね」
「セットアップ」
『
オレは春日部をもう一度見てから外に出た。
side?
私、氷川奏はこの状況をどうしようか、考えています。
つい
『ラムダ・ドライバ』原理は不明だが私たち魔導師にとっては天敵とも言えるものです。
私はそれを今、身を以て知っています。
葵さんや美咲さんのおかげでまだ生きていますけど、多分もう持たないでしょう。
「これで……終わりかーい管理局ぅぅ!!」
こっちの魔力はもう少ない。
正直に言ってもう、無理だ。
[葵さん、美咲さん逃げてください!!]
[奏ちゃん!!]
[もう無理です。今しか逃げられません!!]
[でもー]
[大丈夫です。奏は大丈夫ですから]
「お話しは済んだかなぁ?それではぁぁぁー」
リーダーらしき男のデバイスが私を捉える。
「ごきげんよおぉぉぉぉぉ」
痛みに備えて目を瞑るがいつまで経っても痛みはこなかった。
どうして?
[今誰がやったの?美咲さん?]
『違うよでも美味しいタイミングじゃない?』
『どうやらそのようだな』
声が聞こえてきた方を見るとそこには白が居た。
『
その姿は私たちを救いに来てくれた
『後は任せてくれ』
とても、カッコよかった。
sideカシム
「今作動したなアル」
『肯定です軍曹殿』
バリアジャケットのあらゆるところから煙が出てくる。
『ラムダ・ドライバが確実に作動しました』
「動いたり動かなかったりまったくアテにならない物だな」
『私もそう思います』
「お前はオレより冗談が上手いようだ」
『
「憎まれ口も……な」
敵の方を見るとねんわ?とやらをしながら慌てているのが分かる。
その間にアルが集めた戦闘データを見て状況を把握していく。
「オーバーSランクの魔導師が5人。さらにラムダ・ドライバ搭載型のデバイスを持っている。普通なら逃げ出すところだが」
『いいえ、行けます軍曹殿』
「そうだ」
その言葉と共にビルの上から飛び降りる。
あの時戦った男が俺に魔力弾を撃ってくる。
だがそれはオレの目の前に展開しているラムダ・ドライバの力場が防ぐ。
「まずは一人」
後ろに控えている男が目に入ったので狙う。
確かに奴らはラムダ・ドライバを持っているが、それでも今のオレにはそいつを倒すビジョンが浮かんでいる。
引き鉄を引いて放った
下で奴が息を呑んだのが分かる。
「この野郎!!」
飛んでくる魔力弾を力場を使って防ぐ。
「散れぇ!!」
奴の号令で待機していた魔導師が全員散開した。
そのうちの一人がオレに魔力弾を撃ってくる。
オレはそいつを誘き寄せるように目立つ場所を移動する。
そして、ついてきてるのを確認して細い糸を踏んで高く跳躍する。
「なんだと!!」
やろうとした男は出来ずそのまま地に倒れてしまう。
オレはそいつに照準を合わせ撃つ。
「2人!」
『接近警報』
アルの声で上を見ると奴が槍を振り下ろそうとしていた。
バリアジャケットの腰にあるポーチからナイフを取り出しぶつける。
その時に力場を出し奴を無理矢理吹き飛ばす。
それと同時に左手に持っていたアーバレストを後ろの敵に向ける。
避けようとするがオレが撃つ方が早い!!
『3人』
「先に言うな!!」
そして、先ほど吹き飛ばした奴を仕留めようとして移動していると横からもう1人いた敵がぶつかりオレを吹き飛ばす。がそれと同時に奴の身体に魔力で出来た糸を巻き地面に叩きつける。
「『4人!!』」
アルと声が揃えて撃墜数を言う。
奴は動揺しながら次の場所にって
「不味い!!」
急いで追いかけるとそこにはやはり先ほどの管理局員が奴に捕まっていた。
「来るな!!来るな来るな来るな!!こいつを殺すぞ!!」
管理局員のくせに顔色が悪い、それでも
「お前のラムダ・ドライバは不安定じゃなかったか!?何なんだ!!その強さは!!それに、何故自分の故郷を滅ぼした奴の味方をする!!貴様!!いったい何者なんだ!!」
この状況、下手をすればあいつも殺しかねない。
どうする?
そうだ、確か智春が言っていた技あれならば。
「オレが何者か…………知りたければ教えてやる」
そう言いながらオレは自分の右手に力場を集める。
「管理局だがなんだがどうでも良い!!」
「おいおい、こっちには人質が……」
力場が充分に集まったのを確認する。
そして、イメージも強固にしていく。
「オレは第3管理世界『ヤムスク』出身」
「もしもーし」
残りの魔力や散らばっている使用した魔力も右手に収束させる。
「元レジスタンス組織『グレイル』コールナンバーはゴースト4で」
「聞いてるー?こっちには人質が」
奴の言葉を聞き流しながらも一歩一歩確実に進んでいく。
「現八神家と夏目家の居候!!」
奴が乾いた笑いをする。
だが、それでも容赦はしない。
こいつを、この一撃で倒す!!
