ロキ・ファミリアには【ファミコン】の最強幼女がいるそうです   作:京狼婢娜姫

9 / 10
遅れました……ごめんなさいっ!!


第9話

『ッ_______!?』

 

目の前の様子に驚愕の吐息をはきだした。

一際高い岩の上に張られたロキ・ファミリア本営のキャンプ。

そこへと向かって、何十、いや何百もの緑黄色の芋虫が、這い上っていた。

 

『盾になるものは………持って……!!』

「っ!!」

 

Lv7の聴覚が、母親の声を聞き取った。

切羽詰まった声に、『下剋上』を振り上げて、鎌鼬を飛ばして下の方を崩した。

 

「ゲッカ!?」

「【目覚めよ】」

「アイズっ!?」

「【風】」

 

金の少女が魔法を発動させると同時、二人は踏み込み、モンスターの群れに牙を向く。

 

止められない、そう悟ったフィンが指示を出し、他のメンバーも動き出す。

アイズは一気に上へとかけ上がり、ゲッカはその道を守る。

アイズへと飛んだ腐蝕液を鎌鼬で、横にいたモノは直接切り飛ばす。

 

「間に合ってくれたか……!」

 

二人の姿に待機していた仲間が歓声をあげて、活気を取り戻す。

 

「もぅ、一個……!!」

 

上に向けて鎌鼬を飛ばし、崩れたところをかけ上っていく。

横目に青年の姿を見て、少し笑うとスピードをあげた。

負けじと相手もスピードをあげて、二人で戦場をかけていく。

 

上ではリヴェリアを含めた魔法使いが歌い始めており、自然と肩から力が抜けた。

 

「てめえらだけで楽しんでんじゃねぇよっ!」

 

ベートの銀靴__フロスヴィルトには、ある特殊効果がある。

それは、魔法効果の吸収。

吸収した力は攻撃力に変換され、その属性に沿った力を彼の足に宿す。

今、宿るのは__アイズの【風】。

 

「ぶっ殺してやるぜぇええええっ!!」

 

芋虫のモンスターを蹴り飛ばすベートに、小さくゲッカがそんなこと言っちゃダメだよ、なんて言っていたがスルー。

 

「やーいっ、こっちだー!」

 

少し遠くでは、ティオナが怪物相手に挑発を続けていた。

それに乗って腐蝕液を放つが、あっさりと避けられ、後ろにいた仲間に当たる。

 

「っよ!っと。槍ゲット!」

 

ガシッ、と力強く掴むと、自分に向かっていた遠くの奴等へ思いっきり投げつける。

槍の間合いは予想以上に長く、腐蝕液は彼女に届かない。

 

「……ちっ………」

 

そこよりも、少し遠くで。

彼女の実の姉は、苛立ちを募らせていた。

こいつら…!と溶けた武器を睨んで歯噛みする。

実の妹の真似はちまちまし過ぎでやる気が失せるし、糞狼は黙れ千切り殺すぞ、と青筋を浮かべて。

 

「あ゙ーもうとにかくまじで__」

 

素手を目の前のモンスター相手に構えて、ティオネは素を表した。

 

「_____めんどくせぇっ!!」

 

Lv.5の手刀が緑黄色の肌を破いて、ブチブチと筋組織を引き裂く。

代わりに出てきた体液が、彼女の手や、美しい黒髪さえも嫌な音と臭いを発して溶けていく。

痛みに悲鳴をあげるモンスターに対してティオネは凶笑を浮かべ。

 

「じたばた__してんじゃねぇっ!」

 

魔石を引き摺り出した。

極彩色のそれを握ったまま、サラサラと灰になる死骸を背に、他のモンスターに向き直る。

 

「次は、どいつだっ!?」

 

別の場所では。

Lv.6のガレスと、レフィーヤ、ラウルが走り回っていた。

 

「レフィーヤ、精神力を消費しているのに、無理するでない!」

「今の私にも撹乱ぐらいは……っ」

 

息を切らして戦地へ向かう少女の前で、木に寄りかかる影があった。

モンスターかと警戒するも、すぐに解いて慌て出す。

理由は__

 

「レフィーヤ……万能薬(エリクサー)、ある?」

「てぃ、ティオネさんっ!?」

「いかん、ありったけの万能薬をかけるんじゃ!儂とラウルは周囲の警護に回るぞ!!」

 

どろりと溶け落ちた彼女の体に、レフィーヤは慌てて万能薬をぶちまける。

だんだんと形を取り戻して行くティオネに何で平気なんすか……と声が漏れたが、ガレスが根性が足りんだけじゃっ!!と言い切って、斧で地面を吹き飛ばす。

それは自然の弾丸に成り、迫っていた緑黄色のモンスターに穴を開けた。

 

「フム……本営も立て直したようじゃな」

 

その瞳が捉えるのは、遥か奥。

魔法円が大きく展開する様子に、安堵を顔に浮かべた。

 

後ろでは、駆け付けた小人族に腰巻きを貰ってにやける女戦士の姿があったが、ここでは明記はしないでおく。

 

遠くから振動が伝わり、この戦闘の終わりを告げる。

ロキ・ファミリア、魔法使い一斉砲撃。

多くを火の魔法で練られたその砲撃は、モンスターを倒しきり、焼け野原を作り出す。

 

「…留守を任された身としては、立つ背がないな……」

 

それの威力の大半を出したリヴェリアは、回りをみてそう呟いた。

腕が溶け、包帯を何重にも巻くもの。

足が使い物にならなくなり、杖をついて移動するもの。

 

「………………」

 

新種との戦闘だと考えれば、あるいは少ないという答えも有るかも知れない。

けれども、彼女はその選択肢を捨てて、これからを考えよう、と顔をあげた。

その顔に浮かぶのは、驚愕。

 

「なんだ、あれは…………!!」

 

遠くにあるのは、先程のモンスター達と同じ、緑黄色の肌の怪物。

ソレは緩慢な動きで顔と思われる部分をあげて___

 

「______っ!?」

 

___こちらを向いて笑った。




読了、ありがとうございました。
感想、批評、評価お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。