GATE:Modern Warfare   作:ゼミル

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8:Ignition/ハートに火をつけて

 

 

<15日前/13:27>

 パルナ

 ファルマート大陸・アルヌスの丘上空

 

 

 

 

 

 

 人生何が起こるか分からないものだ、と片耳のウサミミ女ことパルナはしみじみ思う。

 

 ほんの1日半前まではベッサーラの愛人に納まって自堕落な淫欲の日々を過ごしていたというのに、荒くれ者の親玉だったベッサーラは何もかも奪われた負け犬としてほうほうの体で逃げ出し。

 

 自分はといえば、ベッサーラを潰した連中の嬲り者にされるどころか、彼らジエイタイに(彼女基準では)馬鹿丁寧な扱いの下、どういう原理で飛んでいるのかさっぱり分からない巨大な鋼鉄の蜂(CH-47輸送ヘリ)に乗って空を飛んでいる。

 

 飛竜に跨った竜騎兵が空を舞っている姿ならパルナも何度か目撃している。

 

 しかし見聞きだけするのと実際に体験するのは全くの別物だ。初めて味わう尻から見えない手に押し上げられるような浮遊感に、年甲斐もなく下の方が危うく緩みかけたのは彼女だけの秘密である。

 

 鋼鉄の蜂の中はこれまた初めて耳にする轟音が随時響き続けているせいで非常に喧しかったが、空を飛ぶという体験そのものにパルナは心囚われて殆ど気にしなかった。

 

 半ば夢心地に揺られていると、おもむろに目的地が見えてきた事を知らせる声が機内に響く。

 

 日本語だったがどことなくニュアンスでパルナにも意味が理解出来た。

 

 

「アレがアルヌスの丘……」

 

 

 ヘリの窓から見える風景も、またパルナの知る現実からかけ離れていた。

 

 アルヌスの丘は何もないだだっ広いだけの小高い野原だった筈だが、今や丘は石材とも木材とも違う、灰色の建材(コンクリート)によって構築された建造物群が随所に並び、防壁に囲まれた上で六芒星を描いている。

 

 六芒星の外側には小さな街が見える。こちらはパルナのよく知る特地の建築物が立ち並んでいた。

 

 高所からでは具体的な種族までは判別出来ないものの、街の中には獣耳やら尻尾やら複数の手足を持つ人影が見えた。もしかすると自分の同族も何人かはあの中で暮らしているのでは――

 

 

『帰れるんだ……』

 

 

 頭上で唸り声を上げるターボシャフトエンジン、その轟音の合間に女の呟きを耳が拾う。

 

 声の方へ顔を向けると、パルナと同じ自衛隊に保護されたお客様がその目に涙を浮かべているのが見て取れた。

 

 パルナと違い、その黒髪の女は獣耳も尻尾も生やしていない。彼女は同乗している自衛隊員らと同じ日本人、つまり異世界人だ。

 

 女の顔や手にはガーゼや包帯。悪所街でよく見かけた薬物中毒者や物乞いほどではないがやつれ、疲れ果てている。それらの要素も相まって薄幸な雰囲気が黒髪の女から醸し出されていた。

 

 一旦悪所街の自衛隊事務所を出て行った伊丹達が黒髪の女を連れて戻ってきたのが、深夜突如発生した地揺れがようやく収まって少ししてからの事。

 

 彼女に対し自衛隊員らは、妙に丁寧というか、過剰に気遣う様子で接しているようにパルナの目に映った。

 

 女も女で事あるごとに感極まって涙を流している。

 

 それは過酷な現実に打ちのめされたヒトが思わぬ場所で同胞に出会い、助けられた事への歓喜の涙。悪所街でも極稀に同じような光景をパルナも見た経験がある。

 

 異質な軍事施設と化しているアルヌスの丘を、まるで何十年も帰っていなかった念願の故郷へ帰り着いた旅人のように喜びの涙を流す黒髪の女に興味を惹かれたパルナは、遂に意を決して声をかけた。

