<2017年/????>
藤丸立香
南極大陸/人理継続保障機関フィニス・カルデア
ゲーティアによる人理焼却は多大な被害を出しながらも人類最後のマスター、藤丸立香と彼が率いる太古の英雄の現身たる英霊らの奮闘によって阻止された。
――その筈だったのだ。
「これは……一体何が起きているというんだ!?」
「世界中で戦争が起きている……そんな、何で急に!」
世界中が燃えていた。
北米で、中東で、ヨーロッパで、アフリカで、アジアで。
「これは最早国同士の全面戦争――
幾らなんでも異常だ。世界全土でこうも同時に、しかもここまで大規模な
だがどうしてだ、ここまでの異常事態なのに魔術的な要素も痕跡も
英霊でもない。魔獣でもない。魔神でもない。魔術師も死徒も関係ない。
国を、世界の大半を占める普通の人間達が、一欠けらも人外の技が使われていない科学の産物によって殺し合いを繰り広げていた。
「どうにか傍受できた外部の通信やデータベースを分析した結果、現在カルデアの外の世界がどうなっているのか僅かながら把握する事が出来た」
中東某国ならびにワシントン上空で2度の核爆発。
ヨーロッパの複数の大都市で化学兵器テロが発生。魔術協会の本拠地たる時計塔が存在するロンドンも広範囲が汚染され連絡不能に。
北米大陸の東海岸とヨーロッパの大部分がロシア軍によって占領され、米軍とNATOの残存勢力が共同戦線を張って対抗するも、奪還の目途は立っていない。
アメリカとヨーロッパの空を赤い星の
中東では反欧米主義者による軍事クーデターを発端に独裁国家が誕生。核武装すら達成した独裁者は周辺の国々を侵略しつつあった。
様々な民族と国々が入り乱れるアフリカでは武装勢力の活動が過激化し民族浄化……少数民族や異教徒の虐殺が続発。豊かな自然と資源に恵まれた大地は屍山血河と化した。
アジアの地でもロシアの突然の暴挙に触発されたのか、2015年の人理焼却以前から急速に軍事力を強化していた中国とその支援を受けた北朝鮮も大規模な軍事行動を起こし、朝鮮半島と日本列島もまた数十年ぶりの戦火に襲われている。
どの土地も後に残るは完膚なきまでに破壊されたかつての都と名も罪も無き人々の躯の山のみ――
「隠していてもしょうがないから正直に教えよう。この事態に対応可能な組織力を持つ国連や各国の関係組織、魔術教会や聖堂教会といった魔術関連の組織のいずれとも連絡が取れない。
――そう、またなんだ。このカルデアは現在この世界のあらゆる組織から孤立した状態にあるといっていい」
「そうですか――でも、だからといって」
「そう、
カルデアが孤立するのは初めてではない。世界崩壊規模の変異も何度となく遭遇し――そして解決してきた。
第3次世界大戦? 世界中が戦場に? 外部の支援は何1つなし?
