ロキ・ファミリアには【ファミコン】の最強幼女がいるそうです   作:京狼婢娜姫

6 / 10
拙いですし、今回急展開急フラグ。

それでも楽しんで頂ければ幸いです。


第6話

「がらぁあああッッ!!」

「よい……やぁ!!!」

「シッ!!」

「おっとっと………」

「…はぁ」

 

場所はダンジョン52階層。

迷路状になった道を進みながら、怪物との戦闘をこなしていく。

 

「……はぁ…」

 

もう一度溜め息をつくと、ゲッカは腰に手をあて流れるように、壁から飛び出てきた蜘蛛型の怪物を『下剋上』で切り裂く。

ついで発生した鎌鼬で遠く後方のモンスターを二つに分ける。

自分に回ってこないことを残念に思いながら、膝の防具の感覚を確かめて跳ぶ。

 

今の彼女の服装は肩が出たTシャツに中にタンクトップを着て、柔らかい素材のズボン。

膝と肘に申し訳ない程度に装着した黒の防具は、小さな体の動きを阻害しないように作られている。

首にはめられた冒険者用装飾品(アクセサリー)であり、装備品のチョーカーにつけられた深紅の宝石は、幸せを呼ぶと言われる、竜女の額の宝石。

過保護な母親が買ってきたそれは、何年たつのだろうか。

白かったチョーカーの部分は血で赤黒く染まっていた。

 

「………ん?」

 

何時もより少ない戦闘数に首をかしげれば、すぐそこにカドモスの泉が迫る。

竜の呼吸が大きく響く空間の近くの通路に潜み、フィンが小さな声で確認する。

 

「じゃあ定石通りいくよ。まず僕、ベート、ガレス、ラウルでカドモスを押さえ込む。隙を見てゲッカが、『下剋上』での鎌鼬、そして怯んだら一斉攻撃だ。いいね?」

「自分もっすか……」

 

どよーん、とした空気を纏うラウルをベートがペシッ、と尻尾で叩く。

ゲッカが小さく風を作り、近くの壁を小さく傷つけた。

こんなんじゃ頼りないが、ないよりはましである。

 

地下迷宮は怪物を産み出す。

だがそれよりも、ダンジョンの維持を優先させるため、壁を壊せばなおるまでの時間、モンスターが産まれないのだ。

 

カドモスの戦闘中に出てきたら困るので、短時間で終わる予定でもあるから、小さいキズを着けておく。

 

「じゃあ行くよ。…さん、にぃ、いち、ゼロ!」

 

その掛け声で全員が走り出す。

 

「らァあああああっ!!」

 

初撃を与えたのはベート。

ゲッカには劣るが、ロキ・ファミリアないでは二番目の速度でカドモスに迫り回し蹴りを入れる。

 

「せい……やぁっ!!」

 

続いてラウル。

鱗の隙間を狙い剣をさしこむ。

柔らかいはずの継ぎ目でさえ、足を踏ん張らなければ傷にさえならぬであろう。

それを無理矢理踏まされた場数の勘で、二、三枚はぎとることに成功する。

 

そのまま二人は大きく後ろへ飛ぶ。

カドモスの尻尾が揺らめき、二人がいた場所を恐ろしい速度で通りすぎる。

 

カドモスは階層主を抜かして攻撃力は最強だ。

当たれば上級冒険者でも痛手を負う。

 

だからこその回避に、気をよくしたのかカドモスが泉から離れ、遠くにいたゲッカを見やる。

そちらへ向かって走り出そうとする怪物に、近付く影が二つ。

 

「はぁあああっ!!」

「ふんっ………ぬぁああああ!!」

 

フィンの槍がカドモスの目に吸い込まれるかのように突き刺さる。

苦悶の声をあげる竜に更なる追撃。

ガレスの獲物が横凪ぎに振るわれ、その巨体が宙に浮いた。

宙に浮いている間、身動きが取れないカドモスに向けて作られる、見えない刄。

 

「ぅう、ぁああああああああっ!!!」

 

『下剋上』を恐ろしい速度で振るうと、研ぎ澄まされた空気の刄がカドモスの右前足に命中、刈り取る。

 

ガリッ、と骨が削れる音がした数秒後に地に体をつけると、バランスを崩し倒れ混む。

必死に尻尾で平衡感覚を取り戻そうとする強竜に、何処からか矢が一本突き刺さる。

それは目を抉り、視界を完全に奪った。

 

「当たったっす…」

 

それを放った張本人は自分で驚いているが、そんなのを見ている暇はない。

 

呆けているラウルをほおっておき、四人は攻撃を再開する。

ベートはフロスヴィルトを喉元に叩きつけ。

フィンは金槍を胸の中心に差し込み。

ガレスは大戰斧を後ろ足へと付け根へと叩き込んで。

ゲッカはいつも使わない方の刄を、広く横にふった。

 

「阿呆!?」

 

結果、発生した鎌鼬はベート達を全力退避させ、カドモスを切り裂いた。

 

さらさらと割れた魔石の回りで灰が舞う。

大量の灰は床へと広がり、白く染める。

 

「…ふぅ…。ラウル、泉水と魔石を回収してくれ」

「はいっす!」

 

元気よく返事をし、瓶を持って泉へと走っていくラウルを見ていたゲッカに、一つの影が近付いた。

 

「で?さっきのは何かな?」

「……間違えました。すいませんでした」

 

実際はアラフォーの団長の笑顔が黒い。

おふざけに入る体力はあるが余裕はなかった。

 

「あ、ぁあああああああああっ!?」

『!?』

 

突然響いた一つの叫び声。

それがラウルの物であると悟り振り向けば、緑黄色の芋虫型モンスターの群れと交戦を開始するベートと、ラウルを持って大戰斧を相手に投げ、時間を稼ぐガレスの姿。

フィンもその中に加わり、一匹の怪物を葬り去る。

しかし。

 

「んなっ!?」

「武器破壊か……っ!」

 

双剣を溶かされたベートと槍が使い物にならなくなった二人の声がルームに響く。

見ればガレスの武器もすでに溶かされており、急いで後ろに下がり距離をとる。

 

「ゲッカ、頼む」

「はぁい…」

 

鎌鼬で牽制を一度すると、ゲッカは小さく口を開いた。

 

「【疑え憎め、我以外を(アブィリーヴァト、イプセクト)】」

 

超短文詠唱。

前を向いたゲッカが、すう、と息を吸い込んで。

 

「【悪(ワヴェリー)】」

 

瞬間。

ゲッカの目の色が、血の色に染まった。




魔法については後日解明。

批評、感想、評価お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。