もし、もしもだ。
この世界があたしの敵だったら?
或いは、見えている景色が誰かの能力によって造られたものだったら?
勿論、只の杞憂だ。だけど、否定出来る材料が無い。
悪魔の証明ってやつだ。『無い』は証明出来ない。
だから、あたしは馬鹿を演じる。
そういう敵意が向いてこないように。
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なーんて、カッコ付けて見る。まあ実際、馬鹿を演じている訳だが。
馬鹿で元気で怖いもの知らずで無邪気で。
それらを求められているから仕方無い。
……誰に求められているんだ?
う~ん?
誰でもいいか。考えても思い付かない事は「分からない」と諦めた方が良い。
神様だとか、画面の向こうの人だとか、そういうあたしに観測させてくれない輩だろうし。
んー。あたしの親友で無邪気の塊である大妖精が来ないな…。
一日一回は見ないと無邪気さを忘れちゃいそうで怖い。
探しに行くか…。
~◆~◆~◆~◆~◆~
氷のかまくらから出る。
うわ、湖の氷が少なくなってる。ヤバイヤバイ。
「冷符『瞬間冷凍ビーム』!」
うむ、これでよし。とりあえず向こう一週間は溶けないだろう。
妖精は自然の具現化。逆に言えば自然が無くなると妖精は消える。
普通、そんなことは滅多に起きないが…あたしは氷精。
氷は儚く溶けるもの。夏なんか特にだ。
だからあたしは生き続けるためにこの霧の湖の一部を凍りつかせる。
……なんか、巧く言えないが、『鶏が先か卵が先か』みたいになってる。
氷から産まれたあたしが、生きるために氷を作る。
それは自然の物じゃ無いんだけどなぁ。
それより、大妖精を探しに行くかな。
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とはいえ、何処に居るんだろう?
考えてみたら大妖精の家が何処にあるか知らないや。
ま、大妖精が何時もやって来る方向に飛んでいけば何処かで出会えるだろう。
えぇと、紅魔館が正面に来るように立って…右から来てたね。あ、カエル。
手慰みにカエルを凍らせ、右向いて、飛びたつ。
と、何かにぶつかる。
「お、なんだなんだ?」
「そこに何かいるんだろ!出てこい!」
……あれぇ?出てこないな。
取り合えず考えられる可能性。
一、天狗とぶつかった。
二、サニーミルクの能力
三、ビックリするほど気のせい
「むぅ…サニーか?」
サニーミルク。『光の三月精』のリーダー格で光を屈折させる程度の能力を持っている。
何故だったかあたしに敵対心を持っている。
「出てこい!そこに居るんだろ!」
わめいてみる。…んー、音が通るって事はルナチャイルドが居ないって事か。つまり、『光の三月精』では無い訳だ。
「むぐぐ…じゃあ天狗か!『しゅざい』は『アホインナー』を通してからにしろって言ってるでしょ!」
『アホインナー』ではなく『アポイントメント』だが。
ちゃんと教えてもらったんだから覚えてるよ。
周囲を見回す。…森の中にカメラレンズの反射光は見付からない。
耳を澄ます。…風切り音は聞こえない。
天狗でも無いのか?なら、気のせい?
……いや、確か体を霧状に出来る鬼が居たはず。ここは霧の湖だから霧になられたら手も足もでない。
「…鬼、か?」
ん、でも霧のまま攻撃出来たっけ?
と、後ろから声がする。
「残念!あたいだよ…!」
聞いたことのある声。いや、
恐る恐る後ろを振り向く。
そこには
あたしが
~◆~◆~◆~◆~◆~
「……ちゃん……ノちゃん!」
「うぅん…?」
「あ、チルノちゃん起きた?」
「んむ…大ちゃん?」
って事は、あれは夢か。
「もーチルノちゃんどうしたの?こんなところで寝て」
「こんなところ?」
周りを見ると、霧の湖の沿岸だった。
「…あれぇ?」
「風邪引いちゃう…ってチルノちゃんは風邪引かないか」
「む!それはあたいが馬鹿って事か!」
「え、ち、違うよ!チルノちゃん氷精だから」
「むぅー。ならよし!」
ふぅ。やっぱり大妖精は可愛いし無邪気だ。
見てると安心する。
「そうそう、はいこれ。落ちてたよ」
「ん?」
大妖精が差し出してきたのは…四角くて…中心に『F』の文字が……
「大妖精だと思った?」
「あたいが、チルノだよ♪」
オチは無い。慈悲もない。ついでに言えば続きもない。