だからといって惨状を前に何もせずに黙って見ている理由になりはしない。
この程度で諦め、絶望し、立ち止まってたまるものか。でなければ世界を人理焼却から救えはしなかっただろう。
「この所長代行であるダ・ヴィンチちゃんの権限と独断で地下炉心を再稼働させたからレイシフトする為の魔力はとっくに確保済みさ! 協会との連絡も繋がらないんだから勝手にやらせてもらったよ!」
「今回の場合はセイレムの時と同じ、同時代へのレイシフトという事になるのでしょうか」
「そうなるね。だけど今回はセイレムの時以上に大規模かつ危険な事態だ。誰が敵で誰が味方なのかもさっぱり見当がつかないし、相対する被害者の数も桁違いになるだろう。
……気を付けてくれよ立香くん。今回も念の為サポートとしてマシュにも同行してもらう。2人とも無事に帰ってきて欲しい」
「分かっていますよ。絶対にこの異変を解決してみせます!」
「頑張りましょう、先輩!」
そして人類最後のマスターとかつて彼のサーヴァントだった少女は再びレイシフトへ挑む。
――だが。
彼らは知らなかった。
科学の炎に覆われた世界は、魔の理を受け入れないという現実を。
「システム・フェイト発動不能……!?」
「先輩、これではサーヴァントの皆さんを召喚する事が出来ません!」
此の戦いは
一切の魔道が介在しない
英雄無き
――故に。
世界を救おうと足掻く少年と少女の助けとなるのは、
「エミヤ!? でもカルデアに居るエミヤとは少し違う気が……」
「ふむ。私の記憶が正しければ君とは初対面の筈なのだが、何処かで会ったかね?」
例えば。
故郷を奪われた人々の命をも狙う武装勢力から彼らを守るべく孤軍奮闘する、未来の守護者の生前たる黒弓の弓兵。
「大変です先輩、あのキアラさんが普通の格好をしています!」
「あのう、初対面の方にいきなりそのような事を言われる記憶も筋合いもないと思うのですが」
例えば。
戦火によって大切な存在を失った人々へ無償の愛と癒しを注ぐ、人類悪の獣としての素質を秘めた聖女。
「こんな戦場のど真ん中で日本人の団体さん、しかも子供まで一緒ってのは珍しいねぇ」
「貴方もエミヤさんと同じ義勇軍の方でしょうか?」
「そんな大層なもんでもないさ……俺はたまたま生き残ってしまっただけの、ただの死に損ないだよ」
そして。
世界の裏側で暗闘を繰り広げながら、たった1人の標的を
「ローチ、ゴースト、ソープ、ユーリ、プライス、ニコライ――皆死んじまった」
「あの日、ホテル・オアシスでマカロフを殺す最後のチャンスだったのに俺達が失敗した結果がご覧の有様だ」
「マカロフは元の力を取り戻したどころか、より一層権力を拡大し、第3次大戦をやり直して――今度は成功させやがった。今こうして世界中が戦場になっちまったのは、俺が
「……それでも」
「……」
「生きてる限り、まだチャンスは残っていると俺は信じています」
「――っ、ああ、そうだな」
「生きてる限り戦い続ける。爺さん達もきっとそうしただろうさ」
* *
* + うそです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
Y Y *
世界設定:一言で言うとマカロフ生存ルート。
最大の元凶の排除に失敗した事で狂犬は組織を立て直し、未だ不安定な世界情勢の間隙を突いて今度こそ核を含めたロシア軍の掌握に成功。
繋がりのあるアフリカ・中東の武装集団も扇動し終結した筈のWW3を再開させる――今度こそ完全に世界を炎で染める為に。
この世界のエミヤ:本来なら現時点でどこかの国で投獄からの処刑ルートに入っていた…
が、MW世界では中東での核爆発を筆頭にマカロフが戦争の火種バラまきまくった結果、エミヤの保護対象になる難民や突発的な武装勢力の襲撃が続発したせいで逆に貴重な戦力として処刑を免れた模様。
この世界のキアラ:FGO時空同様治療を受けて実家の呪縛から解放されている。
本来は人々を次々救済していく間に既得権益目当ての団体に目を付けられ、最終的にセラフィックスへと流される運命だった…
しかしエミヤ同様マカロフの暗躍による世界情勢の悪化により戦争被害者が一気に増加。
そんな彼ら相手にキアラがハッスルしている間にWW3勃発で団体側もキアラどころじゃなくなった結果、2017年時点でも紛争地帯にて(非性的な意味での)救済を続けている模様。
弱者保護という共通点でエミヤとは友好関係にある。デミヤ憤死待ったなし。
この世界の伊丹:第1部『終結に至る死闘』でラストの決着に参加できずマカロフ殺害に失敗。
結果、プライス・ユーリは死亡。ニコライも後日マカロフの刺客に殺害され、文字通りTF141最後の生存者となった。
こんな特異点が誕生した原因:こまけえ事はいいんだよ!(AA略
こんなネタを書いた理由:ITAMI鯖化ネタなんて感想が飛んで来たんでついカッとなって書いた。反省は(ry