 

 

「ねぇアンタ」

 

「えっ。あっ、私ですか?」

 

 

 感涙から不意を突かれた黒髪の女は慌てて涙を拭う。

 

 

「さっきから泣いてばかりだけど、どうしてそこまで泣いてるの?」

 

「……やっと、家に帰れるんだと思って。それでつい」

 

「アンタはジエイタイの人間じゃないの?」

 

「ううん。同じ日本人ではあるけど、私は彼らみたいな自衛隊員じゃないの」

 

「同じ国の人間だけど兵隊じゃないって事?」

 

「そう……裕樹と、恋人と過ごしてたら突然攫われて、気がついたらこの世界にいて、そのまま奴隷に……」

 

 

 聞き飽きるほどよく耳にする不幸話。

 

 悪徳と混沌の掃き溜めみたいな悪所街でなくとも、辺境では奴隷狩りなど珍しくない。ヴォーリアバニーの国もそうして滅んだのだから。

 

 

「まぁ命があるだけめっけもんだったんじゃないの? こうして助けて貰えた上に、故郷まで送り届けて貰えるんだから」

 

 

 パルナの故郷は既に滅ぼされてしまったのだが、そこまでは言わない。

 

 

「そう、よね。裕樹や、他に攫われた人達も、無事に助けて貰えればいいんですけど」

 

「ところでアンタを悪所で見かけた覚えはないけど、どこの悪党から助け出してもらったの? ゴンゾーリ? メデュサ? それともパラマウンテ?」

 

 

 ベッサーラを除く悪所街の顔役の名を出す。女もまた奴隷として買われた後に自衛隊に保護されるという、己と似たような境遇(パルナの場合は半ば自発的にだが)故に、黒髪の女も悪所街に居たのだと早合点してしまうパルナである。

 

 黒髪の女はしかし首を横に振ってから、少しの沈黙の後ボソリと言った。

 

 

「この国の皇子」

 

「……もう一回言ってくれる?」

 

「ゾルザルという名前の、この国の皇子に飼われてたわ」

 

 

 聞き覚えのある名前である。

 

 それどころかパルナには忘れられない名前であった。3年前にヴォーリアバニーの国へ攻め入り、奴隷か死かの2択を強制させた上に最終的に国を滅ぼした、帝国軍を率いていた張本人。

 

 ファルマート大陸を支配する帝国の次期後継者である第1皇子その人だ。

 

 

「そいつをあの人が殴り倒して私を助けてくれたの」

 

 

 黒髪の女が指差した先には、あの夜ほんの数人の兵を率いてベッサーラ邸を制圧し、屋敷の主を尋問した張本人の指揮官。

 

 

『あ~~~~……司令部に行きたくねぇ。確実に柳田の野郎にどやされる……』

 

『いやいや、帝国皇帝の目の前で宮殿の人間血祭りに挙げた上に皇太子まで拷問しちゃうとか、絶対どやされるどころじゃないでしょ隊長』

 

『国際問題通り越して宣戦布告クラスじゃないですかね……』

 

『本当隊長って話題の提供に事欠きませんよねぇ。皇太子だってぶん殴ってみせらぁ。でも飛行機だけはカンベンな!』

 

『誰が飛行機嫌いのメカニックだっつーんだこの』

 

『イテッ。暴力はんたーい!』

 

 

 当人はといえば、座席で文字通り頭を抱えていたかと思うと、次の瞬間には部下達とワイワイじゃれあっている。

 

 伊丹のその姿は、初めて出会った夜に見せた悪所街の顔役相手でも容赦なく牙を剥く豪胆さ、冷徹に拷問まがいの尋問を行う冷徹さなど微塵も感じさせない、和気藹々とした雰囲気を漂わせる。

 

 だが黒髪の女が嘘を言っている気配もない。間違いなく真実を言っているのであろう。

 

 それにしても、よりにもよって帝国の皇太子である。

 

