ロキ・ファミリアには【ファミコン】の最強幼女がいるそうです   作:京狼婢娜姫

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まだまだ荒さが目立ちますが、お楽しみいただければ幸いです__


第4話

「……ゲッカ、武器は?」

「んー?置いてきたよ?」

「…テントの中に?」

「もちろん!」

「忘れそう……」

 

炊事場でティオナが豪快な料理を作っている間。

やっと追い付いたゲッカはアイズとの会話を揺れながらしていた。

 

どうも最近は、武器にばっかり聞いてくるアイズに首をかしげながら、忘れないよー!と反論する。

 

「流石に『下剋上』を忘れたら、もう帰れないよぅ…」

 

彼女の武器の名は、『下剋上』。

特注品(オーダーメイド)であり、そして不壊属性(デュランダル)が着いた大きな刃物。

 

その形状は、強いて言うなら両刃の日本刀。

反りが小さく、刀身には細かい傷のような切れ込みが入っている。

その傷は、空気を掴み形状を一定にし、見えない鎌を作り出す。

 

「……かまいたち、だっけ…?」

「アイズお姉ちゃんなら、【風(エアリアル)】で作れるんじゃない?」

 

『下剋上』を扱うには特殊な技術が必要となるが、風を使うアイズには問題ないだろう。

遠距離攻撃が彼女に増えたら、怖いな、なんて思いながら言葉をのべる。

 

「風で刃を作るんだったら、やってるじゃん。できるよ、きっと!」

 

ティオネの怒りが噴火した所で、話を切ってレフィーヤを見る。

自分より後から入ってきた姉は、良い匂いを漂わせていた。

 

「できましたっ!『ダンジョン産野草のクリームシチュー、四色ハーブ幸せ盛り』です!!」

「「「「おおーー!!」」」」

「この料理はですね、_____」

 

塩分がどうとか、種族がどうとか聞こえた時点でゲッカは思考を停止させた。

隣のアイズが反応したのを聞いて、すごいね、とだけ言うものの実際は聞いてすらいない。

 

やったー、と舞うレフィーヤが、足元の石につまずいて、転倒。

同時にお皿もひっくり返してしまい、シチューは地面へと吸い込まれていく。

 

「うわー、全部こぼれちゃってるよ」

「どうにもならないわね」

「うう………」

 

落ち込むレフィーヤにアイズが近付いていく。

そっと手を伸ばし、ぎこちなく頭を撫でると、はっと上を向いたレフィーヤに優しく声をかける。

 

「……大丈夫。次は私の番だから」

「アイズさん………」

何やら感動した様子の後輩に首をかしげながら、アイズは調理台の前に立つ。

……乾パンだけをまな板に乗せて。

包丁を二本逆手に持つと、腰を軽く落とし、戦闘体勢に。

 

「アイズさん、頑張って!」

「握りがナイフに成ってない?」

「食材なんて乾パンだけよ?」

「うぅん、大丈夫かなぁ……?」

 

目に見えない速さで包丁が振るわれる。

止まった時にあるのは五等分された乾パンのみ。

 

「……………!(ドヤ)」

「アイズ、それは料理じゃない」

「………!?」

「でもでも!ちゃんと食べれますから!!」

「………!!(ズイッ)」

「えっ、乾パンだけはちょっと…せめてスープも」

「…………!?!?」

「スミマセンスミマセン!!私がぜいたくでしたぁ!!」

 

そんな中、アイズの、持つ皿に近付く者が一人。

 

「いただきまーす!!」

 

ゲッカが乾パンを一切れ掴み口へ運ぶ。

モグモグと口を動かしながら、小動物のように頬を膨らませる姿は愛らしい。

 

「ふふっ」

「じゃあ優勝はあったしー!!」

 

自然とティオネの口から漏れた笑いに、ティオナが宣言を被せる。

パチパチとなるまばらな拍手を身に受けて、ティオナは手に持った皿をアイズの前に差し出した。

 

「じゃあこれはアイズが食べて!」

「私……?」

「うん!今日レフィーヤのこともひ皆のことも、助けてくれたでしょ?けど、さ……」

 

一瞬で天真爛漫な笑顔が曇り、何処か悲しそうな表情になる。

 

「なんであんな無茶したの?みんなを守って、壁を維持するだけでよかった。フォモールの中に飛び込む必要なんてなかった。あたしも大概だけどさ……アイズはもっと危なっかしいよ」

 

親友からでた予想外の言葉に、小さく目を瞬かせると、下を向いて小さく謝った。

 

「……ごめん、ティオナ。だけど私はもっと強くなりたい。だから……ごめん」

 

それは、命を投げ出すのをやめられない、という宣誓。

立ち止まったりは出来ない。

そう伝えるアイズに、ティオナの優しい声が降ってくる。

 

「………アイズ、私だって強くなりたいよ」

「そうね。私も現状で満足したつもりはないんだけど?」

「わっ……私も早く足手まとい卒業したいですっ!」

 

「だからさ」

 

目を見開いたアイズの手に、自分の手を重ねて言う。

 

「一緒に強くなろう、親友っ!」

 

その言葉に、優しい笑みが浮かんでくる。

 

「……うんっ!」

 

人形、とまで言われる感情の乏しい顔に浮かぶ、極上の笑顔。

驚いた表情を見せると、ティオナは飛び付き、ティオネは愛しい人が見てないか焦り、レフィーヤはもう一度、とせがむ。

途中から出てきたベートにティオナがムッツリ狼、と言えばいつもの口論が始まる。

 

それを上から眺める三人は、ほっとしたように笑った。

 

「僕らの出る幕はなかったね」

「騒々しいものばかりじゃ、くよくよさせてもくれんじゃろ」

「………そうだな」

 

母は話の中心で笑う少女を見て、嬉しそうに笑みを深めた。

 

「良き仲間に巡り会えたな……アイズ」

 

「………………」

 

目の前で騒ぐ兄姉を優しく、寂しそうな姿で見る妹が一人。

 

「私は、一緒に強くなれないよ………」

 

悲しそうに、声を染めた呟きは

喧騒に掻き消されて行く。

 

____早く強くなりすぎたせいで。

皆と一緒に歩けない。

 

____後ろを見なかったせいで。

もう近くには、誰もいない____




こんなはずじゃなかったのに。
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