では、第6話どうぞ!
「うっ...うぐっ...。ぐすっ...。生臭いよう...。生臭いよう...」
俺の後ろを、粘液まみれのアクアがめそめそと泣きながら付いて来る。
「アクア、生臭いので、あまり近寄らないでください。」
そこに有馬さんにおんぶされているめぐみんが追い討ちを掛ける。
魔法を使う者は、魔力の限界を超えて魔法を使うと、魔力の代わりに生命力を削ることになるらしい。魔力が枯渇している状態で大きな魔法を使うと、命に関わる事もあるそうだ。
「今後、爆裂魔法は緊急時以外は使用禁止だな。これからは、他の魔法で頑張ってくれよ、めぐみん。」
俺の言葉に、有馬さんの背中におぶさっためぐみんが、少し俯いた。
「...使えません。」
「は?何が使えないんだ?」
めぐみんの言葉に、俺はオウム返しで言葉をかえす。
めぐみんが、有馬さんの背中に掴まる手に力を込め、有馬さんに密着した。
「...私は、爆裂魔法しか使えないんです。他には一切の魔法が使えません」
「...マジか」
「...マジです」
俺とめぐみんが静まり返るなか、今まで鼻をぐすぐす鳴らしていたアクアが、ようやく会話に参加する。
「爆裂魔法以外使えないってどういうこと?爆裂魔法を習得できる程のスキルポイントがあるなら、他の魔法を習得していない訳がないでしょう?」
...スキルポイント?
そういや、ギルドのお姉さんがスキル習得がどうのとか言っていたな。そんな顔を見て、アクアが説明してくれる。
「スキルポイントってのは、職業に就いた時に貰える、スキルを習得するためのポイントよ。優秀な者ほど初期のポイントは多くて、このポイントを振り分けて様々なスキルを習得するのよ。例えば、超優秀な私なんかは、まず宴会芸スキルを全部習得し、それからかアークプリーストの全魔法も習得したわ」
「...宴会芸スキルって何に使うモンなんだ?」
アクアは俺の質問を無視して先を続ける。
「スキルは、職業や個人によって習得できる種類は限られてくるわ。例えば水が苦手な人は氷結や水属性のスキルを習得する際、普通の人よりも大量にポイントが必要だったり、最悪、習得自体ができなかったり。...で、爆発系の魔法は複合属性って言って、火や風系列の魔法の深い知識が必要なの。つまり、爆発系の魔法を習得できるくらいの者なら、他の属性の魔法なんて簡単に習得できるはずなのよ。」
「爆裂魔法なんて上位の魔法が使えるなら、下位の他の魔法が使えないわがけないって事か。...で、宴会芸スキルってのは何時どうやって使うものなんだ?」
有馬さんの背中で、めぐみんがぽつりと呟いた。
「...私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系統の魔法が好きなんじゃないです。爆裂魔法だけが好きなのです」
そもそも、爆発魔法と爆裂魔法って何が違うんだ?
その意味は俺にはわからないが、アクアと有馬さんは真剣な面持ちでめぐみんの独白に耳を傾けている。
「もちろん他のスキルを取れば楽に冒険ができるでしょう。火、水、土、風。この基本属性のスキルを取っておくだけでも違うでしょう。...でも、ダメなのです。私は爆裂魔法しか愛せない。たとえ今の私の魔力では一日一発が限界でも。たとえ魔法を使った後は倒れるとしても。それでも私は爆裂魔法しか愛せない!だって、私は爆裂魔法を使うためだけに、アークウィザードの道を選んだのですから。」
「素晴らしい!素晴らしいわ!その、非効率ながらもロマンを追い求めるその姿に、私は感動したわ!」
...まずい、どうもこの魔法使いはダメな系だ。
よりによってアクアが同調しているのがその証拠だ。
俺はここ二回のカエルとの戦いで、どうもこの女神、ちっとも使えないんじゃないかと疑っているのだ。
はっきり言って、アクア一人でも厄介なのにこれ以上問題児は...。
よし、決めた。
「そっか。多分茨の道だろうけど頑張れよ。お、そろそろ街が見えてきたな。それじゃあ、ギルドに着いたら今回の報酬を山分けにしよう。うん、まあ、また機会があればどこかで会うこともあるだろ」
その言葉に、有馬さんを掴んでいる手に力が込められた。
「ふ...我が望みは、爆裂魔法を放つ事。報酬などおまけにすぎず、なんなら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出して貰えるなら、我は無報酬でいいと考えている。そう、アークウィザードである我が力が、今なら食費とちょっとだけ!これはもう、長期契約を交わすしかないのではないだろうか!」
「いやいや、その強力な力は俺達みたいな弱小パーティーには向いていない。そう、めぐみんの、力は俺達には宝の持ち腐れだ。俺達の様な駆け出しは普通の魔法使いで十分だ。ほら、俺なんか最弱職の冒険者なんだからさ」
「いえいえいえ、弱小でも駆け出しでも大丈夫です。私は上級職ですけどまだまだ駆け出し。レベルも6ですから。もう少しレベルが上がればきっと魔法を使っても倒れなくなりますから。で、ですから、ね?」
諦めが悪いな。さて、どうするか
「なあ」
有馬が口を開いた。
「別にいいんじゃないか?確かに不便だが他に行く宛もないんだろ?」
まさか有馬さんが賛成するとは思わなかった。
「それに、レベルが上がれば魔力も上がるんだろ?これから上げていけばいいじゃないか?」
「そうですよ!って訳でどうですか?」
こいつ、さっきより明らかに声がでかくなってる。
「はぁ、わかったよ。けど、これからはよほどピンチじゃない限り使うなよ。」
「よろしく、めぐみん」
「はい!よろしくお願いします!」
こうして俺達のパーティーに仲間が増えた。
第6話どうでしたか?
今回はめぐみんが仲間になるところまで書いてみました。次は変態クルセイダーかな?
ではまた次回お会いしましょう!