 パルナも部族の女戦士として帝国兵と血みどろの激戦を繰り広げていた頃は、何時かその首を刃で刈り取ってやると血気に逸ったものだ。

 

 若さゆえの勇敢さも(いや女としてはまだまだ若いつもりだが)、敗残兵としての苦境と故郷を滅ぼした帝国の強大さに打ちのめされてからは失われた。

 

 でも、

 

 

(コイツら、いいや彼ら(・・)ならもしかして)

 

 

 部族の、故郷の敵を討ってくれるかもしれない。

 

 そんな想像に、強い男に媚を売って生き延びてきたパルナの魂は震えた。

 

 震えは摩擦を生み出し、摩擦が熱に転じる。蓄えられた熱はやがて発火点を超える。

 

 戦士としての己を動かす炎がパルナの中で再び点るまでどれだけの時間が費やされるかは分からない。

 

 

 

 

 しかしこの瞬間、燃え尽きたパルナの魂へ新たな燃料が確かに投じられたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<15日前/13:40>

 伊丹耀司 第3偵察隊・二等陸尉/タスクフォース141・サバイバー

 ファルマート大陸・アルヌスの丘/自衛隊駐屯地

 

 

 

 

 

 

 深部偵察部隊として集めた特地由来の様々なサンプルや帝都で保護したパルナと紀子をヘリから降ろし、それぞれに相応しい施設へ運ぶ為の作業を監督していた伊丹は、不意に粘っこい気配の接近を感じた。

 

 ヘリポートには大型ヘリのローター音が盛大に轟き、富田や栗林ら第3偵察隊が往ったり来たりと騒々しい。

 

 それでも逃げ足の早さという才能の副産物か、はたまた海外での度重なる実戦経験で培われたものか、自然と伊丹はイヤ~な気配をいち早く察知する能力も備えていた。

 

 気配の主の方へ振り返れば、恨みがましい顔をした柳田の姿。

 

 

「伊丹よぉ、お前さんまたまたやらかしてくれやがったそうじゃないか」

 

「いやぁやっちゃいましたねぇ」

 

 

 やり過ぎた事は反省しているが行いそのものは決して後悔していない。兵士としてすべき事をしたまでだ。

 

 そんな伊丹の内心を読み取ったのか、柳田は口元を不快気にひん曲げると被っていた野球帽をむしり取り、整髪料で撫でつけた頭を手荒く掻き毟った。

 

 

「ふん、お前は何時もそうだ。最初の偵察任務の時も、イタリカの時も、参考人招致の時も派手なトラブルを起こしときながらポカを補って余りある功績も一緒に持ち帰りやがる。

 今回も拉致被害者の救出っていう手柄つきだからな。狭間陸将らも罰したものか、賞したものか、はっきり言って困ってる最中だ」

 

「狭間陸将には迷惑かけっぱなしで頭上がんないねぇ」

 

「それ以上に迷惑かけられてるのは俺の方だがな!」

 

「で、柳田さんは俺に文句言いにわざわざ出迎えに来たわけ?」

 

「ふんっ。そうしてやりたいのは山々だが、それ以上にまずお前に伝えておくべき事がある。お前が保護した拉致被害者の事についてだ」

 

 

 そうして柳田から告げられたのは、紀子の家族と誰とも連絡が取れない事。

 

 銀座にて一家総出で彼女の捜索を求めるビラを銀座で配っていた事が目撃されていた事――『銀座事件』が起きた当日にも。

 

 幕僚らは最悪の現実を紀子に知らせるにはまだ早いと判断し、彼女を保護した伊丹達にも釘を刺しに来たのが柳田が出迎えに現れた理由であった。

 

 銀座で数多くの人々の救出と避難に貢献したと褒め称えられてきた伊丹であるが、決して全ての人を救えた訳ではない。目の前で『門』から現れた異形の軍勢に年齢性別問わず命を奪われる瞬間に出くわしている。

 