「ただのカシムだ!!」
振り下ろした右手を管理局員の前で止める。
すると、管理局員の後ろから極光が現れる。
極光の柱はそのままのぼり結界を破壊しながら空へと消えていく。
しばらくするとデバイスが完全に壊れたが気絶している奴がいた。
「やったね!!カシム」
「やったんだねカシム君!!」
「肯定だ。これよりゴースト4は……」
途中で言葉を区切ると2人してどうしたの?と聞きたそうにしていた。
「訂正。これよりゴースト4は次の任務へ移行する」
そう言いながら目的地へ向かうと後ろから「「なにそれーー!!」」という声が聞こえた。
目的地。というか隠れていた遊園地に向かうとやはりそこには春日部が寝ていた。
「春日部」
声をかけても反応が無く仕方なく春日部の頬をムニムニと触る。
すると、春日部は不機嫌そうに起きた後、起こしたのが俺と知るや否や抱きついた。
「……心配した」
「……心配かけた」
「……うん」
「……行こう、全員、待ってる」
「……分かった」
そこに春日部を連れてくると管理局員は春日部の姿を見るや「大丈夫だった?」と抱きつきながら言っていた。
その様子を見ながらオレはどうしようか悩んでいた。
先ほど聞いた話だともうすぐここに応援がくるらしい。
その応援は間違いなく管理局の連中だろう。
オレは帰ろうとした時、八神姉と美咲に手を掴まれ引き止められてしまう。
するとそんなオレの様子に気がつき赤髪はオレに近づいてきてお礼を言ってきた。
オレの持ってる管理局のイメージと違いすぎていて警戒するのが馬鹿らしくなってしまう。
なんで帰ろうとするんですか!って聞かれオレはつい反射的に
「オレは管理局が、嫌いだ」
と言ってしまった。
だが、それでも少女は諦めずオレに話しかける。
話を聞いて分かったのはこいつも転生者だが、オレたちとは違うやつの手により転生させられた奴であること、そして、中身も子供だということだ。
「あっ!?忘れてました奏は氷川奏といいます」
「……カシム」
「よろしくお願いしますカシムちゃん」
ピシッとこの場の空気が止まったと思った。
次々と再起動していく周りというか春日部まで「女の子だよね?」っていう顔をしているぞ。
「オレは男だ」
そう言うと赤髪ー氷川奏は顔を真っ赤にして
「すみません。男の子だと知らず……に……」
だんどんと氷川の顔が真っ青になっていきそして、急にリンゴのような真っ赤になった。
「ぷぎゃぁぁぁぁーーーーーーーーーーー」
いきなり近くで叫ばれオレはしばらく抑えるのを忘れていた右耳が痛みを訴え始めた。
周りを見れば全員耳を塞いでいる。
「ごめん。言い忘れてたけど奏は人見知りで男性恐怖症」
「春日部、言うのが遅い」
しばらくすると氷川が落ち着き始めた。
「ごっ、ごめんなさいカシム君」
「……大丈夫だ。問題ない」
その後も様々なことを聞かれ答えた。
しばらくすると氷川がデバイスで通信をとった後捕まえていた奴らを転送させていく。
「すみません。もうお別れのようです」
そう氷川が言うと八神姉と美咲は悲しそうな顔をした。
オレと春日部は何も変わっていないが。
氷川はご丁寧に1人1人お礼を言っていきオレのところに来た。
……春日部の背中に隠れながら。
「あの!カシム君も……ありがとうごしゃいました」
最後なのに氷川は思いっきり噛んだ。
そしてそれを話題に盛り上がる
「別に良い」
そう言うとホッとしたような残念そうなよくわからない表情をしてくる。
「あの!!奏と良かったら……連絡先……交換してくれませんか」
「別に良い。アル送ってやれ」
しばらくすると氷川のデバイスが光り氷川の表情が眩しいぐらいに輝く。
「ありがとうございます。あの……また、会えますか?」
「オレは管理局員には会いたくない」
そう言うと目に見えて落ち込み始めた。
「そう……ですよね……やっぱり奏なんかとは……話したく……無いですよね」
何となくだが春日部たちに鋭い目で見られる。
?こいつらは何を勘違いしているんだ?
『軍曹殿。言葉が足りません』
「そうか。訂正する。オレは管理局員としての氷川奏ではなく普通の氷川奏に会いたいと言ったんだ」
そう言うと氷川は顔を真っ赤にして固まった。
春日部たちが再起動させようとしているが何かおかしかっただろうか?
『軍曹殿は鈍感なのですね』
「鈍感?殺気には敏感だと自負しているが」
『いえ、そういう意味ではありません』
結局、この後氷川が再起動すると顔を真っ赤にしながら転移魔法を使って帰っていった。
「あのさ、カシム」
「どうした?春日部?」
「私もカシムと同じように居候しても……良いかな?」
やった!!
やっと一万文字入ったぜひゃっはー。
というわけで次回予告。
カシム「春日部という新たに加わった居候」
美咲「そして最近カシムが何やらやっているもよう」
耀「……そんなことより……お腹空いた」
葵「次回『転生者たちの日常』」
智春「原作開始まであと少し……果たして作者はそれまでに原作を何回見るのかお楽しみに〜」