ロキ・ファミリアには【ファミコン】の最強幼女がいるそうです   作:京狼婢娜姫

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遅れました………


第8話

戦闘終了から、逃走へ移る少し前。

 

ラウルの悲鳴を耳にした一班は、おそらく、もうひとつの泉への道と思われる場所を走っていた。

 

来たときよりもモンスターの数が少なく、走ることに専念する。

しばらくすると、前からも足音が響いてきた。

 

『!_____ッ!?』

 

四人の目に映るのは、上級冒険者が全力逃走している姿。

その後ろには巨大な_____

 

「芋、虫…?」

「_____ッッ!!」

 

レフィーヤが呟きを落とすと同時、ティオナが踏み込み、ウルガをその緑黄色の肌に向かって刃をつきたてる。

その際にはきだされた体液が髪にかするが、どうにか避ける。

 

「お姉ちゃんっ、だめっ!!」

 

後ろから妹の声が響くが、その勢いは殺さない。

 

「体液に触れるな!!」

「え?」

 

刃が突き刺さると同時、後ろから飛んできた液体を後ろに飛んで、ウルガも抜く。

 

「うぇっ!?溶けたぁ!?」

 

しかしそのウルガには片方の刃がなくなっており、柄までが溶けかけている。

それを放り捨て、このー!?とモンスターを睨む。

 

「走れ馬鹿女!後ろからうようよきてんぞ!」

「ぇ?うぇえええええええっ!?」

 

ベートの声に慌てて走り出す彼女に冷たい視線が集まるが、それはさておき。

 

「団長、御無事ですか?」

「僕らは問題ない。武器がなくなってしまってね。しかも、ラウルがあれの直撃をもらった」

「早く治療してやらんとこりゃまずいぞ」

「フィン、あのモンスター、倒せる?」

「攻撃に効果はある。一回の攻撃に一つの武器を犠牲にして、だ。割りに合わないし、あの群れ相手に尚更無茶だろう」

「でもねー」

 

言葉を繋げたゲッカに視線が向くが、本人はね?とフィンを見やるだけ。

やれやれ、と言いたげに目を閉じたフィンは口を開いた。

 

「魔法なら別だ。詠唱する時間を稼いで、群れを殲滅出来るだけの強力な魔法を発動できたら……」

 

視線が妖精の少女に集まり、本人はえっ?と声をあげる。

その時、前の方からも破壊音が響き緑黄色の肌が、大量に視界に入る。

 

「っ!全員右へ転身だっ!!」

 

指示と同時、脇道に逸れるもそこはルーム、行き止まり。

 

「ティオネ、武器は無事か?」

「あ、はい。ティオナの武器以外無事、です」

「わかった。ならそれをベート達に渡せ」

 

ティオネが武器を渡すなか、中央に集まれ、と指示が飛ぶ。

 

「こんなんでどうすんだよ!?」

「団長の命令よ、つべこべ言わずに従いなさい!」

 

本来とは違う得物に文句をあげるベートにティオネが声を荒げる。

ゲッカが首をかしげてフィンに目を向ける。

 

「親指が疼いてる。たぶん、くるんじゃないかな?」

 

その言葉と同時。

ピキリ、と壁が鳴りモンスターが生まれ落ちた。

 

「こんな時にっ!?」

「いや………」

 

ティオナの声に、小さく返しベートが後ろに下がり表情を強ばらせる。

止まることなく響く壁が壊れる音。

 

「この数、やべぇぞ……!!」

 

危機に陥った冒険者を追い詰める悪辣な迷宮の罠。

逃げ場を失った冒険者に、絶望を植え付ける『怪物の宴』。

 

『ォオオオオオオオオオオッ!』

 

産声をあげる怪物に、否応なく全員の頬がひきつった。

 

「あの新種は僕とアイズ、ゲッカでやる!絶対に手を出すな!」

「フィン、使って……」

「ありがとう、レフィーヤ」

「はいっ!?」

 

緊張しているのか声が裏返る少女に小さく苦笑を漏らし、告げる。

 

「アイズの魔法なら、あの普通の剣でも戦えるだろう。だけど長引けば危ない。ゲッカもだ。……頼んだよ?」

「っ!」

 

長引けば危ない。

その言葉に後ろで治療される同期の青年に視線を向ける。

途中で見えた紫に変色した肌が思い出された。

 

_____やるしかない。

息を吸い込んで、はきだす。

恩師の教えの一つ、大木の心を目指して。

少女は歌い始めた。

 

「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ】」

 

全力で練られる魔力が、不規則なノイズを鳴らすが気にならない。

守ってくれている、守られている。

その事実があるからこそ、詠唱を響かせる。

 

「【押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ】」

 

閉じた瞼の外で、鎌鼬が飛ぶ音がした。

優しく風が動く気配がした。

 

「【帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢】」

 

隣にいることさえできない彼女等と、一緒に戦っている。

 

「【雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」

 

助けれるなら、助けれるように。

これが全力、これが私、レフィーヤ・ウィリディスです!

 

「撃ちます!!」

 

高まった精神力が形となり、上空に火の光を産み出す。

 

「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」

 

限界まで引き絞られた玄がもとに戻るように数十、いや数百か。

魔法の火矢が解き放たれ、モンスターを焼き払う。

新種も同時に焼かれ、静かさがルームに生まれた。

 

「「レフィーヤ/お姉ちゃんっ!!」」

 

ティオナとゲッカが少女に飛び付き、誉めちぎる。

 

「ほらねー!!一発だったでしょー!?」

「ありったけの精神力注ぎ込んだので……あわわっ」

「ありがと!レフィーヤお姉ちゃん!!」

 

わいわいと騒ぐ三人にアイズが加わる。

その様子を遠くから見ながら、焦げちまった…と呟く者が一人。

豪快に笑い飛ばすガレスの奥で、親指を見つめて動かないフィンの姿があった。

 

「団長、どうしたんですか?」

「このルームに逃げ込む前…モンスターは前からやって来た。そしてあの道は50階層。本隊キャンプ地に続くルートだ」

「!!……まさか」

「アイズ達を集めろ。全速力でキャンプに戻る」

 

寄ってきたティオネの言葉を聞いて、全員の顔に浮かぶのは驚愕と焦り。

 

まだ戦いは終わらない。





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