ロキ・ファミリアには【ファミコン】の最強幼女がいるそうです 作:京狼婢娜姫
戦闘終了から、逃走へ移る少し前。
ラウルの悲鳴を耳にした一班は、おそらく、もうひとつの泉への道と思われる場所を走っていた。
来たときよりもモンスターの数が少なく、走ることに専念する。
しばらくすると、前からも足音が響いてきた。
『!_____ッ!?』
四人の目に映るのは、上級冒険者が全力逃走している姿。
その後ろには巨大な_____
「芋、虫…?」
「_____ッッ!!」
レフィーヤが呟きを落とすと同時、ティオナが踏み込み、ウルガをその緑黄色の肌に向かって刃をつきたてる。
その際にはきだされた体液が髪にかするが、どうにか避ける。
「お姉ちゃんっ、だめっ!!」
後ろから妹の声が響くが、その勢いは殺さない。
「体液に触れるな!!」
「え?」
刃が突き刺さると同時、後ろから飛んできた液体を後ろに飛んで、ウルガも抜く。
「うぇっ!?溶けたぁ!?」
しかしそのウルガには片方の刃がなくなっており、柄までが溶けかけている。
それを放り捨て、このー!?とモンスターを睨む。
「走れ馬鹿女!後ろからうようよきてんぞ!」
「ぇ?うぇえええええええっ!?」
ベートの声に慌てて走り出す彼女に冷たい視線が集まるが、それはさておき。
「団長、御無事ですか?」
「僕らは問題ない。武器がなくなってしまってね。しかも、ラウルがあれの直撃をもらった」
「早く治療してやらんとこりゃまずいぞ」
「フィン、あのモンスター、倒せる?」
「攻撃に効果はある。一回の攻撃に一つの武器を犠牲にして、だ。割りに合わないし、あの群れ相手に尚更無茶だろう」
「でもねー」
言葉を繋げたゲッカに視線が向くが、本人はね?とフィンを見やるだけ。
やれやれ、と言いたげに目を閉じたフィンは口を開いた。
「魔法なら別だ。詠唱する時間を稼いで、群れを殲滅出来るだけの強力な魔法を発動できたら……」
視線が妖精の少女に集まり、本人はえっ?と声をあげる。
その時、前の方からも破壊音が響き緑黄色の肌が、大量に視界に入る。
「っ!全員右へ転身だっ!!」
指示と同時、脇道に逸れるもそこはルーム、行き止まり。
「ティオネ、武器は無事か?」
「あ、はい。ティオナの武器以外無事、です」
「わかった。ならそれをベート達に渡せ」
ティオネが武器を渡すなか、中央に集まれ、と指示が飛ぶ。
「こんなんでどうすんだよ!?」
「団長の命令よ、つべこべ言わずに従いなさい!」
本来とは違う得物に文句をあげるベートにティオネが声を荒げる。
ゲッカが首をかしげてフィンに目を向ける。
「親指が疼いてる。たぶん、くるんじゃないかな?」
その言葉と同時。
ピキリ、と壁が鳴りモンスターが生まれ落ちた。
「こんな時にっ!?」
「いや………」
ティオナの声に、小さく返しベートが後ろに下がり表情を強ばらせる。
止まることなく響く壁が壊れる音。
「この数、やべぇぞ……!!」
危機に陥った冒険者を追い詰める悪辣な迷宮の罠。
逃げ場を失った冒険者に、絶望を植え付ける『怪物の宴』。
『ォオオオオオオオオオオッ!』
産声をあげる怪物に、否応なく全員の頬がひきつった。
「あの新種は僕とアイズ、ゲッカでやる!絶対に手を出すな!」
「フィン、使って……」
「ありがとう、レフィーヤ」
「はいっ!?」
緊張しているのか声が裏返る少女に小さく苦笑を漏らし、告げる。
「アイズの魔法なら、あの普通の剣でも戦えるだろう。だけど長引けば危ない。ゲッカもだ。……頼んだよ?」
「っ!」
長引けば危ない。
その言葉に後ろで治療される同期の青年に視線を向ける。
途中で見えた紫に変色した肌が思い出された。
_____やるしかない。
息を吸い込んで、はきだす。
恩師の教えの一つ、大木の心を目指して。
少女は歌い始めた。
「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ】」
全力で練られる魔力が、不規則なノイズを鳴らすが気にならない。
守ってくれている、守られている。
その事実があるからこそ、詠唱を響かせる。
「【押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ】」
閉じた瞼の外で、鎌鼬が飛ぶ音がした。
優しく風が動く気配がした。
「【帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢】」
隣にいることさえできない彼女等と、一緒に戦っている。
「【雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」
助けれるなら、助けれるように。
これが全力、これが私、レフィーヤ・ウィリディスです!
「撃ちます!!」
高まった精神力が形となり、上空に火の光を産み出す。
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
限界まで引き絞られた玄がもとに戻るように数十、いや数百か。
魔法の火矢が解き放たれ、モンスターを焼き払う。
新種も同時に焼かれ、静かさがルームに生まれた。
「「レフィーヤ/お姉ちゃんっ!!」」
ティオナとゲッカが少女に飛び付き、誉めちぎる。
「ほらねー!!一発だったでしょー!?」
「ありったけの精神力注ぎ込んだので……あわわっ」
「ありがと!レフィーヤお姉ちゃん!!」
わいわいと騒ぐ三人にアイズが加わる。
その様子を遠くから見ながら、焦げちまった…と呟く者が一人。
豪快に笑い飛ばすガレスの奥で、親指を見つめて動かないフィンの姿があった。
「団長、どうしたんですか?」
「このルームに逃げ込む前…モンスターは前からやって来た。そしてあの道は50階層。本隊キャンプ地に続くルートだ」
「!!……まさか」
「アイズ達を集めろ。全速力でキャンプに戻る」
寄ってきたティオネの言葉を聞いて、全員の顔に浮かぶのは驚愕と焦り。
まだ戦いは終わらない。
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