Ⅱ提督が間に合う→Ⅱ沈む夕日。R-99とニブルヘルムは温存される。
Ⅱ提督が間に合わない(or存在しない)
→Ⅰ沈む夕日。最終戦力としてR-99とニブルヘルムが出撃する。
幕間 「究極」
バイドの大軍が外宇宙から地球へ向けて進撃してきているという報があってから、南半球第一宇宙基地――地球連合軍本部で防衛体制の構築にかかり切りになっていた。民間人の避難、防衛戦の構築、他戦線の状況整理。通信が飛び交い、人が走り回り、船舶や艦艇が集結していた。すべきことは山ほどあった。
本部基地上空の最終防衛ラインの構築にあたっては、地球連合軍では軍の秘密工廠で最終調整中であった最新型戦艦“ニブルヘイム”級の一番艦を持ち出すことも検討されていた。ただし、この艦にはまだ艦載機が乗っていない。今、艦載機を乗せるための最終確認を行っているのだった。
この本部に付属するTeam R-TYPE本部研究施設でも、騒乱と言って良いほどの騒ぎになっていた。本来はTeam R-TYPE本部にあるのは対外的、政治的な活動を行う部署であり、研究開発部門はその危険性から宇宙基地にあるのだが、現在はバイドからその人資源を守るために、その研究成果ごと地球のTeam R-TYPE本部に臨時に移ってきている。それがこの騒がしさに拍車を掛けているのだ。その騒乱の中、本部の一室で真剣な会話をしているのは歴戦の強者と思われる軍服の将官と、この騒ぎで本部に呼び出されていたスーツ姿の基幹研究者だった。
「間に合うのかね?」
「ええ、すでにフレームとコックピットは数を用意してありますし、基礎設計関連の構築はすでに終了していました。根幹システムの研究成果待ちだったのです。それも太陽系解放同盟のおかげで揃いました。送られてきた解放同盟でのバイド素子誘導研究成果は想定の範囲内であり、あちらの研究員がシステムの雛型を送ってくれましたので、これを拡張した“バイド素子誘導システム”を組み込むだけです」
「それはあの連中の研究していたBBSみたいに暴走せんだろうな。私はキースンと同じ轍を踏みたくない」
「ええ、BBSはもともとバイド体を短時間操作するための技術として研究されていたのを、太陽系解放同盟が無理矢理戦力に組み込んだ所為です。それを長期間運用などと、あれは暴走すべくして暴走したのです」
鼻で笑うスーツの男。この細身の伊達男は白衣を脱いでいると一見、研究員には見えないが、笑いながら人体実験じみた研究をできる狂人であることは耳聡い者にとって周知のことだった。
「これがあれば、あるレベルまではバイド素子を自由に扱えます。フォースとロッド機構の相性といった物も考える必要がなくなるし、何より実験段階ではバイド由来フォースや、バイドから摘出した兵器器官すら装備可能です」
「一軍を預かる者としては、そこまで墜ちたくはないものだ」
「何故です。バイドを淘汰するための兵器材料をバイドが作ってくれることになるのですよ。」
“バイドを制するのはバイドである”この狂った価値観に当てられることを嫌った将官は話しを変える。
「パイロットは?」
「今回はこのために選抜したテストパイロットをR-99用に調整していますが、サイバーコネクタを利用した習熟訓練で、100時間ほど圧縮学習すれば通常パイロットでも搭乗可能です」
「こちらが資料ですが、ウェーブマスターの武装を基準としたSX型、コンサートマスター武装のDX型、カロン武装のAX型の三種が今回配備されます。本来のR-99の性能であれば現場換装すら可能なのですが、今回は時間がありませんので換装用の装備を用意できませんでした。実際には究極互換機のテスト型といったところです」
「機体性能さえ十分ならば問題ない。それぞれノーマル、長距離、攻撃タイプということか。肝心の戦力は?」
「全ての項目において既存のR機を上回っております。装甲強度、加速性能、燃費。攻撃力については換装するフォースと波動砲コンダクタに依存しますが、亜空間突入機構も装備されています」
「ふむ、よろしい」
「更に重要なのはR-99が“汎用機”であることです。全環境に対応できますので、これ1機種の製造ラインに統一できます。量産までいけば製造コストすら既存のR機より格段に小さい物になるでしょう」
Team R-TYPEの技術の集大成というべきこの機体について、すでに量産配備は政府、軍、Team R-TYPEのトップ同士では最終合意が取られていたが、現場責任者である艦隊の司令官と、Team R-TYPE開発課長の間でのテストに関する最終調整が交わされた。そして、現物を見たいという将官の言葉を受けて、打合せに使っていた臨時課長室を出て、二人は歩いて一番近い研究施設に向かった。誰も彼もが走り回る中、歩を進める二人。
「そろそろ“彼ら”が帰って来ますし、お出迎えは盛大になりそうですね」
「彼ら? ああ、あの英雄艦隊か。彼らが間に合えば我々ニブルヘルム級艦隊とこのR機は機密維持のために出撃は控えることになるが。間に合うかどうかぎりぎりといった所か」
「ああ、いえ、そちらではなく……まぁ、英雄違いですけどねぇ」
「何か言ったか?」
「いえ、そこの角の向こうです」
スーツ姿の開発課長は堅い口調が崩れ、嘲りに近い言葉を吐くが、呟きに近いそれは聞き取られることは無かった。白衣の研究員やつなぎ姿の整備員達が走り回っている通路を抜けて、カードキーを滑らせ扉をくぐる。スーツにTeam R-TYPEの徽章を付けた男が自信に満ちた表情で機体を指し示した。
「これが我々Team R-TYPEの答え。究極互換機R-99”Last Dancer”です」
青いラウンド型のコックピットに白を基調としたカラーリング、無駄な機構を廃して曲線的にシンプルにまとまった装甲ライン。始まりのR機R-9アローヘッドにたち帰ったようなR機がそこにあった。
スターシステムというやつですね。でしゃばりで困ります。
RTTシリーズではR-99ではなく、Rwf-99という型番ですが、
最後のR機としてR-99の方がすっきりしていて好きなのでSTG表記にしています。
それにしても、全クリ後のおまけでいいからR-99を開発して使いたかった。