それでは第二十六話どうぞ!
「え、えっと。それでは、一通り私のスキルをお見せしますから、好きな物を覚えていって下さいら、以前私を見逃してくれた事への、せめてもの恩返しですので...」
ウィズが言い、そして、ハタと何かに気づいた様に、俺とアクアそれに有馬さんを見てオロオロしだした。
「どうした?」
問いかける俺に、ウィズはアクアと有馬さんを見る。
「私のスキルは相手がいないと使えない物ばかりなのですが、つまりその...。誰かにスキルを試さないといけなくて...」
なるほど、そういう事か。
「あのー、有馬さん。悪いんですが頼めますか?」
「...」
有馬さんは無言で立ち上がるとウィズの前に立った。
「そ、その...。ドレインタッチなんてどうでしょう?ああっ、も、もちろんほんのちょっぴりしか吸いませんので!スキルを覚えて貰うだけなら、ほんのちょっとでも効果があれば覚えられると思いますので!」
慌てたように口早に言うウィズに、有馬さんはまたもや無言で手を差し出した。
「で、では失礼します...。」
ドレインタッチはアンデット特有のスキルだそうで、相手の体力や魔力を吸い取る事ができるらしい。
そして、自らの体力や魔力を、相手に分け与える事もできるらしい。
このスキルがあれば、使い方によっては俺達のパーティー(有馬さんやエトを除いた)の火力不足を補うことができるかもしれない。
ウィズのスキルを見た後、俺は自分の冒険者カードを確認した。
そこには、確かに『ドレインタッチ』と書かれたスキル名がある。
俺はスキルポイントを消費して、迷わずスキルを習得した。
「有馬さんって体力がものすごく高いんですね!その代わり魔力はほとんど無かったですけど」
「有馬さん魔力ほとんどないのか」
「それじゃあ俺達はそろそろ帰るよ」
「はい。また来てくださいね」
ウィズの店でお茶を出してもらい、少し喋ってから俺達は家に帰った。
「フフ、我が軍勢の力を見るがよいです。このマスにオーク兵をテレポート」
「めぐみん、ウィザードの使い方がイヤらしいぞ。...ここにクルセイダーを移動、そして王手だ!」
「テレポート」
俺達が家に帰ると、めぐみんとダクネスがこの世界のチェスにも将棋にも似たボードゲームに興じていた。
魔法の概念があるこの世界は、地球とは違い、チェスみたいな遊びのルールも若干違う。
あのボードゲームはめぐみんと一度やってみたが、敵の王様を版外へテレポートされた時点で、もう二度とやらないと心に決めた。
ちなみに家では有馬さんとエトの二強だ。
今は冬である。
モンスターは強いし俺達の懐は大分潤っているから仕事をする必要はない。
つまり俺達はしばらく暇なのである。
家にいるのも暇なので、俺は街へ繰り出した。
街の中は雪が積もり、寒さの為か人もあまり出歩いてはいない。
この世界の住人達の常識では、冬は引き篭るもの。
凶暴なモンスターしか活動しないこんな時季に、鎧を着込んでクエストに出掛けるのは日本から来たチート持ちの連中ぐらいなものだ。
そしてこんな寒い中、街中をふらついているのは俺の様な暇人か...。
もしくは俺の前方で不審な動きを見せている、俺の知り合いぐらいなものだろう。
俺は道の往来でコソコソしながら、路地裏に佇む一軒の店の様子をうかがっている、二人の知人に声をかけた。
「キース、ダスト。お前らこんな所で何やってんの?」
「「うおっ!?」」
この二人は以前ギルドの酒場で知り合った。
色んな情報のやり取りをしてるうちに仲良くなった冒険者だ。
今日の二人は、冒険者に似つかわしくないラフな格好をしていた。
「な、なんだよカズマか、驚かすなよ。全く、潜伏スキル持ちはこれだから、全く...」
キースが俺を見て安心した様に言ってくる。
が、勿論俺は潜伏スキルなど使っていない。
「よう。あれか?今日はパーティーメンバーと一緒じゃないのか?」
ダストが気にした様に俺の周りをチラチラ見ていた。
「いや、今日は俺一人だから安心してくれ。そんなにあいつらが苦手なのか?俺は家にいるのも暇になったから、散歩してんだよ。お前らはこんな所で何してんの?」
俺の言葉に安心したのか、ダストがホッと息を吐きながら。
「いや、まあ...俺達はその、なあ?あの姉ちゃん達がいないなら別にいいんだ。というか、女連れじゃないなら別に気にすることはねえよ。...あ、でもあの白髪の兄ちゃんは興味なさそうだけどな」
...?
なんだそりゃ、女や有馬さんがいるとマズイ事でもしてるのか?
次はサキュバスですかね。
有馬さんってそういう店絶対行かなそうですよね...
それではまた次回お会いしましょう!