FLOWER KNIGHT GIRL  ~ディプラデニア団長の日々~   作:トーゴー

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おはよう

夜明け。

 

スプリングガーデン全域に光が広がっていき、ブロッサムヒルの一角にある小城にも朝日が差す。

 

「ふぁ…ぁ…」

 

この城の主であり、住まう花騎士たちを率いる団長は身を起こそうとして――何やら胸許が重いことに気づいた。

 

「すぅ……すぅ……」

 

見ると、見慣れた少女が抱きつくようにして眠っていた。

明るい茶色の長髪に、華奢な身体つき。胸に半ば埋められたその顔を、団長が見紛うはずもない。

団長の最も近くに控える副団長であり、団長の恋人でもある花騎士――ディプラデニアだ。

 

「…ふふっ」

 

団長は「しょうがないな」と言いたげな、しかしとても嬉しそうな笑みを浮かべてディプラデニアの頭を愛おしげに撫でる。

 

「んっ…」

 

ディプラデニアは身じろぎすると、ゆっくりとその目を開く。

 

「……団長…さん…?…ごめんなさい、私…」

 

謝罪の言葉を述べながら身を離そうとするディプラデニア。

昨日の夜遅くに帰ってきた団長が眠った時には誰もいなかったはずなので、勝手に忍び込んだことを申し訳なく思っているのだろう。

 

「気にするな。…合鍵で入ったのか?」

 

団長は離れなくていい、とばかりに彼女を抱きしめつつ問いかける。

団長の私室は防犯上の都合からマスターキーでも開かないようになっているが、副団長であるディプラデニアには合鍵が渡されていた。

 

「はい。…団長さんがいてくれないと、寂しくて。団長さんが帰ってきたことに気づいて、我慢ができなくなって…」

「だから気にするな。寂しい思いをさせたのは俺だし…こうやって求められるのは、嬉しいしな」

「……」

 

穏やかに笑いながら言う団長に、ディプラデニアの頬が淡く染まる。

 

「…おかえりなさい。そしておはようございます、団長さん」

「…ああ、おはよう」

 

嬉しそうに朝の挨拶をするディプラデニアに、団長も微笑みを浮かべて挨拶を返す。

 

「そういえば、体調の方はどうだ?」

 

ディプラデニアを遠征に連れて行かなかったのは、彼女が熱を出して寝込んでいたからだった。

 

「もうすっかり良くなりました。でも…」

 

と、ディプラデニアの表情が少しムスッとしたものになる。

 

「あのお見舞いの品はやりすぎです。あんなに渡されても使い切れるわけないじゃないですか」

 

ディプラデニアが倒れた時、遠征に出る直前だった団長は慌てて薬や身体に良い食べ物などを手配していたが、それは一人に送るにしては明らかに過剰だった。

 

「わ、悪い…。その、ついていてやれないし、心配だし、動揺してたし…」

 

冷静になってみるとやり過ぎだったと自分でも感じたのか。バツの悪そうな顔で謝罪する団長。

 

「…まあ、こんな私のことをそこまで心配してくれるのは団長さんくらいですから、うれしいですけど…」

 

少し恥ずかしそうに言うディプラデニア。

 

「…こら」

 

しかし団長は、軽く彼女の頭をはたく。

 

「団長さん…?」

「あまり『こんな私』とか言うな。メンヘラはもう卒業したわけだし…少なくとも、俺にとっては一番代えが利かない存在なんだから」

「団長さん…」

 

きょとんとした顔をするディプラデニアに恥ずかしそうにしながら団長が言うと、ディプラデニアも少し恥ずかしそうにしながら微笑を浮かべた。

団長がそっと顔を寄せると、ディプラデニアも受け入れるように目を閉じる。

 

「んっ…」

 

口づけた後、そのまま見つめ合う二人。

 

「…そろそろいつもならミーティングをしている時間ですね。…まだ足りませんけど、団長と副団長が遅刻するわけにもいきませんし…」

 

名残惜しげに身を起こすと、サイドテーブルに置かれた手帳を取るディプラデニア。その背中を、団長が無言で抱きしめた。

 

「だ、団長さん?」

「この姿勢でもミーティングはできるだろう?それに…俺ももう少しだけ、ディプラデニアと触れ合っていたい」

「……」

 

ディプラデニアは頬を淡く染め、幸せそうな笑みを浮かべると無言で団長に身を委ねた。

 

 




メンヘラ卒業後のディプラデニアは天使。いや卒業前から可愛いけども。
でも参考にできるセリフが少ないので、こんなんでいいのか心配になる…
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