ロキ・ファミリアには【ファミコン】の最強幼女がいるそうです 作:京狼婢娜姫
「で、アイズ。どうして前線維持の命令に背いたんだい?」
「…」
場所は地下迷宮50階層、野営地。
ある一つのテント内で、一人の少女が正座で説教をされていた。
足が痺れてきたのか、小さく身動ぎをするアイズ。
それでも言葉は発さない。
発せれない、と言うのが正しいのかも知れないが、とにかく無言が続き、耐えれなくなったフィンが溜め息と共に言葉を繋げる。
「アイズ、君は強い。だからこそ組織の幹部なんだ。内容を問わず、君の行動は下の者に弱くはない影響をもたらす。わかるね?」
最後の問いに小さく頷き、でも、と口を開こうとしてフィンの目が少し睨むようになり、止める。
「……窮屈かい?今の立場は」
「______!」
___心の中を見透かされた。
今、確かにそれだったら、って思ってしまった。
誰のおかげでここまで来れたの?
それぐらい、わかるよね?
自分で自分に問いかけて、無意識に噛んでいた唇から歯を離し、先程逃げた目に、今度はアイズから会わせにいく。
「…………うぅん、ごめんなさい」
まだ顔は下向きで、目だけを上へ向けているが心は伝わっただろうか?
心配するアイズに思わぬ所からの助け船が出された。
「まあそういってやるな、フィン。アイズも前衛の儂らの負担を軽くしようとして、敢えてやったんだろう」
「それを言うなら、詠唱に手間取った私の落ち度もあるしな」
ガレスとリヴェリアの言葉に呆れたように頬を掻くと、伝えたいことを纏めてしまう。
あんまり長引けば、この親バカ二人に怒られそうだ、なんて心の中で呟きながら、アイズの目を見返して言う。
「アイズ、ここはダンジョンだ。何が起こるかわからない。そして、レフィーヤ達全員が君のように動けないし、戦えない。それだけは覚えていてくれ」
「………わかり、ました……」
消え入りそうな声。
けどその返事に満足そうに笑うと、準備に行って、と声をかけた。
「……………」
無言で去っていったアイズの背中を見送り、見えなくなると視線を一ヵ所に向けた。
「……で?まだ出てこないのかな、ゲッカ」
「ばれちゃったかぁ…」
ごそ、とテントの布が動いてそこから幼女が姿を表す。
どこから取ってきたのか、頭にほっかむりのように布を被り髪を隠していた。
「その布を取ってくれないか?髪が見えないと落ち着かない」
「はぁい…」
素直に従い髪を空間に解き放つ。
重力に反し、やけにゆっくりと落ちる美しい髪で、まず目を奪われるのはその質。
枝毛等は一切見当たらなく、艶が元の色を更に美しく際立てる。
その色とは______虹。
根本から先へかけて七つの色が、更に他の色さえ作り出す。
それを束ねる為だろうか。
手首にはめたゴム製の輪は髪とは違う黒であり、それが更に色を艶やかに見せる。
「私が結ぼう」
椅子に座ったまま、膝を叩くリヴェリアにゲッカはためらいなく飛び込んだ。
そのことの嬉しさから輝く瞳はオッドアイ。
右目は金、左目は銀。
大きな瞳は彼女の幼い容姿を引き立てているが____ここで一つ疑問点が。
最強と歌われる彼女のLvはフレイヤ・ファミリアの【猛者】と並ぶ7。
彼女が見た目通りの年齢なら、神の力を使うなどでしか無理だ。
しかし、Lvアップは器の昇華。
不老不死である神に近付く故に若い容姿でいることが出来る。
つまりは彼女のLvは、この容姿の時の年齢で最低第二級でなければならないのだ。
そんなの、無茶にも程がある。
あくまでも無理ではなく、無茶、だが。
彼女の話はここら辺でやめにしよう。
今だ撫でられるゲッカは幸せそうだ。
それだけあれば過去など別に良いことではないだろうか?
もし必要になったときは______
「じゃあ、そろそろいくね!」
ピョンッ、と膝から飛び降り笑みを向けて走っていく。
虹が動くその後ろ姿に、小さく二人は溜め息を着いた。
「………心配だな」
「そうだね……」
先程までの表情を、憂いを帯びたものに変えて、二人の少女へ向けて呟いた。
「強くなるのは良いことだよ。僕らに取っても、あの子達にとっても」
「ただ、二人はひたむきすぎる。誰もついていけない場所にいってしまいかねん……」
顔を見合わせると、もう一度溜め息を吐く。
その姿に、ふけとるのー、なんてガレスが呟いていたのは、別のお話。
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