 今更その事で打ちひしがれるほど伊丹の精神は脆くない。誰かの死には慣れてしまった。

 

 とはいえ複雑な心境を抱いてしまう事までは避けられない。それは同時に、伊丹の人間性が決定的なラインを越えずに済んでいた事の証でもあった。

 

 他にも話したい事があるので後でアルヌスの街で飲もうと一方的に告げると、柳田はその場から立ち去る。

 

 取り残された伊丹は、紀子の付き添いで診療施設へ向かった栗林と黒川の分の荷物が放置されている事に気付くと代わりに持って行ってやる事にした。

 

 病棟の入り口を潜る。するとナースセンターの前に、数日ぶりに見かける異国の戦友の姿があったので反射的に声をかけた。

 

 

「ユーリじゃないか。こんな所に顔出して、どうしたんだ?」

 

「ああイタミ。それが希望者の隊員と一緒にキルハウスで屋内戦闘の訓練をやってたんだが、それで怪我人が出ちまってな」

 

「オイオイ、まさか仲間か人質役を撃っちまったんじゃないだろうな」

 

 

 人質救出を想定した訓練でダミー人形ではなくわざわざ人質役に同僚の隊員を使うというやり方は、特殊部隊では然程珍しくない。勿論実弾を使用しての危険な演習である。

 

 人質役の隊員は仲間を信頼してその身を委ねなければならないが、何事にも不測のトラブルはつきものだ。

 

 

「いやそこまで大事じゃないさ。ツーマンセルで室内を掃討していた時に後続が空薬莢を踏んづけてな、足を取られて転んだ先が運悪く下に向かう階段だった。

 転げ落ちた隊員は脳震盪を起こしてここに運ばれてな。その時監督をしていたのが俺だったから、気になって容態を聞きに来て、特に異常は無かったそうだから今帰るところだ」

 

「ご苦労さん、大した事なくて良かったじゃないの」

 

「全くだ。訓練は血を流さない実戦なんて言うが、危うく血が流れるところだったよ……イタミこそこんな所でどうしたんだ」

 

「部下の荷物を持って来てやったんだ。何たって俺は面倒見の良い上官だからな」

 

 

 ユーリも立派な戦友であるが属する国家が違う。

 

 流石の伊丹も今回ばかりは馬鹿正直に教えず、拉致被害者の件ははぐらかした。

 

 遅かれ早かれユーリら他国の駐在武官、日本以外の『門』の向こうの国々にも拉致被害者の存在は伝えられるだろうが、これ以上柳田に説教のネタを与えたくない。

 

 

「ああそうだ、今夜暇か? 奢るから後で街の方へ飲みに行こうぜ。爺さんとニコライも誘ってさ」

 

「それは構わないが……またこないだみたいに飲んでる最中にトラブルは起こさないでくれよ」

 

「あの件に関しては俺は被害者だって」

 

 

 自分の無実を強調しながら伊丹はユーリと別れ、受付の看護師に教えてもらった病室へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 1日の課業の終わりを告げるラッパの時間が過ぎれば、各々の仕事を片付け終えた自衛官達に待っているのは翌朝の起床ラッパまでの自由時間だ。

 

 日中に帰還したばかりの第3偵察隊も例外ではなく、柳田に呼び出されていた伊丹はふと思い立って部下達もアルヌスの街へ連れていく事にした。柳田の金で飲み食いさせようという魂胆だ。

 

 先に誘っておいたユーリら外国勢も含め、総勢15名ガヤガヤと押し掛けた伊丹ら第3偵察隊+αを目の当たりにした柳田は口元を盛大に引き攣らせたが、伊丹の方は知らんぷりである。

 

 そして始まる飲み会。伊丹の部下達の興味はやはり第3次大戦を終結へ導いたプライスらへと集中する。

 

 

「さぁさぁ飲んで下さいよぉ何たって今日は柳田二尉の奢りなんですから!」

 

「イイねぇ、戦友と飲む奢りの酒は格別だ!」

 

「おおっ良い飲みっぷり! ウェイトレスさーん生おかわりお願ーい!」

 

 

 楽し気に酒を煽る仲間達を横目に、テーブルの端の方に陣取った伊丹と柳田は合間合間に杯の中身で喉を湿らせつつ情報交換を行う。

 

 帝都で起きたアレコレについて伊丹が語り終えると、今度は柳田が伊丹の不在中の出来事を語り出す。

 

 

「第3偵察隊が帝都での任務に就く前、丁度この店で飲んでたお前とお客さんに絡んできた相手を覚えてるか?」

 

「ああ、爺さんにのされたダークエルフな」

 

「そのダークエルフなんだが、実は彼女、俺達自衛隊に会いにアルヌスに訪れた使者だったんだ。ドラゴンを撃退した緑の人、その指揮官に頼みがあるという触れ込みでな」

 

 

 ヤオ・ハー・デュッシと名乗るそのダークエルフは、一族の住処に出没する隻眼隻腕の炎龍を退治して貰うべく自衛隊に協力を要請。

 

 だが狭間ら幕僚はその要請を拒否。国を跨いだ作戦となる為、通過途中の国々の協力が得られない限り部隊を越境させる訳にはいかないというのが狭間らの言い分だ。

 

 TF141時代に散々その手の越境行為どころか非合法なアレコレを一通り経験した伊丹としては「はぁそれが?」てなもんだが、同時に司令部の決定に安堵していた。

 

 海外や箱根で幾度もその身1つで戦闘ヘリで立ち向かい、尚且つ炎龍とも直接対決した伊丹だからこそ、炎龍の方が並大抵の航空兵器よりよっぽど強敵であるとその恐ろしさを実感していたのだから。

 

 故に。

 

 

「お前、偵察に行ってみないか? 気が着いたら国境を越えてました、ドラゴンと出くわしましたのでやっつけちゃいましたって事になっても別に問題は――」

 

 

 

 

 

柳田さん(・・・・)

 

 

 

 

 

 語りを最後まで聞かず、伊丹がした事はただ柳田の名前を読んだだけだ。

 

 それだけだったにもかかわらず、名前を呼ばれた瞬間柳田は強烈な寒気にも似た電流に脳天を貫かれ、額と背中に大量の冷たい汗がブワッと滲むのを感じた。

 

 

「こっちが納得出来るだけの正当性と命を預けるに相応しいだけの支援を受けられるってんなら命令には従うさ。

 だがな、どちらも欠けた上で単なる思い付きだけで俺の部下の命まで危険に晒そうっていうんなら……俺にも考えがあるぞ(・・・・・・・・・)

 

 

 その気配は幾多の命をその手に掛けてきた者にしか出せない冷たさを帯びていた。

 

 その表情は数々の仲間の死を目の当たりにしてきた者にしか出せない昏さが滲んでいた。

 

 世界を救った英雄ではなく、数え切れない敵を屠った死神としての側面を、柳田は伊丹の顔に、佇まいから垣間見た。

 

 柳田は己の発言を後悔した。何時も自分から絡んでは嫌味や小言紛いのアドバイスをしてやっていた目の前の男が、戦場では何人殺したか分からない程の殺戮者であると知識としては知っていても、正しい意味で実感したのはたった今この瞬間が初めてだったのだ。

 

 それでも伝えなければならない事がある。唾を飲み込み、せめて声だけは震えさせまいと下っ腹に力を篭め、急激に重くなった口を改めて開く。

 

 

「今の発言についちゃ謝るよ……だがな伊丹。遅かれ早かれお前は、多分自分独りだけでも行く事になるだろう」

 

「どういう意味だ」

 

「形式は整えてやるからその時は俺に言え――金髪エルフの女の子の所に行ってみな」

 

 

 

 

 言い終えるや柳田は逃げ出すようにしてその場から立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『君の魂の中にある英雄を放棄してはならぬ』 ――ニーチェ

 

 

 




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